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第1章 転生

第4話 運営からのお知らせとアップデート

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干し芋が予想外の高値で売れて上機嫌の俺は、石壁の向こうに行く為の列に並んでいる。

干し芋を売った冒険者の女と3人の男は門にいる兵士と顔見知りらしく、軽く挨拶だけしてさっさと門をくぐって行った。

次は俺の番だ、ドキドキするぅー!


「やあ、見ない顔だな、貿易の街キャラバンシティにようこそ」

「こんにちは。最近商人になるために村から出て来たんですけど、街に入るのにお金は必要ですか?」

「金は必要ないぞ、初めて見る顔の奴には街に来た目的を聞く決まりにはなってるがな、それにしても商人になるのか・・・
頑張れよ」


微妙な間が凄く気になるが、考えてもしょうがないし兵士に礼を言って門をくぐる事にした。


何も考えずに干し芋を売った冒険者や門に居た兵士に声をかけてしまったが、普通に会話が出来たって事は

これは異世界小説でよくある

『初回特典』

というやつで、俺にはこの世界の言葉とか文字の読み書きとかが出来る能力が標準装備されてるのかな?

一応創造神様から直接「テンプレな世界を楽しんで」って言われたわけだし、最低限生きて行くのに困らないようにしてくれていると信じてますよ!


さてと

もうすぐ日も暮れるし宿でゆっくり休みたい。

とりあえず見える場所に宿はないかと見渡してみる

木造の建物がほとんどだが石造りの建物もちらほら見える。文明レベルは中世ヨーロッパという感じか?

中世なんて歴史の教科書でしか知らないから、目の前の光景が本当に中世ヨーロッパに似てるのか?と問われると全然分からんけどな!

だが肝心の宿は見当たらない

仕方無く門に居た兵士に聞こうと振り返るが、門には未だに街に入る人達で列が出来ており途切れそうもない、諦めて街を歩きながら探すか


「なぁにーちゃん、宿さがしてんのか?行きたい所があるなら案内するけど」


声がした方を見ると、ガリガリに痩せた裸足の男の子がおずおずとこちらを見ていた。

孤児とかスラム暮しって感じ?他にも声をかける相手を探している子供が数人いるから、案内して駄賃を貰うんだろうか?


「銀貨3枚程度で泊まれて清潔な宿知ってるか?」

「もちろん知ってるよ、ついてきなよ♪」


とりあえず異世界小説でよくある手頃な宿の値段を言ってみたけど、男の子は直ぐに答えてくれたから

この世界もよくある異世界小説と貨幣価値に大きな違いは無いっぽい、あとで確認はしなきゃだけどな。


男の子の後をついていくと、ナイフとフォークの絵が描かれた看板のある建物の前で止まった。

窓からチラッと中を覗くと数人の客がテーブルで食事をしているのが見える

客の格好も金に余裕のある商人風に見えるしなかなか良さそうな宿だ。

案内してくれたお礼として銅貨1枚を子供に渡し宿の中に入る。


「こんにちは、一晩泊まりたいんだけど部屋はありますか?」

「部屋は空いてるよ、1泊銀貨3枚だけどどうする?」

「それじゃあ1泊お願いします。」

「あいよ、部屋は2階の奥、3番の部屋だよ」


銀貨3枚を渡し鍵を貰い2階の部屋に行く、部屋は4畳程の広さでベッドと椅子があるだけだ

俺は椅子に座りひと息つきながら今日の出来事を思い出す。

まさか自分が小説の主人公のように異世界に来る事になるとは、しかも20歳の若者になるというおまけ付きだ

中身はおっさんのままだから違和感が凄いけどな

便利なスキルのお陰で商人としてやっていけそうだし、明日は異世界小説定番の商業ギルドに行って情報収集をしよう。

『定番』というなら冒険者ギルドの方かもしれんけど、俺には戦闘系の能力が無いし

冒険者ギルドとトラブルはセットで無料配布されるくらいの定番だから、わざわざ行く必要は無いだろう。


(ピピピピ、ピピピピ)


っ?!

急に頭の中に電子音が鳴り響いてるんだけど、なんなんだ?

驚いていると目の前にステータスを表示していた光る板が現れた。



        《運営からのお知らせ》


本日アップデートが完了しましたのでお知らせ致します。

内容は、HP・MP表示の追加及び関連システムの修正

地図・鑑定・生活魔法の追加を行いました。

アップデートによりご迷惑をおかけした補填として、大銀貨10枚を『収納』にお贈り致しましたので御活用下さい。

これからも、異世界『フリーダム』での生活をお楽しみ下さい。




まさかの運営からのお知らせだった。

これはあれやな、考えんでも分かる

考えたらあかんやつやーーん!





◇     ◇     ◇


これがこの世界初の神託であったのだが

誰にも気付かれる事無く、長倉真八の心の奥底にひっそりと封印されるのであった。





つづく。
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