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8章 頼り切った者たち
8-22 嫉妬で天候も変わる
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「これでどうかなー?岩風呂だよーっ」
露天風呂。
西の街の近くの露天風呂は岩をスパッと切り取ったような段々な露天風呂だった。が、王都からほど近いが、ある程度の距離は離れている活火山にある源泉から引いた温泉は大小様々な岩で囲まれた岩風呂にした。
「おー、こっちは風情があるなあ」
「見比べてみると、あちらは大衆的な気がする」
「向こうは大人数が入れるからねえ」
こちらは西の街の方と比べると、そこまでの広さはない。
山のなかだし、木々が周囲に存在する。
それが風情があると言えば、あると言うのだろうか。
向こうも山のなかだったが、災害級の魔物のおかげで整地?されていたからなあ。
鬱蒼とした山のなかと言われてしまえば、それまでだ。
周辺の整備は国がやるだろう。
現在、この山は王太子領となっている。
山だけが。
昔から利用価値がないと、この地の領主はあっさりとこの山と同じ広さの平地の交換に応じたらしい。
温泉にする依頼をしたのは王太子だから、何の問題もないだろうが。
領主がそのままだったら、人が入れる温泉にする依頼すらなかったはずだ。
俺が行くもう一つの源泉の山も王太子領にしたらしい。
あの人、儲ける気、満々じゃねえか。
開発したものを国の発展のために領主にまかせる気もなかったということだ。
それでも、この山が観光地になれば、周辺の街や村は潤う。すべてを手に入れられなくとも、それだけでも利益は大きい。
領主が何もしないで利益だけを手に入れるのは、俺も違うなーとは思うが。
俺の立場は温泉掘削業者と似たようなもの。
それ相応の報酬の依頼を受けて、人の入れる温泉にするだけだ。
その後のことは関与しない。
「こっちはコレでいいか。獣道しかないけど、道の整備も王太子がどうにかするだろ」
撤収しようとしたら。
「、、、風呂、入っていかないのか」
露天風呂を見ながら、寂しそうに言うグジ。
そんなに風呂に入りたかったのか。
今回は血塗れじゃないから、どうでもいいのかと思っていた。
皆、綺麗なままだぞ。汗もかいてない。
「入りたいなら一番風呂に入って良いぞー。今日は麓の先にある宿に泊まる予定だから、特にここで風呂に入る必要もないと思っていたからなあ」
俺、一日に何度も風呂に入るほど風呂好きでもないからなあ。
そういやウィト王国で温泉に入って好きになったってコイツら言っていたな。
広い湯が好きなのだろうか。
嬉しそうにグジたちは服を脱ぎ始める。
「、、、兄ちゃんは入らないのか?」
ギルが尋ねてきた。
「今日は特に汗もかいてないからなあ。力仕事は魔法の盾、温泉の魔力を調整したのも魔剣だからな。一日の終わりに宿屋で入る」
「、、、西の街の方では汗かいていたのか?」
「さすがにあれだけの魔物を切ったから」
あのときは解体作業もやったし、かなりの肉体労働をした。汗を流してサッパリしたかった。ソイ王国温泉第一号も作ったし。
「くっ、残念」
と言いながら、ギルもお風呂に入っていった。
何が残念だったのだろう。
「あ、そうそうこの湯の効能は活発化だ。あえて、ナニがとは言わないが」
「へ?」
皆が湯から上がってから言った。
ちなみにルイジィも風呂には入らなかった。ルイジィには何が見えているんだろう。不思議だな。俺は何も言っていないのに。
ルイジィが夜遊び、女遊びする気配は感じられないが。アルティ皇太子一筋だからねえ。アルティ皇太子ですら、ルイジィに孫までいることに驚いていたくらいだ。年中無休でおそばにいたルイジィだからねえ。アルティ皇太子はルイジィ離れできているだろうか?
