182 / 207
9章 理想と現実と、嫌がらせ
9-20 夜明け前 ◆フリント視点◆
しおりを挟む
◆フリント視点◆
「きゃああああーーーっ」
「こっちに来るなあーーーっ」
「警備っ、こっちに来て守りなさいっ」
「助けてーーーっ」
王城の舞踏会会場に戻ってみると、こちらも阿鼻叫喚、地獄絵図。
警備の者たちは剣や槍を振り回しているが、亡霊には意味をなさない。
そもそも、彼らは我々に攻撃できないのだ。
「皆の者っ、静まれっっ」
二階に降り立ち、声の限りを張り上げて周囲を沈黙させる。
亡霊たちも黙った。
「女王陛下、」
私を見る貴族たちの顔もひどい。化粧も衣装も崩れまくっている。男も女も、老いも若きも。
「良く聞け。凄惨な姿をした彼らは我らが滅ぼしたテオシント王国の民だ。我らは遠い昔のことだと思っているが、この地に来たデント王国の者たちが国家繁栄の魔法陣に彼らを生贄にしたがために、この地に縛られている」
階下には叔父のホップ公爵もいた。
「私は長年、彼らのこの恨み辛み嘆きを聞いて来た。彼らは成仏を願っている。それには皆の者にも一晩お付き合いを願いたい」
「え?」
階下がざわめいた。
「彼らは我々に手出しをしない。ただ恨み辛み嘆きを訴えたいのだ。夜明けとともに彼らがこの地を去るために」
嘘も方便だ。
このままではデント王国の者は彼らから叫び続け逃げ惑う。
「つ、つまり成仏させるには彼らの訴えを聞けと?」
「その通り。彼らは剣や魔法等で傷つけられた姿であり、そんな姿でこの地に縛り続けたのは、我々の祖先がしでかしたこと。我々の祖先の罪を子孫である我々が償うのは当然のことだ。国民の上に立つ貴族なら毅然とした態度で彼らの話を聞けっ」
今、考えさせてはいけない。
命令して行動させるだけだ。
「席を用意しろっ。それぞれ、数人ずつ話の場を設けろ。ここで逃げ出す者はデント王国の貴族の矜持がないと知れ」
すぐさま大広間に王城の使用人たちがテーブルや椅子を用意する。
「化粧や身だしなみを整えたい者は申し出よ。少々の時間待たされても、彼らは怒りはしない。数百年以上もこのときを待っていたのだから」
私も奥の席に座る。
ガラスに映る自分の姿を見た。
そして、自分の長い髪を手に取り、視界に入れる。
艶やかな黒髪ではなく、燃えるような鮮やかな赤い髪になっていた。
いつのまに魔法が解けたのかと思ったが、コレですべてが白日の下に晒される。
バレたというのに、心は穏やかだ。
落ち着いている。
けれども、誰も指摘しない。
今、それどころではないからだ。
私が亡霊たちの話を聞く姿勢を見せると、ホップ公爵も席について彼らの話を聞き始めた。
それを見て、亡霊たちが襲って来ないのを知ると、次第に席に座る者たちが増えてきた。
化粧や衣装を直した者たちも戻ってきた。
「お姉様、」
一室に捕らえられていたリーフも呼びに行かせた。
この国の唯一の王女だ。
彼女が主役にならなくてどうする。
「其方も彼らの話を聞け。彼らの姿は怖がらなくとも良い」
「はい」
一時間ほどすると、この場は落ち着いてきた。後から後から亡霊たちは湧いて出て来るが、亡霊たちは礼儀正しく席を譲っていく。
当時、生きている彼らとの対話は本当にできなかったのか。
それは非常に疑問に思う。
もし、多くの知恵が活用されれば、全員とは言えずとも救える命もあったのではないか。
それでも、過去は変えられない。
「リーフ、この場を任す」
私は席を立つ。
「お姉様はどちらに」
