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第7章 キャラバンシティ
第129話 濁ったお酒を飲む仕事
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おでん屋の営業から数日経ち、その間も俺は遊ばずちゃんと池田屋商会会長として仕事をしていた。
優秀な従業員が多い我が池田屋商会は、放っておいても毎日相当な儲けを出している
だから俺がやらなきゃいけない仕事はあまり無いのだが
レシピを寄越せとか言ってくる貴族の使いを追い返すのが最近の俺の仕事なのは、喜ぶべき事なのか判断に迷う所ではある
心配だったイセガミさんは、おでん屋で酔い潰れた翌日から元気に働いているらしい、ショック療法が良かったのかは分からんけど
イセガミさんの事は女将さんとフェンリルのリリーに任せるしかない
今度お寿司でも作って食べさてあげよう、イセガミさんの年齢ならオムライスとか洋食の方が喜ぶかな?
俺に出来るのは旨い料理を作ってあげる事くらいだからな
そんな今日は、アストレア様から呼び出されて商業ギルドに来ている
珍しく下着や美容品の事ではなく仕事の話らしい
俺としては美容品も仕事なんだけどなぁ、ちゃんと対価は貰ってるからいいけど
「シン君お待たせ、アストレア様が来られたわ」
「シンさんこんにちは、わざわざお越し頂き感謝します。
用件は、私の隣に居るオリバーを紹介する為よ」
「初めまして、オリバーと申します。ピスケス伯爵領で代々酒造りをしております、以後お見知り置きを」
「初めましてオリバーさん、私は池田屋商会会長のシン・ナガクラと申します。」
「池田屋商会・・・こっ、こんな若造が御用商会の会長だと?!」
「シンさん、オリバーの無礼な発言を謝罪します、ごめんなさいね」
「アッアストレア様?!何故このような若造にアストレア様が頭を下げるのですか!」
「オリバー、私は最初に言ったわよね、シンさんにお越し頂き感謝します、と
この言葉の意味が分からないほど貴方は馬鹿なのかしら?」
「それは、、、アストレア様がシン殿を対等以上の相手として接している事を意味します」
「それなのに貴方は、、、はぁ~、どうせシンさんの見た目で判断したのでしょうけど、貴方がシンさんをどう思おうと勝手だけれど、それを表に出すなんて愚の骨頂ね」
「誠に申し訳御座いませんでした、此度の事は、私の首ひとつでお許し願えませんでしょうか」
「オリバー、謝罪する相手が違うでしょう」
「ぐっ、、、シン殿、先程の無礼な発言申し訳御座いませんでした」
そういえば最初の挨拶から普段のアストレア様と違い、言い方が変だなと思ったけど何か意味があるのだろうか?
「という訳だけど、どうかしらシンさん?必要ならオリバーの首を差し出すけど」
「アストレア様、首を差し出されても困りますよ、オリバーさんも謝罪は受け取りますからお茶でも飲んで落ち着いて下さい」
「はい、ありがとうございます」
さっきからオリバーさんは顔色が悪い、血の気が引いて青かったのが今は真っ白だ、ここまで来ると可哀想になってくる
俺もオリバーさんには少しイラッとしたけど、アストレア様の意図が分からないな、それとも俺以外にはこれが普通の対応なんだろうか?
「さあ、仕事の話をしましょうか。オリバー、例の物を出して頂戴」
「かしこまりました」
テーブルに出されたのは液体の入った瓶だった、オリバーさんは酒造りをしているんだから瓶に入ってるのは酒だろう
「シンさん、味見をして貰えるかしら」
差し出されたコップに注がれた液体は白く濁っている、てっきりワインだと思ったんだけど違うみたいだ、ブドウ以外の果実酒だろうか
「では頂きます、スンスン、ゴクン・・・」
不味い、凄く不味い!アストレア様には悪いけど酒場のワインよりはマシってレベルの味かもしれん、酒場のワイン飲んだ事無いけどな(笑)
この国だとこれでも美味しい酒なのかもしれんが、、、でもこの匂いと味は
「ふふっ、その顔だとこのお酒は不味いのね?こんなお酒でも貴族の間ではそれなりに人気なのよ」
「アストレア様、お言葉ですがこれは公爵様にもお売りしている酒です、なので・・・」
「こんな若造に味なんて分かる筈がない、そう言いたいのね」
「そっ、それは(汗)」
「まあいいわ、それでシンさんどうなのかしら」
「ええ、不味いですね雑味が多くて折角の酒の味が台無しです、ちなみにこの酒の原料は米でしょうか?」
この酒、雑味が多くて不味いんだけど、匂いと味は日本酒その物だ、濁っているという事は濁り酒だろうか?
