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第2章 胎動

閑話 動き出す者

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side:とある商会長


くそっ!くそっ!くそっ!くそっ!


わざわざスラムのガキ供を雇って、馬鹿な庶民共の人気取りをしてきたと言うのに

最近ウィンナーサンドとかいう食べ物を売り出した若造ごときに人気を奪われてしまった。

そいつはスラムのガキを雇い、今までに無い旨い保存食を売り、仕事の無い冒険者によく分からない物を探して持って来るよう依頼をして報酬を渡してやがった。

冒険者のあいだじゃ女神の使いだとか言う奴までいる始末だ!

奴が雇ったスラムのガキが急に綺麗になったのも問題だ。

鼻の利く貴族からは急いで美薬を手に入れろとせっつかれている状態だ。

どこの馬の骨とも分からん奴が持ってるくらいだ。ワシなら簡単に手に入れられるだろうとな

そのような美薬が簡単に手に入るならもっと騒ぎになっておるわ

そんな事も分からん馬鹿貴族共が!!


しかし人を雇って探らせておるが、奴が仕入れをしている様子は無い

恐らく収納のスキル持ちなのだろうが、どれ程の容量があるのか未だに見当もつかんとはな。


それにどういう訳か、商業ギルドのミリアリアが度々そいつと会って話をしているというではないか

何故だ?!

ワシでさえそう簡単には会えんのだぞ!

忌々しい野郎だ!!


最近この街の商人共の話題はそいつの事ばかりだ。次々に新しい物を売り出してやがって、実に忌々しい!

商業ギルドの店には連日行列が出来るほどの人気だ。あそこも新参者が簡単に商品を置かせて貰える場所では無いというのに

若い連中を並ばせて最近話題の保存食を買わせて食ってみたが

悔しいが旨い、奴の持ってる物は本物と認めねばならん

しかしこのままでは我が商会の立場が危ういのだ。

我が商会は貴族向けの高級品を扱っておるのに、貴族共はことごとく奴の持ち込んだ品に乗り換えようとしておる

ワシの商会では白パンを独自に作り貴族に売っておる、しかし奴が売ってるウィンナーサンドに使ってるパンがワシの白パンよりも遥かに旨い

ワシの商会でも直ぐにレシピを購入して作らせたが、孤児院のガキ供が作るパンの方が遥かに旨いのはどういう事だ!

奴が孤児院に出入りしてるのは確認しておる、何か秘密があるはずだ!

なんとしても奴から秘密を聞き出さねばならん!


それが無理なら奴には消えてもらわねばな

新参者が急にいなくなる事などよくある事よ♪


だが奴の持っている商品が魅力的なのは変わらん、奴を消す前に取り込めぬか試してもいいだろう

ふん、どうせどこぞの田舎のガキだ

ワシのような大商会の会長から声をかけられて嫌とは言わんだろう。

後は適当に金と女を与えておけば問題あるまい

ふははははははは!

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