263 / 303
第8.5章 雨季から夏のなんやかんや
第233話 雨季5日目〜6日目
しおりを挟む
《雨季5日目》
今日はスラム街を一応仕切ってるベスという名の女性に会いに来ている、年齢は40代後半くらいだろうか?
平均寿命が短いこの国だと既に高齢者の仲間入りをしている年齢だ。
そして『一応』なのは、誰かの指図を素直に聞くよう奴はスラム街では珍しいからだ。
誰にも縛られず自由に生きて行けるってのがスラム街の良さでもあるしな
それでもベスはスラム街に来た新入りには必ず声をかけるし
相手が子供ならとりあえず殴り倒して、大人しくさせてから孤児院(現在は池田屋こども園)に受け入れて貰えないかお願いに来る
子供を殴り倒すのはどうかと思うけど、元々この街に住んでる子供ならいざ知らず
他の街からの流れ者は子供でも血の気が多いからな、それぐらいじゃなきゃ生きて行けないって事でもあるけど
そんなこんなで俺からしたらベスは聖女みたいな女性だと思うんだけど、何故か世間の評判はすこぶる悪い
ベスなら街で普通に暮らして行く事も難しくなさそうなのに、スラム街で暮らしている事と関係があるのかもしれないけど
他人の事情に興味は無いから余計な詮索もする気はない。
「やあベス、調子はどうだい?」
「チッ、雨季にご機嫌な奴が居ると思うのかい?前にも言ったけどここはあんたが来るような所じゃないんだよ、誰かに襲われる前に帰んな」
「用が済めば帰るよ、それで頼んでたアレどうかな?」
「この袋に入ってるよ、私の話を素直に聞いたのが3人だけだったからね、まだちょいと数が足りてないよ」
「どれどれ、、、へぇー、思ったより綺麗に出来てるよ♪約束は500個だったけど足りない分は今後に期待って事で、約束の干し肉5キロな」
「さすが大商会の会長は気前が良いねぇ♪でも私が独り占めするかもしれないよ」
「ん?、、、ふふっ、ベスも冗談を言うんだな、独り占めする奴はわざわざその事を言わないよ
それじゃ、またなぁ♪」
「ケッ!とっとと帰んな」
俺がベスから受け取った袋に入っているのはリバーシの駒だ。そろそろ酒と菓子以外の娯楽も必要だろう
とにかくこの国は娯楽が少ない!
腹が膨れない物に金を出す奴がどれくらい居るかは未知数だけど、アストレア様とアルに見せてから普及させるか決めようと思っている
もし駄目でも我が家で使うし、従業員の娯楽用にも良いだろう。
それでわざわざベスにリバーシの駒作りを頼んだのは、量産する事になったらまた人手が必要になるから、それならって事で試しに頼んでみた。
ちょうど雨季だし報酬目当てでもうちょっと協力的かと思ったんだけど、スラム街の住人は一筋縄ではいかないらしい
最初から俺みたいな商人がまともな仕事を持って来ると思ってないっていうのもあるんだろう
俺としては無理してスラム街の住人を使うメリットは無いから良いけど
ベスの世間の評判は悪いけど、面倒見は良さそうだから時間をかければもう少し協力者も増えるだろう。
ベスと話をしてみると口は悪いけど根は良い人っぽいから騙すとかはしないだろうし、あれで昔は悪さしてたとか言ってたらまったく信用しなかったけどな
元世界でもこっちが聞いてもいないのに
「昔はヤンキーだった」とか
「悪さばっかしてたんだよねぇ(笑)」
って言って来る奴が居たけど、何故恥ずかしげもなくそんな事が言えるのかが理解出来ん
むしろ隠せよ!
ひたすら隠して墓場まで持っていけよ!
まっ、そんなくだらない事よりも
今日の夕食はニィナの好きな八宝菜だから、万が一にも夕食の時間に遅れるとニィナが、、、
考えただけでも恐ろしいからさっさと帰ろう!
