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第8.5章 雨季から夏のなんやかんや
第240話 やる気あるトリオ
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雨季も終わり穏やかな日々が続いている今日この頃
俺はニックとスナックに呼ばれて2人が住んでいるテントにやって来た。
ニックとスナックは我が家の裏庭でテント生活をしているのだが
当初は金を持っていなかったから仕方なく裏庭に住まわせたんだけど、充分稼せげるようになった今でも何故かテント生活を続けている
家賃が要らないし我が家のご飯が食べられるとか、色々と理由はあるんだろう。
ニックとスナックは役職こそ無いものの、池田屋商会では幹部とほぼ同じ待遇なんだよ、その2人がテント生活をしてるってのはあまりよろしくない
アンさんは女性従業員専用の寮?社宅?のような所で暮らしているから問題無いけど
ウチは男性従業員が極端に少ないから宿舎とか後回しにしちゃってたんだよな、そろそろ男性従業員専用の宿舎も必要か
そんな事を考えつつ我が家の裏庭にあるテントに来たんだけど、はっきり言って狭いわ!
テントの中にはニックとスナックに加えてアンさんも居て、そして俺、メリル、ニィナが居る。4人用のテントに6人はギリギリだよ(汗)
「なぁニックにスナック、わざわざテントに集まる必要あったのか?」
「必要かって言われたらそうでもないけどさ、アニキに個人的な頼みがあるから他の人に聞かれたくなくて」
「まあそういう事なら構わないけど、頼みって何だ?」
「うん、クレープ焼くのは楽しいんだけど今のままじゃアニキには追い付けないと思うんだ、だからなんかこう、ちょっとでもアニキに追い付ける事がしたい」
「やる気があるのは認めるけど、ざっくりしたお願いだな。スナックも同じ意見か?」
「僕もアニキには追い付きたいと思ってるけど、甘味とか料理を作るよりアルさんがやってるような仕事をやってみたい」
「なるほど、スナックは事務職希望か。となるとどうするかなぁ、、、
よし!これから2人には甘味屋を任せる!」
「アニキそれって今までと何が違うんだ?」
「まず、クレープ販売は引き継ぎして他の奴に任せて、2人には高級甘味専門店をやってもらう
ニックは変わらずお菓子を作って、スナックは甘味屋の事務をしてもらう。勿論アルにサポートして貰いながらだから心配無用だ」
「よく分かんないけど『高級』って事は貴族相手にお菓子作るのか?」
「店に買いに来たら売るけど、基本は商人と富裕層の金持ちを客として想定してる。でも客に関しては実際やってみないと分からんからな
重要な商品となる甘味だけど、とりあえずドーナツとたい焼きにしようと思ってる
砂糖もかなり普及してきたとはいえまだまだ高級品だから、砂糖をたっぷり使ったドーナツとたい焼きを高級甘味として売るのが良いと思うんだけど、どうだ?」
ドーナツとたい焼きは単純に俺が食べたいだけなのもあるんだよな(笑)
せっかく業務用のたい焼き器を持ってるのにほぼ使ってないから勿体無いってのもある
「高級甘味って事は今までより儲かるって事だよな?」
「砂糖の値段次第だけど、今までの倍くらいの利益は出したいな」
「それじゃあ俺頑張るよ、アニキが驚くくらいスゲェ稼いでみせるから見ててくれよな」
「僕も兄ちゃんと一緒に頑張るよ!お店の内装とかお菓子の陳列の仕方とか色々考えてるんだ♪」
やる気があっていいねぇ♪
「はい!はい!会長、私も!」
「アンさんどうぞ」
「えぇーと、ニック君とスナック君が甘味屋をやるって事は、クレープ販売に新しい人が必要ですよね、雇って欲しい人が居るんですけど駄目でしょうか?」
「それってアンさんの家族とか親戚?」
「いえ、昔の同業者なんですけど下働きでも良いからって頼まれる事が多くて
会長が身元の保証をされてない人を雇わないのは知ってますけど、私は身元の保証無しで雇ってくれましたよね」
「アンさんを雇ったあの時は人手不足で緊急事態だったからなぁ」
アンさんの昔の同業者って事は娼婦だよな、肉体的にも経済的にも厳しい仕事みたいだから転職したい気持ちは分からんではないけど
「あの、副会長はこの事をどう考えてらっしゃいますか」
「厳しいかもしれないけど、身元の保証がされないなら雇えない」
「そうですか」
「でも別の方法はあるよ」
「えっ?!」
マジかよメリルさん!
