テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
98 / 305
第6章 新たなる旅立ち

閑話 伊勢神幸子 その4

しおりを挟む
side:伊勢神幸子(いせがみさちこ)


「丘を越え行こうよ~」

「わん♪」

「口笛吹きつ~つ~」

「わん♪」


「あはははは、歌上手いね」

「わふっ♪」


もうすぐキャラバンシティかぁ、どんな街なんだろ?


「キャラバンシティにはもしかしてお前の飼い主がいるの?」

「くぅーん?」


ここ数日、この子と一緒にいてそれなりに会話が出来るぐらい知能が高い事が分かった。

ゴブリンなんて魔物がいるんだもの、人語を理解して会話が出来る犬がいても驚かない

でもなんでキャラバンシティに行きたいのかがよく分からない、でも絶対に行くって言うから仕方なく向かってるんだけど


「あっ?!」

「わふ?」


あの道の先の草影に隠れてるのってどう見ても盗賊だよね?


「ほらこっちにおいで、、、よいしょっと、えい!」 




「お頭!あの女犬を抱えて森に入りやしたぜ」

「ばかやろー!こっちに気づいて逃げたんだよ、早く追わねぇーか!こんな所にあんな身なりの良い女が独りでいるなんざ貴族か金持ちの娘が道楽で冒険者やってるに決まってんだ、捕まえて身代金を頂くぞ!」

「へへへ、そりゃいい♪捕まえたら俺たちも金持ちだな、ギャハハハハハ」




「うぉん?」

「ん?あいつらをやっつけないのかって?無理無理無理!人なんて訓練でしか戦った事無いんだから。それにあいつらあんまり強そうには見えなかったから、今の私の力じゃ手加減しても殺しちゃうよ!」

「うぅーー、わん!」


「ぎゃーーー!」

「いでぇー!」


あれ?

後ろの方でなにかあったみたいだけど、まあいいやこのまま逃げよう!


「がうがう!」

「はいはい、分かってますよ。キャラバンシティから遠ざかってるんでしょ?どっち?」

「わん♪」

「あっちね、とりあえずこのまま森の中を走って行くから道案内よろしくね」

「わふっ♪」




◇     ◇     ◇



ふぅー、やっとキャラバンシティに着いた。

それにしても立派な外壁だなぁ、街に入るのにお金は必要なのかな?


「とりあえずお前は鞄に入っといて、街に入るのにお金必要だったらお前の分までは払えないんだから」

「くぅーん」

「そんな顔しないの、街に入ったら直ぐ出してあげるから」




「キャラバンシティへようこそ、お嬢ちゃんこの街は初めてかい?」

「はっ、はい初めてです。あのう街に入るのにお金は必要ですか?」

「心配しなくても金はいらないよ、その代わり街に来た目的は教えて貰うけど」

「え、えぇーと、、、観光です。」

「かんこう?」

「はい観光です。えっと街を見たくて、、、」

「ああ、そういう意味か、最近この街は賑わってるからな、お嬢ちゃんみたいにわざわざ街を見に来る奴も多いんだよ、でも今からだと宿は一杯かもなぁ」

「そうなんですか?困ったなぁ、街の中で野宿してもいいですか?」

「そりゃ駄目じゃないけど、流石に女一人で野宿は危ないぜ、とりあえず池田屋商会がやってる宿に行ってみな、あそこは一人もんの女には優しいし従業員も女ばかりだ。相談もしやすいだろ」

「それじゃあそこに行ってみますね、ありがとうございました」

「気を付けてな」


門兵の人、イケダヤ商会って言ってたよね、なんだか日本っぽい名前だけど、、、まさかね


「わう!」

「ごめんごめん今出してあげるから」

「わん!」

「えっ?!急に走り出してどうしたのー、待ってよー!」






「わん♪」

「はぁ、はぁ、もう!勝手に行ったら駄目だよ、ってここイケダヤ商会じゃない、、、え?これって漢字だよね」


入り口の看板には、この国の文字で大きく『イケダヤ商会』って書いてあるけど

その下に漢字で小さく『池田屋商会』って書いてる

池田屋って新選組に出てきたよね?日本人だ、日本人がいる!

もしくは日本に詳しい外国人かもしれないけど

少なくとも日本の事を知ってる人がいるんだ!

確かめなくちゃ!


