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第8章 空へ
第212話 お見合い
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開けたままにした商会の扉から馬車が停まるのが見えた。
今度こそ本当にスコーピオン公爵家の馬車のようだ、馬車を囲むように馬に乗った護衛が居るし
どうやら池田屋商会の前の通りは通行止めにして誰も通さないようにしてるっぽい、さすがは公爵家といった所か
今回、馬車から最初に降りて来たのは護衛と思われる女性、短剣を2本腰に挿してスリムというか華奢にすら見える体型をしている
あれで護衛が務まるのか心配になるほどだ
俺の隣に居るニィナをそっと見ると、、、
笑顔だよ(汗)
ニィナが思わず笑顔になるほどの実力って事ですね、恐いから護衛の顔は見ないようにしよう!
護衛に続いて降りて来たのは、黒いドレスを着て色んな所が盛り盛りでフワッフワの、これぞ良家のお嬢様!といった長身の女性、あの子がペトルーシュカ様かな?
年齢は17歳、貴族家の年頃の娘さんにしては珍しく縦巻きロールじゃないのは好感が持てる。
さあ、お出迎えだ。
商会の入口では見廻組が敬礼をして出迎えていて、スコーピオン公爵家の護衛を驚かせている。
そんな事にも動じず、ペトルーシュカ様は商会のロビーをズンズン歩いて、俺、ニィナ、レサト殿の前にやって来た。
「ようこそおいで下さいました。スコーピオン公爵家のペトルーシュカ様で間違いありませんね?」
「ええそうよ、私がアレサンドロ・ヴァン・スコーピオン公爵の4女、ペトルーシュカよ。あなたがシンさん?」
「申し遅れました。私が池田屋商会会長のシン・ナガクラです。本日は宜しくお願い致します。」
「こちらこそ宜しくね。レサトさんも同席なさるのかしら?」
「いえ、私が居ては邪魔になるだけですので、街を見物しようかと思います。」
「それでしたら教会の方に行ってみて下さい、レサト殿にとっては珍しい料理がたくさん売ってますから」
「それは楽しみだ♪シン殿、ペトルーシュカ様、私はこれにて失礼致します。」
「それではペトルーシュカ様、部屋にご案内致します。」
ペトルーシュカ様と護衛の女性を案内した部屋は俺の私室ではなく来客用の応接室
俺の私室は実用性を重視して超地味だから来客の対応には向かないんだよな
応接室にはドワーフの職人に作って貰ったテーブルとソファが置いてあり、内装も凝っていて
アストレア様も感心する程度には良い部屋に仕上がっている
では何故レサト殿は俺の私室に案内したかというと反応を見たかったからだ
地味な部屋を見て馬鹿にするような上辺だけしか見ない奴なら、即お帰り頂こうかと思ったけどそうならなくて良かったよ
「ペトルーシュカ様、さあどうぞ座って下さい。まず最初にお願いがあります、ここに居るダークエルフはニィナという名の私の奴隷です。
奴隷ではありますが、私の家族も同然の大切な者です、なので護衛として同席する事を許可して戴けますか?」
「私は気にしないから、どうぞ御自由に」
ふむふむ、ニィナを奴隷と知っても特に反応無しか、部屋の入口付近に立っている護衛も気にした様子は無し
これで不安材料が無くなったから、あとは全力でお見合いをしてお帰り頂くだけだ。
「ありがとうございます。えぇーと、それではお茶でも淹れましょうか」
「お茶は結構よ。それで結婚したら何処に住むのかしら?
ここでも良いけど、きちんとしたプライベート空間は欲しい所ね」
「あっ、あのペトルーシュカ様?!まだお見合いもしていませんが」
「そんな物不要よ、時間の無駄じゃない。それから、私の事はペトラって呼びなさいよ、旦那様になるんだから」
「・・・あのう、ペトルーシ」「ペトラよ」
「分かりましたペトラ様、結婚のお話お断りさせて頂きます。」
「さっそくだけど商会の仕事を見せて貰えないかしら、、、ってあなた今断りましたの?!」
「ええ、お断りさせて頂きました」
「どっ、どうしてよ!スコーピオン公爵家の4女なら家柄に文句は無いでしょ?