「国中に彼らはいる。私は彼らから逃げなくていいと、話を聞けと国民に伝えて来る」
「そんなこと言って、逃げっ」
近くにいた貴族の一人が声を上げようとしたが、ホップ公爵が口を手で閉じた。
「この場は任せて、お前は行って来い。女王が国民を救わなくてどうする」
男はうーうーと唸っているが、お前も貴族なら覚悟を決めろ。
「ふふっ、違うぞ、叔父上。彼らが出てきたから、我々は救われた。救われたのは我々の方だ。彼らに感謝しなければならないのは我々だ」
「そうか、すべてが終わった後に話そう。フリント女王陛下に栄光を」
「栄光を」
この場にいる多くの者が立ち上って、ホップ公爵に続いて声高に言った。
この姿を見ても、まだ言ってくれるのか。
「リーフ、任せたぞ。行ってくる」
「はい、お姉様、いってらっしゃいませ」
リーフが笑顔で見送ってくれた。
私は窓から飛び出る。
空飛ぶ白い馬車が王城に戻って来ていれば、移動手段は違っていたかもしれないが仕方ない。
馬車を貸したベルは無事でいるのか、とほんの少し不安にもなったが、あの最強の盾のことだ。
嫌がらせならば、自分で手を下したりはしないだろう。
私がベルを殺さなければならないと思わせることが嫌がらせなのだから。
亡霊たちは恨み辛み嘆き、そして悲しんだ。
私は彼らの声を聞くだけしかしなかった。
彼らの望みはデント王国に復讐することだけだと思い込んでいた。
時間とともに、魔法で縛っていても肉体を失った自我は崩壊し続ける。
数百年以上経ってしまえば、最期の感情だけが残っている者も多い。
私は物心ついたときから彼らの声を聞いていた。
聞いていたと思い込んでいた。
けれど、何を聞いていたのだろう。
私はその土地の有力者に、亡霊たちの声を聞くように伝える。
彼らは話を聞けば、襲わないし、夜明けとともに成仏すると。
それを地域住民に伝えろと。
どれだけ伝わるかわからない。
姿を見せた亡霊たちを、デント王国の国民がただ叫び逃げ惑うだけなら何と悲しいことか。
一晩中、高速飛行を続けて疲労する。
それでもなお、時間の限り伝える。
魔力が枯れようとも、夜明けまでが勝負だ。
空が白んでくる。
薄明かりが差し込んでくる。
それを見て、私は王都へと飛ぶことにする。
魔力がほとんど尽きた私を、地に伏せさせるなら今だ。
王城に戻ったら、私はどうなるだろう。
「デント王国フリント女王陛下、」
そこには数体の亡霊が浮かんでいた。
朝もやの中で見えるそれは、おそらくそれは生前の姿。
傷がない、服も破れていない、平穏に暮らしていた頃の普段の姿であろう。
一体が前に出て来る。
「私はテオシント王国の最後の宰相です。この度のご尽力、誠にありがとうございました。感謝の意を伝えたく、ここに参りました」
ああ、そうか。
彼らはもう。
「我らの国王陛下は、我々を見送るテオシント王国の国王の元に参りました。我らも朝日が昇る頃には玉座の前に参ります」
「そう、寂しくなるわね」
つい言ってしまった。
幼い頃からずうぅぅっとそばにいた者たちだ。周囲にいなくなる状況はどうなるかわからないが、相当静かになるだろう。
宰相はほんの少し微笑む。
最強の盾が言っていたことを思い出す。
私は彼らの王ではないと。
彼らの王は男性でしかありえないと。
「貴方は話を誰かに聞いてもらえたかしら」
「ええ、ウィト王国の若者に多くを伝えることができました」
、、、最強の盾か。
ということは、もしかしてこの者は時計塔の屋根にいた亡霊の一体だったのでは?
