154 / 207
8章 頼り切った者たち
8-15 立派な宿を本物の貴族が使うかは別の話
しおりを挟む
「すげー立派な宿だな、おい」
呆れ果てる。
建物が豪華だ。
貴族区につながる門の近くに、デデーンとそびえたつ。
この宿屋は貴族区に入るために必要な書類がない者のために建てられた宿なのかな?
じゃないと、こんな門のそばに陣取ってないだろ。
王城や貴族の屋敷に呼ばれた者なら、この国では貴族区の通行許可証も一緒に添えて送るのが常識であるが、嫌がらせをする、本当にウッカリ、等の理由により足止めを食らうことがある。
融通が利かないのはどこも同じ。
つまり、ソイ王国の本物の貴族ならこのホテルには泊まらないということだ。
王城は貴族区の先だから、許可証のない平民はこの遠くから眺めるだけである。
安全と言えば安全だが、このくらいで上流階級の安全が守られると思うな。
「あら、やだ、冒険者がこの宿に?」
「この宿の品位も下がったわね」
ぞろぞろと十五人で高級宿屋のひっろーい玄関に入ったら、即座に嫌味を言われた。
客であろうドレス姿の女性が数人、貴族風の男性が数人、その従者や侍女たちがロビーにいる。
わざと大きな声で聞こえよがしに言っているのだ。
十三人はちょっと小さくなったが、他人にわかる程度ではない。
強面いかつい姿は視線を動かすだけで、相手の方が顔を逸らせる。
フロントにいるスタッフがお辞儀する。
「当宿は紹介のないお客様はお断りしております」
話しかける前から、このスタッフは紹介がないと端から決めかかっている。
慇懃無礼。
上から目線。
ルイジィは笑顔のままだが、臨戦態勢に入ったぞ。
「オルト・バーレイ様、大変申し訳ございませんっ。私は当宿の支配人です。ソイファ王太子殿下から失礼のないよう仰せつかっておりましたのに、この者たちは厳重に処罰致しますので。宿泊のお手続きのためにこちらにお越しください」
さっと出てきて、支配人と名乗った男が深々と頭を下げた。
あーあ、冒険者ギルドからの紹介だったのに、ソイファ王太子殿下と言っちゃったよ。ダメだな、この支配人。
「支配人が直々に挨拶を?」
「我々には挨拶に出て来たことはないのに」
「ソイファ王太子殿下と言っていたぞ」
「彼の名前、聞き逃がした。貴族か?聞こえたか?」
「申し訳ございませんが、早口でしたので」
後ろがざわめく。
暇なのか、お前ら。
ロビーにたむろしてないで、観光に行くなり部屋に戻るなりしろ。
門の通行許可をロビーで待っていても、早くは持って来てくれないぞ。
フロントのスタッフの顔色も変わった。
しっかたない。
オルレアスマイル発動ーっ。
「支配人、処罰まで考えなくてもいい。スタッフも宿の品位のために良かれと思って仕事をしただけだ。ただし、今後は事情のあるお客もいるだろうから指導は必要だが」
「はっ、ありがたきお言葉。ソイファ王太子殿下にもこの宿のことを」
俺を見て、ビクッと肩を揺らして支配人が言葉をとめた。
「公の場でこの宿を勧めてくれた方のことを大声で言わないように」
この辺が二流の宿だなあ。
ただ豪華なだけの宿。
「は、はい。申し訳ございません」
「オルト様は笑顔が怖いですねえ」
「ルイジィほどじゃないぞ」
さっさと個室に移動しましょう。
冒険者がたむろする玄関でもないので。
冒険者ギルドからの紹介状を渡し、身分証をそれぞれ確認して書類に必要事項を記入して、ルイジィの身分証って偽造なのか本物なのか謎を残しつつ手続きを終えて部屋に入った。
「面倒」
この一言に尽きる。
コレだから、格調高い宿屋と言うのは。。。
んで、ソイ王国王都の貴族区に宿があるのかというと、ない。
貴族区というのは貴族の屋敷がたむろしているところである。
もしそこに呼ばれたということなら、貴族の屋敷にである。
食事にしろ、泊まるにしろ、貴族の屋敷で事足りる。
超大勢の人数を招待した場合、貸し屋敷が存在する。自分たちで使用人等も手配するのである。
王城だって、宿泊施設の塊である。他国の要人を接待するために使われる。
貴族区に店は必要ない。店員が貴族の屋敷に行くからである。
貴族区というのは観光地にならない。そういう地区を指定する国はたいてい平民や一般観光客が入れない。
レストランも買い物する店もないし、見るべき名所もないので、用事がなければ行く意味もない。
ただ権威を誇示したい、そういうところだ。
この国の貴族区というのは、街一番の中心地に位置しながら、何も生み出さない活気のない地区である。