◇ ◇ ◇
《雨季6日目》
「良いですかミリーさん、タンパク質は髪の毛や爪に、炭水化物は脳に、脂質は身体を動かすエネルギーとしてそれぞれ必要な物で、三大栄養素と言われてます。厚揚げがタンパク質、米が炭水化物、脂質は油ですね」
「厚揚げが髪の毛に、、、?」
俺は今、我が家のリビングでミリーさんに『栄養』について教えている。
ミリーさんの反応からこの世界の人達は、栄養についてはほぼ知らない事が分かった。
そりゃあ毎年流行り病(熱中症)になって倒れる人が続出するはずだよ
まぁ、ミリーさんが流行り病で倒れた原因は、ほぼ芋だけの食事をしていて栄養不良になったせいだけど
だからこそミリーさんに栄養について教えているのだが、目に見えない物が体に影響するとか言われても理解出来て無いっぽいんだよなぁ
その証拠にミリーさんは頭の上に巨大なハテナマークを浮かべてしまい、脳の処理能力の限界らしく見えるはずの無い煙がプスプスと頭から出ている気がする。
「ミリーさん、栄養について理解するのは後にして今は必要な事を覚えるのに専念して下さい。次はビタミンとミネラルについて話しますから」
「えっ?!ちょっ、ちょっと待ってちょうだいシン君!栄養ってまだあるの?」
「とりあえず知っておいて欲しいのは5個ですけど、全部で40種類くらいあったかな?俺もそこまで詳しく知らないんですけど、、、ってミリーさん大丈夫ですか?」
「40、、、40の敵が私を囲んで、死の踊りを、、、」
あぁ~
ミリーさんが頭を抱えてぶつぶつ謎の独り言を言い始めてしまった(汗)
「ミリーさんいったん休憩してお菓子を食べしましょう。脳を働かせるには糖分が必要ですからね」
「とうぶん?脳には炭水化物じゃないの?」
「炭水化物には糖質と食物繊維の2つがあって、甘いお菓子には糖質が含まれていますね」
「しょくもつせんい?また新たな魔王が誕生したのね、、、ふふふっ、良いわ、やってやるわよ、たかが40程度の数、長命種族の底力を舐めるなよぉーーー!!」
あちゃ~、ミリーさんが完全に壊れてしまった。
だが奴は魔王の中で最弱だけどな!
いにしえのネタは置いといて、俺は助けを求めようと周囲を見る、、、
うん、分かってた
なんやかんやで雨季って忙しいからね、我が家のみんなは仕事中で最初からリビングには居ないんだ。
とりあえず、無駄に燃えてるミリーさんには栄養素の一覧が載ってる本を渡して
俺はお昼ご飯の準備でもしようっと♪
つづく。
今日はスラム街を一応仕切ってるベスという名の女性に会いに来ている、年齢は40代後半くらいだろうか?
平均寿命が短いこの国だと既に高齢者の仲間入りをしている年齢だ。
そして『一応』なのは、誰かの指図を素直に聞くよう奴はスラム街では珍しいからだ。
誰にも縛られず自由に生きて行けるってのがスラム街の良さでもあるしな
それでもベスはスラム街に来た新入りには必ず声をかけるし
相手が子供ならとりあえず殴り倒して、大人しくさせてから孤児院(現在は池田屋こども園)に受け入れて貰えないかお願いに来る
子供を殴り倒すのはどうかと思うけど、元々この街に住んでる子供ならいざ知らず
他の街からの流れ者は子供でも血の気が多いからな、それぐらいじゃなきゃ生きて行けないって事でもあるけど
そんなこんなで俺からしたらベスは聖女みたいな女性だと思うんだけど、何故か世間の評判はすこぶる悪い
ベスなら街で普通に暮らして行く事も難しくなさそうなのに、スラム街で暮らしている事と関係があるのかもしれないけど
他人の事情に興味は無いから余計な詮索もする気はない。
「やあベス、調子はどうだい?」
「チッ、雨季にご機嫌な奴が居ると思うのかい?前にも言ったけどここはあんたが来るような所じゃないんだよ、誰かに襲われる前に帰んな」
「用が済めば帰るよ、それで頼んでたアレどうかな?」
「この袋に入ってるよ、私の話を素直に聞いたのが3人だけだったからね、まだちょいと数が足りてないよ」
「どれどれ、、、へぇー、思ったより綺麗に出来てるよ♪約束は500個だったけど足りない分は今後に期待って事で、約束の干し肉5キロな」
「さすが大商会の会長は気前が良いねぇ♪でも私が独り占めするかもしれないよ」
「ん?、、、ふふっ、ベスも冗談を言うんだな、独り占めする奴はわざわざその事を言わないよ
それじゃ、またなぁ♪」
「ケッ!とっとと帰んな」
俺がベスから受け取った袋に入っているのはリバーシの駒だ。そろそろ酒と菓子以外の娯楽も必要だろう
とにかくこの国は娯楽が少ない!