「夜は夕食後、自由行動で良いぞー。宿の外に遊びに行くのも自由だ」
皆、お金持っているので地域経済に貢献してくるといい。
この山に温泉施設の他、カジノとかクラブとかのギャンブルやら何やらで遊ぶための施設を作ると大儲けできそうだ。
こちらはゆっくりするための保養地ではなく、遊ぶための地にした方が犯罪も少ないだろう。
「妖艶マイア様魔剣が行きたいのはもう一つの源泉だ」
「おや、あちらに何かあるのですか?」
ルイジィが食い付いた。
魔剣が興味ある温泉に興味あるのか?
おそらく考えているのとは別物だろう。
「美肌になるらしい」
「、、、美肌」
ルイジィは笑顔のままだが、少し声に動揺が含まれた。
確かに魔剣に美肌って何だよ、って思うよね。
「マイア様らしいよな」
「、、、そうですね」
ルイジィには納得しかねるかな?
笑顔ながらも、ワケわからんって顔だ。
「ん?」
「何だ?」
皆が一斉に北の方を向いた。
バササっ、と鳥が飛び立つ。
冷たい風が運ばれてくる。
「何でしょう、少々冷気が、、、いや敵意?」
ルイジィが険しい表情になる。
全員、得物を握って警戒態勢を取るが。
「いや、大丈夫だ。ただの嫉妬だ」
俺が言うと、皆が俺を見た。
説明プリーズって顔しているな。
「あー、ウィト王国に残してきた頑固爺ルイジィ魔剣が妖艶マイア様魔剣に嫉妬している」
「あの、オルト様、その頑固爺ルイジィ魔剣と呼ぶの、やめませんか?」
おや、ルイジィの提案。
そんなに嫌かなあ。
「魔剣には名前がないから擬人化した方がわかりやすいと思うけど」
「もはや命名してくれた方が良い気がします」
「その魔剣を見たくなるなあ」
グジたちがニヤニヤと近寄ってきた。
「見たところで、魔剣は魔剣だから見た目はこの魔剣と大差はないぞ。鞘や柄の色が違うだけで」
「けど、擬人化するってことは、それなりに特徴があるんだろ」
「ああ、ルイジィのアルティ皇太子のことに関しての譲れなさ具合の頑固さが、あの魔剣ソックリなんだよ。今も俺のそばに自分がいないから超怒っている」
「、、、怒っているくらいでウィト王国王都からここまで冷気を飛ばされたら怖いのですけど」
「俺の手元に他の魔剣がなければあそこまで怒らなかったと思うけど、、、手元にあるのが妖艶マイア様魔剣だから、遠く離れていても煽るんだよなあ」
困ったものだ。
私は役に立っているけど、貴方はー?妖艶な微笑み、みたいなー。
彼ら魔剣は距離なんて離れていても関係なく、いくらでも意志を飛ばしているようだ。
傍迷惑な。
頑固爺は王都に置いておかれているのだから、何もできるはずもない。
物理的なものはどうしようもない。
妖艶マイア様はオルレアに返すの忘れているけど、迷惑料としてもらっていてもかまわないよねえ。
どうせ夢幻回廊では使えないし、オルレアでは。
「ウィト王国の王都まで取りに行けないからどうしようか」
俺が言うと、ウィト王国の方向の空に、毒々しいほどの暗雲が立ち込めたなあ。。。
魔力だけは無尽蔵に溜め込んだ癖のある魔剣だから。
魔剣って扱いを間違うと途端に一国ぐらい簡単に滅びるからねえ。
ヤバいかな?
「オルト様、ソニア様かキュジオ殿に持って来てもらうように頼んだらいかがですか?」
「、、、ああ、デント王国で合流するなら。あれ?あの二人、まだ出発してないの?」
馬車で行くなら、余裕をもって出発していた方が良いんじゃないか?
