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第7章 キャラバンシティ
第154話 ホタテと真珠
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池田屋商会にパール男爵家の奥方様と御嬢様がやって来た。
目的は下着の購入という事で先触れとして使いの方も来ていたのだが、色々あってすっかり忘れていた(汗)
アルが言うには紹介状を持っているだろうから、通常通りの対応で良いらしいが
どうなることやら
「ご主人様、パール男爵家の奥方様と御嬢様をお連れしました。」
「お通しして」
俺が先に商会の応接室で待っていると、部屋に入って来たのは縦巻きロール、、、
とは無縁な雰囲気の御婦人と未だ少女と呼べそうなあどけなさの残る娘さんだった
いわゆる地味な2人と言えば失礼になるだろうか?
髪の毛も後ろで軽く纏めているだけだし、服装も動きやすさを重視していると言えば聞こえは良いが、裕福な商人と比べて完全に見劣りするレベルだ。
俺が他の貴族をあまり知らないのもあるのかもしれんが
だからこそ、あの胸元に光るネックレスには興味をそそられる。
『名は体を表す』というやつなのかもしれない
「失礼します。わたくし、サイプレス・パール男爵の妻、アクロアイト・パールと申します。」
「同じく娘の、ミルキー・パールと申します。」
「アクロアイト様とミルキー様ですね。ようこそお越し下さいました。私が池田屋商会会長の、シン・ナガクラと申します。以後お見知りおきを」
「まあ♪会長様自らお相手をして頂けるなんて、お忙しいと聞いていますのに宜しいのですか?」
「いえいえ、従業員が優秀なお陰で、私の仕事と言えばこうしてお客様の相手をする事くらいですから。さっそくですが、本日の御用件は下着の購入という事で宜しいでしょうか?」
「はい、これがアストレア様からの紹介状です。」
「では確認させて頂きます、、、ありがとうございました。間違い無く本物の紹介状です。直ぐに担当の者が下着を持って参りますので、よければそれまでの時間、下着以外の商品をご覧になりませんか?暇潰しにはなると思うのですが」
今日の俺はいつもと違って頑張っている!営業の経験なんかゼロだけど営業スマイルもやっちゃうんだぜ!
そろそろ貴族にコサージュを売りたいからな
目の前の2人には悪いけど、地味な見た目の人の方がコサージュが映えるんだよ♪
「うふふ、池田屋商会さんの商品は素晴らしい品ばかりと噂になってますから是非に、、、と言いたい所なのですが、少しばかりお願いを聞いて頂けないでしょうか?」
うーむ、貴族のお願いは面倒くさい事になる予感しかしないんだけど、言い方は悪いが男爵家程度でそこまで無茶な事は言わない、、、と信じてますよ
「商会で出来る事でしたら何なりと仰って下さい。」
「ありがとうございます。実はこの度娘のミルキーが成人致しまして、それに伴い社交界デビューを控えております。
勿論親としては娘の晴れの日を、名の有る仕立屋に頼んだオートクチュールのドレスを着せて祝ってやりたいのですが
恥ずかしながら我が家の財力ではなんともしがたい状況なのです。
そこで、池田屋商会さんのお力を借りたいのです!
無論コボルトのように卑しい事は致しません、我がパール男爵領にある物で商売になる物があれば格安で
物によっては無料で提供致しますのでどうかお願い出来ませんでしょうか?」
キターーーーー!!
そうそう、こういうの♪
俺がしたかったんはこういう商売のやり取りなんよ!!
他の人達もこんな風に商売の話を持って来てくれたら、こっちも色々サービスするんやけどなぁ
「話は理解しました。まずは、ミルキー様成人おめでとうございます。是非商会から御祝いにドレスをプレゼントさせて下さい。
社交界デビューの日に着て頂ければ商会の宣伝にもなりますので遠慮は無用です!