軍事国家の帝国でさえ中心地は賑わっているというのに。
城内には入れないが、広場の門から平民でも皇帝の城というのを直接眺められる。
観光という点においては、皇帝の偉業を高らかに謳っている場所ばかりなので帝都は帝国民にとっては素晴らしい観光地なのである。
帝国の貴族区というのは城に面しているが、囲ってはいない。
同じ戦争国家であっても、国による違いは大きい。
平民の士気の上げ方が上手いのは言わずと知れた帝国の方である。
あの国は皇帝のために国民が全員死ねるのである。
「だから、私が一手に引き受けると申しましたのに」
「なぜだろうな。ルイジィに任せると余計に厄介になる気がするのは」
深いため息を吐いた後、ソファに座って部屋を見渡す。
そう、見渡す広さがある。
皆も思い思いに部屋に散らばっていった。
似ているのは貴族学校のオルレアの寮の部屋だ。あそこも部屋数が多かった。
イメージとしては大きな居間、主寝室、何部屋かの寝室、従者や護衛用の部屋が存在するのである。
確実に貴族用の部屋である。
使用人用の部屋も豪華なのか、普通に部屋割りが決まってしまった。
一人一部屋以上はあるらしい。
主寝室は俺に割り当てられてしまった。
全員がそれは絶対に譲れないと主張した。
「三泊とはいえこのくらいの宿を無料で使えるとは、ソイファ王太子殿下も奮発したなあ」
「ウィト王国の最強の盾を王城や貴族の屋敷に招き入れると厄介ごとも招き入れると思ったのでしょう」
「俺は国外に出ていないはずだからなあ。非公式訪問でしかないけどな」
そういや現国王には会ったことないや。
王太子と前国王には会ったけど。
じゃあ、王城に入れなくてもおかしくないのでは?
「帝国は喜んで、最強の盾を公式にお迎えしますよ」
「食事も部屋に運んでくれると言っていたな。各部屋に食堂まで存在しているのも貴族の宿ならでは、か」
食事をする部屋ね。
大衆的な食事を提供する飲食店の意味の食堂ではないよ。そっちの食堂も俺は好きだけどね。
この宿だったらルイジィも合格点を出すだろう。
けれど、本当の貴族なら王都の繁華街の高級宿に宿泊するので、貴族区の門の近くの宿には泊まらない。
そういう宿なのだ、ここは。
冒険者ギルドには近いけどね。
そういう点でソイファ王太子殿下も選んでくれたと思うけど。
「すっげー、こんな宿、泊まったことねえ」
「備品壊したら弁償できねえだろうな」
「ベッドが大きくて柔らかい」
口々に感想を言いながら、居間に戻ってきた。
居間のソファはかなりの数が並んでいる。
にもかかわらず、ルイジィは俺の斜め後ろに立っているのだけど。
アルティ皇太子のときと同じ位置取りか。
やりたいようにやらせておけばいいか。座りたくなったら座るだろ。
「オルト様、お客様がいらしているようです」
「へえー。皆も座ってて」
グジたちも言われるがままソファに座る。
ルイジィがお客を連れて来た。
「オルト様、お客様をお連れしました」
「やあ、どうだい?この宿屋の雰囲気は?」
「そりゃ、貴方の夢幻回廊に比べたら劣るとしか言いようがないのですが」
相手が誰かということがわかって、慌てて立ち上がるグジたち。
立ち上がったものの、平伏した方が良いのか迷い出す。
王族に接したことがないとどうしたらいいのかわからないよなあ。
国によっても身分によっても違うので、この国の正解はわからないのだが。
「良い。非公式の場だ。楽にしてくれ」
自国の王太子にそう言われて、ソファにデローンと座れる度胸がある奴がいたら見てみたい。
グジたちは右往左往している。
お付きの人がいないので、一人で空間転移魔法で来たのだろう。
服装も軽装だ。
「最強の盾が慌てないのは少々残念だが」
「お客が来るという時点で、ここに泊まっているのを知っているのは誰かと考えますけどね、普通は」
「おおっとぉ、最強の盾に普通を説かれてしまった。非常識の規格外にっ」
「ソイファ王太子殿下、謎の落下物を自国の軍勢の上に落とされたくなければ、不要な発言は慎まれた方がよろしいかと」
「本当にできるから、最強の盾は脅威になるんだよねー」
「わざわざこの宿までご足労いただいた理由を、さっさとご説明していただけるとありがたいのですが」
オルレアスマイル発動中。
呆れ果てる。
建物が豪華だ。
貴族区につながる門の近くに、デデーンとそびえたつ。
この宿屋は貴族区に入るために必要な書類がない者のために建てられた宿なのかな?