「そう、聞いてもらったのなら幸いね」
宰相は頷く。
「わかっておりますとも。あの当時、我々はウィト王国に助けを求めなかった。それは単にあの小国を見下していただけなく、昔テオシントから独立したあの国を愚かだと思っていた。たった一つの家に国の防衛を任せるなどと。それでも、我々とは違い、あの国は強固だった」
「そうね」
「ただし、あの国も今後変わっていくのでしょう。できることならば、この恩を貴方からあの御方にお返しいただければと存じます」
「、、、私が?」
「ええ、デント王国の女王陛下として」
宰相はにっこりと笑った。
ああ、この宰相は。
私にデント王国の女王として、最強の盾に協力しろと言うのか。
私は声が出なかった。
宰相たちは明るくなってきた空の方を見た。
「それではお時間です。デント王国フリント女王陛下、お目にかかれて光栄でした」
彼らはスッと消えた。
行くべき場所に行ったのだろう。
私はたった一人、空に取り残された。
「きゃああああーーーっ」
「こっちに来るなあーーーっ」
「警備っ、こっちに来て守りなさいっ」
「助けてーーーっ」
王城の舞踏会会場に戻ってみると、こちらも阿鼻叫喚、地獄絵図。
警備の者たちは剣や槍を振り回しているが、亡霊には意味をなさない。
そもそも、彼らは我々に攻撃できないのだ。
「皆の者っ、静まれっっ」
二階に降り立ち、声の限りを張り上げて周囲を沈黙させる。
亡霊たちも黙った。
「女王陛下、」
私を見る貴族たちの顔もひどい。化粧も衣装も崩れまくっている。男も女も、老いも若きも。
「良く聞け。凄惨な姿をした彼らは我らが滅ぼしたテオシント王国の民だ。我らは遠い昔のことだと思っているが、この地に来たデント王国の者たちが国家繁栄の魔法陣に彼らを生贄にしたがために、この地に縛られている」
階下には叔父のホップ公爵もいた。
「私は長年、彼らのこの恨み辛み嘆きを聞いて来た。彼らは成仏を願っている。それには皆の者にも一晩お付き合いを願いたい」
「え?」
階下がざわめいた。
「彼らは我々に手出しをしない。ただ恨み辛み嘆きを訴えたいのだ。夜明けとともに彼らがこの地を去るために」
嘘も方便だ。
このままではデント王国の者は彼らから叫び続け逃げ惑う。
「つ、つまり成仏させるには彼らの訴えを聞けと?」
「その通り。彼らは剣や魔法等で傷つけられた姿であり、そんな姿でこの地に縛り続けたのは、我々の祖先がしでかしたこと。我々の祖先の罪を子孫である我々が償うのは当然のことだ。国民の上に立つ貴族なら毅然とした態度で彼らの話を聞けっ」
今、考えさせてはいけない。
命令して行動させるだけだ。
「席を用意しろっ。それぞれ、数人ずつ話の場を設けろ。ここで逃げ出す者はデント王国の貴族の矜持がないと知れ」
すぐさま大広間に王城の使用人たちがテーブルや椅子を用意する。
「化粧や身だしなみを整えたい者は申し出よ。少々の時間待たされても、彼らは怒りはしない。数百年以上もこのときを待っていたのだから」
私も奥の席に座る。
ガラスに映る自分の姿を見た。
そして、自分の長い髪を手に取り、視界に入れる。
艶やかな黒髪ではなく、燃えるような鮮やかな赤い髪になっていた。
いつのまに魔法が解けたのかと思ったが、コレですべてが白日の下に晒される。
バレたというのに、心は穏やかだ。
落ち着いている。
けれども、誰も指摘しない。
今、それどころではないからだ。
私が亡霊たちの話を聞く姿勢を見せると、ホップ公爵も席について彼らの話を聞き始めた。
それを見て、亡霊たちが襲って来ないのを知ると、次第に席に座る者たちが増えてきた。
化粧や衣装を直した者たちも戻ってきた。
「お姉様、」
一室に捕らえられていたリーフも呼びに行かせた。
この国の唯一の王女だ。
彼女が主役にならなくてどうする。
「其方も彼らの話を聞け。彼らの姿は怖がらなくとも良い」
「はい」
一時間ほどすると、この場は落ち着いてきた。後から後から亡霊たちは湧いて出て来るが、亡霊たちは礼儀正しく席を譲っていく。
当時、生きている彼らとの対話は本当にできなかったのか。
それは非常に疑問に思う。
もし、多くの知恵が活用されれば、全員とは言えずとも救える命もあったのではないか。
それでも、過去は変えられない。
「リーフ、この場を任す」
私は席を立つ。
「お姉様はどちらに」
「国中に彼らはいる。私は彼らから逃げなくていいと、話を聞けと国民に伝えて来る」
「そんなこと言って、逃げっ」
近くにいた貴族の一人が声を上げようとしたが、ホップ公爵が口を手で閉じた。
「この場は任せて、お前は行って来い。女王が国民を救わなくてどうする」
男はうーうーと唸っているが、お前も貴族なら覚悟を決めろ。
「ふふっ、違うぞ、叔父上。彼らが出てきたから、我々は救われた。救われたのは我々の方だ。彼らに感謝しなければならないのは我々だ」
「そうか、すべてが終わった後に話そう。フリント女王陛下に栄光を」
「栄光を」
この場にいる多くの者が立ち上って、ホップ公爵に続いて声高に言った。
この姿を見ても、まだ言ってくれるのか。
「リーフ、任せたぞ。行ってくる」
「はい、お姉様、いってらっしゃいませ」
リーフが笑顔で見送ってくれた。
私は窓から飛び出る。
空飛ぶ白い馬車が王城に戻って来ていれば、移動手段は違っていたかもしれないが仕方ない。
馬車を貸したベルは無事でいるのか、とほんの少し不安にもなったが、あの最強の盾のことだ。
嫌がらせならば、自分で手を下したりはしないだろう。
私がベルを殺さなければならないと思わせることが嫌がらせなのだから。
亡霊たちは恨み辛み嘆き、そして悲しんだ。
私は彼らの声を聞くだけしかしなかった。
彼らの望みはデント王国に復讐することだけだと思い込んでいた。
時間とともに、魔法で縛っていても肉体を失った自我は崩壊し続ける。
数百年以上経ってしまえば、最期の感情だけが残っている者も多い。
私は物心ついたときから彼らの声を聞いていた。
聞いていたと思い込んでいた。
けれど、何を聞いていたのだろう。
私はその土地の有力者に、亡霊たちの声を聞くように伝える。
彼らは話を聞けば、襲わないし、夜明けとともに成仏すると。
それを地域住民に伝えろと。
どれだけ伝わるかわからない。
姿を見せた亡霊たちを、デント王国の国民がただ叫び逃げ惑うだけなら何と悲しいことか。
一晩中、高速飛行を続けて疲労する。
それでもなお、時間の限り伝える。
魔力が枯れようとも、夜明けまでが勝負だ。
空が白んでくる。
薄明かりが差し込んでくる。
それを見て、私は王都へと飛ぶことにする。
魔力がほとんど尽きた私を、地に伏せさせるなら今だ。
王城に戻ったら、私はどうなるだろう。
「デント王国フリント女王陛下、」
そこには数体の亡霊が浮かんでいた。
朝もやの中で見えるそれは、おそらくそれは生前の姿。
傷がない、服も破れていない、平穏に暮らしていた頃の普段の姿であろう。
一体が前に出て来る。
「私はテオシント王国の最後の宰相です。この度のご尽力、誠にありがとうございました。感謝の意を伝えたく、ここに参りました」
ああ、そうか。
彼らはもう。
「我らの国王陛下は、我々を見送るテオシント王国の国王の元に参りました。我らも朝日が昇る頃には玉座の前に参ります」
「そう、寂しくなるわね」
つい言ってしまった。
幼い頃からずうぅぅっとそばにいた者たちだ。周囲にいなくなる状況はどうなるかわからないが、相当静かになるだろう。
宰相はほんの少し微笑む。
最強の盾が言っていたことを思い出す。
私は彼らの王ではないと。
彼らの王は男性でしかありえないと。
「貴方は話を誰かに聞いてもらえたかしら」
「ええ、ウィト王国の若者に多くを伝えることができました」
、、、最強の盾か。
ということは、もしかしてこの者は時計塔の屋根にいた亡霊の一体だったのでは?
