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第3章 羽ばたきの先にあるもの
閑話 伊勢神幸子 その2
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side:伊勢神幸子(いせがみさちこ)
バルゴ王国での任務を終えた私は、他の勇者と呼ばれる人達と馬車に乗ってコックローチ帝国に帰っている途中だ。
バルゴ王国の国境まではまだ数日かかるけれど、旅は平和で順調そのもの。
賊にも遭遇しないので暇を持て余すくらいだったけれど、2回目の野営の時にちょっとした変化があった。
夜、自分の天幕で休んでいると突然体がうっすら光り、魔法で身体に刻まれていた紋様が消えたのだ。
コックローチ帝国に来た日に忠誠の儀式と称して刻まれた紋様、これにどの様な意味があるのかは分からない
でも悪意すら感じる紋様が消えた事でずっと頭にかかっていたモヤが晴れた気がした。
翌日
国境を越えてコックローチ帝国に入った私達は、砦に常駐している筈の兵達がいない事に気付く
一瞬バルゴ王国から襲撃を受けた?!
と思ったのだが争った様子は無い。
そもそもバルゴ王国側の国境砦の兵達の様子は普通だった。
何も分からぬままに私達はコックローチ帝国の王城を目指す事にした。
その道中、家財道具を積んだ馬車が何台もすれ違う。
皆一様に「この国は終わりだ!」とか、「女神様の怒りを買ったんだ(汗)」とか「神罰が下った」とか言っていたけれど・・・
私達は王都に着いてその言葉の意味を知る事になった。
そこにある筈の王城が跡形も無くなっていたからだ。
あるのは黒く焦げた地面と城壁だったであろう砕けた石が転がっているだけ
近くに居た兵達の話によると、昨夜天から光の矢が降り注ぎ城を消し飛ばしたと言う
そんな事があるのだろうか?
それよりもこの国はもう終わりだろう。王と一緒に国の重鎮達も根こそぎ居なくなってしまったのだから
私は未だ混乱している兵や集まって来た民達に紛れて逃げる事にした。とは言ってもこの状況で私を追って来る者もいないだろう。
目指すのはバルゴ王国。他は国境が遠いし山越えをしなければいけないからだ。
幸いにも毎日の訓練で体力はそれなり以上に付いている、普通の道なら数日歩いた所で何の問題も無い。
でもバルゴ王国に入った後は?
頼れる人など1人も居ない
余所者など何処に行こうと簡単には受け入れて貰えないだろう。
特に女の私では出来る仕事は限られる、冒険者か娼婦ぐらい。
どちらも私に出来るとは思えない、、、
そういえば、バルゴ王国の街で買ったホットドックとフルーツサンド
美味しかったな
他に知ってる場所も無いし、とりあえずあの街を目指してみよう。
バルゴ王国での任務を終えた私は、他の勇者と呼ばれる人達と馬車に乗ってコックローチ帝国に帰っている途中だ。
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コックローチ帝国に来た日に忠誠の儀式と称して刻まれた紋様、これにどの様な意味があるのかは分からない
でも悪意すら感じる紋様が消えた事でずっと頭にかかっていたモヤが晴れた気がした。
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あるのは黒く焦げた地面と城壁だったであろう砕けた石が転がっているだけ
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そんな事があるのだろうか?
それよりもこの国はもう終わりだろう。王と一緒に国の重鎮達も根こそぎ居なくなってしまったのだから
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目指すのはバルゴ王国。他は国境が遠いし山越えをしなければいけないからだ。
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でもバルゴ王国に入った後は?
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特に女の私では出来る仕事は限られる、冒険者か娼婦ぐらい。
どちらも私に出来るとは思えない、、、
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