テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織

文字の大きさ
上 下
28 / 305
第2章 胎動

第24話 奴隷

しおりを挟む
俺の異世界生活に新たな仲間が加わり、随分と賑やかになった。

仲間が増えるのもテンプレ展開なのか?と思うと複雑ではあるが、そこを気にすると楽しく生活出来ないんだろうなと諦めている。


そして、護衛兼雑用係のケイトの助言で俺とメリルには護衛が必要らしい

俺はともかく元世界でも子供を狙った変質者は後を絶たなかったし、誘拐未遂なんかも結構あったんだ

命の値段が安いこの世界なら元世界の数十倍危険なんだろうな

そこで俺とメリルに1人ずつ護衛を付ける事にしたから、奴隷を買う為に奴隷商会にやって来た。

定番の犯罪奴隷と借金奴隷がいるのだが、皆死んだような目をして焦点が合っていない

残りの人生のほとんどを奴隷として生きるのだから仕方ないと言えばそうなんだが

奴隷は『奴隷紋』と呼ばれる特殊な紋の効果で主人に逆らう事が出来ないとはいえ、こんな状態の奴と一緒に生活するのは気持ちの良い事ではない

どうしようかと悩んでいると1人の奴隷に目が止まる

褐色の肌に銀髪、長い耳に大きく膨らんだ胸

ダークエルフだ!


しかもこのダークエルフ、目が死んでないどころか俺を射殺すかのように睨んでいる。

しかし病気なのか咳き込みながら血を吐いている

奴隷になり病に侵されながらもあんな目をする奴なら護衛として欲しいのだが

スキルの「店」で買える薬で治す事が出来るだろうか?

あっ!

こんな時こそスキルの鑑定だ!

すっかり忘れてたわ、いくぜ鑑定!


出た!


名前   ニィナ

種族 ダークエルフ

状態異常   労咳


うーむ、情報が少ないなぁ

レベルとか関係してそうな気はするけど、今気にすべきは状態異常の『労咳』だ。

労咳って肺結核の事だったっけ?

元々は肺病全般を労咳と呼んでいたって何かの本に書いていたような気もするけど

とまぁ、そんな事を知っていた所で労咳の薬なんてスキルの「店」にも売ってないんだけどな



(ピロロロン ピロロロン)

突然俺の頭の中に電子音が鳴り響くと同時に毎度お馴染み光る板が出現した。

ちなみにこの板は他人には見えない

ケイトとメリルに護衛候補を選んで貰ってる間に俺は光る板を確認する


『運営からのお知らせ』

連続ログインを達成しましたので、ボーナスアイテムを配布いたします。


万能薬×4

収納にお送りしましたので御活用ください。これからも異世界「フリーダム」を宜しくお願いします。




あぁ~、そうねこの世界の神様はこんな感じだよね、しかも万能薬×4

労咳は感染力が強いから俺達の分もあるのね、そしてダークエルフを買えって事かな?

とりあえずあのダークエルフは売ってるのか店員に聞いてみよう


「なぁ店員さん、あのダークエルフも売ってるんだろ?」

「勿論で御座いますが、見ての通り病に侵されておりますゆえ、あと10日生きられるかどうか。」

「幾らですか?」

「えっ?お買いになられるので?それならば手続き費用の大銀貨1枚で結構ですが、見ての通りの状態ですので無理に動かせばどうなるか、責任は負いかねますが、、、」

「構わない、売ってくれ!」

「かしこまりました、手続きをして参りますので少々お待ち下さいませ。」



「ダンナァ~、あんまり良いのは居なかったよ、、、ってまさかそのダークエルフを買うつもりなのかよ?」

「ああ、護衛にするのに申し分ないだろ?」

「んー?、そりゃあ元気だったらあたしでも敵わないかもしれないけど」

「ケイトが敵わないなら問題ない!メリルはどう思う?」


俺がメリルに聞くとダークエルフをジィーッと見ている、やはりメリルには何かしらのスキルがあるんじゃないか?


「うん!良いと思う、でも病気治せるの?」

「治せると思う、絶対じゃ無いけどな」


ほどなくして手続きを終えた職員が戻ってきたが、さっきからダークエルフがグッタリして動きが鈍くなっている、急がないとヤバいかもしれん(汗)


「ケイト、ダークエルフを担いで外まで運んでくれ!俺は先に移動手段を用意する、急げ!」

「おっ、おう!任された!!」


俺は急いで外に出ると、スキルの「店」から折り畳み式のリヤカーを購入した。

見た目とか材質とかかなり目立つ気がするけど、今は気にしている場合じゃ無い!