容姿だって100人居たら120人に気に入って貰える自信があるわ!結婚したら私を好きに出来るのに、なのにどうして断るのよ!」
わぁお!
なんとまあ凄い自信だな、公爵家で大事に育てられたらこんな感じになるのはしょうがないのか?もしくはこれが普通の貴族なのか?
容姿に関しては自信を持つだけの事はあるか
だがしかし、メリルとニィナの方が可愛くて美人だけどな!
「ペトラ様どうして、と言われましても私は家柄に興味がありませんので、貴族だろうと平民だろうと気にしません
容姿に関しては確かにお美しいですが、私はよく知らない相手と結婚するつもりはありません、たとえそれが王国で1番の美女であろうともです。
それに、ペトラ様も私にさほど興味はありませんよね?」
「ええ、無いわね」
「なのにどうして私と結婚を?アストレア様から、ペトラ様は私の妾でも良いからお見合いしたい、と聞かされてますけど」
「それは、、、はぁ、もういいわあなたにフラれて傷物にされちゃったし」
「ちょちょちょ、ちょっと待って下さい!私にフラれたからって傷物にはならないでしょう(汗)むしろ私と結婚した方が公爵家に傷が付きそうですけど」
「あら、私これでも殿方にフラれたのは人生で初めてなのよ、それなりにショックなんだから、、、あぁ~もう駄目!フラれたショックでどうにかなってしまいそうだわー、、、シクシク」
チラッ
えぇーっと
これはどーすれば良いのだろう、完全に棒読みだし、あれで泣いてるフリをしてるつもりだろうか?
手で顔を覆いながらも隙間からこっちをチラチラ見てるのがバレバレだし
逆に考えれば、初々しくて可愛らしいと思えなくもないけど
もしかして俺は優秀だけど面倒な男のアル以上に、面倒な相手とお見合いをしているのではなかろうか、、、
誰か助けてぇーーー(泣)
つづく。
今度こそ本当にスコーピオン公爵家の馬車のようだ、馬車を囲むように馬に乗った護衛が居るし
どうやら池田屋商会の前の通りは通行止めにして誰も通さないようにしてるっぽい、さすがは公爵家といった所か
今回、馬車から最初に降りて来たのは護衛と思われる女性、短剣を2本腰に挿してスリムというか華奢にすら見える体型をしている
あれで護衛が務まるのか心配になるほどだ
俺の隣に居るニィナをそっと見ると、、、
笑顔だよ(汗)
ニィナが思わず笑顔になるほどの実力って事ですね、恐いから護衛の顔は見ないようにしよう!
護衛に続いて降りて来たのは、黒いドレスを着て色んな所が盛り盛りでフワッフワの、これぞ良家のお嬢様!といった長身の女性、あの子がペトルーシュカ様かな?
