強制変更アプリ

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強制変更 その4

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アプリ画面のステータスには、バスト”90㎝”、サイズは”Fカップ”と記載されていた。
変更の確定が終わると、数値の表示は正しく反映されたみたいだ。


「まだアプリが安定していないのかよぉ…」
「危うく自分のおっぱいで、窒息するかと思ったしっ。」


ブラが無くなったことにより、大きく実った脂肪の塊は、ブラウスを限界ぱっつぱつにさせ、固く尖った薄茶色の乳首をうっすら透けさせる。
火照った体に昼の蒸し暑い空気が、さらに肌に汗をかかせ、じんわりとブラウスに張り付かせ始めた。


「さぁて、どうすっかなぁ…」
「まだ、確認してみたいこともあったんだけど、さすがにこれだと。ねぇ…」


自分から見る限りだと、上のボタンは完全に開ききっていて、谷間を作り出している脂肪のせいで閉じる事ができなさそうだ。
ブラウスも限界まで張りつめ、隙間から中が見えそうだし、さらに乳首を完全に透けている。


「これは、ヤバいなぁ…。さすがにこれは、エロ過ぎるだろっ…。」
「せめて隠すか、元に戻すかしないと…。」
「でも、またアプリがおかしくなって、くるしい思いをするのはごめんだし、アプリを使わずに元に戻す方法はないのか…?」


見ていると恥ずかしくなり、細くなった左腕で乳首の部分を隠した。
サイズの合わないブラだけど、ホックだけを外して付ければ隠れるのでは? と、思ったが、すぐにその考えは諦めた。
もし、ブラウスのボタンなんて外してしまったら、再び閉じる事が難しく、ちゃんと閉じれる自信がなかったのだ。


「やっぱこのアプリしかないみたいだなぁ。何かいい方法は、っと…。」


アプリ画面の”持ち物一覧”を見ていると、さっき外したブラがあった。詳細を見るとサイズ”Bカップ”、カラー”水色”などのステータスが記載され、他にも”編集”という項目があった。気になったので、ブラの”編集”を押してみると、3Dみたいに水色のブラが画面に表示された。


「これが、編集モードなのか?」
「物を変えることができるアプリ…。だったら、このブラも変えることができる。ということか…!」


試しに、画面のブラを2本の指で広げるようにピンチアウトすると、ブラ自体の大きさが変わっていくではないか!
ステータスに載っていたブラのサイズも”Bカップ”から”Eカップ”に変わり、3Dに写し出されるブラのカップが大きく深くなっていた。


「って、読み込んだ持ち物自体、変えることができたのかよっ!」
「はじめからこのやり方を知っていれば、こんな事にならずに済んだのに…。くそぉ…。」
「あとは、いつも通り確定を押せばいいんだろっ?」


<確定>を押そうとした瞬間、

タッタッタッタッタッタッタッタッタッ!
後ろから近づいてくる足音が、聞こえてくる。
プール横の抜け道から、誰かがこっちに走って、近づいてくるみたいだった。


「ヤバッ、誰か近づいてくるッ!」


俺はとっさに動こうと、いつものようにスマホをポケットにつっこみ、音が来る反対の方へ逃げた。

 コトッ ぽよんっ、ぽよんっ、ぼよん、ぽよんっ、ぼよんっ…
早歩きで移動していると、ブラをしていない胸はバウンドするみたいに上下左右に揺れる感じがする…。
左腕で、乳首が見えないように抑え、プール裏から来た道を通り、さっき通った中庭に行こうとプールの角を曲がるが…
目の前から黒髪ポニーテールが特徴の”西園寺 唯華”がこっちに歩いてきたのだ。

(西園寺は、隣のクラスで風紀委員だ。1年の時は同じクラスで、席が後ろだったから俺は知っている。その時は、シャツが出ていると何度も注意されたことがあったのだ。)

(ちょっと待てッ…。こんな格好、見られでもしたら…。)

ブラウスから透けた乳首を、細い腕で隠すことができても、上のボタンを外した谷間までは、隠すことができないっ…
しかし、いきなり途中で反転して引き返すのも変に思われるかもしれない。
それに、誰かが走ってやってくるから後戻りもできないし…。
向こうはすでに、こっちの姿が視界に入ってるはずだ…。


(…どうするよ…?)
(--突然走って通りすぎる?-- いや、ダメだ!こんな痴態を晒した状態で走れるわけがない!)
(--プールの壁向き急にしゃがんで、通り過ぎるのを待つ?-- 体調が悪いと思われ、声掛けられるかもしれないし、急に不自然すぎるじゃないかーっ!)

(ごく自然に、不自然に見られないように通り過ぎる方法…。それなら、これしか…)

俺は、両腕を前にクロスするように肩を抑えた。大事そうに何かを持っている振りをして、両腕を使って胸全体をガードしたのだ。あとは、できるだけ顔を見られないように下を向き、視線を合わせないように歩き続けるだけだったが…。

すれ違う寸前、つい気になり視線を上げてしまうと、こっちを見るように目が合ってしまった。
そのまま通過していく。
かと思ったが…


「おい、工藤!」

「はいっ…?」


西園寺は、振り返り俺の名前を呼んだのだ。
俺は、ビクッとして、とっさに返事をしてしまった。

(しまったぁ…!このまま気づかない振りをすればよかったぁ…)

「ちゃんと一番上のボタンを閉めておかないとダメだぞ。女なのに昔から君は、だらしない格好をするんだから。」

「す、すいません…。動いてたらボタンが飛んじゃって…。今、ロッカーから予備の制服を取りに行こうと思ってたんです。」
(もちろん嘘である)

「そうか。足を止めさせてすまなかった。私も風紀委員という立場上、見過ごせなくて声を掛けてしまってね。早く女子更衣室に行って着替えてきなさい。」

「わかりましたぁ!」

俺は、西園寺の顔を見ることなく、逃げるようにその場をあとにした。

(と、いうか西園寺のやつ、よく俺が女になった姿なのに、わかったんだ?あいつは、1年の時後ろの席で、男の俺の姿を毎日見てるはずなのに。)

さっき確かめたかったのは、この事である。俺が”♀”に変更している間、他人からは、どっちで見られているのかと。
西園寺の反応からだと、男だった認識はなく、元から女だった…ということか?
プール際の壁に設置されている時計を見ると、昼休みが終わる15分前だ。

(そろそろ元に戻らないと。)

そのままプールの壁沿いの道を歩き、角を曲がると、さっきいた場所の反対側、プール更衣室入口側へとやってきた。
こっちの方も誰もおらず、緊張からひと息つくために更衣室入口の階段へ一旦しゃがむように座った。


「ハァ…、ハァ…、ハァ…。見られてしまったけど、変に思われなかったよな…?」
「まぁ、思われようが、元に戻ってしまえば関係ないんだけど。」

(誰かが走りながら近づいてくる音がしたから、とっさに逃げてしまったけど、そもそも逃げる必要なんてなかったんじゃ…
他学年の女子がプール裏に1人で居たってだけで、思われただろうし。)

「結局ノーブラで反対側まで来てしまったけど、早く元に戻して教室に戻らないと」
「あと15分くらいしか時間が無いしな。スマホ、スマホっと…。」


立ち上がって、スカートのポケットに手をつっこむ…
が、それらしいものが見当たらない…


「…あれっ…!? スマホがないッ…!」
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