腹が膨れない物に金を出す奴がどれくらい居るかは未知数だけど、アストレア様とアルに見せてから普及させるか決めようと思っている
もし駄目でも我が家で使うし、従業員の娯楽用にも良いだろう。
それでわざわざベスにリバーシの駒作りを頼んだのは、量産する事になったらまた人手が必要になるから、それならって事で試しに頼んでみた。
ちょうど雨季だし報酬目当てでもうちょっと協力的かと思ったんだけど、スラム街の住人は一筋縄ではいかないらしい
最初から俺みたいな商人がまともな仕事を持って来ると思ってないっていうのもあるんだろう
俺としては無理してスラム街の住人を使うメリットは無いから良いけど
ベスの世間の評判は悪いけど、面倒見は良さそうだから時間をかければもう少し協力者も増えるだろう。
ベスと話をしてみると口は悪いけど根は良い人っぽいから騙すとかはしないだろうし、あれで昔は悪さしてたとか言ってたらまったく信用しなかったけどな
元世界でもこっちが聞いてもいないのに
「昔はヤンキーだった」とか
「悪さばっかしてたんだよねぇ(笑)」
って言って来る奴が居たけど、何故恥ずかしげもなくそんな事が言えるのかが理解出来ん
むしろ隠せよ!
ひたすら隠して墓場まで持っていけよ!
まっ、そんなくだらない事よりも
今日の夕食はニィナの好きな八宝菜だから、万が一にも夕食の時間に遅れるとニィナが、、、
考えただけでも恐ろしいからさっさと帰ろう!
◇ ◇ ◇
《雨季6日目》
「良いですかミリーさん、タンパク質は髪の毛や爪に、炭水化物は脳に、脂質は身体を動かすエネルギーとしてそれぞれ必要な物で、三大栄養素と言われてます。厚揚げがタンパク質、米が炭水化物、脂質は油ですね」
「厚揚げが髪の毛に、、、?」
俺は今、我が家のリビングでミリーさんに『栄養』について教えている。
ミリーさんの反応からこの世界の人達は、栄養についてはほぼ知らない事が分かった。
そりゃあ毎年流行り病(熱中症)になって倒れる人が続出するはずだよ
まぁ、ミリーさんが流行り病で倒れた原因は、ほぼ芋だけの食事をしていて栄養不良になったせいだけど
だからこそミリーさんに栄養について教えているのだが、目に見えない物が体に影響するとか言われても理解出来て無いっぽいんだよなぁ
その証拠にミリーさんは頭の上に巨大なハテナマークを浮かべてしまい、脳の処理能力の限界らしく見えるはずの無い煙がプスプスと頭から出ている気がする。
「ミリーさん、栄養について理解するのは後にして今は必要な事を覚えるのに専念して下さい。次はビタミンとミネラルについて話しますから」
「えっ?!ちょっ、ちょっと待ってちょうだいシン君!栄養ってまだあるの?」
「とりあえず知っておいて欲しいのは5個ですけど、全部で40種類くらいあったかな?俺もそこまで詳しく知らないんですけど、、、ってミリーさん大丈夫ですか?」
「40、、、40の敵が私を囲んで、死の踊りを、、、」
あぁ~
ミリーさんが頭を抱えてぶつぶつ謎の独り言を言い始めてしまった(汗)
「ミリーさんいったん休憩してお菓子を食べしましょう。脳を働かせるには糖分が必要ですからね」
「とうぶん?脳には炭水化物じゃないの?」
「炭水化物には糖質と食物繊維の2つがあって、甘いお菓子には糖質が含まれていますね」
「しょくもつせんい?また新たな魔王が誕生したのね、、、ふふふっ、良いわ、やってやるわよ、たかが40程度の数、長命種族の底力を舐めるなよぉーーー!!」
あちゃ~、ミリーさんが完全に壊れてしまった。
だが奴は魔王の中で最弱だけどな!
いにしえのネタは置いといて、俺は助けを求めようと周囲を見る、、、
うん、分かってた
なんやかんやで雨季って忙しいからね、我が家のみんなは仕事中で最初からリビングには居ないんだ。
とりあえず、無駄に燃えてるミリーさんには栄養素の一覧が載ってる本を渡して
俺はお昼ご飯の準備でもしようっと♪
つづく。
154
お気に入りに追加
868
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~
斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている
酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
異世界でスローライフを満喫する為に
美鈴
ファンタジー
ホットランキング一位本当にありがとうございます!
【※毎日18時更新中】
タイトル通り異世界に行った主人公が異世界でスローライフを満喫…。出来たらいいなというお話です!
※カクヨム様にも投稿しております
※イラストはAIアートイラストを使用
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる