テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
271 / 305
第8.5章 雨季から夏のなんやかんや

第240話 やる気あるトリオ

しおりを挟む
雨季も終わり穏やかな日々が続いている今日この頃

俺はニックとスナックに呼ばれて2人が住んでいるテントにやって来た。

ニックとスナックは我が家の裏庭でテント生活をしているのだが

当初は金を持っていなかったから仕方なく裏庭に住まわせたんだけど、充分稼せげるようになった今でも何故かテント生活を続けている

家賃が要らないし我が家のご飯が食べられるとか、色々と理由はあるんだろう。

ニックとスナックは役職こそ無いものの、池田屋商会では幹部とほぼ同じ待遇なんだよ、その2人がテント生活をしてるってのはあまりよろしくない

アンさんは女性従業員専用の寮?社宅?のような所で暮らしているから問題無いけど

ウチは男性従業員が極端に少ないから宿舎とか後回しにしちゃってたんだよな、そろそろ男性従業員専用の宿舎も必要か


そんな事を考えつつ我が家の裏庭にあるテントに来たんだけど、はっきり言って狭いわ!

テントの中にはニックとスナックに加えてアンさんも居て、そして俺、メリル、ニィナが居る。4人用のテントに6人はギリギリだよ(汗)


「なぁニックにスナック、わざわざテントに集まる必要あったのか?」

「必要かって言われたらそうでもないけどさ、アニキに個人的な頼みがあるから他の人に聞かれたくなくて」

「まあそういう事なら構わないけど、頼みって何だ?」

「うん、クレープ焼くのは楽しいんだけど今のままじゃアニキには追い付けないと思うんだ、だからなんかこう、ちょっとでもアニキに追い付ける事がしたい」

「やる気があるのは認めるけど、ざっくりしたお願いだな。スナックも同じ意見か?」

「僕もアニキには追い付きたいと思ってるけど、甘味とか料理を作るよりアルさんがやってるような仕事をやってみたい」

「なるほど、スナックは事務職希望か。となるとどうするかなぁ、、、
よし!これから2人には甘味屋を任せる!」

「アニキそれって今までと何が違うんだ?」

「まず、クレープ販売は引き継ぎして他の奴に任せて、2人には高級甘味専門店をやってもらう

ニックは変わらずお菓子を作って、スナックは甘味屋の事務をしてもらう。勿論アルにサポートして貰いながらだから心配無用だ」

「よく分かんないけど『高級』って事は貴族相手にお菓子作るのか?」

「店に買いに来たら売るけど、基本は商人と富裕層の金持ちを客として想定してる。でも客に関しては実際やってみないと分からんからな

重要な商品となる甘味だけど、とりあえずドーナツとたい焼きにしようと思ってる

砂糖もかなり普及してきたとはいえまだまだ高級品だから、砂糖をたっぷり使ったドーナツとたい焼きを高級甘味として売るのが良いと思うんだけど、どうだ?」


ドーナツとたい焼きは単純に俺が食べたいだけなのもあるんだよな(笑)

せっかく業務用のたい焼き器を持ってるのにほぼ使ってないから勿体無いってのもある


「高級甘味って事は今までより儲かるって事だよな?」

「砂糖の値段次第だけど、今までの倍くらいの利益は出したいな」

「それじゃあ俺頑張るよ、アニキが驚くくらいスゲェ稼いでみせるから見ててくれよな」

「僕も兄ちゃんと一緒に頑張るよ!お店の内装とかお菓子の陳列の仕方とか色々考えてるんだ♪」


やる気があっていいねぇ♪


「はい!はい!会長、私も!」

「アンさんどうぞ」

「えぇーと、ニック君とスナック君が甘味屋をやるって事は、クレープ販売に新しい人が必要ですよね、雇って欲しい人が居るんですけど駄目でしょうか?」

「それってアンさんの家族とか親戚?」

「いえ、昔の同業者なんですけど下働きでも良いからって頼まれる事が多くて

会長が身元の保証をされてない人を雇わないのは知ってますけど、私は身元の保証無しで雇ってくれましたよね」

「アンさんを雇ったあの時は人手不足で緊急事態だったからなぁ」


アンさんの昔の同業者って事は娼婦だよな、肉体的にも経済的にも厳しい仕事みたいだから転職したい気持ちは分からんではないけど


「あの、副会長はこの事をどう考えてらっしゃいますか」

「厳しいかもしれないけど、身元の保証がされないなら雇えない」

「そうですか」

「でも別の方法はあるよ」

「えっ?!」


マジかよメリルさん!


「ようするに雇うから何かあった時に困るんだよね?だったら雇わなければ良いんだよ

クレープの作り方は難しくないから、販売の許可だけ出して材料は毎回買って貰って、道具はレンタルでも良いんじゃない?そしたらクレープが売れ残っても商会に損は無いよね

今ならクレープが売れ残る事は無いだろうけど、道具を持ち逃げされるリスクがあるのはしょうがないかな」


なるほど、メリルが言いたいのは元世界のフランチャイズ契約とかそんな感じの事だろう。

契約者に対して商品が売れるように池田屋商会が全力でサポートはするけど、もしクレープが全く売れなくて赤字になっても自己責任でお願いします。って事だ。

『池田屋商会公認』の看板を作って使用許可を出せば、常連客もそのまま来てくれるだろう。

看板の偽造防止とか色々と解決すべき問題はあるけど、試す価値はあるな


「という事で、メリルの提案したやり方で試しにやってみようか、細かい事は後日アルを交えて相談だな」

「はい、ありがとうございます!」




ふぃ~、終わったぜ

狭いテントで真面目な話は辛いよ、っていうかこれって普通に甘味部門の幹部会議やん!

こういうのは商会の本店で幹部を集めて仕事としてやる事であって、わざわざテントでやる事じゃない

これは俺も含めて幹部全員で商会経営の基礎を学ぶ必要があるな、こんな時こそ商業ギルドの元ギルマス、アルの出番だよ♪

アルには何か旨い物を差し入れて、商会の為に頑張って貰おう!





つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~

裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】 宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。 異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。 元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。 そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。 大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。 持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。 ※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

処理中です...