問題はドレスだけでは些かインパクトに欠ける事と、御領地に商売になる物があるかどうかですね」
「えっ?ドレス?!あの、ありがとうございます。えぇーと、話が早過ぎて何がなんだか(汗)」
「戸惑うのも無理はありません。疑問等があれば後で遠慮無く仰って頂いて構いませんので、今は話を進めましょう。
私はパール男爵領がどのような土地なのか存じ上げないのですが、もしかしてその胸に光る真珠は御領地で採れた物ですか?」
「まあ♪真珠をご存じとは博識でいらっしゃるのね。仰る通りこの真珠は領地で採れた物ですが、ダイヤや他の宝石と比べると輝きが少なく価値も低いのです。」
そう!
俺がずっと気になっていたのは、アクロアイト様とミルキー様がしているネックレスに付いている真珠だ。
パール男爵家なだけに真珠ってそのまんまやけどな(笑)
残念ながら俺の知ってる真珠と比べると凄く小さいんだけど品質は良いように思う。
まさか養殖なんてしてないだろうから、天然物だとあの大きさが普通なんだろうか?
創造神様の事だから、真珠なんて物より貝柱を大きくした貝を造ってそうだけどな
「そうなのですか?宝石類は詳しくないのですが、控え目ながらも艶のある光沢が、とても素晴らしい逸品に思えるのに勿体無いですねぇ。」
「そう言って頂けると、頑張って領地を護って来た甲斐がありますわ♪」
「ちなみに、真珠を取り出した後の殻や身はどうされていますか?」
「使い道が無いので廃棄していますけど」
「では、真珠を取り出した後の殻と身、それと真珠が採れない物については譲って頂けませんでしょうか?」
「え?、、、えぇ、廃棄する物なので構いませんが、使い道としては家畜の餌ぐらいにしかならないと思いますよ」
「そこは商人の腕の魅せどころですね♪では対価も決まりましたので、後はこちらにお任せ下さい!
誰か我が家に居る、お藤さん、メリル、カスミを呼んできてくれるか?」
「はっ!急ぎ行って参ります!」
「あの会長様、事態がさっぱり飲み込めないのですが」
「心配無用です!ミルキー様の社交界デビューは、我が池田屋商会にお任せ下さい!!」
つづく。
目的は下着の購入という事で先触れとして使いの方も来ていたのだが、色々あってすっかり忘れていた(汗)
アルが言うには紹介状を持っているだろうから、通常通りの対応で良いらしいが
どうなることやら
「ご主人様、パール男爵家の奥方様と御嬢様をお連れしました。」
「お通しして」
俺が先に商会の応接室で待っていると、部屋に入って来たのは縦巻きロール、、、
とは無縁な雰囲気の御婦人と未だ少女と呼べそうなあどけなさの残る娘さんだった
いわゆる地味な2人と言えば失礼になるだろうか?
髪の毛も後ろで軽く纏めているだけだし、服装も動きやすさを重視していると言えば聞こえは良いが、裕福な商人と比べて完全に見劣りするレベルだ。
俺が他の貴族をあまり知らないのもあるのかもしれんが
だからこそ、あの胸元に光るネックレスには興味をそそられる。
『名は体を表す』というやつなのかもしれない
「失礼します。わたくし、サイプレス・パール男爵の妻、アクロアイト・パールと申します。」
「同じく娘の、ミルキー・パールと申します。」
「アクロアイト様とミルキー様ですね。ようこそお越し下さいました。私が池田屋商会会長の、シン・ナガクラと申します。以後お見知りおきを」
「まあ♪会長様自らお相手をして頂けるなんて、お忙しいと聞いていますのに宜しいのですか?」
「いえいえ、従業員が優秀なお陰で、私の仕事と言えばこうしてお客様の相手をする事くらいですから。さっそくですが、本日の御用件は下着の購入という事で宜しいでしょうか?」
「はい、これがアストレア様からの紹介状です。」
「では確認させて頂きます、、、ありがとうございました。間違い無く本物の紹介状です。直ぐに担当の者が下着を持って参りますので、よければそれまでの時間、下着以外の商品をご覧になりませんか?暇潰しにはなると思うのですが」
今日の俺はいつもと違って頑張っている!営業の経験なんかゼロだけど営業スマイルもやっちゃうんだぜ!
