上 下
42 / 252
第3章 羽ばたきの先にあるもの

第36話 平和な朝と奴隷の事

しおりを挟む
朝、目が覚めると

いつもと変わらぬ部屋だった。

良いねぇ変わらぬ日常ってのは

年をとると急な変化に弱いんだよ(悲)


さて今日の朝食のメニューはどうすっかなぁ、、、などと考えながら部屋を出ると


「「「おはようございます、ご主人様!」」」

「おっ、おぅ?!みんなおはよう」


ドアの前に、ニィナ、カスミ、スミレの3人が並んでいて挨拶してくれた。

わざわざ待ってなくてもいいんだけど、奴隷紋のせいで俺の言う事には絶対服従だから、俺から何かお願いする時は慎重に言わなければならない

ニィナは大人だからいいけど、カスミとスミレは子供だから発言には気をつけてやらないと駄目なんだ。


ちなみに奴隷から解放するにはそれなりの金と王様の許可がいる。

奴隷を管理する大臣と面談してから、王様が許可すれば奴隷から解放出来るらしいけど

言葉は悪いが奴隷ごときに王様の許可が必要とは思えないが、この国の法律ではそうなっているから仕方ない

『王様が絶対!』

のこの国でわざわざ奴隷解放する馬鹿はいない、自分の為に王様に時間を割いて貰うなど畏れ多いからだ。


何が言いたいかというと、俺には奴隷解放は無理って事だ。

ニィナは捕虜から奴隷になったから少し特殊だけど、借金奴隷も借金の返済義務違反をした犯罪者だから、借金を返せば奴隷から解放されるという簡単な話にはならない。

せめて俺の奴隷で良かったと思って貰えるようにはしたい。



「あっあの、私達は何をすればよいでしょうか?」


おっと!

すっかり考え込んでしまって、うさぎ耳のカスミが不安そうに俺に質問をしている。


「そうだなぁ、とりあえず朝食作るの手伝ってくれ」

「かしこまりました」

「今朝は簡単に出来るトマトソースのパスタにしよう。パスタはとりあえず2キロ茹でるから、ニィナお湯沸かしてくれ」

「承知しました。」

「カスミにはソースを温めてもらおうかな。ソースを鍋に入れて焦げないように底からゆっくり混ぜればいいよ」

「はい!」


うーん、ソース温めるだけなんだけど凄い気合いだな。


「主様、お湯が沸きました」

「サンキュー、お湯に塩を入れてパスタ投入!ニィナこれゆっくり混ぜといて

そんでスミレにはこの砂時計の砂が全部下に落ちたら教えて欲しい。パスタは茹で時間が重要なんやけど、出来るかな?」

「あい!」


犬耳のスミレも気合い充分♪


「それじゃあみんな任せた」


俺はその間にダラダラする!

パスタは5分くらいで茹で上がるから他に出来る事もないしな。


「ダンナおはよう」

「おにいちゃん、おはよう」

「2人ともおはよう」


ケイトとメリルが2階から降りてきた。なんだかんだこの2人仲良いんだよな、護衛で常に一緒にいるからかもしれんけど


「砂、全部落ちたー!」

「おぅ、スミレありがとうな」


なんとなくスミレの頭をワシャワシャしてやると尻尾がブンブン振れてとても可愛い♪


「ニィナ、パスタをザルにあげてお湯をきって、あとは各自好きな量を取ってソースかけてくれ」


俺は自分の皿にパスタを盛りつけてテーブルで待ってると、みんな普通の量を皿に取って持ってくるのだが、スミレも皆と同じ量を皿に盛っているではないか!

あの小さな体に入るのか?

実は自分が食べれる量を知らないなんて事は、、、あるな!

腹いっぱい好きなだけ食べる事なんて無かったかもしれんし、そういうのも経験しないと分からんか


「みんな揃ったな、それじゃあいただきます」

「「「「「いただきます」」」」」


なんだか急に我が家の人数が増えて学生寮の食堂みたいだな。

そうなると俺は教師のポジションか?

そんな事を考えていたらあっという間にスミレがパスタを完食していた。マジであの量を食ったのか?!

ただ少し苦しそうではあるな

スミレ用に小さい皿を用意するべきだろうか?



「ねぇおにいちゃん、パスタは売っちゃ駄目?」

「パスタかぁ、それなら作るところからやろうか」

「どういう事?」

「仕事が無い人を雇ってパスタ作って貰って、売るのも任せれば俺達は何もせずに儲かるって事だよ」

「あははははは、やっぱダンナはスゲェーや!何もせずに儲けるなんてさ
あっ!でも知らない奴を雇うのはなぁ」

「その辺もちゃんと考えてあるよ、うまくいけばこの街の雇用問題も少しは改善するかもな」

「ねぇおにいちゃん、全然分からないんだけど」

「まっ、直ぐに分かるよ。うまく行くかはやってみないと分からないけどな。片付けたらさっそく女将さんのとこに行くぞぉー」


◇     ◇     ◇


みんなでやって来ました女将さんの宿


「女将さんおはようございます。」

「おはようさん、おや?誰かと思えば話題の旦那じゃないか♪」

「ちょっと女将さんそういうのやめて下さいよ」

「ははは、話題なのは事実だからねぇ、それに随分と賑やかになってるじゃないか」

「おかげさまで商売が順調でまだまだ人手が足りないんですよ、そこで女将さんにお願いがあるんです」

「あんたがあたしにお願いなんて珍しいね、あたしに出来る事なら何でも言いな」

「実は新しい食べ物を作ろうと思ったんですけど人手が足りなくて、そこで女将さんに信用出来る人を集めて貰えないかと思いまして」

「また食べ物かい?!あんたの中にはどんだけ知らない食べ物が詰まってるんだい」


女将さんに呆れられてしまった、解せぬ!


「それで、人は集められそうですか?」

「何人か心当たりはあるけど、全員女だから力仕事にゃ向かないよ?」

「構いません、ちなみにその人たちは子持ちですか?」

「ああ、旦那が死んでひとりで子育てしてる女ばかりだね、たまにある商会の雑用と小物を作って広場で売るぐらいしか仕事が無いから、あんたが雇ってくれるならありがたいねぇ」

「雇うのは実際会ってから決めますけど、その人達の保証人に女将さんがなって下さい。何かあれば女将さんが責任を取る事になるって、表向きにはそういう事にしといて欲しいんですけど」

「ん?、、、なるほど考えたねぇ、何かあれば仕事を紹介したあたしに直接迷惑がかかるって事だね
あたしが言うのもなんだけど馬鹿は何処にでもいるからね、そのぐらいしてちょうどいいよ」

「それじゃあ人集めお願いしますね」

「任せときな、いい女を集めとくよ!」



これで従業員は大丈夫っと。

次は大事なパスタマシンだな、パスタマシンと言っても元世界でもお馴染みの手動で生地を伸ばしたり麺の形にカットするやつだ。

2本のローラーの間に生地を通すだけのシンプル構造だから、この街の鍛冶屋とか大工さんでも作れると思うんだよ

業務用のデカイのがあれば仕事も楽になるしな

そうと決まれば、いざ職人街へ!






つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる 初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。 なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています こちらの作品も宜しければお願いします [イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)

土岡太郎
ファンタジー
 自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。 死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。 *10/17  第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。 *R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。  あと少しパロディもあります。  小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。 YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。 良ければ、視聴してみてください。 【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮) https://youtu.be/cWCv2HSzbgU それに伴って、プロローグから修正をはじめました。 ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

処理中です...