173 / 303
第7章 キャラバンシティ
第154話 ホタテと真珠
しおりを挟む
池田屋商会にパール男爵家の奥方様と御嬢様がやって来た。
目的は下着の購入という事で先触れとして使いの方も来ていたのだが、色々あってすっかり忘れていた(汗)
アルが言うには紹介状を持っているだろうから、通常通りの対応で良いらしいが
どうなることやら
「ご主人様、パール男爵家の奥方様と御嬢様をお連れしました。」
「お通しして」
俺が先に商会の応接室で待っていると、部屋に入って来たのは縦巻きロール、、、
とは無縁な雰囲気の御婦人と未だ少女と呼べそうなあどけなさの残る娘さんだった
いわゆる地味な2人と言えば失礼になるだろうか?
髪の毛も後ろで軽く纏めているだけだし、服装も動きやすさを重視していると言えば聞こえは良いが、裕福な商人と比べて完全に見劣りするレベルだ。
俺が他の貴族をあまり知らないのもあるのかもしれんが
だからこそ、あの胸元に光るネックレスには興味をそそられる。
『名は体を表す』というやつなのかもしれない
「失礼します。わたくし、サイプレス・パール男爵の妻、アクロアイト・パールと申します。」
「同じく娘の、ミルキー・パールと申します。」
「アクロアイト様とミルキー様ですね。ようこそお越し下さいました。私が池田屋商会会長の、シン・ナガクラと申します。以後お見知りおきを」
「まあ♪会長様自らお相手をして頂けるなんて、お忙しいと聞いていますのに宜しいのですか?」
「いえいえ、従業員が優秀なお陰で、私の仕事と言えばこうしてお客様の相手をする事くらいですから。さっそくですが、本日の御用件は下着の購入という事で宜しいでしょうか?」
「はい、これがアストレア様からの紹介状です。」
「では確認させて頂きます、、、ありがとうございました。間違い無く本物の紹介状です。直ぐに担当の者が下着を持って参りますので、よければそれまでの時間、下着以外の商品をご覧になりませんか?暇潰しにはなると思うのですが」
今日の俺はいつもと違って頑張っている!営業の経験なんかゼロだけど営業スマイルもやっちゃうんだぜ!
そろそろ貴族にコサージュを売りたいからな
目の前の2人には悪いけど、地味な見た目の人の方がコサージュが映えるんだよ♪
「うふふ、池田屋商会さんの商品は素晴らしい品ばかりと噂になってますから是非に、、、と言いたい所なのですが、少しばかりお願いを聞いて頂けないでしょうか?」
うーむ、貴族のお願いは面倒くさい事になる予感しかしないんだけど、言い方は悪いが男爵家程度でそこまで無茶な事は言わない、、、と信じてますよ
「商会で出来る事でしたら何なりと仰って下さい。」
「ありがとうございます。実はこの度娘のミルキーが成人致しまして、それに伴い社交界デビューを控えております。
勿論親としては娘の晴れの日を、名の有る仕立屋に頼んだオートクチュールのドレスを着せて祝ってやりたいのですが
恥ずかしながら我が家の財力ではなんともしがたい状況なのです。
そこで、池田屋商会さんのお力を借りたいのです!
無論コボルトのように卑しい事は致しません、我がパール男爵領にある物で商売になる物があれば格安で
物によっては無料で提供致しますのでどうかお願い出来ませんでしょうか?」
キターーーーー!!
そうそう、こういうの♪
俺がしたかったんはこういう商売のやり取りなんよ!!
他の人達もこんな風に商売の話を持って来てくれたら、こっちも色々サービスするんやけどなぁ
「話は理解しました。まずは、ミルキー様成人おめでとうございます。是非商会から御祝いにドレスをプレゼントさせて下さい。
社交界デビューの日に着て頂ければ商会の宣伝にもなりますので遠慮は無用です!
