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第7章 キャラバンシティ

第119話 うっかりは誰にでもある

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キャラバンシティ拡張計画の理由について聞く為に、ガゼル親方の工房にやってきた俺とニィナ

その理由は、ドワーフが旨い酒の為にしている事だった。

酒用の大麦畑や葡萄畑を作るとか、ドワーフが移住してくるとか色々あるけど

それらは以前から予定していた事だから問題無い、ただ予想していた規模が数百倍とか、千倍くらいになっただけだ

旨い酒が沢山出来て困る奴などいないから問題無いんだ!!




「それじゃあ聞きたい事は聞けたので、俺達はそろそろ失礼しますね」

「待て、まだ1番大事な話が残っとる!」

「他に何かありましたっけ?」

「うむ、お前さんが昨日の宴で出した料理だ、ありゃ何だ?」

「昨日の料理は確か豚肉がメインでしたよね、そんなに珍しい料理は無かったと思うんですけど」

「確かに既にあるような料理ばかりだったな、お前さんの出す料理は他の奴とは比べもんにならんくらいに旨いのは今更だから構わん。
だが、あのサクサクしたのは何だ?」

「サクサク?、、、多分豚カツの事ですね、豚肉に細かくしたパンを付けて油で揚げた物です」

「そうか豚カツか、あれは良い!外がサクサクなのに中は柔らかく、そしてビールに恐ろしく合う!」

「ええ、本当にあれは美味しかったわねぇ♪
最初は塩で食べてたんだけど、ケイトちゃんがね、他の人には内緒って言って黒いソースをかけてくれたの、それがまた美味しくてビールに合うんだもの♪」


そう言えばケイトはトンカツソース好きだったか、アジフライもタルタルソースじゃなくてトンカツソースで食べてたし


「お前さん、豚カツは売らんのか?豚カツの材料は豚肉とパンだから入手も難しく無いじゃろ?売れば皆買うと思うぞ」

「そうなんですけど、どこで売るかなんですよね」



豚カツを売るにしても本店で小売りはやらないし、露店で揚げ物は安全性の問題があるし、孤児院だと子供に揚げ物はまた安全性の問題がなぁ

残るは女将さんの宿だけど、宿泊者限定になっちゃうんだよ

俺が直接売るなら収納に揚げたての豚カツを入れて売りに行けるんだが、俺は会長として忙しい

冷めた豚カツを売っても温める方法が無いんだよな、フライパンで油無しで弱火でじっくり焼けば出来なく無いけど、どうしても味が落ちる

そもそも、調理技術が微妙なこの国の人に『弱火でじっくり焼く』という概念が無い

火は強火だけで、焼くと煮るしかないからな



待てよ、

カツサンドなら本店でカツだけ揚げて貰って、あとは孤児院の子供達でパンに挟めばいいか、カツサンドなら冷えても旨いからな♪

トンカツソースは本店の従業員にレシピを渡して作って貰おう、完成するまでは俺がソースだけ提供すればいい



「うーむ、やはり豚カツを売るのは無理か?」

「そうですねぇ、お二人だけならいいんですけど今は難しいです、でもカツサンドなら孤児院とか露店で売れそうです」

「カツサンド?」

「豚カツをパンに挟んだ物ですね、揚げたての豚カツを売るのは難しいので、冷めても美味しい物という事で良いかなと、お二人が食べた黒いソースも使いますよ♪」

「あら♪それは美味しそうね、豚カツが食べたくなったらシンさんにお願いすればいいんだし」

「いつでもどうぞ、ちょうどお昼ですしカツサンド食べませんか?味の感想も聞きたいんで」

「勿論食べるぞ!!」


確か昨日の残りの豚カツがあったはず、昨日のあの豚、100人で食べてもまだ半分以上残ってるんだよ

ウィンナーサンド用のパンに切れ込みを入れてカラシをたっぷり塗る、豚カツは切らずにそのまま千切りキャベツと一緒に豪快に挟み、トンカツソースをかければ完成だ

「お二人は辛いスパイス好きですか?」

「好きと言えるほど食べた事が無いんだけど」

「それじゃあ、カラシは小皿に置いとくんでお好みでどうぞ」

「おお!これがカツサンドか、豪快な見た目が良いな、では、あーん、、、、ふふっ♪ワハハハハハ、こりゃ旨い!パンに挟んだだけなのに豚カツとは全く違う旨さだな!」


そうなんだよ、カツサンドって豚カツをパンに挟んだだけで全然違う料理になるから不思議だよな

「この黄色いのも鼻にツンと来るんだけど、なんとも言えないアクセントになってるのね♪

ここまで美味しい料理を出されると、池田屋商会直営の食事も楽しめる酒場が欲しいわね、シンさんどうかしら?」

「今でも人手が不足気味なんで無理ですよ(汗)」

「そう、残念だけど今は私達も忙しいからもう少し待っててちょうだい」

「ええ、はい・・・」

あれ?

なんかこれ酒場やる流れですか?


うっかり返事しちゃったけど、断ってもドワーフだけで店やるんだろうなぁ

これはあれやな、なるようにしかならんやつや!





つづく。
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