「こんにちはー、どなたかいらっしゃいますかー?」

「はーい、いらっしゃいませ、えっと、お嬢さんは商人ではないですよね?」

「はっ、はい、違います」

「ごめんなさいね、ここで小売りはしてないんですよ、欲しいものを教えて頂ければお店を紹介しますよ」

「いえ、実は人を探してまして、ここに池田さんは居ますか?」

「イケダですか?そのような名前の従業員は居ませんけど」

「えっ?でもここって池田屋商会ですよね?池田さんが作ったんじゃないんですか?」

「作ったのは会長ですけど、イケダという名前ではありませんよ」

「じゃ、じゃあ近藤さんか、土方さんって名前の人は居ませんか?」

「コンドー、ヒジカタ?聞いた事無いですねぇ」

「じゃあ沖田さんは?」

「ちょ、ちょっと待って、お嬢さんが言ってるのって外国の名前ですよね?そういう名前の人はウチには居ませんよ」


どういう事なんだろ?わざわざ漢字を使ってるんだから自分の存在を教えてるんだよね?


「ちなみに会長さんの名字、、、家名は何て言うんですか?」

「会長の家名ですか、何だろう?聞いた事無いけど

あっ!ちょうどよかったミリアリア様ー!」

「あらどうしたの?でもお客様の前で大きな声を出しては駄目よ」

「申し訳ございません、実はこちらのお客様が会長の家名を知りたいと仰って、私は知らないのでミリアリア様なら知ってるかと思いまして」

「シン君の家名ねぇ、あっても驚かないけど聞いた事無いわね。
という事なのよお嬢さん、私達も知らなくてごめんなさいね」

「いえ、突然来てお邪魔しました」




はぁ~、どうしよ外国の人なのかなぁ?


「わん♪」

「心配するなって?ここにお前のご主人様がいるんじゃないの?」

「わふっ」

「当たらずとも遠からず、ってますます意味が分かんないよ(泣)」

ペロペロペロペロペロペロ

「わっ?!あははは、くすぐったいよ分かったから顔舐めないで、それでこれからどうしたらいいの?」

「わん♪」

「はいはい、向こうに行くのね、、、

ん?ここは、、、池田屋商会の宿

やっぱり池田屋商会に会わせたい人が居るのね?」

「わん!」

「よし、それじゃあここで働けないか聞いてみるね、こんにちはー!」


「いらっしゃい、悪いんだけど部屋は一杯なんだよ」

「あの!突然なんですがここで雇って貰えませんか?」

「本当に突然だねぇ、でも今はウチの会長が不在だから勝手に雇えないんだよ」

「無理は重々承知していますけど、そこをなんとか、、、私計算が出来ます!それに雑用でも何でもいいので、この子を飢えさせたくないんです!」

「わん♪」

「おや?可愛い子を連れてるじゃないか

ふふっ、あの子が初めてお嬢ちゃんを連れて来た時を思い出すねぇ

よし、会長が戻って来るまで雇う事は出来ないけどウチはまだまだ人手不足だからね、洗濯とか部屋の掃除してくれるなら食事ぐらいは出すよ、部屋はどっか空いてるだろ、それでいいかい?」

「はい、ありがとうございます!」

「わん♪」




あの看板に漢字を書いた人が戻って来るまで頑張らなくっちゃ!


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

最弱引き出しの逆襲 ― クラス転移したのはいいけど裏切られたけど実は最強だった件

ワールド
ファンタジー
俺、晴人は普通の高校生。だけど、ある日突然、クラス全員と一緒に異世界に飛ばされた。 そこで、みんなは凄い能力を手に入れた。炎を操ったり、風を呼んだり。でも、俺だけが"引き出し"なんていう、見た目にも無様な能力を授かった。戦いになんの役にも立たない。当然、俺はクラスの笑い者になった。 だけど、この"引き出し"、実はただの引き出しではなかった。この中に物を入れると、時間が経つにつれて、その物が成長する。最初は、その可能性に気づかなかった。 でも、いつしか、この能力がどれほどの力を秘めているのかを知ることになる。 クラスメイトたちからは裏切られ、孤立無援。でも、俺の"引き出し"が、みんなが見落としていた大きな脅威に立ち向かう唯一の鍵だったんだ。知恵と工夫で困難を乗り越えて、俺は最弱から最強へと変貌する。 工夫次第で幾らでも強くなれる引き出し能力で俺は成りあがっていこう。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

陣ノ内猫子
ファンタジー
 神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。  お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。  チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO! ーーーーーーーーー  これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。  ご都合主義、あるかもしれません。  一話一話が短いです。  週一回を目標に投稿したと思います。  面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。  誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。  感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)  

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

処理中です...