テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
267 / 303
第8.5章 雨季から夏のなんやかんや

閑話 ミリアリアの平和な1日

しおりを挟む
side:ミリアリア


「っつぅ?!うぅ~(泣)」

「ミリアリアさん大丈夫ですか?」

「血は出てないから大丈夫です。カスミさんは野菜の皮剥きが上手ですね」

「毎日やってるので慣れてるだけですけど、敬語は止めて頂けると」

「それは無理です。敬語を止めると自分の情けなさに押し潰されて立ち直れそうにないです。」

「えっと、ピーラーっていう皮剥き専用の道具もありますよ」

「お気遣いありがとうござまいます。でもこれは包丁を扱う訓練なので、このまま頑張ります。」


はぁ

カスミさんに余計な気を遣わせてしまった(悲)

包丁を扱う訓練の為に、マーマから毎日野菜の皮剥きをするように言われたんだけど

ムズい!

大根は皮が厚いし、ニンジンは見た目より固いし、ジャガイモは球形でデコボコしてるし

タマネギは手で皮が剥けるけど涙が止まらないし(泣)

料理がこれほど大変な作業だったなんて、これなら空を飛んでるワイバーンを魔法で撃ち墜とす方が何倍も簡単じゃない!

はぁ~

指先が傷だらけになっちゃったけど野菜の皮剥きは終わりっと。


「ねぇねぇ」

「あら、スミレちゃんどうしたの?」


野菜の皮剥きの次は栄養素の勉強でもしようかなと考えていたら、スミレちゃんが厨房にやって来た。

スミレちゃんはいつ見ても可愛いなぁ♪

たまにシン君がスミレちゃんの頭をわしゃわしゃしている事があるけれど、その気持ちはよーく分かる!

私もスミレちゃんを抱き締めたい!叶うならばお風呂で尻尾を洗ってあげたい!

でも急にそんな事を言って嫌われたく無いので普通に会話をするだけにしている。


「ミリー姉ちゃんは甘いお菓子好き?」

「うん、好きだけど」

「これ食べて良いよ♪」


スミレちゃんが持っていた薄い金属製と思われる箱の蓋を開けると、中には個別に袋に包まれた薄い何かがびっしりと詰まっている


「えっと、これってお菓子なのかな?」

「そうだよ♪ご主人さまがね、法事の時にしか食べられなかったお菓子って言ってた」

「そっ、そうなんだ」


『ほうじ』が何かは分からないけど、おそらくシン君の故郷の習慣なんだろう。

スミレちゃんがお菓子って言うんだし、とりあえず箱の中から包みを1個取り出して、ベリッと包みを破く

こっ、これは?!

包みの中から出て来たのはチョコが塗られたクッキーだった、スンスン

しかも凄く良い匂いがするぅー♪

分かる、これは今まで食べたクッキーとは明らかにレベルが異なると


「いただきます。あーんっ、もぐもぐもぐ、、はぁ~美味しい~♪ありがとうスミレちゃん」

「えへへ♪」


それにしてもこのお菓子、鼻に抜ける香りが最高なんだけど!


「ミリー姉ちゃん、こっちも食べて良いよ」


スミレちゃんが別の箱を取り出して中を見せてくれる。こっちの箱は細長い棒状の包みがびっしりと詰まっている。

またまた1個取り出してベリッと包みを破くと、今度は筒状のクッキー?

わざわざお菓子を筒状に作るなんて技術の無駄使いとも思えるけれど、シン君のする事に油断などしない!


「いただきます。あーんっ、もぐもぐ、、旨ぁ~い♪」


さっき食べたチョコが塗られたクッキーとは香りが全然違ぅ~♪


「おーいスミレ~、暇だから一緒にこども園に遊びに、、、ってそのクッキー!スミレが料理作ったご褒美にダンナから貰ったやつだろ?あたしにはくれなかったのに、何でミリアリアさんにはあげてるんだよぉ~(泣)」

「ミリー姉ちゃんは野菜の皮剥き頑張ったから♪ケイト姉ちゃんも皮剥きしたら食べて良いよ」

「う゛っ、、、皮剥きは苦手なんだよなぁ~」


ケイトさんがやって来て凄く悔しがっているけれど、もしかして今食べてるこのお菓子ってシン君の家族でもめったに食べられないほど貴重な物なの?!

それならもう1個くらい食べたいなぁ、、、

って駄目駄目!

スミレちゃんの厚意に甘えてそれぞれ1つずつは食べたけど、これ以上は大人として駄目な気がする(汗)

でも食べたいなぁ、スミレちゃんにお願いすればもう1つくらい笑顔でくれるだろうけど

だからこそ、スミレちゃんの優しさに甘える大人って本当に駄目だという事くらいは分かる。

くっ!

こんなに美味しいお菓子をスミレちゃんに渡したシン君の

バッキャロォーーーーーー(泣)

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている 酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

ペット(老猫)と異世界転生

童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

処理中です...