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第5章 いつかの為に

第62話 下着

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宿屋の女将さんが帰ったので、俺はニィナと商業ギルドのミリーさんに会いに来た。

池田屋商会に元アメジスト商会を組み込む計画だと聞いたから、それを確認する為だ。


「ミリーさんこんにちは、今日は元アメジスト商会を池田屋商会に組み込むって話を聞いたのでどういう事か伺いたくて来ました」

「ヘレンさんから聞いたのね?その通りアメジスト商会は無駄に大きくて、取引先も多いし商品輸送専門の御者や護衛の冒険者等々、経験のある人達を手放すのは勿体無いのよ

それに穀物は庶民の生活に欠かせない物だから、取り扱う商人は慎重に選ばなければならないの

とはいえ、インポースのような悪徳商人を見抜けなかったのは私のミス、だから今回は私が責任を持って監視するわ。

それに会長のインポースとその家族が全員捕まったせいで、かなりの数の下働きの奴隷が主人不在になってしまい、奴隷商会に返されるのを私とアストレア様で待って貰っているの

それら全てをシン君の商会で引き受けて欲しいのよ」

「急にそんな事を言われてもそんな大人数、俺では面倒見れませんよ(汗)」


「そこは問題無いわ。シン君の商会だけどしばらくはアストレア様が管理なさるから、勿論私も協力するわよ!

奴隷に関しては普通の従業員として働いて貰う予定よ。元々アメジスト商会で住み込みだったからちゃんと賃金を払えば放っておいても問題無いし

勿論儲けはシン君の物だし商会長としてあそこをもっと大きくしてくれても構わないわよ♪

私もアストレア様も、シン君ならそれくらい簡単に出来ると確信しているからこそ今回のようなやり方にしたの」

「評価してくれてるのは嬉しいですけどね。俺は人を使う事に馴れてませんから、赤字にならないようにするので精一杯ですよ」

「ふふっ、それで充分よ楽しみにしてるわ」


『コンコン、ガチャ』

「ミリアリア様、アストレア様が来られました」

「あら?急な訪問ね、御通しして」

「かしこまりました」


「急にごめんなさいねミリアリア、あら♪シンさんもいたのね、使いを出す手間が省けてちょうど良いわ

実はこの街の領主の件で戻らなくてはいけなくなって、挨拶に来たのよ」

「予定ではもう新しい領主が来てる頃ですよね?」

「それは周りの状況が変わったせいね。今この街は貴族の注目の的なの。新しい料理のレシピ1つだけでも莫大な利益なのに、それが次から次にレシピが登録されるのだから、どうにかして手に入れたい貴族から抗議が来るのよ

とは言っても嫉妬から来るただの愚痴なのだけど

だからこの街の領主には爵位やお金に惑わされない者が必要なの、それで選定に時間がかかっているのよ」

「俺のせいで苦労をお掛けしているようで、申し訳ございません。」

「謝る必要は無いのだけど、、、ふふっ、そうねシンさんからお詫びの品が欲しいわ♪」

「お詫びの品ですか?私に用意出来る物でよければ何でも構いませんが」

「それじゃあミリアリアから聞いたのだけど私下着が欲しいわ♪」

「あぁっ!アストレア様ずるいです。私もシン君の持ってる下着が欲しいんですから!

この前もシン君に下着について質問したのにはぐらかされちゃったし」


先日ニィナにあげた下着について質問攻めにされたばかりだ、その時はなんとかごまかしたのだが(汗)

俺がニィナにあげたのはいわゆる『スポーツブラ』と『ボクサーパンツ』

普段ニィナとケイトは動き易いように布を巻いて胸を潰していると聞いて、試しにプレゼントしたんだ。

結果は、最高の着心地らしい。

この世界の技術レベルから言えば当然の結果だけど、ちなみにこの国に元世界のような下着は無い

かろうじて貴族がキャミソールのような物を着るぐらいで、庶民は何も着ないか布を巻くだけだ。

まさか詫びの品で下着を要求されるとは思わなかったが、貴族にスポーツブラはなんか違う気がする。

おっさんである俺は女性用下着に詳しく無い。

かろうじて知ってるのはブラジャーは正しく付けないと駄目で、付けるのにかなりの技術がいるっていうのをテレビで見た事があるくらい

そんな俺に下着を要求されても困る(汗)


だがしかし

胸に合わないブラジャーを渡して、形が崩れたりするのは男として絶対に許されない!


「あの、アストレア様にミリーさん、俺は男ですので女性の下着については詳しくないのですが」

「あらあら、ニィナさんには下着をあげたのでしょう?私も同じ物で構わないわよ」

「流石にニィナと同じ物をアストレア様に差し上げる訳には、サイズも分かりませんし」

「という事はサイズが分かれば他の種類の下着を貰えるのね♪」

「それは本当なのシン君?!」


おぅふ、これは俺が収納に色んな商品を持ってるのを確信して言って来てるやつやん(泣)


「わっ、分かりましたから、今俺が持ってるのはこれで全部です。御自分に合うサイズで好きなのを差し上げます」


アストレア様相手に抵抗は無駄だと悟った俺はスキルの「店」で1番シンプルなデザインのノンワイヤーのブラジャーとショーツのセットを

全サイズと色違いの物をすべて購入してテーブルに出した。


「あらあらあらあら!こんなに沢山、色もとても綺麗だわ♪どうしましょう、ねぇねぇミリアリアは何色が好きなの?」

「私ですか?ピンクですかね、でも水色も良いですよね?」

「そうねぇ、あなたは髪の毛が黒いから黒で揃えるのはどうかしら」

「ねぇシン君はどう思うかしら?」

「確かにミリーさんなら黒が似合うかもしれませんね」

「それじゃあ黒にするわ♪」

「じゃあ私には何色が似合うかしら?」

「アストレア様は赤なんてどうでしょう、情熱の赤って言いますし似合うと思うのですが」

「あらあらあらあら、そうかしら♪それじゃあ赤にするわね」



2人ともお気に入りの下着が見つかって本当に良かったよ、そして色違いのやつも全部持って行くのね

喜んで貰えるなら全然構わないんだけど

今後は俺に下着の相談をするのだけはやめて欲しい

これは早急にニィナに下着の知識を叩き込まないと駄目なのではなかろうか?

ニィナは奴隷ではあるが命令するつもりなど全く無い、全く無いのだが

下着の知識に関してだけは命令してでも覚えさせるべきなのでは?

と俺は本気で悩むのだった。







つづく。
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