問題はドレスだけでは些かインパクトに欠ける事と、御領地に商売になる物があるかどうかですね」
「えっ?ドレス?!あの、ありがとうございます。えぇーと、話が早過ぎて何がなんだか(汗)」
「戸惑うのも無理はありません。疑問等があれば後で遠慮無く仰って頂いて構いませんので、今は話を進めましょう。
私はパール男爵領がどのような土地なのか存じ上げないのですが、もしかしてその胸に光る真珠は御領地で採れた物ですか?」
「まあ♪真珠をご存じとは博識でいらっしゃるのね。仰る通りこの真珠は領地で採れた物ですが、ダイヤや他の宝石と比べると輝きが少なく価値も低いのです。」
そう!
俺がずっと気になっていたのは、アクロアイト様とミルキー様がしているネックレスに付いている真珠だ。
パール男爵家なだけに真珠ってそのまんまやけどな(笑)
残念ながら俺の知ってる真珠と比べると凄く小さいんだけど品質は良いように思う。
まさか養殖なんてしてないだろうから、天然物だとあの大きさが普通なんだろうか?
創造神様の事だから、真珠なんて物より貝柱を大きくした貝を造ってそうだけどな
「そうなのですか?宝石類は詳しくないのですが、控え目ながらも艶のある光沢が、とても素晴らしい逸品に思えるのに勿体無いですねぇ。」
「そう言って頂けると、頑張って領地を護って来た甲斐がありますわ♪」
「ちなみに、真珠を取り出した後の殻や身はどうされていますか?」
「使い道が無いので廃棄していますけど」
「では、真珠を取り出した後の殻と身、それと真珠が採れない物については譲って頂けませんでしょうか?」
「え?、、、えぇ、廃棄する物なので構いませんが、使い道としては家畜の餌ぐらいにしかならないと思いますよ」
「そこは商人の腕の魅せどころですね♪では対価も決まりましたので、後はこちらにお任せ下さい!
誰か我が家に居る、お藤さん、メリル、カスミを呼んできてくれるか?」
「はっ!急ぎ行って参ります!」
「あの会長様、事態がさっぱり飲み込めないのですが」
「心配無用です!ミルキー様の社交界デビューは、我が池田屋商会にお任せ下さい!!」
つづく。
目的は下着の購入という事で先触れとして使いの方も来ていたのだが、色々あってすっかり忘れていた(汗)
アルが言うには紹介状を持っているだろうから、通常通りの対応で良いらしいが
どうなることやら
「ご主人様、パール男爵家の奥方様と御嬢様をお連れしました。」
「お通しして」
俺が先に商会の応接室で待っていると、部屋に入って来たのは縦巻きロール、、、
とは無縁な雰囲気の御婦人と未だ少女と呼べそうなあどけなさの残る娘さんだった
いわゆる地味な2人と言えば失礼になるだろうか?
髪の毛も後ろで軽く纏めているだけだし、服装も動きやすさを重視していると言えば聞こえは良いが、裕福な商人と比べて完全に見劣りするレベルだ。
俺が他の貴族をあまり知らないのもあるのかもしれんが
だからこそ、あの胸元に光るネックレスには興味をそそられる。
『名は体を表す』というやつなのかもしれない
「失礼します。わたくし、サイプレス・パール男爵の妻、アクロアイト・パールと申します。」
「同じく娘の、ミルキー・パールと申します。」
「アクロアイト様とミルキー様ですね。ようこそお越し下さいました。私が池田屋商会会長の、シン・ナガクラと申します。以後お見知りおきを」
「まあ♪会長様自らお相手をして頂けるなんて、お忙しいと聞いていますのに宜しいのですか?」
「いえいえ、従業員が優秀なお陰で、私の仕事と言えばこうしてお客様の相手をする事くらいですから。さっそくですが、本日の御用件は下着の購入という事で宜しいでしょうか?」
「はい、これがアストレア様からの紹介状です。」
「では確認させて頂きます、、、ありがとうございました。間違い無く本物の紹介状です。直ぐに担当の者が下着を持って参りますので、よければそれまでの時間、下着以外の商品をご覧になりませんか?暇潰しにはなると思うのですが」
今日の俺はいつもと違って頑張っている!営業の経験なんかゼロだけど営業スマイルもやっちゃうんだぜ!
