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第5章 いつかの為に

第66話 お洒落小物販売開始

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「お嬢様、ただいま戻りました。」

「ニィナおかえり~、っておにいちゃん大丈夫?!」

「あぁ、大丈夫だよ少し疲れただけだから、そんな事よりコレどうかなデザインと全く一緒っていうのは無理だったけど、出来映えは良いと思うんだ」


俺はさっそくメリルのデザインを参考に作った、コサージュやリボンを付けたヘアゴムとシュシュを取り出す。


「えっ?!もう出来たの!!凄い♪わぁーこの透けた布のリボン凄く可愛い、それにわたしの描いたデザインとほとんど一緒だよ!
ありがとうおにいちゃん♪」


「メリルのデザインが良かったからね、その透けた布はレースって言うんだ、他にもいろんな布を仕入れたからさ新しいデザイン考えてみてよ」

「うん♪さっそく描いてみるね」


そう言うとメリルは布を抱えて2階に行ってしまった。


「やっぱダンナはお嬢に甘いねぇ」

「あぁ、俺は酒も好きだが甘いものも好きだからな」

「ん?それってお嬢に甘いのと関係あるの?」

「はははは、今のは大した意味は無いよ。でもケイトがあと10年も生きれば分かるかもな」

「いや意味が分かんないよ、分かんないけどなんか悔しいって気持ちになってるのは何でだろ?なぁダンナァ今教えてよぉ~」

「10年経ったらな、さぁて飯の準備しないとな」

「そりゃないよダンナァ(泣)」

「ケイト殿、私は10年待つなど何の苦もありませんよ」

「むぅ~、あたしは20年待てるから!」

「「ぐぬぬぬぬぬ!」」


またか

あの2人たまにどうでもいい事で張り合うんだから困ったもんだよ


さてと飯を作ろう。

八宝菜は決定だからメインの肉料理は酢豚にしよう。野菜は八宝菜で充分だから酢豚は肉オンリーだな


「カスミー、野菜切って炒めてくれー」

「はいっ!」


カスミが八宝菜を作る間に俺は酢豚を作る。いつも肉を揚げるのが面倒だから焼いた豚肉に甘酢餡を絡めるだけなんだよな

今日は余ってた茹で豚を焼いて甘酢餡を絡めるだけのお手軽酢豚、あっという間に完成だ♪


「スミレー、メリルを呼んできてくれー」

「はーい♪」





「よしみんな揃ったな、いただきます」

「「「「「・・・いただきます」」」」」


「なぁダンナ、大丈夫だと思うんだけどさ、なんか酸っぱい匂いがするのは気のせいかな?」

「そりゃあ酢豚だからな、、、あぁ~、そういう事か、みんな微妙な顔をしてると思ったら腐ってると思ってたんだな?」

「ダンナが作ってるのは見てたけどさ、やっぱ確認しとかないと危険だから」

「気にすんな酢豚を初めて見た奴の定番の反応だからさ、当然食べて問題無いよ」

「それじゃあ、あーん、、、旨っ!酸っぱいのに旨いし甘い肉がまた旨いよ!」

「ケイト、その肉を食ったあとに飲む冷えたビールは最高に旨いぞ♪」

「マジかよ?!んぐんぐんぐ、ぷはぁ~~♪こりゃ最高だな(笑)」

「主様、この具を一緒に食べると至高の食感になります!!」

「八宝菜の椎茸と筍か、どっちも食感が楽しいよな。
そうだメリル、工房で露店で使う商品棚を作って貰ってるから完成したら売りに行けるよ」

「やったー♪それまでに沢山つくらなくちゃ!」

「お嬢様、私もお手伝いしますので沢山作りましょう!」

「うん、沢山作ろうねニィナ♪」


◇     ◇     ◇


翌日

現在俺達は街の広場に来ている

工房で頼んでいた商品棚も無事受け取って来たから、今日からお洒落小物販売開始だ!


先ずは商品の陳列

この街では立体的な商品陳列を見た事がない。例えばフックを使って吊るしたり壁に掛けて陳列するとか

元世界では当たり前なんだけど、こういう所の発展も遅いのかな?

あと商品を良く見せる為に棚を黒く塗ったんだ、この黒い商品棚を置いてるだけで他の露店よりめちゃめちゃ目立つ、、、

目立つのは当然なのだが、準備しようとしていてまだ何も無いのに何故か人が集まり列を作っているのはちょっと困る

困惑しているとケイトが話しかけてきた。


「やっぱり集まって来ちゃったなぁ、今話題のダンナが直接準備してんだからこうなるよ」

「それにしても商品も何も無い状態で並ぶのはどうなんだ?」

「そりゃあ今までのダンナが扱う商品が凄過ぎたからなぁ」


そんな話をしてる場合ではない、早く陳列しないと

今回の値段設定は銅貨1~5枚でかなり細かく分けた、出来るだけ気軽に買えるようにっていうのと

逆に、かんざしは銀貨2枚と高値にしてみた。

はっきり言ってこれは売る気が無い。こんなのも有りますよって感じで見てもらって、刺激になれば良いなと思っている

その結果誰かが真似して作って安く売ってくれるのを期待している。

こういう芸術とか文化的な発展も促していかないと経済を回すって事に繋がらないからな



そんな事を考えながら、俺は少し離れた所でお茶を飲みながら露店を眺めている

売る事は俺の役目では無いからだ。

客が殺到して大変そうではあるけどメリルも我が家のみんなも楽しそうだから問題ない



「あら、こんな所でお茶を飲んで何してるのかしら?」


突然声をかけられたので振り返ると、商業ギルドのギルドマスターでエルフのミリーさんがニヤニヤしながら俺を見ている


「ミリーさんじゃないですか、勿論露店を眺めて楽しんでる最中です♪」

「まあそれはいいのだけど、まさかまだあんな商品を持っていたなんて驚いたわ、また騒ぎになるわよ」

「今更騒ぎのひとつやふたつ問題無いですよ。それより良いでしょあの布の花とリボン、メリルがデザインを考えた物なんですよ♪」

「そうなの?!まさかあの子にそんな才能があったなんて、どうしてシン君の周りにはそんなに才能の有る人が集まるのかしら?」

「集まるっていうか、たまたま見つけた才能の生かす場を与えただけで、あとは本人の努力ですよ」

「ふふっ、いつもはあまりやる気が無い感じなのに、色々考えているんだから♪」

「そうそう、あの布の花はコサージュって言うんですけど今回はちゃんと貴族用に華やかで豪華なのも作る予定なので楽しみにしてて下さいよ♪」

「そう、それは良かったわ、、、」

「あのう、ミリーさん?なんか疲れてますか?」

「そうね少し疲れてるかもね、でも大丈夫よ、あなたのお陰でギルドも儲かっているし里のエルフ達も暮らしが良くなってるの

だから、今更貴族に質問攻めにされる事のひとつやふたつやみっつ増えても何も問題無いわ、、、」


ぐはぁっ!

これは俺のせいでミリーさんが相当お疲れの御様子(汗)


「ミリーさん、こんな時は甘い物ですよ!ケーキ食べましょ」


俺はおやつ用に収納にストックしてある中から、甘酢っぱいクランベリーソースを間に挟んだイチゴのショートケーキを取り出す

疲れた時は甘いのと酸っぱいの両方食べるのがいいだろう


「ケーキ、、、いただきます、あーんっと、、美味しい、本当に美味しいわぁ~(泣)」


あぁー、泣いてしまったよ、これからは定期的に甘い物を差し入れますから、貴族の相手は任せますね

ミリーさんファイトです!!

俺は超絶無責任に、心の中でミリーさんにエールを送るのだった。





つづく。
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