「ようするに雇うから何かあった時に困るんだよね?だったら雇わなければ良いんだよ
クレープの作り方は難しくないから、販売の許可だけ出して材料は毎回買って貰って、道具はレンタルでも良いんじゃない?そしたらクレープが売れ残っても商会に損は無いよね
今ならクレープが売れ残る事は無いだろうけど、道具を持ち逃げされるリスクがあるのはしょうがないかな」
なるほど、メリルが言いたいのは元世界のフランチャイズ契約とかそんな感じの事だろう。
契約者に対して商品が売れるように池田屋商会が全力でサポートはするけど、もしクレープが全く売れなくて赤字になっても自己責任でお願いします。って事だ。
『池田屋商会公認』の看板を作って使用許可を出せば、常連客もそのまま来てくれるだろう。
看板の偽造防止とか色々と解決すべき問題はあるけど、試す価値はあるな
「という事で、メリルの提案したやり方で試しにやってみようか、細かい事は後日アルを交えて相談だな」
「はい、ありがとうございます!」
ふぃ~、終わったぜ
狭いテントで真面目な話は辛いよ、っていうかこれって普通に甘味部門の幹部会議やん!
こういうのは商会の本店で幹部を集めて仕事としてやる事であって、わざわざテントでやる事じゃない
これは俺も含めて幹部全員で商会経営の基礎を学ぶ必要があるな、こんな時こそ商業ギルドの元ギルマス、アルの出番だよ♪
アルには何か旨い物を差し入れて、商会の為に頑張って貰おう!
つづく。
俺はニックとスナックに呼ばれて2人が住んでいるテントにやって来た。
ニックとスナックは我が家の裏庭でテント生活をしているのだが
当初は金を持っていなかったから仕方なく裏庭に住まわせたんだけど、充分稼せげるようになった今でも何故かテント生活を続けている
家賃が要らないし我が家のご飯が食べられるとか、色々と理由はあるんだろう。
ニックとスナックは役職こそ無いものの、池田屋商会では幹部とほぼ同じ待遇なんだよ、その2人がテント生活をしてるってのはあまりよろしくない
アンさんは女性従業員専用の寮?社宅?のような所で暮らしているから問題無いけど
ウチは男性従業員が極端に少ないから宿舎とか後回しにしちゃってたんだよな、そろそろ男性従業員専用の宿舎も必要か
そんな事を考えつつ我が家の裏庭にあるテントに来たんだけど、はっきり言って狭いわ!