俺も日本酒にそこまで詳しく無いから分からんけど、不純物が多くて濁っているだけという事も充分ありえそうだ
「残念だけど、このお酒に関して私が答えられる事は無いわね、製法等は個人の財産だから」
さてどうしたもんか、この酒が日本酒ならピスケス領には米がある!なんとか確保したいけど、、、
「アストレア様、質問なのですがどうして私にこのお酒を飲ませたのでしょうか?」
「理由は簡単よ、ゲオルグ様が気に入るお酒を用意出来るシンさんなら、このお酒に似た物も持っているんじゃないかと思ったの、偶然にも先日飲んだお酒が似た味で驚いたのだけれど」
「あぁ、あの酒ですか、よいしょっと、はいどうぞ」
収納からおでん屋でアストレア様達が飲んだ日本酒より少しだけ良い日本酒を取り出す、
ここで万が一にも美味しくないとか言われるのは駄目だろうからな
「さあ、オリバー飲んでみなさい」
「はい、頂きます、スンスン、んぐんぐ?!なっ、こっこれは、馬鹿な!!こんな事が、あり得ない、、、」
「その反応はお酒が美味しくて驚いたのかしら?それとも貴方の造るお酒と同じお酒だから驚いたのかしら?
ん~、両方かしらね♪オリバー分かったでしょう、貴方が見た目で判断した相手が如何に凄いかを、暫く席を外して一人で反省でもしていなさい」
「そっ、それでは失礼いたします」
あぁ~、オリバーさん折角顔色が戻って来てたのに、また白くなったちゃったよ、可哀想だと思うけど反省はして欲しい
「シンさんごめんなさいね、よく分からないやり取りで戸惑ったでしょう、今回の事はシンさんを利用させて貰ったのよ」
むむむ、どうゆうこと?
つづく。
優秀な従業員が多い我が池田屋商会は、放っておいても毎日相当な儲けを出している
だから俺がやらなきゃいけない仕事はあまり無いのだが
レシピを寄越せとか言ってくる貴族の使いを追い返すのが最近の俺の仕事なのは、喜ぶべき事なのか判断に迷う所ではある
心配だったイセガミさんは、おでん屋で酔い潰れた翌日から元気に働いているらしい、ショック療法が良かったのかは分からんけど
イセガミさんの事は女将さんとフェンリルのリリーに任せるしかない
今度お寿司でも作って食べさてあげよう、イセガミさんの年齢ならオムライスとか洋食の方が喜ぶかな?
俺に出来るのは旨い料理を作ってあげる事くらいだからな
そんな今日は、アストレア様から呼び出されて商業ギルドに来ている
珍しく下着や美容品の事ではなく仕事の話らしい
俺としては美容品も仕事なんだけどなぁ、ちゃんと対価は貰ってるからいいけど
「シン君お待たせ、アストレア様が来られたわ」
「シンさんこんにちは、わざわざお越し頂き感謝します。
用件は、私の隣に居るオリバーを紹介する為よ」
「初めまして、オリバーと申します。ピスケス伯爵領で代々酒造りをしております、以後お見知り置きを」
「初めましてオリバーさん、私は池田屋商会会長のシン・ナガクラと申します。」
「池田屋商会・・・こっ、こんな若造が御用商会の会長だと?!」
「シンさん、オリバーの無礼な発言を謝罪します、ごめんなさいね」
「アッアストレア様?!何故このような若造にアストレア様が頭を下げるのですか!」
「オリバー、私は最初に言ったわよね、シンさんにお越し頂き感謝します、と
この言葉の意味が分からないほど貴方は馬鹿なのかしら?」
「それは、、、アストレア様がシン殿を対等以上の相手として接している事を意味します」
「それなのに貴方は、、、はぁ~、どうせシンさんの見た目で判断したのでしょうけど、貴方がシンさんをどう思おうと勝手だけれど、それを表に出すなんて愚の骨頂ね」
「誠に申し訳御座いませんでした、此度の事は、私の首ひとつでお許し願えませんでしょうか」
「オリバー、謝罪する相手が違うでしょう」
「ぐっ、、、シン殿、先程の無礼な発言申し訳御座いませんでした」
そういえば最初の挨拶から普段のアストレア様と違い、言い方が変だなと思ったけど何か意味があるのだろうか?
