母になる、その途中で

ゆう

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第五章: 小さな変化

りおのお城

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翌日、りおが「今日は何するの?」と朝から楽しそうに話しかけてきた。

「そうだね、一緒に公園に行こうか。」

その提案に、りおは「やった!」と飛び跳ねた。

公園では、二人で砂場遊びをしたり、滑り台を滑ったりして過ごした。

「お城、できた!壊れないといいね!」

りおのその言葉が、あゆみの胸に深く響いた。

りおは無邪気に「壊れないといいね」と言っただけだろう。

しかし、あゆみにはその言葉が、まるで「この家族が壊れないように」と願う強い思いを込めているように聞こえた。

あゆみは砂のお城を見つめながら、しばらく無言で手を動かしていた。

りおが笑顔で「ここにお花を描いて!」と言ってきたとき、あゆみは優しく「うん」と答えたが、その心の中では、まだ家族が壊れてしまうのではないかという恐れが残っていた。

「この家族が壊れてしまうのではないか。私がここにいてもいいのだろうか。もし、私がいなくても、この家族は成り立つのだろうか?」

ふと、手を止めたあゆみは砂のお城をじっと見つめた。手のひらの中の砂は、簡単に崩れてしまうことを知っている。

しかし、その砂の粒一つ一つが、まるで家族を象徴するように感じられた。どんなに不安定で崩れやすくても、一つ一つの手間をかけて積み上げ、また作り直していける。それが家族であり、これからの自分たちだという気がした。

りおが目を輝かせて言った。

「このお城、壊れたらまた作ろうね!壊れても、また作ればいいんだから!」

その言葉に、あゆみは心から微笑んだ。「また作ればいい」という、りおの素直な希望が、あゆみの中で大きな意味を持つように感じられた。

もし家族の形が崩れそうになっても、また新しいものを作り、強くなっていける。そう思うと、あゆみの胸に希望の光が灯った。

あゆみは手を休め、りおが言った通り、砂のお城の崩れた部分を一緒に直した。

そのとき、あゆみは心の中でふと思った。

「家族が壊れてしまうかもしれない。でも、もし崩れたとしても、もう一度作り直せばいい。それが家族なんだ。」

その瞬間、あゆみは深く息を吸い込み、心を落ち着けた。

「私はこの家族に必要とされている。」

その実感が、あゆみの中にしっかりと根付いた。

りおが言った。

「お城、完成!もう壊れないよね!」

「うん、壊れないよ。」

その言葉には、「壊れてもまた作り直す」というあゆみの覚悟が込められていた。
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