そろそろ貴族にコサージュを売りたいからな
目の前の2人には悪いけど、地味な見た目の人の方がコサージュが映えるんだよ♪
「うふふ、池田屋商会さんの商品は素晴らしい品ばかりと噂になってますから是非に、、、と言いたい所なのですが、少しばかりお願いを聞いて頂けないでしょうか?」
うーむ、貴族のお願いは面倒くさい事になる予感しかしないんだけど、言い方は悪いが男爵家程度でそこまで無茶な事は言わない、、、と信じてますよ
「商会で出来る事でしたら何なりと仰って下さい。」
「ありがとうございます。実はこの度娘のミルキーが成人致しまして、それに伴い社交界デビューを控えております。
勿論親としては娘の晴れの日を、名の有る仕立屋に頼んだオートクチュールのドレスを着せて祝ってやりたいのですが
恥ずかしながら我が家の財力ではなんともしがたい状況なのです。
そこで、池田屋商会さんのお力を借りたいのです!
無論コボルトのように卑しい事は致しません、我がパール男爵領にある物で商売になる物があれば格安で
物によっては無料で提供致しますのでどうかお願い出来ませんでしょうか?」
キターーーーー!!
そうそう、こういうの♪
俺がしたかったんはこういう商売のやり取りなんよ!!
他の人達もこんな風に商売の話を持って来てくれたら、こっちも色々サービスするんやけどなぁ
「話は理解しました。まずは、ミルキー様成人おめでとうございます。是非商会から御祝いにドレスをプレゼントさせて下さい。
社交界デビューの日に着て頂ければ商会の宣伝にもなりますので遠慮は無用です!
問題はドレスだけでは些かインパクトに欠ける事と、御領地に商売になる物があるかどうかですね」
「えっ?ドレス?!あの、ありがとうございます。えぇーと、話が早過ぎて何がなんだか(汗)」
「戸惑うのも無理はありません。疑問等があれば後で遠慮無く仰って頂いて構いませんので、今は話を進めましょう。
私はパール男爵領がどのような土地なのか存じ上げないのですが、もしかしてその胸に光る真珠は御領地で採れた物ですか?」
「まあ♪真珠をご存じとは博識でいらっしゃるのね。仰る通りこの真珠は領地で採れた物ですが、ダイヤや他の宝石と比べると輝きが少なく価値も低いのです。」
そう!
俺がずっと気になっていたのは、アクロアイト様とミルキー様がしているネックレスに付いている真珠だ。
パール男爵家なだけに真珠ってそのまんまやけどな(笑)
残念ながら俺の知ってる真珠と比べると凄く小さいんだけど品質は良いように思う。
まさか養殖なんてしてないだろうから、天然物だとあの大きさが普通なんだろうか?
創造神様の事だから、真珠なんて物より貝柱を大きくした貝を造ってそうだけどな
「そうなのですか?宝石類は詳しくないのですが、控え目ながらも艶のある光沢が、とても素晴らしい逸品に思えるのに勿体無いですねぇ。」
「そう言って頂けると、頑張って領地を護って来た甲斐がありますわ♪」
「ちなみに、真珠を取り出した後の殻や身はどうされていますか?」
「使い道が無いので廃棄していますけど」
「では、真珠を取り出した後の殻と身、それと真珠が採れない物については譲って頂けませんでしょうか?」
「え?、、、えぇ、廃棄する物なので構いませんが、使い道としては家畜の餌ぐらいにしかならないと思いますよ」
「そこは商人の腕の魅せどころですね♪では対価も決まりましたので、後はこちらにお任せ下さい!
誰か我が家に居る、お藤さん、メリル、カスミを呼んできてくれるか?」
「はっ!急ぎ行って参ります!」
「あの会長様、事態がさっぱり飲み込めないのですが」
「心配無用です!ミルキー様の社交界デビューは、我が池田屋商会にお任せ下さい!!」
つづく。
243
お気に入りに追加
868
あなたにおすすめの小説
料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~
斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている
酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる