テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
263 / 305
第8.5章 雨季から夏のなんやかんや

第233話 雨季5日目〜6日目

しおりを挟む
《雨季5日目》


今日はスラム街を一応仕切ってるベスという名の女性に会いに来ている、年齢は40代後半くらいだろうか?

平均寿命が短いこの国だと既に高齢者の仲間入りをしている年齢だ。

そして『一応』なのは、誰かの指図を素直に聞くよう奴はスラム街では珍しいからだ。

誰にも縛られず自由に生きて行けるってのがスラム街の良さでもあるしな


それでもベスはスラム街に来た新入りには必ず声をかけるし

相手が子供ならとりあえず殴り倒して、大人しくさせてから孤児院(現在は池田屋こども園)に受け入れて貰えないかお願いに来る

子供を殴り倒すのはどうかと思うけど、元々この街に住んでる子供ならいざ知らず

他の街からの流れ者は子供でも血の気が多いからな、それぐらいじゃなきゃ生きて行けないって事でもあるけど

そんなこんなで俺からしたらベスは聖女みたいな女性だと思うんだけど、何故か世間の評判はすこぶる悪い

ベスなら街で普通に暮らして行く事も難しくなさそうなのに、スラム街で暮らしている事と関係があるのかもしれないけど

他人の事情に興味は無いから余計な詮索もする気はない。


「やあベス、調子はどうだい?」

「チッ、雨季にご機嫌な奴が居ると思うのかい?前にも言ったけどここはあんたが来るような所じゃないんだよ、誰かに襲われる前に帰んな」

「用が済めば帰るよ、それで頼んでたアレどうかな?」

「この袋に入ってるよ、私の話を素直に聞いたのが3人だけだったからね、まだちょいと数が足りてないよ」

「どれどれ、、、へぇー、思ったより綺麗に出来てるよ♪約束は500個だったけど足りない分は今後に期待って事で、約束の干し肉5キロな」

「さすが大商会の会長は気前が良いねぇ♪でも私が独り占めするかもしれないよ」

「ん?、、、ふふっ、ベスも冗談を言うんだな、独り占めする奴はわざわざその事を言わないよ
それじゃ、またなぁ♪」

「ケッ!とっとと帰んな」



俺がベスから受け取った袋に入っているのはリバーシの駒だ。そろそろ酒と菓子以外の娯楽も必要だろう

とにかくこの国は娯楽が少ない!

腹が膨れない物に金を出す奴がどれくらい居るかは未知数だけど、アストレア様とアルに見せてから普及させるか決めようと思っている

もし駄目でも我が家で使うし、従業員の娯楽用にも良いだろう。

それでわざわざベスにリバーシの駒作りを頼んだのは、量産する事になったらまた人手が必要になるから、それならって事で試しに頼んでみた。

ちょうど雨季だし報酬目当てでもうちょっと協力的かと思ったんだけど、スラム街の住人は一筋縄ではいかないらしい

最初から俺みたいな商人がまともな仕事を持って来ると思ってないっていうのもあるんだろう

俺としては無理してスラム街の住人を使うメリットは無いから良いけど

ベスの世間の評判は悪いけど、面倒見は良さそうだから時間をかければもう少し協力者も増えるだろう。


ベスと話をしてみると口は悪いけど根は良い人っぽいから騙すとかはしないだろうし、あれで昔は悪さしてたとか言ってたらまったく信用しなかったけどな

元世界でもこっちが聞いてもいないのに

「昔はヤンキーだった」とか

「悪さばっかしてたんだよねぇ(笑)」

って言って来る奴が居たけど、何故恥ずかしげもなくそんな事が言えるのかが理解出来ん

むしろ隠せよ!

ひたすら隠して墓場まで持っていけよ!

まっ、そんなくだらない事よりも

今日の夕食はニィナの好きな八宝菜だから、万が一にも夕食の時間に遅れるとニィナが、、、

考えただけでも恐ろしいからさっさと帰ろう!



◇ ◇ ◇


《雨季6日目》


「良いですかミリーさん、タンパク質は髪の毛や爪に、炭水化物は脳に、脂質は身体を動かすエネルギーとしてそれぞれ必要な物で、三大栄養素と言われてます。厚揚げがタンパク質、米が炭水化物、脂質は油ですね」

「厚揚げが髪の毛に、、、?」


俺は今、我が家のリビングでミリーさんに『栄養』について教えている。

ミリーさんの反応からこの世界の人達は、栄養についてはほぼ知らない事が分かった。

そりゃあ毎年流行り病(熱中症)になって倒れる人が続出するはずだよ

まぁ、ミリーさんが流行り病で倒れた原因は、ほぼ芋だけの食事をしていて栄養不良になったせいだけど

だからこそミリーさんに栄養について教えているのだが、目に見えない物が体に影響するとか言われても理解出来て無いっぽいんだよなぁ

その証拠にミリーさんは頭の上に巨大なハテナマークを浮かべてしまい、脳の処理能力の限界らしく見えるはずの無い煙がプスプスと頭から出ている気がする。


「ミリーさん、栄養について理解するのは後にして今は必要な事を覚えるのに専念して下さい。次はビタミンとミネラルについて話しますから」

「えっ?!ちょっ、ちょっと待ってちょうだいシン君!栄養ってまだあるの?」

「とりあえず知っておいて欲しいのは5個ですけど、全部で40種類くらいあったかな?俺もそこまで詳しく知らないんですけど、、、ってミリーさん大丈夫ですか?」

「40、、、40の敵が私を囲んで、死の踊りを、、、」


あぁ~

ミリーさんが頭を抱えてぶつぶつ謎の独り言を言い始めてしまった(汗)


「ミリーさんいったん休憩してお菓子を食べしましょう。脳を働かせるには糖分が必要ですからね」

「とうぶん?脳には炭水化物じゃないの?」

「炭水化物には糖質と食物繊維の2つがあって、甘いお菓子には糖質が含まれていますね」

「しょくもつせんい?また新たな魔王が誕生したのね、、、ふふふっ、良いわ、やってやるわよ、たかが40程度の数、長命種族の底力を舐めるなよぉーーー!!」


あちゃ~、ミリーさんが完全に壊れてしまった。

だが奴は魔王の中で最弱だけどな!

いにしえのネタは置いといて、俺は助けを求めようと周囲を見る、、、

うん、分かってた

なんやかんやで雨季って忙しいからね、我が家のみんなは仕事中で最初からリビングには居ないんだ。

とりあえず、無駄に燃えてるミリーさんには栄養素の一覧が載ってる本を渡して

俺はお昼ご飯の準備でもしようっと♪





つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

陣ノ内猫子
ファンタジー
 神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。  お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。  チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO! ーーーーーーーーー  これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。  ご都合主義、あるかもしれません。  一話一話が短いです。  週一回を目標に投稿したと思います。  面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。  誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。  感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)  

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *無断転載、無断翻訳を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

処理中です...