テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
271 / 303
第8.5章 雨季から夏のなんやかんや

第240話 やる気あるトリオ

しおりを挟む
雨季も終わり穏やかな日々が続いている今日この頃

俺はニックとスナックに呼ばれて2人が住んでいるテントにやって来た。

ニックとスナックは我が家の裏庭でテント生活をしているのだが

当初は金を持っていなかったから仕方なく裏庭に住まわせたんだけど、充分稼せげるようになった今でも何故かテント生活を続けている

家賃が要らないし我が家のご飯が食べられるとか、色々と理由はあるんだろう。

ニックとスナックは役職こそ無いものの、池田屋商会では幹部とほぼ同じ待遇なんだよ、その2人がテント生活をしてるってのはあまりよろしくない

アンさんは女性従業員専用の寮?社宅?のような所で暮らしているから問題無いけど

ウチは男性従業員が極端に少ないから宿舎とか後回しにしちゃってたんだよな、そろそろ男性従業員専用の宿舎も必要か


そんな事を考えつつ我が家の裏庭にあるテントに来たんだけど、はっきり言って狭いわ!

テントの中にはニックとスナックに加えてアンさんも居て、そして俺、メリル、ニィナが居る。4人用のテントに6人はギリギリだよ(汗)


「なぁニックにスナック、わざわざテントに集まる必要あったのか?」

「必要かって言われたらそうでもないけどさ、アニキに個人的な頼みがあるから他の人に聞かれたくなくて」

「まあそういう事なら構わないけど、頼みって何だ?」

「うん、クレープ焼くのは楽しいんだけど今のままじゃアニキには追い付けないと思うんだ、だからなんかこう、ちょっとでもアニキに追い付ける事がしたい」

「やる気があるのは認めるけど、ざっくりしたお願いだな。スナックも同じ意見か?」

「僕もアニキには追い付きたいと思ってるけど、甘味とか料理を作るよりアルさんがやってるような仕事をやってみたい」

「なるほど、スナックは事務職希望か。となるとどうするかなぁ、、、
よし!これから2人には甘味屋を任せる!」

「アニキそれって今までと何が違うんだ?」

「まず、クレープ販売は引き継ぎして他の奴に任せて、2人には高級甘味専門店をやってもらう

ニックは変わらずお菓子を作って、スナックは甘味屋の事務をしてもらう。勿論アルにサポートして貰いながらだから心配無用だ」

「よく分かんないけど『高級』って事は貴族相手にお菓子作るのか?」

「店に買いに来たら売るけど、基本は商人と富裕層の金持ちを客として想定してる。でも客に関しては実際やってみないと分からんからな

重要な商品となる甘味だけど、とりあえずドーナツとたい焼きにしようと思ってる

砂糖もかなり普及してきたとはいえまだまだ高級品だから、砂糖をたっぷり使ったドーナツとたい焼きを高級甘味として売るのが良いと思うんだけど、どうだ?」


ドーナツとたい焼きは単純に俺が食べたいだけなのもあるんだよな(笑)

せっかく業務用のたい焼き器を持ってるのにほぼ使ってないから勿体無いってのもある


「高級甘味って事は今までより儲かるって事だよな?」

「砂糖の値段次第だけど、今までの倍くらいの利益は出したいな」

「それじゃあ俺頑張るよ、アニキが驚くくらいスゲェ稼いでみせるから見ててくれよな」

「僕も兄ちゃんと一緒に頑張るよ!お店の内装とかお菓子の陳列の仕方とか色々考えてるんだ♪」


やる気があっていいねぇ♪


「はい!はい!会長、私も!」

「アンさんどうぞ」

「えぇーと、ニック君とスナック君が甘味屋をやるって事は、クレープ販売に新しい人が必要ですよね、雇って欲しい人が居るんですけど駄目でしょうか?」

「それってアンさんの家族とか親戚?」

「いえ、昔の同業者なんですけど下働きでも良いからって頼まれる事が多くて

会長が身元の保証をされてない人を雇わないのは知ってますけど、私は身元の保証無しで雇ってくれましたよね」

「アンさんを雇ったあの時は人手不足で緊急事態だったからなぁ」


アンさんの昔の同業者って事は娼婦だよな、肉体的にも経済的にも厳しい仕事みたいだから転職したい気持ちは分からんではないけど


「あの、副会長はこの事をどう考えてらっしゃいますか」

「厳しいかもしれないけど、身元の保証がされないなら雇えない」

「そうですか」

「でも別の方法はあるよ」

「えっ?!」


マジかよメリルさん!


「ようするに雇うから何かあった時に困るんだよね?だったら雇わなければ良いんだよ

クレープの作り方は難しくないから、販売の許可だけ出して材料は毎回買って貰って、道具はレンタルでも良いんじゃない?そしたらクレープが売れ残っても商会に損は無いよね

今ならクレープが売れ残る事は無いだろうけど、道具を持ち逃げされるリスクがあるのはしょうがないかな」


なるほど、メリルが言いたいのは元世界のフランチャイズ契約とかそんな感じの事だろう。

契約者に対して商品が売れるように池田屋商会が全力でサポートはするけど、もしクレープが全く売れなくて赤字になっても自己責任でお願いします。って事だ。

『池田屋商会公認』の看板を作って使用許可を出せば、常連客もそのまま来てくれるだろう。

看板の偽造防止とか色々と解決すべき問題はあるけど、試す価値はあるな


「という事で、メリルの提案したやり方で試しにやってみようか、細かい事は後日アルを交えて相談だな」

「はい、ありがとうございます!」




ふぃ~、終わったぜ

狭いテントで真面目な話は辛いよ、っていうかこれって普通に甘味部門の幹部会議やん!

こういうのは商会の本店で幹部を集めて仕事としてやる事であって、わざわざテントでやる事じゃない

これは俺も含めて幹部全員で商会経営の基礎を学ぶ必要があるな、こんな時こそ商業ギルドの元ギルマス、アルの出番だよ♪

アルには何か旨い物を差し入れて、商会の為に頑張って貰おう!





つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている 酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

ペット(老猫)と異世界転生

童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。

処理中です...