年齢は17歳、貴族家の年頃の娘さんにしては珍しく縦巻きロールじゃないのは好感が持てる。
さあ、お出迎えだ。
商会の入口では見廻組が敬礼をして出迎えていて、スコーピオン公爵家の護衛を驚かせている。
そんな事にも動じず、ペトルーシュカ様は商会のロビーをズンズン歩いて、俺、ニィナ、レサト殿の前にやって来た。
「ようこそおいで下さいました。スコーピオン公爵家のペトルーシュカ様で間違いありませんね?」
「ええそうよ、私がアレサンドロ・ヴァン・スコーピオン公爵の4女、ペトルーシュカよ。あなたがシンさん?」
「申し遅れました。私が池田屋商会会長のシン・ナガクラです。本日は宜しくお願い致します。」
「こちらこそ宜しくね。レサトさんも同席なさるのかしら?」
「いえ、私が居ては邪魔になるだけですので、街を見物しようかと思います。」
「それでしたら教会の方に行ってみて下さい、レサト殿にとっては珍しい料理がたくさん売ってますから」
「それは楽しみだ♪シン殿、ペトルーシュカ様、私はこれにて失礼致します。」
「それではペトルーシュカ様、部屋にご案内致します。」
ペトルーシュカ様と護衛の女性を案内した部屋は俺の私室ではなく来客用の応接室
俺の私室は実用性を重視して超地味だから来客の対応には向かないんだよな
応接室にはドワーフの職人に作って貰ったテーブルとソファが置いてあり、内装も凝っていて
アストレア様も感心する程度には良い部屋に仕上がっている
では何故レサト殿は俺の私室に案内したかというと反応を見たかったからだ
地味な部屋を見て馬鹿にするような上辺だけしか見ない奴なら、即お帰り頂こうかと思ったけどそうならなくて良かったよ
「ペトルーシュカ様、さあどうぞ座って下さい。まず最初にお願いがあります、ここに居るダークエルフはニィナという名の私の奴隷です。
奴隷ではありますが、私の家族も同然の大切な者です、なので護衛として同席する事を許可して戴けますか?」
「私は気にしないから、どうぞ御自由に」
ふむふむ、ニィナを奴隷と知っても特に反応無しか、部屋の入口付近に立っている護衛も気にした様子は無し
これで不安材料が無くなったから、あとは全力でお見合いをしてお帰り頂くだけだ。
「ありがとうございます。えぇーと、それではお茶でも淹れましょうか」
「お茶は結構よ。それで結婚したら何処に住むのかしら?
ここでも良いけど、きちんとしたプライベート空間は欲しい所ね」
「あっ、あのペトルーシュカ様?!まだお見合いもしていませんが」
「そんな物不要よ、時間の無駄じゃない。それから、私の事はペトラって呼びなさいよ、旦那様になるんだから」
「・・・あのう、ペトルーシ」「ペトラよ」
「分かりましたペトラ様、結婚のお話お断りさせて頂きます。」
「さっそくだけど商会の仕事を見せて貰えないかしら、、、ってあなた今断りましたの?!」
「ええ、お断りさせて頂きました」
「どっ、どうしてよ!スコーピオン公爵家の4女なら家柄に文句は無いでしょ?
容姿だって100人居たら120人に気に入って貰える自信があるわ!結婚したら私を好きに出来るのに、なのにどうして断るのよ!」
わぁお!
なんとまあ凄い自信だな、公爵家で大事に育てられたらこんな感じになるのはしょうがないのか?もしくはこれが普通の貴族なのか?
容姿に関しては自信を持つだけの事はあるか
だがしかし、メリルとニィナの方が可愛くて美人だけどな!
「ペトラ様どうして、と言われましても私は家柄に興味がありませんので、貴族だろうと平民だろうと気にしません
容姿に関しては確かにお美しいですが、私はよく知らない相手と結婚するつもりはありません、たとえそれが王国で1番の美女であろうともです。
それに、ペトラ様も私にさほど興味はありませんよね?」
「ええ、無いわね」
「なのにどうして私と結婚を?アストレア様から、ペトラ様は私の妾でも良いからお見合いしたい、と聞かされてますけど」
「それは、、、はぁ、もういいわあなたにフラれて傷物にされちゃったし」
「ちょちょちょ、ちょっと待って下さい!私にフラれたからって傷物にはならないでしょう(汗)むしろ私と結婚した方が公爵家に傷が付きそうですけど」
「あら、私これでも殿方にフラれたのは人生で初めてなのよ、それなりにショックなんだから、、、あぁ~もう駄目!フラれたショックでどうにかなってしまいそうだわー、、、シクシク」
チラッ
えぇーっと
これはどーすれば良いのだろう、完全に棒読みだし、あれで泣いてるフリをしてるつもりだろうか?
手で顔を覆いながらも隙間からこっちをチラチラ見てるのがバレバレだし
逆に考えれば、初々しくて可愛らしいと思えなくもないけど
もしかして俺は優秀だけど面倒な男のアル以上に、面倒な相手とお見合いをしているのではなかろうか、、、
誰か助けてぇーーー(泣)
つづく。
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