じゃないと、こんな門のそばに陣取ってないだろ。
王城や貴族の屋敷に呼ばれた者なら、この国では貴族区の通行許可証も一緒に添えて送るのが常識であるが、嫌がらせをする、本当にウッカリ、等の理由により足止めを食らうことがある。
融通が利かないのはどこも同じ。
つまり、ソイ王国の本物の貴族ならこのホテルには泊まらないということだ。
王城は貴族区の先だから、許可証のない平民はこの遠くから眺めるだけである。
安全と言えば安全だが、このくらいで上流階級の安全が守られると思うな。
「あら、やだ、冒険者がこの宿に?」
「この宿の品位も下がったわね」
ぞろぞろと十五人で高級宿屋のひっろーい玄関に入ったら、即座に嫌味を言われた。
客であろうドレス姿の女性が数人、貴族風の男性が数人、その従者や侍女たちがロビーにいる。
わざと大きな声で聞こえよがしに言っているのだ。
十三人はちょっと小さくなったが、他人にわかる程度ではない。
強面いかつい姿は視線を動かすだけで、相手の方が顔を逸らせる。
フロントにいるスタッフがお辞儀する。
「当宿は紹介のないお客様はお断りしております」
話しかける前から、このスタッフは紹介がないと端から決めかかっている。
慇懃無礼。
上から目線。
ルイジィは笑顔のままだが、臨戦態勢に入ったぞ。
「オルト・バーレイ様、大変申し訳ございませんっ。私は当宿の支配人です。ソイファ王太子殿下から失礼のないよう仰せつかっておりましたのに、この者たちは厳重に処罰致しますので。宿泊のお手続きのためにこちらにお越しください」
さっと出てきて、支配人と名乗った男が深々と頭を下げた。
あーあ、冒険者ギルドからの紹介だったのに、ソイファ王太子殿下と言っちゃったよ。ダメだな、この支配人。
「支配人が直々に挨拶を?」
「我々には挨拶に出て来たことはないのに」
「ソイファ王太子殿下と言っていたぞ」
「彼の名前、聞き逃がした。貴族か?聞こえたか?」
「申し訳ございませんが、早口でしたので」
後ろがざわめく。
暇なのか、お前ら。
ロビーにたむろしてないで、観光に行くなり部屋に戻るなりしろ。
門の通行許可をロビーで待っていても、早くは持って来てくれないぞ。
フロントのスタッフの顔色も変わった。
しっかたない。
オルレアスマイル発動ーっ。
「支配人、処罰まで考えなくてもいい。スタッフも宿の品位のために良かれと思って仕事をしただけだ。ただし、今後は事情のあるお客もいるだろうから指導は必要だが」
「はっ、ありがたきお言葉。ソイファ王太子殿下にもこの宿のことを」
俺を見て、ビクッと肩を揺らして支配人が言葉をとめた。
「公の場でこの宿を勧めてくれた方のことを大声で言わないように」
この辺が二流の宿だなあ。
ただ豪華なだけの宿。
「は、はい。申し訳ございません」
「オルト様は笑顔が怖いですねえ」
「ルイジィほどじゃないぞ」
さっさと個室に移動しましょう。