「そう、聞いてもらったのなら幸いね」
宰相は頷く。
「わかっておりますとも。あの当時、我々はウィト王国に助けを求めなかった。それは単にあの小国を見下していただけなく、昔テオシントから独立したあの国を愚かだと思っていた。たった一つの家に国の防衛を任せるなどと。それでも、我々とは違い、あの国は強固だった」
「そうね」
「ただし、あの国も今後変わっていくのでしょう。できることならば、この恩を貴方からあの御方にお返しいただければと存じます」
「、、、私が?」
「ええ、デント王国の女王陛下として」
宰相はにっこりと笑った。
ああ、この宰相は。
私にデント王国の女王として、最強の盾に協力しろと言うのか。
私は声が出なかった。
宰相たちは明るくなってきた空の方を見た。
「それではお時間です。デント王国フリント女王陛下、お目にかかれて光栄でした」
彼らはスッと消えた。
行くべき場所に行ったのだろう。
私はたった一人、空に取り残された。
4
お気に入りに追加
341
あなたにおすすめの小説
僕はキミ専属の魔力付与能力者
みやこ嬢
BL
リアンはウラガヌス伯爵家の養い子。魔力がないという理由で貴族教育を受けさせてもらえないまま18の成人を迎えた。伯爵家の兄妹に良いように使われてきたリアンにとって唯一安らげる場所は月に数度訪れる孤児院だけ。その孤児院でたまに会う友人『サイ』と一緒に子どもたちと遊んでいる間は嫌なことを全て忘れられた。
ある日、リアンに魔力付与能力があることが判明する。能力を見抜いた魔法省職員ドロテアがウラガヌス伯爵家にリアンの今後について話に行くが、何故か軟禁されてしまう。ウラガヌス伯爵はリアンの能力を利用して高位貴族に娘を嫁がせようと画策していた。
そして見合いの日、リアンは初めて孤児院以外の場所で友人『サイ』に出会う。彼はレイディエーレ侯爵家の跡取り息子サイラスだったのだ。明らかな身分の違いや彼を騙す片棒を担いだ負い目からサイラスを拒絶してしまうリアン。
「君とは対等な友人だと思っていた」
素直になれない魔力付与能力者リアンと、無自覚なままリアンをそばに置こうとするサイラス。両片想い状態の二人が様々な障害を乗り越えて幸せを掴むまでの物語です。
【独占欲強め侯爵家跡取り×ワケあり魔力付与能力者】
* * *
2024/11/15 一瞬ホトラン入ってました。感謝!
兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
幼い精霊を預けられたので、俺と主様が育ての父母になった件
雪玉 円記
BL
ハイマー辺境領主のグルシエス家に仕える、ディラン・サヘンドラ。
主である辺境伯グルシエス家三男、クリストファーと共に王立学園を卒業し、ハイマー領へと戻る。
その数日後、魔獣討伐のために騎士団と共に出撃したところ、幼い見た目の言葉を話せない子供を拾う。
リアンと名付けたその子供は、クリストファーの思惑でディランと彼を父母と認識してしまった。
個性豊かなグルシエス家、仕える面々、不思議な生き物たちに囲まれ、リアンはのびのびと暮らす。
ある日、世界的宗教であるマナ・ユリエ教の教団騎士であるエイギルがリアンを訪ねてきた。
リアンは次代の世界樹の精霊である。そのため、次のシンボルとして教団に居を移してほしい、と告げるエイギル。
だがリアンはそれを拒否する。リアンが嫌なら、と二人も支持する。
その判断が教皇アーシスの怒髪天をついてしまった。
数週間後、教団騎士団がハイマー辺境領邸を襲撃した。
ディランはリアンとクリストファーを守るため、リアンを迎えにきたエイギルと対峙する。
だが実力の差は大きく、ディランは斬り伏せられ、死の淵を彷徨う。
次に目が覚めた時、ディランはユグドラシルの元にいた。
ユグドラシルが用意したアフタヌーンティーを前に、意識が途絶えたあとのこと、自分とクリストファーの状態、リアンの決断、そして、何故自分とクリストファーがリアンの養親に選ばれたのかを聞かされる。
ユグドラシルに送り出され、意識が戻ったのは襲撃から数日後だった。
後日、リアンが拾ってきた不思議な生き物たちが実は四大元素の精霊たちであると知らされる。
彼らとグルシエス家中の協力を得て、ディランとクリストファーは鍛錬に励む。
一ヶ月後、ディランとクリスは四大精霊を伴い、教団本部がある隣国にいた。
ユグドラシルとリアンの意思を叶えるために。
そして、自分達を圧倒的戦闘力でねじ伏せたエイギルへのリベンジを果たすために──……。
※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる