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5章 拗れて歪んだ恋心

5-6 庇護欲と呼ばれるものならまだ良かった1 ◆サイ視点◆

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◆サイ視点◆

 母が亡くなった。
 モルト公爵と呼ばれる父親は、母の葬儀の数日後に女性を連れてきた。
 金髪巻き毛の女の子と一緒に。

 連れ子ならまだ良かった。
 マーガレットは正真正銘お前の妹だと言われた。
 腹違いの。
 そのとき私は四歳になっていた。
 マーガレットはたった一歳しか変わらない。

 マーガレットは説明の意味がまだわからないのか。

「お兄様、よろしくお願いします」

 と、にっこり笑って挨拶したのだ。
 無邪気な笑顔だった。
 確かに、可愛らしいとは思った。

 父が今まで家になかなか帰って来なかったところを見ると、嘘を吐かれていたことは明白だった。
 仕事が忙しいと。
 この母娘がこの家に住むようになった途端、父は普通に帰って来るようになった。
 母も私も騙されていた。

 母はこの事実を知らないまま亡くなったのだろうか。
 その方が良い。
 父は仕事一筋だったと思っていてくれていれば、どんなに幸せか。

 それは私の希望だ。母が知っていたかどうか知らない方が、私も幸せだ。


 この国は一夫一妻制だ。紛れもなく。
 マーガレットの存在が、父がずっと浮気していたことを証明している。
 どうしても結ばれたいのなら妻と離婚するか、妻が亡くなるまで待つしかない。

 この国の貴族において、離婚はあまり勧めらたものではない。弱みを晒すことになるからだ。

 母は病気で亡くなった。 
 なぜか、この父の行動でそれが本当に病気だったのか疑わしく思った。
 毒、魔法、可能性は何でもある。
 公爵が圧力をかければ、死亡診断などどのようにでもなる。
 他殺だと捜査されたら、いかようにも犯人を仕立て上げることもできる。

 私は部屋に閉じ籠った。
 私も父に殺されるのではないかと深く疑った。

 マーガレットは義母にソックリだ。
 そして、私は母に似ている。黒髪も顔立ちも。
 この家を継がせたいのは、長男の私ではなくマーガレットなのではないだろうか。

 部屋に運ばれる食事も毒が入っていないか、気になってほとんど食べられない。
 いつか殺されるのではないかと思ったら、何も手につかなくなった。
 家庭教師の言葉など耳を素通りする。




 そんな日々が続くと、父は私を軟弱だと言って、ある屋敷の訓練場に放り込んだ。 
 誰のせいだと思ったが、父は私を置いてさっさと帰ってしまった。

「初めまして、オルト・バーレイです」

 身長はほんのちょっとだけ小さいくらいだった。
 クセ毛の銀髪を見て、思い出した。
 すでに名乗られているのに名前が素通りしていた。
 銀髪はこの国ではバーレイ侯爵家に血のつながりがある者しかいない。

 ここは国防を担うバーレイ侯爵家である。
 なぜ、訓練場に連れてこられたのだろう。

「、、、サイ・モルトです」

 名乗ると、オルトが嬉しそうに笑った。

「よろしくお願いします」

「オルト、サイはモルト公爵家の令息だ。公爵から直々に剣や体術の訓練をして体力を上げるように言われている。一歳年上だ」

 この怖そうな人がバーレイ侯爵かな?

「剣や体術?」

「モルト公爵家の跡継ぎが部屋に閉じこもって、将来が不安だから今のうちに矯正してほしいとの申し出だ」

 ふぎゃー。
 道理で動きやすそうな服を着させられたのか。

「オルト、一緒に内周を走れ」

「はいっ、バーレイ侯爵」

 ん?オルトはバーレイ侯爵の子供じゃないのか?
 だが、考え事はすぐに頭から逃亡した。
 オルトが先に走ろうとしたが、、、すぐに息切れした私の隣を私のペースで走った。
 一周走り終わったとき、バーレイ侯爵が言った。

「、、、オルト、お前は先に走れ。サイは自分のペースであと四周だ」

 鬼っ。そんなに走れるわけがないじゃないかっ。
 この訓練場はかなり広い。
 私たちの他に、他の大人たちも剣や魔法などの訓練をしている。

 私はすぐにオルトに抜かされていく。
 速っ、もう一周走って来たのか?
 オルトは規則正しく走り去っていく。アレで三歳なのか。

「たった二周でコレか。体力なさすぎるな」

 バーレイ侯爵が呆れたように言う。
 ぜーぜーと息の音がうるさい。手を地面について膝をつく。
 無理だ、無理。

「おい、キュジオ、ちょっと来い」

 不機嫌そうな顔で、年上の少年が近づいて来た。

「何ですか?」

「サイ・モルト公爵令息だ。基礎訓練をしてやれ」

「、、、どの程度の?」

 ズボンのポケットに手を入れたまま、ものすごい嫌そうな顔で私を見た。

「貴族の令息の、普通の体力がつくくらいの」

「貴族のガキの体力なんてわかるわけねーだろ、平民の俺が」

 って、キュジオが言った瞬間に風が吹いた。
 私が気づいたときには、バーレイ侯爵が抜剣して、剣を薙ぎ終わった後だった。

 キュジオは遠くに飛んで躱したようだ。
 ごくごく普通に生きている。しかも、両手はポケットに入れたままだった。

「もう少し言葉遣いに気をつけろ」

「アンタこそ、他人に命令するなら、それなりの命令よこせ。誰もが察してくれると思うなよ」

 うわー、口が悪い。
 この人、本当に平民なの?
 バーレイ侯爵に楯突いて本当に無事でいられるの?

 私は尻餅をついていた。
 いつのまにか私の隣に座って、キラキラとした目でオルトがキュジオを見ていた。

「お前はああ言えば、こう言う。お前にはマナーの講師をつけた方が良いな」

「ゲェ、何考えてんだ、オッサン。俺は貴族ってだけで他人を敬う気は毛頭ないから、金の無駄遣いはやめろ。それに、アンタの剣の太刀筋が鈍ったのを俺のせいにするな。今の剣、ノロすぎたぞ。老化か?」

「掃除が面倒だから手加減をしてやっているんだ。それくらいもわからないのか」

「、、、あー、はいはい、そーですねー。じゃ、坊ちゃん、基礎体力作りしましょうかねー」

 キュジオがバーレイ侯爵に深い礼をした。
 この態度は慇懃無礼というものではないのだろうか。
 聞いたことはあるが始めて見た。
 公爵家や侯爵家の人間に尊大な態度を取れる者がいないせいでもあるだろうが。

「まったく、ここはガキのお守り場じゃねえんだぞ」

 少し離れたところで言ったが、この声はバーレイ侯爵にもしっかり聞こえているだろう。

「私の体力がなさすぎて申し訳ございません」

 一応謝る。
 遠くから羨ましそうな視線が背中に刺さる。

「そーだなー。なさすぎだな。が、貴族のガキなんか護衛がたむろっていれば守ってくれるから、体力なくてもどうにでもなるんじゃねえか」

「そうでもないぞ。護衛もピンキリだ。金のために命をかける者も少ない。主人が命をかけられるほどの人物じゃねえと最後まで守ってもらえない」

 逞しい大人の人がキュジオに近寄って来て言った。
 鍛え上げている筋肉が、キュジオより強そうだ。

「副団長。ああ、主人を放置して逃げるのか。っていうか、主人が貴族なら逃げたのがバレたらソイツ処刑されるんじゃねえ?」

「主人が死んでいたらわからんよ。ただし、貴族の子弟が殺されたのなら惨たらしく殺されるだろうな」

「貴族ってソレが嫌だよ。自分たちの見通しが甘かったせいなのに、護衛のせいにするなんて。護衛は護衛を雇う金ねえだろ」

 護衛の人数が足りないのに、ってことか。
 副団長をじっと見る。
 この人の方が優しく教えてもらえるんじゃないか?

「んー、坊ちゃん、キュジオは十一歳だが、この私兵団で今、一番強いんだ。絶賛売り出し中だ。まあ、魔剣を譲られたって理由もあるんだが」

 副団長はキュジオの頭をわしわしと撫でる。

「おい、それ、魔剣が強いって言ってるぞ」

「魔剣も凄いが、その魔剣が扱えるってだけで凄いことなんだ。ま、坊ちゃん、次の最強の剣と一緒に訓練したコイツの腕はここにいる皆が保証する。基礎体力があれば、貴族学校に入ったときに馬鹿にされることもないだろう」

「、、、馬鹿にされるのか?」

「そりゃ、公爵家なら表立って馬鹿にはしないが、貴族学校では剣や魔法、体術、乗馬、ダンス等の授業もある。実技も多いから、ある程度の体力がないと完全に舐められるだろうなあ」

「貴族なら脳筋の方が完全に舐められると思うけどなあ、バーレイ侯爵みたいな」

「一言多いぞ、キュジオ。バーレイ侯爵が脳筋でも、この国で舐める馬鹿はいない」

 副団長さんも一言多い気がするよ?
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