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第4章 明日の為に
第54話 サクラとおっさんと桜
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「ニック、スナック、今日も気をつけて行って来いよー」
「アニキ、今日こそは全部売り切ってやるからな!行くぞスナック」
「うん!」
ニックとスナックがクレープを売り出して数日
最初は全く売れなくて2人とも落ち込んでたんだが、最近ぼちぼち売れている
ただし、クレープを知らない人からすると、クレープの見た目は美味しそうに見え難いようで客数は伸び悩んでいるのだが
この状況を打開するため昨日からちょっとした作戦を始めている
作戦と言っても本当にたいした事ではない。
数日前に我が家の近くに住んでる娼婦のアンさんと知り合ったんだけど
今までは生活する時間が違っていたから顔を合わせる事もなかったが、転職の相談をされたのが切っ掛けで知り合った。
最近俺が孤児院を支援したり冒険者に依頼したりしてるのを知って、なにかしら仕事があれば雇って欲しいとお願いされたんだ。
流石に面と向かってお願いされると断り難いので、仕事については少し時間を貰って、とりあえず報酬を渡してニックとスナックからクレープを買って貰う事にした。
いわゆるサクラだな
買う時には「美味しいって噂を聞いて来た」と、少し大きな声で言いながら買うようにお願いした。
アンさん1人だけだと不安だったから、知り合いの娼婦の皆さんにも依頼して、昨日から順番に買ってくれるようにお願いしたから、最近クレープが売れ出したのはそのお陰でもある。
そんな事をしてあの2人の為にならないだろって言われるかもしれんが、普通のおっさんの俺に出来るのは
ニックとスナックだけで金を稼いで生活出来るようにするので精一杯だ。
「シンさーん、大変ですー!」
声がしたので振り返ると、サクラをお願いした娼婦のアンさんが走って来る所だった。
「アンさんどうしたんですか?」
「はぁ、はぁ、、、そっ、それがクレープ屋さんにお客様が殺到してるんです!」
「いやいや、お客なんて昨日までそんなに来てなかったじゃないですか」
「そうなんですけど、今はお客様が殺到して大変な事になってるんですよ!」
どうして急に客が殺到したのかは謎だが、俺もメリルと2人だけで干し芋を売ってた時
急に客が沢山来て大変だった事がある、懐かしいなぁ(笑)
「シンさん!考え事をしてる場合ではないですよ!」
「そうでしたね、とりあえずこれを、、、よいしょっと」
俺は収納から折りたたみ式リヤカーを出し、クレープの材料をたんまり乗せていく
「アンさんは今日からウチで雇うって事で、とりあえずクレープ屋を手伝って下さい。
それと暇な知り合いがいたら報酬は出すんで手伝って貰って構いませんので」
「えっ?雇って貰えるのは嬉しいですけど、シンさんは行かないんですか?!」
「クレープ屋はあの2人の仕事ですから、じゃあ頑張って来て下さいねー♪」
戸惑うアンさんにリヤカーを押し付け無理矢理送りだす。
俺の役割はトラブルがあった時に対処する事であって、仕事を手伝う事では無い!
客が殺到するなんて嬉しい悲鳴だからな、これも経験だ。
頑張れよ、ニック、スナック、そしてアンさん
俺はこれから我が家のみんなで花見に行くんだ♪
決して花見がしたいからあの3人に丸投げする訳ではない!
数日前に街の近くの丘の木々にピンク色の花が咲いてるのを見つけたんだ。
メリルに聞いたら春と冬の前に咲く花らしい。
双眼鏡で確認したら桜っぽい花だったから、元日本人としては花見がしたいじゃないか
という事で朝からお弁当を作っていたんだ。
おにぎり、昆布の佃煮、たまご焼き、平天の甘辛炒め、シュウマイ、海老フライ
ちなみにおにぎりは俵型だ。これは俺がガキの頃の定番の弁当を再現してみた。
何故だか昭和感があるのが実に良い!
そして今回はたまご焼きにたらこを入れて一緒に巻いてみた。焼き上がったたまご焼きを普通に切ってから
更に真ん中で斜めに切り、片方をクルっひっくり返すとハート型になる
たらこのピンク色がとてもいい感じだ♪
そしてデザートは『桜餅』
地域によって違いがあるらしいが俺が知ってるのは、あんこ餅を桜の葉の塩漬けで巻いた物だ。
桜の葉と一緒に食べると葉の塩味とあんこの甘さが合わさって旨いんだ♪
ちなみに葉っぱの真ん中にある茎みたいなのは取る事を推奨する。
桜餅は創造神様にお供えしておこう。これからもお世話になるだろうし、節目の挨拶は大事だからな。
れっつ
お花見へ♪
つづく。
「アニキ、今日こそは全部売り切ってやるからな!行くぞスナック」
「うん!」
ニックとスナックがクレープを売り出して数日
最初は全く売れなくて2人とも落ち込んでたんだが、最近ぼちぼち売れている
ただし、クレープを知らない人からすると、クレープの見た目は美味しそうに見え難いようで客数は伸び悩んでいるのだが
この状況を打開するため昨日からちょっとした作戦を始めている
作戦と言っても本当にたいした事ではない。
数日前に我が家の近くに住んでる娼婦のアンさんと知り合ったんだけど
今までは生活する時間が違っていたから顔を合わせる事もなかったが、転職の相談をされたのが切っ掛けで知り合った。
最近俺が孤児院を支援したり冒険者に依頼したりしてるのを知って、なにかしら仕事があれば雇って欲しいとお願いされたんだ。
流石に面と向かってお願いされると断り難いので、仕事については少し時間を貰って、とりあえず報酬を渡してニックとスナックからクレープを買って貰う事にした。
いわゆるサクラだな
買う時には「美味しいって噂を聞いて来た」と、少し大きな声で言いながら買うようにお願いした。
アンさん1人だけだと不安だったから、知り合いの娼婦の皆さんにも依頼して、昨日から順番に買ってくれるようにお願いしたから、最近クレープが売れ出したのはそのお陰でもある。
そんな事をしてあの2人の為にならないだろって言われるかもしれんが、普通のおっさんの俺に出来るのは
ニックとスナックだけで金を稼いで生活出来るようにするので精一杯だ。
「シンさーん、大変ですー!」
声がしたので振り返ると、サクラをお願いした娼婦のアンさんが走って来る所だった。
「アンさんどうしたんですか?」
「はぁ、はぁ、、、そっ、それがクレープ屋さんにお客様が殺到してるんです!」
「いやいや、お客なんて昨日までそんなに来てなかったじゃないですか」
「そうなんですけど、今はお客様が殺到して大変な事になってるんですよ!」
どうして急に客が殺到したのかは謎だが、俺もメリルと2人だけで干し芋を売ってた時
急に客が沢山来て大変だった事がある、懐かしいなぁ(笑)
「シンさん!考え事をしてる場合ではないですよ!」
「そうでしたね、とりあえずこれを、、、よいしょっと」
俺は収納から折りたたみ式リヤカーを出し、クレープの材料をたんまり乗せていく
「アンさんは今日からウチで雇うって事で、とりあえずクレープ屋を手伝って下さい。
それと暇な知り合いがいたら報酬は出すんで手伝って貰って構いませんので」
「えっ?雇って貰えるのは嬉しいですけど、シンさんは行かないんですか?!」
「クレープ屋はあの2人の仕事ですから、じゃあ頑張って来て下さいねー♪」
戸惑うアンさんにリヤカーを押し付け無理矢理送りだす。
俺の役割はトラブルがあった時に対処する事であって、仕事を手伝う事では無い!
客が殺到するなんて嬉しい悲鳴だからな、これも経験だ。
頑張れよ、ニック、スナック、そしてアンさん
俺はこれから我が家のみんなで花見に行くんだ♪
決して花見がしたいからあの3人に丸投げする訳ではない!
数日前に街の近くの丘の木々にピンク色の花が咲いてるのを見つけたんだ。
メリルに聞いたら春と冬の前に咲く花らしい。
双眼鏡で確認したら桜っぽい花だったから、元日本人としては花見がしたいじゃないか
という事で朝からお弁当を作っていたんだ。
おにぎり、昆布の佃煮、たまご焼き、平天の甘辛炒め、シュウマイ、海老フライ
ちなみにおにぎりは俵型だ。これは俺がガキの頃の定番の弁当を再現してみた。
何故だか昭和感があるのが実に良い!
そして今回はたまご焼きにたらこを入れて一緒に巻いてみた。焼き上がったたまご焼きを普通に切ってから
更に真ん中で斜めに切り、片方をクルっひっくり返すとハート型になる
たらこのピンク色がとてもいい感じだ♪
そしてデザートは『桜餅』
地域によって違いがあるらしいが俺が知ってるのは、あんこ餅を桜の葉の塩漬けで巻いた物だ。
桜の葉と一緒に食べると葉の塩味とあんこの甘さが合わさって旨いんだ♪
ちなみに葉っぱの真ん中にある茎みたいなのは取る事を推奨する。
桜餅は創造神様にお供えしておこう。これからもお世話になるだろうし、節目の挨拶は大事だからな。
れっつ
お花見へ♪
つづく。
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