テントの中にはニックとスナックに加えてアンさんも居て、そして俺、メリル、ニィナが居る。4人用のテントに6人はギリギリだよ(汗)
「なぁニックにスナック、わざわざテントに集まる必要あったのか?」
「必要かって言われたらそうでもないけどさ、アニキに個人的な頼みがあるから他の人に聞かれたくなくて」
「まあそういう事なら構わないけど、頼みって何だ?」
「うん、クレープ焼くのは楽しいんだけど今のままじゃアニキには追い付けないと思うんだ、だからなんかこう、ちょっとでもアニキに追い付ける事がしたい」
「やる気があるのは認めるけど、ざっくりしたお願いだな。スナックも同じ意見か?」
「僕もアニキには追い付きたいと思ってるけど、甘味とか料理を作るよりアルさんがやってるような仕事をやってみたい」
「なるほど、スナックは事務職希望か。となるとどうするかなぁ、、、
よし!これから2人には甘味屋を任せる!」
「アニキそれって今までと何が違うんだ?」
「まず、クレープ販売は引き継ぎして他の奴に任せて、2人には高級甘味専門店をやってもらう
ニックは変わらずお菓子を作って、スナックは甘味屋の事務をしてもらう。勿論アルにサポートして貰いながらだから心配無用だ」
「よく分かんないけど『高級』って事は貴族相手にお菓子作るのか?」
「店に買いに来たら売るけど、基本は商人と富裕層の金持ちを客として想定してる。でも客に関しては実際やってみないと分からんからな
重要な商品となる甘味だけど、とりあえずドーナツとたい焼きにしようと思ってる
砂糖もかなり普及してきたとはいえまだまだ高級品だから、砂糖をたっぷり使ったドーナツとたい焼きを高級甘味として売るのが良いと思うんだけど、どうだ?」
ドーナツとたい焼きは単純に俺が食べたいだけなのもあるんだよな(笑)
せっかく業務用のたい焼き器を持ってるのにほぼ使ってないから勿体無いってのもある
「高級甘味って事は今までより儲かるって事だよな?」
「砂糖の値段次第だけど、今までの倍くらいの利益は出したいな」
「それじゃあ俺頑張るよ、アニキが驚くくらいスゲェ稼いでみせるから見ててくれよな」
「僕も兄ちゃんと一緒に頑張るよ!お店の内装とかお菓子の陳列の仕方とか色々考えてるんだ♪」
やる気があっていいねぇ♪
「はい!はい!会長、私も!」
「アンさんどうぞ」
「えぇーと、ニック君とスナック君が甘味屋をやるって事は、クレープ販売に新しい人が必要ですよね、雇って欲しい人が居るんですけど駄目でしょうか?」
「それってアンさんの家族とか親戚?」
「いえ、昔の同業者なんですけど下働きでも良いからって頼まれる事が多くて
会長が身元の保証をされてない人を雇わないのは知ってますけど、私は身元の保証無しで雇ってくれましたよね」
「アンさんを雇ったあの時は人手不足で緊急事態だったからなぁ」
アンさんの昔の同業者って事は娼婦だよな、肉体的にも経済的にも厳しい仕事みたいだから転職したい気持ちは分からんではないけど
「あの、副会長はこの事をどう考えてらっしゃいますか」
「厳しいかもしれないけど、身元の保証がされないなら雇えない」
「そうですか」
「でも別の方法はあるよ」
「えっ?!」
マジかよメリルさん!
「ようするに雇うから何かあった時に困るんだよね?だったら雇わなければ良いんだよ
クレープの作り方は難しくないから、販売の許可だけ出して材料は毎回買って貰って、道具はレンタルでも良いんじゃない?そしたらクレープが売れ残っても商会に損は無いよね
今ならクレープが売れ残る事は無いだろうけど、道具を持ち逃げされるリスクがあるのはしょうがないかな」
なるほど、メリルが言いたいのは元世界のフランチャイズ契約とかそんな感じの事だろう。
契約者に対して商品が売れるように池田屋商会が全力でサポートはするけど、もしクレープが全く売れなくて赤字になっても自己責任でお願いします。って事だ。
『池田屋商会公認』の看板を作って使用許可を出せば、常連客もそのまま来てくれるだろう。
看板の偽造防止とか色々と解決すべき問題はあるけど、試す価値はあるな
「という事で、メリルの提案したやり方で試しにやってみようか、細かい事は後日アルを交えて相談だな」
「はい、ありがとうございます!」
ふぃ~、終わったぜ
狭いテントで真面目な話は辛いよ、っていうかこれって普通に甘味部門の幹部会議やん!
こういうのは商会の本店で幹部を集めて仕事としてやる事であって、わざわざテントでやる事じゃない
これは俺も含めて幹部全員で商会経営の基礎を学ぶ必要があるな、こんな時こそ商業ギルドの元ギルマス、アルの出番だよ♪
アルには何か旨い物を差し入れて、商会の為に頑張って貰おう!
つづく。
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