冒険者がたむろする玄関でもないので。
冒険者ギルドからの紹介状を渡し、身分証をそれぞれ確認して書類に必要事項を記入して、ルイジィの身分証って偽造なのか本物なのか謎を残しつつ手続きを終えて部屋に入った。
「面倒」
この一言に尽きる。
コレだから、格調高い宿屋と言うのは。。。
んで、ソイ王国王都の貴族区に宿があるのかというと、ない。
貴族区というのは貴族の屋敷がたむろしているところである。
もしそこに呼ばれたということなら、貴族の屋敷にである。
食事にしろ、泊まるにしろ、貴族の屋敷で事足りる。
超大勢の人数を招待した場合、貸し屋敷が存在する。自分たちで使用人等も手配するのである。
王城だって、宿泊施設の塊である。他国の要人を接待するために使われる。
貴族区に店は必要ない。店員が貴族の屋敷に行くからである。
貴族区というのは観光地にならない。そういう地区を指定する国はたいてい平民や一般観光客が入れない。
レストランも買い物する店もないし、見るべき名所もないので、用事がなければ行く意味もない。
ただ権威を誇示したい、そういうところだ。
この国の貴族区というのは、街一番の中心地に位置しながら、何も生み出さない活気のない地区である。
軍事国家の帝国でさえ中心地は賑わっているというのに。
城内には入れないが、広場の門から平民でも皇帝の城というのを直接眺められる。
観光という点においては、皇帝の偉業を高らかに謳っている場所ばかりなので帝都は帝国民にとっては素晴らしい観光地なのである。
帝国の貴族区というのは城に面しているが、囲ってはいない。
同じ戦争国家であっても、国による違いは大きい。
平民の士気の上げ方が上手いのは言わずと知れた帝国の方である。
あの国は皇帝のために国民が全員死ねるのである。
「だから、私が一手に引き受けると申しましたのに」
「なぜだろうな。ルイジィに任せると余計に厄介になる気がするのは」
深いため息を吐いた後、ソファに座って部屋を見渡す。
そう、見渡す広さがある。
皆も思い思いに部屋に散らばっていった。
似ているのは貴族学校のオルレアの寮の部屋だ。あそこも部屋数が多かった。
イメージとしては大きな居間、主寝室、何部屋かの寝室、従者や護衛用の部屋が存在するのである。
確実に貴族用の部屋である。
使用人用の部屋も豪華なのか、普通に部屋割りが決まってしまった。
一人一部屋以上はあるらしい。
主寝室は俺に割り当てられてしまった。
全員がそれは絶対に譲れないと主張した。
「三泊とはいえこのくらいの宿を無料で使えるとは、ソイファ王太子殿下も奮発したなあ」
「ウィト王国の最強の盾を王城や貴族の屋敷に招き入れると厄介ごとも招き入れると思ったのでしょう」
「俺は国外に出ていないはずだからなあ。非公式訪問でしかないけどな」
そういや現国王には会ったことないや。
王太子と前国王には会ったけど。
じゃあ、王城に入れなくてもおかしくないのでは?
