テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
274 / 303
第8.5章 雨季から夏のなんやかんや

第243話 影で頑張る人達

しおりを挟む
キャラバンシティはもうすぐ夏になるらしいのだが、雨季の間の猛烈な湿気が嘘のように何処かへ行き、過ごしやすく穏やかな天気が続いている。

こんな日はスミレをもふもふしつつ昼寝をしたい気分なんだけど、大商会の会長という立場がそれを許してくれない

働き過ぎず適度に休みつつも、池田屋商会の大事な場面には絶対に立ち会わなければいけないらしい

そんなもん無理ゲーですやん(泣)

オフラインの時も他プレイヤーから攻撃されるから、常にinして対処せなあかんソシャゲか!

そんな訳で『顔を出すだけ』のお仕事が増えたので商会の本店にやって来た。


「おーい、シンさーん!」

「タコヤーさんお久し振りです♪」

「今回は遅くなってしまって申し訳ありませんでした」

「いえいえ、雨季と重なりましたから仕方ないですよ、疲れたでしょう?お菓子でも食べながらサウスビーチの様子を聞かせて下さいよ♪」

「お菓子?!今や王族ですら虜にしているというシンさんのお菓子なら食べない訳には行きません!」

「大袈裟だなぁ、ただの甘い食べ物ですよ(笑)」


池田屋商会の前で馬車から荷物を降ろしている所で俺に声をかけて来たのは、サウスビーチを拠点にしているエモンズ商会の

タコヤー・K・エモンズさん

少し前までは親父さんである会長のマスヤー・K・エモンズさんが、自ら馬車で行商をしてたんだけど、次期会長であるタコヤーさんに経験を積ませる為に、マスヤーさんは経営に専念している


タコヤーさんは2~3ヶ月おきに、サウスビーチビーチからゲオルグ様の手紙と共に貝とサウスエビを持って来てくれるし

帰りには俺からゲオルグ様宛の手紙と酒やその他の贈り物を届けてくれるので、とてもお世話になっている

運送料金がゲオルグ様持ちなのもあって、料金の話をしなくてすむから気楽に話せるのがとても良い(笑)


商会の応接室にタコヤーさんを案内してきたけど、お菓子は試作中の芋餡饅頭にしよう。眠れる森のエルフの為にも芋の消費量は増やしたい、、、というかどんどん消費しないと俺の収納が芋だらけなんだよ


「さあさあタコヤーさん、芋餡饅頭と言うお菓子です緑茶と一緒にどうぞ」

「ん?緑色のお茶とはめずらしい、では頂きます。もぐもぐもぐもぐ、ズズー、、ふぅ~、これは不思議と気分が落ち着く味ですね♪」


和菓子と緑茶ってどうしてあんなにほっこりするんだろうな


「口に合ったみたいで良かったです。それとこれはまだ秘匿事項なんですけど、流行り病の予防と治療に効果のあるドリンクのレシピを書いたのでゲオルグ様に渡して下さい」

「なっ?!今流行り病と言いましたよね?」

「ええ、詳しい事はまだ言えませんけどアストレア様が陣頭指揮をとっている事で色々とお察し下さい。

サウスビーチは流行り病になる人が多いのではと思いまして、本格的に暑くなる前に教えたかったんです。」

「シンさんの仰る通りサウスビーチは毎年流行り病になる方が多く、対応に追われていますけど、まさか予防法が発見されていたとは」

「どこまで効果があるかはやってみないと分からないんですけどね。
それよりサウスビーチの様子を聞かせて下さいよ」

「そうなんですか、、えぇーとサウスビーチもシンさんのお陰で色々と変わりましたからね、何から話しましょうか、、、
                               ・
                               ・
                               ・
という感じでシンさんのレシピのお陰で魚介類が人気なんですよ♪

人も増えて景気も良いですから、そのお礼をしたいという事で、ゲオルグ様もシンさんに会いたがっておられました」

「役に立てたのなら良かったです。ゲオルグ様にはお会いしたいですけど夏の旅は辛そうですから、暑さが落ち着く頃にサウスビーチに行こうかと思います。」

「それが良いと思います、サウスビーチの夏は慣れてないと辛いですから」

「おっと!そろそろ日が暮れる時間ですね、長旅でお疲れなのに長々と話し込んでしまいました」

「いえいえ、美味しいお菓子を食べたら疲れも吹き飛びましたよ(笑)私は2日ほど滞在してからサウスビーチに帰る予定なので、シンさんのスケジュールに余裕があれば、是非またお菓子を食べさせて頂けると嬉しいです!」

「あははは、美味しいお菓子を見繕っておきますよ♪ではまた」



さてと、タコヤーさんも宿に戻ったし、今日の仕事も終わりだから帰るか、、と思ったけど

商会のロビーにこれまた久し振りに見る女性の姿がある

せっかくだしひと声かけて行くかな


「ラフィネル様、お久し振りですね♪」

「会長様ご無沙汰しております。商売繁盛による池田屋商会の益々の御発展、不肖ラフィネル心より御祝い申しあげます。」


堅ぁーい!

ラフィネル様の俺に対する態度がめちゃめちゃ、堅ぁーい! 


ラフレシア子爵家のラフィネルお嬢様は『下着騒動』以来、池田屋商会に客としてやって来る下級貴族の対応を自主的にしてくれていてとても助かっている

あくまでも『自主的』であり100%ラフィネル様の御厚意によるお手伝いなので、報酬は全く無いけれど

一般販売用の新作の下着やドレスをプレゼントしてモデルとなって貰う事で、広告塔の役割と共に下級貴族の女性達から羨望の眼差しを受け、貴族としての立場もなかなかの物になっているんだとか

そして今の池田屋商会で1番忙しいのはきっとラフィネル様だろう、池田屋商会と仲良くしたい貴族にとって

子爵家のお嬢様は上級貴族からも下級貴族からも声をかけやすい絶妙な板挟みポジションになる

お陰で貴族の面倒ななんやかんやはラフィネル様がどうにかしてくれているんだもの

感謝しかない!

ラフィネル様にはこれからも池田屋商会発展の為に、末永く自主的な御協力をお願いしよう♪


しかしながら、ラフィネル様の目の下にあるベアーは気になる、さすがにお疲れっぽいから、疲れの取れそうなお菓子と栄養ドリンクを差し入れておかないとな。

ラフィネル様、これからも期待してまっせ♪





つづく。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている 酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

ペット(老猫)と異世界転生

童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。

処理中です...