意外と遠いし、悪路だし。デント王国は横長な国だし、王都まで距離あるし。
「ギリギリに出発するそうです。遅れても言い訳が立ちますから」
「遅れそうになったら、あの女王なら空飛ぶ馬車で出迎えに行かせるんじゃないか?」
「空飛ぶ馬車?メルヘンチックな馬車がデント王国には存在するんだな」
知らないのは幸せだな、グジ。
他の皆もそのような感想を抱いている目をしているが、デント王国で実物を見てもらえばいいので今は何も言わない。
デント王国民は戦々恐々としている。
あの空飛ぶ馬車は粛清の足音でしかない。
馬の嘶きが上空から聞こえたら、家から出ないのが鉄則なのだそうな。
返り血が飛んでいる白い馬車ほど、目撃して怖いものはないだろう。
彼らにはわざわざ女王が来なくても、その従者が迎えに来そうだな。
「、、、どちらに頼むかって、決まっているか」
考えずとも答えが出てしまった。
キュジオ隊長は魔剣持ちである。魔剣同士が喧嘩を始めかねない。
キュジオ隊長魔剣なら、舌打ちぐらいで我慢してくれるかもしれないけど。魔剣がキレたらキレるのでやめておいた方が無難。キュジオ隊長魔剣は本人と同じく許容量は大きいが、一度決壊したらどの魔剣よりも怖い気がする。
「ソニア嬢に頼むか」
正確にはソニア嬢ではなく、デント王国のリーフ王女に。
「ソニア様は魔剣を持てるのですか?」
「アレでも王女なんだから持てるだろ。王族の血を引き継いでいるのだから」
その国で王族が尊ばれるのは、それなりの家系だからだ。たいていは魔力が強い、強力な魔法を使える、固有魔法を持つ等の一族が選ばれている。
ウィト王国ではそこまで王族は強くない。バーレイ家こそが王族になってもいいくらいその要素が強かったとしても、その当時のバーレイ家当主が王になるのを望まなかった。
身のほどをわきまえている。
バーレイ侯爵家って歴代の当主は、つまり最強の剣なのだが、多くは脳筋だったのではないだろうか。
小国でも任せてはいけない気がする。
戦ってだけいればいいという国は存在しない。
軍事国家のあの帝国だって、きちんと政治をしているのだから。
馬鹿は国を滅ぼすだけである。国は一代だけ続ければ良いものではなく、存続させなければならない。
あの当時のバーレイ家当主は英断したと言ってもいい。
王族にうまく丸め込まれただけかもしれないが。
ウィト王国にいる魔法の盾がソニア嬢に働きかけた。
無事、ウィト王国の天候も落ち着いた。
露天風呂。
西の街の近くの露天風呂は岩をスパッと切り取ったような段々な露天風呂だった。が、王都からほど近いが、ある程度の距離は離れている活火山にある源泉から引いた温泉は大小様々な岩で囲まれた岩風呂にした。
「おー、こっちは風情があるなあ」
「見比べてみると、あちらは大衆的な気がする」
「向こうは大人数が入れるからねえ」
こちらは西の街の方と比べると、そこまでの広さはない。
山のなかだし、木々が周囲に存在する。
それが風情があると言えば、あると言うのだろうか。
向こうも山のなかだったが、災害級の魔物のおかげで整地?されていたからなあ。
鬱蒼とした山のなかと言われてしまえば、それまでだ。
周辺の整備は国がやるだろう。
現在、この山は王太子領となっている。
山だけが。
昔から利用価値がないと、この地の領主はあっさりとこの山と同じ広さの平地の交換に応じたらしい。
温泉にする依頼をしたのは王太子だから、何の問題もないだろうが。
領主がそのままだったら、人が入れる温泉にする依頼すらなかったはずだ。
俺が行くもう一つの源泉の山も王太子領にしたらしい。
あの人、儲ける気、満々じゃねえか。
開発したものを国の発展のために領主にまかせる気もなかったということだ。
それでも、この山が観光地になれば、周辺の街や村は潤う。すべてを手に入れられなくとも、それだけでも利益は大きい。
領主が何もしないで利益だけを手に入れるのは、俺も違うなーとは思うが。
俺の立場は温泉掘削業者と似たようなもの。
それ相応の報酬の依頼を受けて、人の入れる温泉にするだけだ。
その後のことは関与しない。
「こっちはコレでいいか。獣道しかないけど、道の整備も王太子がどうにかするだろ」
撤収しようとしたら。
「、、、風呂、入っていかないのか」
露天風呂を見ながら、寂しそうに言うグジ。
そんなに風呂に入りたかったのか。
今回は血塗れじゃないから、どうでもいいのかと思っていた。
皆、綺麗なままだぞ。汗もかいてない。
「入りたいなら一番風呂に入って良いぞー。今日は麓の先にある宿に泊まる予定だから、特にここで風呂に入る必要もないと思っていたからなあ」