「帝国は喜んで、最強の盾を公式にお迎えしますよ」
「食事も部屋に運んでくれると言っていたな。各部屋に食堂まで存在しているのも貴族の宿ならでは、か」
食事をする部屋ね。
大衆的な食事を提供する飲食店の意味の食堂ではないよ。そっちの食堂も俺は好きだけどね。
この宿だったらルイジィも合格点を出すだろう。
けれど、本当の貴族なら王都の繁華街の高級宿に宿泊するので、貴族区の門の近くの宿には泊まらない。
そういう宿なのだ、ここは。
冒険者ギルドには近いけどね。
そういう点でソイファ王太子殿下も選んでくれたと思うけど。
「すっげー、こんな宿、泊まったことねえ」
「備品壊したら弁償できねえだろうな」
「ベッドが大きくて柔らかい」
口々に感想を言いながら、居間に戻ってきた。
居間のソファはかなりの数が並んでいる。
にもかかわらず、ルイジィは俺の斜め後ろに立っているのだけど。
アルティ皇太子のときと同じ位置取りか。
やりたいようにやらせておけばいいか。座りたくなったら座るだろ。
「オルト様、お客様がいらしているようです」
「へえー。皆も座ってて」
グジたちも言われるがままソファに座る。
ルイジィがお客を連れて来た。
「オルト様、お客様をお連れしました」
「やあ、どうだい?この宿屋の雰囲気は?」
「そりゃ、貴方の夢幻回廊に比べたら劣るとしか言いようがないのですが」
相手が誰かということがわかって、慌てて立ち上がるグジたち。
立ち上がったものの、平伏した方が良いのか迷い出す。
王族に接したことがないとどうしたらいいのかわからないよなあ。
国によっても身分によっても違うので、この国の正解はわからないのだが。
「良い。非公式の場だ。楽にしてくれ」
自国の王太子にそう言われて、ソファにデローンと座れる度胸がある奴がいたら見てみたい。
グジたちは右往左往している。
お付きの人がいないので、一人で空間転移魔法で来たのだろう。
服装も軽装だ。
「最強の盾が慌てないのは少々残念だが」
「お客が来るという時点で、ここに泊まっているのを知っているのは誰かと考えますけどね、普通は」
「おおっとぉ、最強の盾に普通を説かれてしまった。非常識の規格外にっ」
「ソイファ王太子殿下、謎の落下物を自国の軍勢の上に落とされたくなければ、不要な発言は慎まれた方がよろしいかと」
「本当にできるから、最強の盾は脅威になるんだよねー」
「わざわざこの宿までご足労いただいた理由を、さっさとご説明していただけるとありがたいのですが」
オルレアスマイル発動中。
3
お気に入りに追加
341
あなたにおすすめの小説
兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
幼い精霊を預けられたので、俺と主様が育ての父母になった件
雪玉 円記
BL
ハイマー辺境領主のグルシエス家に仕える、ディラン・サヘンドラ。
主である辺境伯グルシエス家三男、クリストファーと共に王立学園を卒業し、ハイマー領へと戻る。
その数日後、魔獣討伐のために騎士団と共に出撃したところ、幼い見た目の言葉を話せない子供を拾う。
リアンと名付けたその子供は、クリストファーの思惑でディランと彼を父母と認識してしまった。
個性豊かなグルシエス家、仕える面々、不思議な生き物たちに囲まれ、リアンはのびのびと暮らす。
ある日、世界的宗教であるマナ・ユリエ教の教団騎士であるエイギルがリアンを訪ねてきた。
リアンは次代の世界樹の精霊である。そのため、次のシンボルとして教団に居を移してほしい、と告げるエイギル。
だがリアンはそれを拒否する。リアンが嫌なら、と二人も支持する。
その判断が教皇アーシスの怒髪天をついてしまった。
数週間後、教団騎士団がハイマー辺境領邸を襲撃した。
ディランはリアンとクリストファーを守るため、リアンを迎えにきたエイギルと対峙する。
だが実力の差は大きく、ディランは斬り伏せられ、死の淵を彷徨う。
次に目が覚めた時、ディランはユグドラシルの元にいた。
ユグドラシルが用意したアフタヌーンティーを前に、意識が途絶えたあとのこと、自分とクリストファーの状態、リアンの決断、そして、何故自分とクリストファーがリアンの養親に選ばれたのかを聞かされる。
ユグドラシルに送り出され、意識が戻ったのは襲撃から数日後だった。
後日、リアンが拾ってきた不思議な生き物たちが実は四大元素の精霊たちであると知らされる。
彼らとグルシエス家中の協力を得て、ディランとクリストファーは鍛錬に励む。
一ヶ月後、ディランとクリスは四大精霊を伴い、教団本部がある隣国にいた。
ユグドラシルとリアンの意思を叶えるために。
そして、自分達を圧倒的戦闘力でねじ伏せたエイギルへのリベンジを果たすために──……。
※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
その男、有能につき……
大和撫子
BL
俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか?
「君、どうかしたのかい?」
その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。
黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。
彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。
だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。
大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?
更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!
美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる