テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

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第8章 空へ

第176話 浮島

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「なぁアル、浮島には俺達冒険者を慰めてくれるお宝はあるのかな?」

「おや?シンさんはいつから冒険者に?」

「何を言ってんだよ、男はいつだって人生という名の大海原を突き進む冒険者だろ♪」

「あはははははは、そうですかシンさんもこういう事には人並みに興味があったのですねぇ」

「それでどうなんだ、お宝とか古代文明の遺跡とかあるのか?」


「残念ながら浮島に関して分かっている事はほとんどありません、およそ10年毎にバルゴ王国の上空を通過する、という事以外はほぼ謎です。

浮島がいつから存在して、何処から来て何処に行くのか。一応記録ではバルゴ王国が出来る以前から存在していたみたいですけど、その記録もたまたま発見された個人の日記に書かれていた物なんです。

あの浮島には古代人が住んでいるとか、神が住む神殿があるとか、ドラゴンが住んでいるとか

おとぎ話のような事は色々言われていますけど、それらを実際に見たという記録はありません、王都に行けばもう少し詳しい事も分かるかもしれませんけど」


「いいじゃないか、謎だらけの空に浮かぶ島♪誰も行った事が無いなら、お宝があっても手付かずって事だからな。アルは浮島を直接見た事あるのか?」

「ありますよ、20年ほど前に海の上を飛んでいく浮島を見ました、と言っても岸から遠くて豆粒みたいでしたけど」

「なるほど、やっぱこういうのは詳しそうな人、、、じゃなくてエルフに聞くのが1番だな、長命種だから浮島を何回も見てるかもしれんし

そうと決まればパイ生地じゃなくて、サクサク生地をさっさと作るぞ!」



サクサク生地が完成したら商業ギルドに

れっつらごー♪



◇     ◇     ◇



そんなこんなで、サクサク生地をサクッと完成させて

やって来ました商業ギルド!




「という訳で、浮島について教えて下さいミリーさん♪」

「どういう訳かは知らないけれど、次は浮島大会でもするのかしら?本当にシン君と居ると退屈しないわ

この間もお花見大会やってたんでしょ?
凄く盛り上がったらしいじゃない、ガゼルさんが新しいお酒の楽しみ方が出来たって喜んでたわよ♪

わざわざ、夏に綺麗な花を咲かせる植物を聞きに来たぐらいだから(笑)」



おぅふ!

なんか知らんけど定期的に大会をする事になってやしませんか(汗)

しかし親方は花見が相当気に入ったんだな、夏なら川に川床作っても良いかもしれん

酒を美味しく飲む為だって言ったら親方が無料で作ってくれるだろうしな



「えぇーと、今のところ次の大会は未定です。とりあえず浮島についての情報が欲しいんですよね、長命種のエルフなら浮島の記録もあるんじゃないかと思ったのですが」

「寿命が長い分、人族と比べれば実際に浮島を見たエルフは多いでしょうね、里の長老達の中にはバルゴ王国が建国される前から生きてる方もおられるわ

でも、浮島の詳しい情報となるとほぼ無いわね。100年ほど前にとある国が本気で浮島に行こうと計画していたけれど、、、」

「おぉ!やっぱりそういう事を考えた国がありましたか、それでどうやって浮島に行ったんですか?」

「ロープの先にフックを付けて、魔法で飛ばして浮島に引っ掛ける方法だったの。ロープを飛ばす為に相当な人数のエルフも協力したから記録が残ってるのよ」

「案外単純な方法だったんですね、それで浮島には行けたんですか?」

「もし行けていたら記録が残ってるわよ。ロープを飛ばして浮島に引っ掛けるまでは良かったの

でもその後がねぇ」



ミリーさんが何とも言えない複雑な表情をしているという事は


「もしかして、ミリーさんもその計画に協力したんですか?」

「ええ、かなりの依頼料を貰ったらしくて里のエルフ総出で協力したから、当時子供だった私も駆り出されてね

そして浮島のルート上にある1番高い山からロープを飛ばしたの、その長さは約1200メートル、フックが無事に浮島に引っ掛かり

いざロープを登ろうとしたんだけど、50メートルも登れなかったと思うわ、装備が重過ぎたのね

浮島は未知の領域、どんなに軽装にしてもそれなりの装備が要るわ、それに加えて地上に帰還する為の装備も必要だし、それらを背負って1200メートルもロープを登るなんて、、、ねぇ?」



そもそもロープを登る訓練はしなかったのだろうか?

しなかったんだろうなぁ、少なくとも本番を想定した訓練はしなかったはず、もししていれば

1200メートルもほぼ垂直にロープを登るのが現実的じゃない事ぐらいは分かっただろう





その後もミリーさんから色々と話を聞いたけど、浮島に関して新しい情報は無かった。

だがしかし

分からない事があれば直接聞けばいいじゃない♪


そうと決まればさっさと我が家に帰ってお供え物を用意しなければ!






つづく。
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