そろそろ貴族にコサージュを売りたいからな
目の前の2人には悪いけど、地味な見た目の人の方がコサージュが映えるんだよ♪
「うふふ、池田屋商会さんの商品は素晴らしい品ばかりと噂になってますから是非に、、、と言いたい所なのですが、少しばかりお願いを聞いて頂けないでしょうか?」
うーむ、貴族のお願いは面倒くさい事になる予感しかしないんだけど、言い方は悪いが男爵家程度でそこまで無茶な事は言わない、、、と信じてますよ
「商会で出来る事でしたら何なりと仰って下さい。」
「ありがとうございます。実はこの度娘のミルキーが成人致しまして、それに伴い社交界デビューを控えております。
勿論親としては娘の晴れの日を、名の有る仕立屋に頼んだオートクチュールのドレスを着せて祝ってやりたいのですが
恥ずかしながら我が家の財力ではなんともしがたい状況なのです。
そこで、池田屋商会さんのお力を借りたいのです!
無論コボルトのように卑しい事は致しません、我がパール男爵領にある物で商売になる物があれば格安で
物によっては無料で提供致しますのでどうかお願い出来ませんでしょうか?」
キターーーーー!!
そうそう、こういうの♪
俺がしたかったんはこういう商売のやり取りなんよ!!
他の人達もこんな風に商売の話を持って来てくれたら、こっちも色々サービスするんやけどなぁ
「話は理解しました。まずは、ミルキー様成人おめでとうございます。是非商会から御祝いにドレスをプレゼントさせて下さい。
社交界デビューの日に着て頂ければ商会の宣伝にもなりますので遠慮は無用です!
問題はドレスだけでは些かインパクトに欠ける事と、御領地に商売になる物があるかどうかですね」
「えっ?ドレス?!あの、ありがとうございます。えぇーと、話が早過ぎて何がなんだか(汗)」
「戸惑うのも無理はありません。疑問等があれば後で遠慮無く仰って頂いて構いませんので、今は話を進めましょう。
私はパール男爵領がどのような土地なのか存じ上げないのですが、もしかしてその胸に光る真珠は御領地で採れた物ですか?」
「まあ♪真珠をご存じとは博識でいらっしゃるのね。仰る通りこの真珠は領地で採れた物ですが、ダイヤや他の宝石と比べると輝きが少なく価値も低いのです。」
そう!
俺がずっと気になっていたのは、アクロアイト様とミルキー様がしているネックレスに付いている真珠だ。
パール男爵家なだけに真珠ってそのまんまやけどな(笑)
残念ながら俺の知ってる真珠と比べると凄く小さいんだけど品質は良いように思う。
まさか養殖なんてしてないだろうから、天然物だとあの大きさが普通なんだろうか?
創造神様の事だから、真珠なんて物より貝柱を大きくした貝を造ってそうだけどな
「そうなのですか?宝石類は詳しくないのですが、控え目ながらも艶のある光沢が、とても素晴らしい逸品に思えるのに勿体無いですねぇ。」
「そう言って頂けると、頑張って領地を護って来た甲斐がありますわ♪」
「ちなみに、真珠を取り出した後の殻や身はどうされていますか?」
「使い道が無いので廃棄していますけど」
「では、真珠を取り出した後の殻と身、それと真珠が採れない物については譲って頂けませんでしょうか?」
「え?、、、えぇ、廃棄する物なので構いませんが、使い道としては家畜の餌ぐらいにしかならないと思いますよ」
「そこは商人の腕の魅せどころですね♪では対価も決まりましたので、後はこちらにお任せ下さい!
誰か我が家に居る、お藤さん、メリル、カスミを呼んできてくれるか?」
「はっ!急ぎ行って参ります!」
「あの会長様、事態がさっぱり飲み込めないのですが」
「心配無用です!ミルキー様の社交界デビューは、我が池田屋商会にお任せ下さい!!」
つづく。
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