「という訳だけど、どうかしらシンさん?必要ならオリバーの首を差し出すけど」
「アストレア様、首を差し出されても困りますよ、オリバーさんも謝罪は受け取りますからお茶でも飲んで落ち着いて下さい」
「はい、ありがとうございます」
さっきからオリバーさんは顔色が悪い、血の気が引いて青かったのが今は真っ白だ、ここまで来ると可哀想になってくる
俺もオリバーさんには少しイラッとしたけど、アストレア様の意図が分からないな、それとも俺以外にはこれが普通の対応なんだろうか?
「さあ、仕事の話をしましょうか。オリバー、例の物を出して頂戴」
「かしこまりました」
テーブルに出されたのは液体の入った瓶だった、オリバーさんは酒造りをしているんだから瓶に入ってるのは酒だろう
「シンさん、味見をして貰えるかしら」
差し出されたコップに注がれた液体は白く濁っている、てっきりワインだと思ったんだけど違うみたいだ、ブドウ以外の果実酒だろうか
「では頂きます、スンスン、ゴクン・・・」
不味い、凄く不味い!アストレア様には悪いけど酒場のワインよりはマシってレベルの味かもしれん、酒場のワイン飲んだ事無いけどな(笑)
この国だとこれでも美味しい酒なのかもしれんが、、、でもこの匂いと味は
「ふふっ、その顔だとこのお酒は不味いのね?こんなお酒でも貴族の間ではそれなりに人気なのよ」
「アストレア様、お言葉ですがこれは公爵様にもお売りしている酒です、なので・・・」
「こんな若造に味なんて分かる筈がない、そう言いたいのね」
「そっ、それは(汗)」
「まあいいわ、それでシンさんどうなのかしら」
「ええ、不味いですね雑味が多くて折角の酒の味が台無しです、ちなみにこの酒の原料は米でしょうか?」
この酒、雑味が多くて不味いんだけど、匂いと味は日本酒その物だ、濁っているという事は濁り酒だろうか?
俺も日本酒にそこまで詳しく無いから分からんけど、不純物が多くて濁っているだけという事も充分ありえそうだ
「残念だけど、このお酒に関して私が答えられる事は無いわね、製法等は個人の財産だから」
さてどうしたもんか、この酒が日本酒ならピスケス領には米がある!なんとか確保したいけど、、、
「アストレア様、質問なのですがどうして私にこのお酒を飲ませたのでしょうか?」
「理由は簡単よ、ゲオルグ様が気に入るお酒を用意出来るシンさんなら、このお酒に似た物も持っているんじゃないかと思ったの、偶然にも先日飲んだお酒が似た味で驚いたのだけれど」
「あぁ、あの酒ですか、よいしょっと、はいどうぞ」
収納からおでん屋でアストレア様達が飲んだ日本酒より少しだけ良い日本酒を取り出す、
ここで万が一にも美味しくないとか言われるのは駄目だろうからな
「さあ、オリバー飲んでみなさい」
「はい、頂きます、スンスン、んぐんぐ?!なっ、こっこれは、馬鹿な!!こんな事が、あり得ない、、、」
「その反応はお酒が美味しくて驚いたのかしら?それとも貴方の造るお酒と同じお酒だから驚いたのかしら?
ん~、両方かしらね♪オリバー分かったでしょう、貴方が見た目で判断した相手が如何に凄いかを、暫く席を外して一人で反省でもしていなさい」
「そっ、それでは失礼いたします」
あぁ~、オリバーさん折角顔色が戻って来てたのに、また白くなったちゃったよ、可哀想だと思うけど反省はして欲しい
「シンさんごめんなさいね、よく分からないやり取りで戸惑ったでしょう、今回の事はシンさんを利用させて貰ったのよ」
むむむ、どうゆうこと?
つづく。
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