俺、一日に何度も風呂に入るほど風呂好きでもないからなあ。
そういやウィト王国で温泉に入って好きになったってコイツら言っていたな。
広い湯が好きなのだろうか。
嬉しそうにグジたちは服を脱ぎ始める。
「、、、兄ちゃんは入らないのか?」
ギルが尋ねてきた。
「今日は特に汗もかいてないからなあ。力仕事は魔法の盾、温泉の魔力を調整したのも魔剣だからな。一日の終わりに宿屋で入る」
「、、、西の街の方では汗かいていたのか?」
「さすがにあれだけの魔物を切ったから」
あのときは解体作業もやったし、かなりの肉体労働をした。汗を流してサッパリしたかった。ソイ王国温泉第一号も作ったし。
「くっ、残念」
と言いながら、ギルもお風呂に入っていった。
何が残念だったのだろう。
「あ、そうそうこの湯の効能は活発化だ。あえて、ナニがとは言わないが」
「へ?」
皆が湯から上がってから言った。
ちなみにルイジィも風呂には入らなかった。ルイジィには何が見えているんだろう。不思議だな。俺は何も言っていないのに。
ルイジィが夜遊び、女遊びする気配は感じられないが。アルティ皇太子一筋だからねえ。アルティ皇太子ですら、ルイジィに孫までいることに驚いていたくらいだ。年中無休でおそばにいたルイジィだからねえ。アルティ皇太子はルイジィ離れできているだろうか?
「夜は夕食後、自由行動で良いぞー。宿の外に遊びに行くのも自由だ」
皆、お金持っているので地域経済に貢献してくるといい。
この山に温泉施設の他、カジノとかクラブとかのギャンブルやら何やらで遊ぶための施設を作ると大儲けできそうだ。
こちらはゆっくりするための保養地ではなく、遊ぶための地にした方が犯罪も少ないだろう。
「妖艶マイア様魔剣が行きたいのはもう一つの源泉だ」
「おや、あちらに何かあるのですか?」
ルイジィが食い付いた。
魔剣が興味ある温泉に興味あるのか?
おそらく考えているのとは別物だろう。
「美肌になるらしい」
「、、、美肌」
ルイジィは笑顔のままだが、少し声に動揺が含まれた。
確かに魔剣に美肌って何だよ、って思うよね。
「マイア様らしいよな」
「、、、そうですね」
ルイジィには納得しかねるかな?
笑顔ながらも、ワケわからんって顔だ。
「ん?」
「何だ?」
皆が一斉に北の方を向いた。
バササっ、と鳥が飛び立つ。
冷たい風が運ばれてくる。
「何でしょう、少々冷気が、、、いや敵意?」
ルイジィが険しい表情になる。
全員、得物を握って警戒態勢を取るが。
「いや、大丈夫だ。ただの嫉妬だ」
俺が言うと、皆が俺を見た。
説明プリーズって顔しているな。
「あー、ウィト王国に残してきた頑固爺ルイジィ魔剣が妖艶マイア様魔剣に嫉妬している」
「あの、オルト様、その頑固爺ルイジィ魔剣と呼ぶの、やめませんか?」
おや、ルイジィの提案。
そんなに嫌かなあ。
「魔剣には名前がないから擬人化した方がわかりやすいと思うけど」
「もはや命名してくれた方が良い気がします」
「その魔剣を見たくなるなあ」
グジたちがニヤニヤと近寄ってきた。
「見たところで、魔剣は魔剣だから見た目はこの魔剣と大差はないぞ。鞘や柄の色が違うだけで」
「けど、擬人化するってことは、それなりに特徴があるんだろ」
「ああ、ルイジィのアルティ皇太子のことに関しての譲れなさ具合の頑固さが、あの魔剣ソックリなんだよ。今も俺のそばに自分がいないから超怒っている」
「、、、怒っているくらいでウィト王国王都からここまで冷気を飛ばされたら怖いのですけど」
「俺の手元に他の魔剣がなければあそこまで怒らなかったと思うけど、、、手元にあるのが妖艶マイア様魔剣だから、遠く離れていても煽るんだよなあ」
困ったものだ。
私は役に立っているけど、貴方はー?妖艶な微笑み、みたいなー。
彼ら魔剣は距離なんて離れていても関係なく、いくらでも意志を飛ばしているようだ。
傍迷惑な。
頑固爺は王都に置いておかれているのだから、何もできるはずもない。
物理的なものはどうしようもない。
妖艶マイア様はオルレアに返すの忘れているけど、迷惑料としてもらっていてもかまわないよねえ。
どうせ夢幻回廊では使えないし、オルレアでは。
「ウィト王国の王都まで取りに行けないからどうしようか」
俺が言うと、ウィト王国の方向の空に、毒々しいほどの暗雲が立ち込めたなあ。。。
魔力だけは無尽蔵に溜め込んだ癖のある魔剣だから。
魔剣って扱いを間違うと途端に一国ぐらい簡単に滅びるからねえ。
ヤバいかな?
