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第5章 いつかの為に
第69話 昔のはなし
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「それじゃあニック、スナック、今日もたくさん売ってこいよ!アンさん達も頑張って下さいね~」
「アニキに言われなくても売ってくるよ!」
「アニキ行って来まーす♪」
「「「会長さぁ~ん、行って来まぁ~す♪」」」
今日も元気にリヤカーを引いてクレープ販売に行く、ニック、スナック、そしてアンさんと新しく雇った元娼婦の女性2人を見送る
商会を立ち上げた影響で従業員から会長さんと呼ばれるようになってしまった。
最初は『会長様』だったがどうにか『会長さん』と呼んで貰えるようになったんだ。
奴隷達からは相変わらず『ご主人様』としか呼ばれないがそれはもう諦めている。
クレープ販売は順調で、今ではリヤカー2台に材料を積んで1日かけて300個ほど売っている。
値段はクレープ1個銅貨5枚で材料費は3割以下になるようにしているのでなかなかの売り上げだ。
今は儲けの殆どを俺が受け取っているが、休業補償や退職金等の為に積み立てている。
ただもう少し効率的に売れないかと考え中なんだ。クレープもしばらくすれば客の数が落ち着いて来るだろうから
そのタイミングでベーコンやチーズを挟んだ食事クレープを売ってみようかと考えている
そうすればまた客が殺到するのは予想出来るし、飽きられないようにしつつ、常連客を増やさないと長く続けていけないからな
その前にチーズのレシピも登録しとかないといけないし、貴族向けのコサージュも作らなきゃいけないしやる事多いなぁ
とりあえず
今はお茶飲んでダラタラしよう。従業員が増えたお陰で俺が朝からやる仕事はあまり無い
だし巻き玉子も新しい奴隷達に作り方を教えている最中だし
奴隷なら裏切られる心配もないから遠慮なくスキルの「店」で買った調味料を見せる事が出来る。
「おーいおにいちゃーん、親方さんが来てるよー」
親方と言えばドワーフのガゼル親方か、朝から来るなんて珍しいな
「ありがとうメリル、直ぐ行くよ」
「おう!急に来てすまんな、ミリアリアに聞いたら午前中は比較的暇だろうって言ってたからよ」
「構いませんよ実際暇ですしね。それで今日はどうしたんですか?」
「お前さんこの前ウチのに珍しい酒を渡してたろ?」
「オリビエさんにあげた酒ですか?馬の絵が描いてるのですよね、味どうでした?」
「そう、それなんだがなぁ、、、ワシは一滴も飲んどらんのだ、ウチのがそりゃあ旨そうに飲んどったがなぁ
だがあれは自分が貰った物だからとワシにはくれんのだ。しかもだ、一気に飲むんじゃなくて毎晩チビチビ飲むなんてありえんじゃろ!
ワシらドワーフが酒を目の前にして次の日の為に取っておるなど異常じゃ。それを見た時はこの国の終りかとおもうたぞ」
「いやいや、この国の終わりは大袈裟でしょう(笑)」
「まあお前さんは人族じゃから知らんだろうが、ワシらドワーフにとって酒は国より大事なんじゃ
今から何百年昔の話しになるか、その昔ドワーフの始祖と呼ばれる王がいた時代に、他国から攻められた事がある
1度目の侵攻をなんとか撃退したまではよかったが、とある街が包囲されたんじゃ
敵に包囲された街は、酒を飲む暇も与えん程に攻撃され続けた結果、その街は奪われ住民は虐殺されてしもうた。
酒を飲んでないドワーフなどエルフの細腕以下の力じゃからな
それに憤怒した当時のドワーフ達は国を捨てて、一族総出で相手の国に乗り込んだんじゃ
結果はお互いの国が地図から消える事になったがの
激しい戦いの末、ドワーフの秘技で相手の城を瓦礫に変え王族を捉えたまでは良かったが
もぬけの殻となったドワーフ国を周辺国が放っておくわけは無いからの
ワシらドワーフにとって酒を断たれるのは国を奪われるより辛い事でな、当時のドワーフ達を偲んで悲劇は繰り返さんと誓い、酒を飲みきるんじゃ」
「ドワーフにそんな歴史があったなんて」
「まぁそれも今や昔のはなし、旨い酒があるのに残すなど勿体ないってだけじゃよ、ガハハハハハハハハ」
「それで親方さんは何しに来たんですか?」
「おう、すっかり本題を忘れとったわ、お前さんのあの琥珀色の酒、あれは手に入れるのは難しいんか?」
「少量でよければ定期的に仕入れますけど」
「マジか?!ヒャッホー♪そんなら可能な限り仕入れてくれ、金なら幾らかかっても構わん」
「それは構いませんけど、親方さんはあの酒飲んで無いんですよね?それなのにいいんですか?」
「ワハハハハハハ、ウチのがあれだけ旨そうに飲んどるんだ旨いに決まっとる!」
「あのう、親方さんには悪いんですけど俺も商人の端くれ、勝手に旨いと決めつけられちゃあ、はいそうですかと売れませんよ」
「なっ?!なななななななんじゃと!!」
「あははは、驚かせちゃいましたね、買う前に味見して納得してから買って欲しいだけですよ、、、はいどうぞ」
「おっ、おう、しかしお前さん気前よく味見させてくれるのは嬉しいが、そんな事しとると商売相手に舐められやせんか?」
「俺にも譲れないもんがあるんですよ、ドワーフにとっての酒のようにね」
「そうか、それはすまんかったこの通り許してくれ」
「ちょっと止めて下さいよ!気にしてませんから。とにかく酒の味を確かめて下さいよ、酒精が強いんで気を付けて下さいね」
「うむかたじけない。
しかし酒精が強いと言うてもワシは火酒も飲んだ事があるからの、酒精の強さには慣れとるぞ、、、んぐんぐ、くぅーー!
うんめぇーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
つづく。
「アニキに言われなくても売ってくるよ!」
「アニキ行って来まーす♪」
「「「会長さぁ~ん、行って来まぁ~す♪」」」
今日も元気にリヤカーを引いてクレープ販売に行く、ニック、スナック、そしてアンさんと新しく雇った元娼婦の女性2人を見送る
商会を立ち上げた影響で従業員から会長さんと呼ばれるようになってしまった。
最初は『会長様』だったがどうにか『会長さん』と呼んで貰えるようになったんだ。
奴隷達からは相変わらず『ご主人様』としか呼ばれないがそれはもう諦めている。
クレープ販売は順調で、今ではリヤカー2台に材料を積んで1日かけて300個ほど売っている。
値段はクレープ1個銅貨5枚で材料費は3割以下になるようにしているのでなかなかの売り上げだ。
今は儲けの殆どを俺が受け取っているが、休業補償や退職金等の為に積み立てている。
ただもう少し効率的に売れないかと考え中なんだ。クレープもしばらくすれば客の数が落ち着いて来るだろうから
そのタイミングでベーコンやチーズを挟んだ食事クレープを売ってみようかと考えている
そうすればまた客が殺到するのは予想出来るし、飽きられないようにしつつ、常連客を増やさないと長く続けていけないからな
その前にチーズのレシピも登録しとかないといけないし、貴族向けのコサージュも作らなきゃいけないしやる事多いなぁ
とりあえず
今はお茶飲んでダラタラしよう。従業員が増えたお陰で俺が朝からやる仕事はあまり無い
だし巻き玉子も新しい奴隷達に作り方を教えている最中だし
奴隷なら裏切られる心配もないから遠慮なくスキルの「店」で買った調味料を見せる事が出来る。
「おーいおにいちゃーん、親方さんが来てるよー」
親方と言えばドワーフのガゼル親方か、朝から来るなんて珍しいな
「ありがとうメリル、直ぐ行くよ」
「おう!急に来てすまんな、ミリアリアに聞いたら午前中は比較的暇だろうって言ってたからよ」
「構いませんよ実際暇ですしね。それで今日はどうしたんですか?」
「お前さんこの前ウチのに珍しい酒を渡してたろ?」
「オリビエさんにあげた酒ですか?馬の絵が描いてるのですよね、味どうでした?」
「そう、それなんだがなぁ、、、ワシは一滴も飲んどらんのだ、ウチのがそりゃあ旨そうに飲んどったがなぁ
だがあれは自分が貰った物だからとワシにはくれんのだ。しかもだ、一気に飲むんじゃなくて毎晩チビチビ飲むなんてありえんじゃろ!
ワシらドワーフが酒を目の前にして次の日の為に取っておるなど異常じゃ。それを見た時はこの国の終りかとおもうたぞ」
「いやいや、この国の終わりは大袈裟でしょう(笑)」
「まあお前さんは人族じゃから知らんだろうが、ワシらドワーフにとって酒は国より大事なんじゃ
今から何百年昔の話しになるか、その昔ドワーフの始祖と呼ばれる王がいた時代に、他国から攻められた事がある
1度目の侵攻をなんとか撃退したまではよかったが、とある街が包囲されたんじゃ
敵に包囲された街は、酒を飲む暇も与えん程に攻撃され続けた結果、その街は奪われ住民は虐殺されてしもうた。
酒を飲んでないドワーフなどエルフの細腕以下の力じゃからな
それに憤怒した当時のドワーフ達は国を捨てて、一族総出で相手の国に乗り込んだんじゃ
結果はお互いの国が地図から消える事になったがの
激しい戦いの末、ドワーフの秘技で相手の城を瓦礫に変え王族を捉えたまでは良かったが
もぬけの殻となったドワーフ国を周辺国が放っておくわけは無いからの
ワシらドワーフにとって酒を断たれるのは国を奪われるより辛い事でな、当時のドワーフ達を偲んで悲劇は繰り返さんと誓い、酒を飲みきるんじゃ」
「ドワーフにそんな歴史があったなんて」
「まぁそれも今や昔のはなし、旨い酒があるのに残すなど勿体ないってだけじゃよ、ガハハハハハハハハ」
「それで親方さんは何しに来たんですか?」
「おう、すっかり本題を忘れとったわ、お前さんのあの琥珀色の酒、あれは手に入れるのは難しいんか?」
「少量でよければ定期的に仕入れますけど」
「マジか?!ヒャッホー♪そんなら可能な限り仕入れてくれ、金なら幾らかかっても構わん」
「それは構いませんけど、親方さんはあの酒飲んで無いんですよね?それなのにいいんですか?」
「ワハハハハハハ、ウチのがあれだけ旨そうに飲んどるんだ旨いに決まっとる!」
「あのう、親方さんには悪いんですけど俺も商人の端くれ、勝手に旨いと決めつけられちゃあ、はいそうですかと売れませんよ」
「なっ?!なななななななんじゃと!!」
「あははは、驚かせちゃいましたね、買う前に味見して納得してから買って欲しいだけですよ、、、はいどうぞ」
「おっ、おう、しかしお前さん気前よく味見させてくれるのは嬉しいが、そんな事しとると商売相手に舐められやせんか?」
「俺にも譲れないもんがあるんですよ、ドワーフにとっての酒のようにね」
「そうか、それはすまんかったこの通り許してくれ」
「ちょっと止めて下さいよ!気にしてませんから。とにかく酒の味を確かめて下さいよ、酒精が強いんで気を付けて下さいね」
「うむかたじけない。
しかし酒精が強いと言うてもワシは火酒も飲んだ事があるからの、酒精の強さには慣れとるぞ、、、んぐんぐ、くぅーー!
うんめぇーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
つづく。
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