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第5章 いつかの為に
閑話 ニィナ
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side:ニィナ
「乾杯」
「はい♪」
私は今、主様と2人で日本酒というお酒を飲んでいます。
主様は早い時間に寝るのが苦手らしく、寝付けない時にはこうして私とお酒を飲んで下さいます。
私も主様も口数が多くありません。
なのでお酒を飲んでいる時はお互いに無言でいる事がほとんどです。
たまにカスミとスミレの様子をお聞きになるくらいでしょうか
奴隷の身としては、主様に楽しんで頂く為に何かしらの会話をすべきなのでしょうが
私が出来る話と言えば、気配の消し方と暗殺の方法ぐらいです。
それらがお酒を飲みながらする話で無い事ぐらい私にも分かります。
そうなると困った事に話す事がありません
私が困っていると主様は私の盃にお酒を注いで下さいました。
そのお顔は楽しげであり、とても嬉しそうに見えました。
私の何処に楽しくなる要素があったのかは分かりかねますが、そんな主様のお顔を見て私も嬉しくなります♪
今まで幾人もの主君にお仕えしてきましたが、これほどまでに会話をせずとも自然体でいられる御方は初めてです。
普通は奴隷と酒を酌み交わすなどあり得ないというのに
そんな不思議な主様に教えて頂き、最近の私の日課になっているのが浅漬け作りです。
きっかけはある日の朝食に出された白菜の浅漬けでした。
初めて見た時、それは時間が経ち古くなって萎びてしまった野菜だと思いました。
そのような物を、主様やお嬢様に食べさせる訳にはいかないと急いで食べたのですが
、、、
今では良き思い出です(照)
後にそれは『漬け物』という料理だと教えて頂きました。
専用の液に野菜を漬け込むだけで出来る至高の料理です!
漬け込む時間が短時間の物を主に浅漬けと言うのだそうです。
上級者は『糠』という物に漬けて作るらしいのですが、いずれ挑戦してみようと思っています。
今は専用の液を使った浅漬けを極めるのが先です!
何故なら浅漬けは、主様から頂いた日本酒というお酒にとても合うからです♪
主様は徳利と呼ばれる入れ物で日本酒を2本飲まれるとお休みになります
どうやらまわりに迷惑をかけないように、最初から飲む量をお決めになられているご様子
酔って暴れられるのは困りますが、主様にはもっと自由に生きて欲しいと願うのは私の我が儘なのでしょうね
主様がお休みになられれば私は自分の部屋に戻ります
しかし、こうして主様に呼ばれるようになってから少し困った事があります。
私はカスミとスミレと同じ部屋であり、主様から頂いた特別に大きなベッドで3人一緒に寝ているのですが
私が主様の部屋から戻って来ると、スミレが眠りながら涙を流しているのです。
もしかしたら亡き両親を思い出しているのかもしれません
スミレはまだまだ両親に甘えたい年頃、その事を思えばとても頑張っています。
そして、カスミは涙こそ流しませんが、時折とても寂しそうな顔をして窓の外を眺めています。
辛いでしょうけれど自ら乗り越えるしかありません
主様に相談すれば解決策を考えて頂けるかもしれません
ですが
我々奴隷は主様に甘えてはいけないのです
自ら主様に優しさを求めてもいけないのです。
もっと厳しいご主人様なら
もっと仕事を与えて下さるご主人様なら
過去を振り返る余裕も無いくらい忙しい毎日だったなら、、、
主様の優しさのお陰で、私達は心にも体にも余裕が出来ました。
もしかしたらそれがいけなかったのかもしれません。奴隷としては贅沢な悩みなのですが
眠っているスミレとカスミの頭を、私はある想いを込めてそっと撫でます。
願わくは
生涯、主様の奴隷でいられますようにと
「乾杯」
「はい♪」
私は今、主様と2人で日本酒というお酒を飲んでいます。
主様は早い時間に寝るのが苦手らしく、寝付けない時にはこうして私とお酒を飲んで下さいます。
私も主様も口数が多くありません。
なのでお酒を飲んでいる時はお互いに無言でいる事がほとんどです。
たまにカスミとスミレの様子をお聞きになるくらいでしょうか
奴隷の身としては、主様に楽しんで頂く為に何かしらの会話をすべきなのでしょうが
私が出来る話と言えば、気配の消し方と暗殺の方法ぐらいです。
それらがお酒を飲みながらする話で無い事ぐらい私にも分かります。
そうなると困った事に話す事がありません
私が困っていると主様は私の盃にお酒を注いで下さいました。
そのお顔は楽しげであり、とても嬉しそうに見えました。
私の何処に楽しくなる要素があったのかは分かりかねますが、そんな主様のお顔を見て私も嬉しくなります♪
今まで幾人もの主君にお仕えしてきましたが、これほどまでに会話をせずとも自然体でいられる御方は初めてです。
普通は奴隷と酒を酌み交わすなどあり得ないというのに
そんな不思議な主様に教えて頂き、最近の私の日課になっているのが浅漬け作りです。
きっかけはある日の朝食に出された白菜の浅漬けでした。
初めて見た時、それは時間が経ち古くなって萎びてしまった野菜だと思いました。
そのような物を、主様やお嬢様に食べさせる訳にはいかないと急いで食べたのですが
、、、
今では良き思い出です(照)
後にそれは『漬け物』という料理だと教えて頂きました。
専用の液に野菜を漬け込むだけで出来る至高の料理です!
漬け込む時間が短時間の物を主に浅漬けと言うのだそうです。
上級者は『糠』という物に漬けて作るらしいのですが、いずれ挑戦してみようと思っています。
今は専用の液を使った浅漬けを極めるのが先です!
何故なら浅漬けは、主様から頂いた日本酒というお酒にとても合うからです♪
主様は徳利と呼ばれる入れ物で日本酒を2本飲まれるとお休みになります
どうやらまわりに迷惑をかけないように、最初から飲む量をお決めになられているご様子
酔って暴れられるのは困りますが、主様にはもっと自由に生きて欲しいと願うのは私の我が儘なのでしょうね
主様がお休みになられれば私は自分の部屋に戻ります
しかし、こうして主様に呼ばれるようになってから少し困った事があります。
私はカスミとスミレと同じ部屋であり、主様から頂いた特別に大きなベッドで3人一緒に寝ているのですが
私が主様の部屋から戻って来ると、スミレが眠りながら涙を流しているのです。
もしかしたら亡き両親を思い出しているのかもしれません
スミレはまだまだ両親に甘えたい年頃、その事を思えばとても頑張っています。
そして、カスミは涙こそ流しませんが、時折とても寂しそうな顔をして窓の外を眺めています。
辛いでしょうけれど自ら乗り越えるしかありません
主様に相談すれば解決策を考えて頂けるかもしれません
ですが
我々奴隷は主様に甘えてはいけないのです
自ら主様に優しさを求めてもいけないのです。
もっと厳しいご主人様なら
もっと仕事を与えて下さるご主人様なら
過去を振り返る余裕も無いくらい忙しい毎日だったなら、、、
主様の優しさのお陰で、私達は心にも体にも余裕が出来ました。
もしかしたらそれがいけなかったのかもしれません。奴隷としては贅沢な悩みなのですが
眠っているスミレとカスミの頭を、私はある想いを込めてそっと撫でます。
願わくは
生涯、主様の奴隷でいられますようにと
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