ケイトがダークエルフを担いで出てきたけれど、ダークエルフは相変わらずグッタリして動かない

静かにリヤカーに乗せて毛布を掛けてやる


「よし、出来るだけ振動させずに急いで帰るぞ!」

「「おう!」」


◇     ◇     ◇


今の時刻は夕方の5時頃か、、、

俺の目の前にはベッドで気持ち良さそうに眠るダークエルフがいる

意識が朦朧としている所を無理矢理に薬を飲ませるのは苦労したけど、無事に万能薬が効いたみたいで良かった。

俺がダークエルフを見ている間にケイトとメリルには着替え等必要な物を買いに行って貰っている


「んっ、んん」

「お?!目が覚めたか、気分はどうだ?」


最初は状況が分からなかったのかキョロキョロしていたが、俺の姿を確認すると睨まれてしまった、あの射殺すような目で

怖いから睨まないで欲しい、マジで(泣)


「・・・主様?」

「そうだよ俺が君を買ったんだ、調子はどう?病気は治ってるはずだけど」

「ッ?!、、、そうですか主様が・・・我が主様!」

「どうした急に?」

「私の名はニィナ、此度は病を治して頂き感謝いたします。この御恩生涯忘れはしません!すでに私の全ては主様の物なれど、私の我儘を聞いて頂きたく伏してお願い申し上げます。」


言い回しがやけに古くさいのはダークエルフの特徴なのか?


「よくわからないけど、言ってみなよ」

「はっ!どうかわたくしめを奴隷商にお売り下さいませ。」



えぇー?!

どゆことー?





つづく。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レジェンドテイマー ~異世界に召喚されて勇者じゃないから棄てられたけど、絶対に元の世界に帰ると誓う男の物語~

裏影P
ファンタジー
【2022/9/1 一章二章大幅改稿しました。三章作成中です】 宝くじで一等十億円に当選した運河京太郎は、突然異世界に召喚されてしまう。 異世界に召喚された京太郎だったが、京太郎は既に百人以上召喚されているテイマーというクラスだったため、不要と判断されてかえされることになる。 元の世界に帰してくれると思っていた京太郎だったが、その先は死の危険が蔓延る異世界の森だった。 そこで出会った瀕死の蜘蛛の魔物と遭遇し、運よくテイムすることに成功する。 大精霊のウンディーネなど、個性溢れすぎる尖った魔物たちをテイムしていく京太郎だが、自分が元の世界に帰るときにテイムした魔物たちのことや、突然降って湧いた様な強大な力や、伝説級のスキルの存在に葛藤していく。 持っている力に振り回されぬよう、京太郎自身も力に負けない精神力を鍛えようと決意していき、絶対に元の世界に帰ることを胸に、テイマーとして異世界を生き延びていく。 ※カクヨム・小説家になろうにて同時掲載中です。

俺! 神獣達のママ(♂)なんです!

青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。 世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。 王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。 その犯人は5体の神獣。 そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。 一件落着かと思えたこの事件。 だが、そんな中、叫ぶ男が1人。 「ふざけんなぁぁぁあ!!」 王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。 神獣達のママ(男)であった……。

最弱引き出しの逆襲 ― クラス転移したのはいいけど裏切られたけど実は最強だった件

ワールド
ファンタジー
俺、晴人は普通の高校生。だけど、ある日突然、クラス全員と一緒に異世界に飛ばされた。 そこで、みんなは凄い能力を手に入れた。炎を操ったり、風を呼んだり。でも、俺だけが"引き出し"なんていう、見た目にも無様な能力を授かった。戦いになんの役にも立たない。当然、俺はクラスの笑い者になった。 だけど、この"引き出し"、実はただの引き出しではなかった。この中に物を入れると、時間が経つにつれて、その物が成長する。最初は、その可能性に気づかなかった。 でも、いつしか、この能力がどれほどの力を秘めているのかを知ることになる。 クラスメイトたちからは裏切られ、孤立無援。でも、俺の"引き出し"が、みんなが見落としていた大きな脅威に立ち向かう唯一の鍵だったんだ。知恵と工夫で困難を乗り越えて、俺は最弱から最強へと変貌する。 工夫次第で幾らでも強くなれる引き出し能力で俺は成りあがっていこう。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

憧れのテイマーになれたけど、何で神獣ばっかりなの⁉

陣ノ内猫子
ファンタジー
 神様の使い魔を助けて死んでしまった主人公。  お詫びにと、ずっとなりたいと思っていたテイマーとなって、憧れの異世界へ行けることに。  チートな力と装備を神様からもらって、助けた使い魔を連れ、いざ異世界へGO! ーーーーーーーーー  これはボクっ子女子が織りなす、チートな冒険物語です。  ご都合主義、あるかもしれません。  一話一話が短いです。  週一回を目標に投稿したと思います。  面白い、続きが読みたいと思って頂けたら幸いです。  誤字脱字があれば教えてください。すぐに修正します。  感想を頂けると嬉しいです。(返事ができないこともあるかもしれません)  

処理中です...