テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
232 / 305
第8章 空へ

第209話 レサト・グラフィアス

しおりを挟む
開けたままにした池田屋商会の扉から馬車が停車するのが見えた。

だけど公爵家のお嬢様が乗ってるわりには護衛が少ないような気がする

それにスコーピオン公爵家の紋の他にも見覚えのある紋が描かれていて、俺はあの紋何処かで見たような気がするんだけど、、、


商会の前に停車した馬車から最初に護衛らしき男が出て来たけど、商会の出入り口を警備している見廻組を見て警戒しているようだ。

隣に居るニィナをそっと見るけど全く反応無し

見廻組で充分対応可能か

まあニィナが反応するのはAランク以上の冒険者とか、ケイトと同等以上の実力を持った奴だろうからそんな奴がゴロゴロ居たら困る

ニィナが鍛えた見廻組は、個々の戦闘力はギリギリBランク冒険者程度らしいけど、集団で相手を制圧する戦法だから、Aランク冒険者でも2~3人ならどうにか出来る

そもそも、鍛えたからって短期間で全員Bランク冒険者相当の実力になるって、どんな鍛え方しとんねん!

池田屋商会の防衛能力が上がって嬉しいけども


さて、護衛に続いて馬車から下りて来たのは30歳くらいの男

あの男、何処かで会ったような、、、


俺が誰だったか思い出そうとしている間に男は護衛と共に商会の扉をくぐり、俺の前にやって来た。


「おおっ!シン殿、やはり貴方だったか久し振りだな」

「あ?!思い出した、あなたはグラフィアス商会の、、、えぇーと名前聞いてませんでしたね(汗)」

「あはははは、あの時は名乗らせて貰えずシン殿達は行ってしまわれたからな」

「あの時は急いでいましたので失礼致しました。改めて、私が池田屋商会会長のシン・ナガクラと申します。」

「今度はこちらもきちんと名乗らせて貰うよ、私はグラフィアス商会会長のレサト・グラフィアスです。まあシン殿と会った時はまだ会長では無かったのですがね(笑)」



俺とグラフィアス商会の出会いは

昨年サウスビーチに行った帰り道で偶然遭遇した、ケイトの闇の元凶、ラウール・サグェが護衛していた商会だ。

あの時は色々迷惑をかけてしまったので、キャラバンシティに来たらお互い利になる商売の話でもしようと言って別れたんだよな


「レサト殿、つかぬ事をお聞きしますが、馬車にスコーピオン公爵家の紋があるということは、レサト殿は公爵家の方なのでしょうか?」

「いやいや、ただの御用商会だよ。ペトルーシュカ様が池田屋商会の会長とお見合いをすると聞いて、シン殿の事を思い出してね

ペトルーシュカ様の荷運び役として同行させて貰ったんだ。」

「そうなのですね、私は商会の会長をやってはいますが商人としては若輩者、未だ勉強中の身ですから以前お会いした時もグラフィアス商会がスコーピオン公爵家の御用商会とは知らず、失礼な対応をしてしまい申し訳ありませんでした。」


「気にしないでくれ、御用商会と言っても公爵領の周辺でしか知られていないのだから

それに引き替え池田屋商会は今や王国中に名が知れ渡るほどの大商会ですからな、以前した約束もあるし商売の取引が出来れば公爵領にとっては莫大な利になると思って来たのですよ♪」

「あの時はグラフィアス商会が公爵家の御用商会とは知りませんでしたから、レサト殿が欲しがるような物があると良いのですが」

「ははは、欲しい物なら幾らでもあるよ、まずシン殿や従業員が着ている服だな、こんなデザインの服は見た事が無い

商会の警備をしている者達もそうだ、全員かなりの実力者なのだろう?それもあれほどの数を揃えるとは恐れ入ったよ。

私の護衛が1対1でなんとか勝てるかどうかの相手ばかりだと嘆いていたからね(笑)」

「そっ、そうですか、ハハハ(汗)」


レサト殿の隣で顔色を悪くしてばつが悪そうにしている護衛さん、なんか申し訳ない。


「おっと、大事な話を忘れていたよ、ペトルーシュカ様なのだがいったん宿に入って、身なりを整えてからこちらに来られるそうだ

少しばかり時間がかかると思う、それまでゆっくり話せないだろうか?」

「喜んで♪おーいアル、ペトルーシュカお嬢様が来られるまでここを任せて良いか?」

「かしこまりました。」



むむむ、何故かアルがニヤニヤして俺を見ているのだが、こんな時まで面倒くささを発揮しないで欲しい


「アル、何か問題か?」

「いえいえ、シンさんがグラフィアス商会の会長とお知り合いだったとは、人脈までも私の想像の斜め上を行く事に喜びが溢れてしまいました♪」

「レサト殿とは本当に偶然知り合っただけだよ」

「ふふふ、私はシンさんが言う偶然にとても興味をそそられるのですよ、偶然だけで大商会の会長にまでなったシンさんの隅々までね♪

レサト殿との事は是非後で詳しく教えて頂きたいですねぇ♪」


「はいはい、後でちゃんと教えてやるからここは頼んだぞ」

「かしこまりました♪」


はぁ~、最近は忙しくてアルに会う機会も減ってたんだけど、その分面倒くささがパワーアップしている気がするよ(悲)



「レサト殿お待たせしました、私の部屋に参りましょう。」

「シン殿、あの御方はサダルスウド侯爵領の領都、サウスビーチの商業ギルドマスター、アルヴェロヴェール様に見えるのですが、、、」

「ええ、仰る通りです。もしかして知り合いでしたか?良ければ同席させますけど」

「おっ、お気持ちだけで結構です!アルヴェロヴェール様に私ごときの為に、お時間を頂くなどと失礼な事は出来ません!」

「いやいや、商業ギルドのギルドマスターだった頃ならいざ知らず、今はマスターでは無いんですから、そこまで遠慮しなくても良いと思いますよ」

「むむむ、シン殿のその反応からするとご存知無い?それも仕方無いのか、この街はミリアリア様が居るし、南部地方とは管轄が違うし、、、」



レサト殿がなにやらブツブツ言い出したのだけど、優秀だけど面倒くさい男のアルは実は凄い奴だったのではなかろうか?

優秀だから凄いのは当然なんだけど、、、


そこはかとなく

面倒くさい予感がするぅーー(泣)





つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~

裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】 宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。 異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。 元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。 そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。 大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。 持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。 ※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

最弱引き出しの逆襲 ― クラス転移したのはいいけど裏切られたけど実は最強だった件

ワールド
ファンタジー
俺、晴人は普通の高校生。だけど、ある日突然、クラス全員と一緒に異世界に飛ばされた。 そこで、みんなは凄い能力を手に入れた。炎を操ったり、風を呼んだり。でも、俺だけが"引き出し"なんていう、見た目にも無様な能力を授かった。戦いになんの役にも立たない。当然、俺はクラスの笑い者になった。 だけど、この"引き出し"、実はただの引き出しではなかった。この中に物を入れると、時間が経つにつれて、その物が成長する。最初は、その可能性に気づかなかった。 でも、いつしか、この能力がどれほどの力を秘めているのかを知ることになる。 クラスメイトたちからは裏切られ、孤立無援。でも、俺の"引き出し"が、みんなが見落としていた大きな脅威に立ち向かう唯一の鍵だったんだ。知恵と工夫で困難を乗り越えて、俺は最弱から最強へと変貌する。 工夫次第で幾らでも強くなれる引き出し能力で俺は成りあがっていこう。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

処理中です...