テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
231 / 305
第8章 空へ

第208話 想イ想ワレ

しおりを挟む
今日はいよいよ、アレサンドロ・ヴァン・スコーピオン公爵の4女

ペトルーシュカお嬢様とお見合いの日だ。

俺は気合いを入れて毎度お馴染み、海上自衛隊第3種夏制服を着て池田屋商会の本店でペトルーシュカお嬢様が来るのを待っている

今日は従業員一同にも制服を着て貰っていて、商会の役職者は俺と同じ幹部制服

一般従業員は士・曹用の制服を着て貰い

見廻組も警備の為に全員集合させて万全の態勢だ。



貴族と会う時の護衛はいつもはケイトなんだけど、今日はニィナが護衛として俺に付いている

珍しくニィナがどうしてもって言うので許可したんだけど、凄く心配だ。


あんまり言いたくないけどニィナは俺の奴隷だ、奴隷というのは家畜と同じかそれ以下の存在と考えるのが一般的で

だからなのか、ニィナを嫌らしい目で見て大金を積んで「売れ」と言う馬鹿な奴が定期的に現れるので

そんな奴には雷魔法でバチバチッと気絶させてごみ捨て場にポイしている

そして貴族にとって奴隷というのは家畜以下の存在という認識の奴が多いから、そんな奴等は奴隷に対して『失礼』などという概念はそもそも存在しない

だから今日のお見合い相手のペトルーシュカお嬢様が、ニィナに対して失礼な発言をしたら、俺はブチ切れてしまうだろう。


ちなみに、俺は男女平等の考えだから理由さえあれば相手が女性であろうと遠慮無く殴る主義だ。

まあいざとなれば回復魔法で怪我を治せるからこそ出来る事なのだが。



奴隷には奴隷の証である奴隷紋が身体の何処かに刻まれる。

だから服の下とか見えない場所に奴隷紋がある場合、普通は見ただけで奴隷かどうかを判断は出来ない

当然ながら、奴隷紋を直接確認する以外にも奴隷かどうかを見極める方法はある

奴隷紋は魔法で作った物だから特有の魔力を帯びていて、一定以上の魔力を持っていれば簡単に察知する事が出来るらしい


俺は何故か察知出来ないんだけど、生活魔法しか使えないし

魔法の基礎も全然知らないからそういうのが関係しているのかもしれない

こうやって改めて考えると、最初に出会った貴族がアストレア様とゲオルグ様で本当に良かったよ。




「なぁニィナ、今日の護衛はケイトと代わっても良かったんだぞ」

「私ではお役に立てないでしょうか?」

「護衛ならニィナが居てくれるのが1番良いけどさ、相手は公爵家のお嬢様だから、ニィナに失礼な事を言うかも知れないだろ」

「私は何を言われても気にしません、お気遣い感謝致します。」

「まあそうなんだろうけど、俺は他人に興味が無い分、大切な人が傷付けられるのは我慢出来ないよ」


「ふふっ、嬉しいけど困った主様。ねぇ周りを見て。あなたが居なくなったら困る人達がこんなに沢山居るのよ、この人達を見てもまだ他人って言えるのかしら?」

「それは、、、」


ニィナに言われて商会の中を見渡す

面倒くさい男のアルに、俺がスカウトしたライラとアリアの兄妹

猫耳のミーナ、キツネ耳のスージィー、犬耳のマックス、他にも沢山の従業員が居る

そして今ここには居ないけど、露店で働いてるニック、スナック、アンさんの他にも、こども園や製麺所、宿屋で働いてる人達

その皆を他人と呼ぶのは、、、

もう出来ないな、皆俺の大切な愉快な仲間だから



「もう他人じゃなくなった人達がこんなに沢山居るじゃない、だから私の為だけに無茶はしないで

最初は皆奴隷として仕方なくあなたに従っていたかもしれない、お腹一杯美味しい食事が食べられるからだったかもしれない

でもね

あなたは私達を奴隷とか、種族が違うとか関係無くきちんと向き合って接してくれたわ、ここに居る皆はそれが何より嬉しかったのよ

だから、皆あなたの為に頑張ろうって思ってくれてる、それはあなたが他人に興味を持っていた何よりの証拠

たとえ今ここであなたの奴隷で無くなったとしても

ほとんどがあなたの為に残ってくれるわ」


「そこは、、、嘘でも全員って言う所じゃないの?」

「私はあなたの奴隷だもの、嘘は吐けないわ」

「じゃあしょうがないか」

「ええ、しょうがない事なの♪」

「ふふっ」

「「あははははは♪」」



「ねぇ、それよりお嬢様の事は大丈夫なの?」

「うーん、やっぱり怒ってる?」

「どうしてそう思うの?」

「お見合いの事はちゃんとメリルに話したんだけど、それ以来なんか機嫌が悪い、、、のかな?女心が分からない俺でもそう感じるんだから、ニィナなら当然分かってるんだろ?」

「お嬢様は頭が良いから今回のお見合いの必要性も理解されてるはず、でも、理解出来ても納得出来るかは別だから」

「お見合いが終わったらフォローしないといけないか、出来ればニィナにも援護して欲しいんだけど」

「それじゃあ、野菜のお菓子で良いわよ」

「また難しい注文を、、、トマトのゼリーとニンジンのケーキで良いかな?」

「ふふっ、ダメ元だったけれど言ってみるものね♪分かったわ、お藤お母さんにも援護をお願いしておくわね」


「ありがとうございます。なぁニィナ」

「なにかしら?」

「いつものニィナも好きだけど、今のニィナの方が俺は好きだよ」

「っ?!、、、あっ、主様!ふっ、不意打ちは、だだだだ駄目でございます(照)」



あらら、喋り方が元に戻っちゃったよ、普段から普通に喋ってくれて良いんだけどな

もし、1番最初に出会ったのがニィナだったら、、、

という考えはメリルにもニィナにも失礼だよな

想いの答えは必ず伝える、だからもう少しだけ待っていて欲しい


今はお見合いを無事乗りきるのが先だ!



「ご主人様、スコーピオン公爵家の紋を掲げた馬車が来ました!」


ついに来たか、緊張するなぁ


「全員整列、出迎えの準備を!」

「「「「「はっ!」」」」」





つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~

裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】 宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。 異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。 元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。 そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。 大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。 持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。 ※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...