「オルト様、ソニア様かキュジオ殿に持って来てもらうように頼んだらいかがですか?」
「、、、ああ、デント王国で合流するなら。あれ?あの二人、まだ出発してないの?」
馬車で行くなら、余裕をもって出発していた方が良いんじゃないか?
意外と遠いし、悪路だし。デント王国は横長な国だし、王都まで距離あるし。
「ギリギリに出発するそうです。遅れても言い訳が立ちますから」
「遅れそうになったら、あの女王なら空飛ぶ馬車で出迎えに行かせるんじゃないか?」
「空飛ぶ馬車?メルヘンチックな馬車がデント王国には存在するんだな」
知らないのは幸せだな、グジ。
他の皆もそのような感想を抱いている目をしているが、デント王国で実物を見てもらえばいいので今は何も言わない。
デント王国民は戦々恐々としている。
あの空飛ぶ馬車は粛清の足音でしかない。
馬の嘶きが上空から聞こえたら、家から出ないのが鉄則なのだそうな。
返り血が飛んでいる白い馬車ほど、目撃して怖いものはないだろう。
彼らにはわざわざ女王が来なくても、その従者が迎えに来そうだな。
「、、、どちらに頼むかって、決まっているか」
考えずとも答えが出てしまった。
キュジオ隊長は魔剣持ちである。魔剣同士が喧嘩を始めかねない。
キュジオ隊長魔剣なら、舌打ちぐらいで我慢してくれるかもしれないけど。魔剣がキレたらキレるのでやめておいた方が無難。キュジオ隊長魔剣は本人と同じく許容量は大きいが、一度決壊したらどの魔剣よりも怖い気がする。
「ソニア嬢に頼むか」
正確にはソニア嬢ではなく、デント王国のリーフ王女に。
「ソニア様は魔剣を持てるのですか?」
「アレでも王女なんだから持てるだろ。王族の血を引き継いでいるのだから」
その国で王族が尊ばれるのは、それなりの家系だからだ。たいていは魔力が強い、強力な魔法を使える、固有魔法を持つ等の一族が選ばれている。
ウィト王国ではそこまで王族は強くない。バーレイ家こそが王族になってもいいくらいその要素が強かったとしても、その当時のバーレイ家当主が王になるのを望まなかった。
身のほどをわきまえている。
バーレイ侯爵家って歴代の当主は、つまり最強の剣なのだが、多くは脳筋だったのではないだろうか。
小国でも任せてはいけない気がする。
戦ってだけいればいいという国は存在しない。
軍事国家のあの帝国だって、きちんと政治をしているのだから。
馬鹿は国を滅ぼすだけである。国は一代だけ続ければ良いものではなく、存続させなければならない。
あの当時のバーレイ家当主は英断したと言ってもいい。
王族にうまく丸め込まれただけかもしれないが。
ウィト王国にいる魔法の盾がソニア嬢に働きかけた。
無事、ウィト王国の天候も落ち着いた。
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