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2章 令嬢たちは嫉妬する
2-9 花びら舞う王子様4 ◆クオ王子視点◆
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◆クオ王子視点◆
エスコートする相手を、王城に保護している令嬢たちのなかから決めろと父から言われた。
ソフィア・カートン伯爵令嬢は兄の第二王子であるネオがエスコートする。
つまり、ソフィア嬢以外は第三王子である私の婚約者候補である。
まだ学校に通う成人前の、社交界デビューもしていない年齢だが、今回は彼女たちを労うといった意味合いを持つ内輪の晩餐会である。
ゆえに令嬢たちは親族同伴、エスコート役は親か兄弟、従兄弟等の親戚関係となる。
王子である私たちは子供の頃から公の場に出された。
王太子である第一王子はもちろんのこと、第二王子も、第三王子の私も幼少の頃から、王城での晩餐会や舞踏会では貴族の大人相手をさせられた。
貴族令嬢たちもそこまでの経歴は持たないだろうが、王子妃にしたい家はそれなりの教育を令嬢にしているだろう。その家の屋敷等で開催される晩餐会や舞踏会、お茶会などは子供を出席させてお披露目させておく意味合いを持つ。社交界に出る前に親がきちんと心構えを準備させておくのである。
と、前置きはともかく、そーんなことはどうでもいい。
オルレア・バーレイをエスコートしたい。
あの令嬢の中から選べと言われているので、バーレイ侯爵家の令嬢であっても問題はないはずだ。
王族とバーレイ侯爵家の距離が縮まると、他の貴族たちがうるさくなる。
けれども、あの中で伴侶を選べと言われたら、今のところオルレア・バーレイ一択だ。
彼女は面白い。
男装の令嬢だからと毛嫌いしていたのか、色物と思っていたのか、それすらも記憶にもないが、最近まで話もしていなかったことが悔やまれる。せっかく同学年にいたのにもったいない。
仕事の調整をして、ようやく時間が取れた。
なぜ学校に通っているときよりも、仕事が忙しくなるのだろう。
不思議だ。
しかも、私は第三王子。
第一、第二王子はすでに学校を卒業していて実務に携わっているのだから、仕事をする時間は私よりもある。
仕事がこんなに回ってくるのはどう考えてもおかしい。
晩餐会の二日前にようやくオルレアに会いに行ける。
オルレアにエスコート役がいたとしても、おそらく双子の弟だ。
最強の剣である兄は王都にはいないから、王子にエスコート役を快く譲ってくれるだろう。出席しない侯爵夫妻がうまい具合に調整してくれるのを期待する。
「あー、殿下、どうしたんですか?」
オルレアの部屋の前に、私の親衛隊隊長のキュジオがいた。
不真面目そうに通路の壁に寄りかかっている護衛がどこの世界にいるんだ。
私の後ろの隊員たちが隊長にどういう視線を投げかけているのかも見ずしてわかる。
「護衛か?部屋にオルレアはいるのか?」
「いますけどー、今は入室不可ですねえ」
「、、、誰か客人か?」
王城で王子より優先される客って誰だ?
先客がいたとしても通されるのが普通なのだが。
せめて部屋の中に連絡くらい入れてもいいはずだが、キュジオは壁に寄りかかったまま動かない。
先触れしていない私が悪いと言えば悪いのかもしれないが、オルレアの場合、ドレスを着替える、化粧直しするといった手間をかけさせる方が面白くなくなる。この辺は王城内だから許してほしい、くらいの軽い感じでやってきた。
それが仇となったのか。
「王妹殿下がお越しです」
「、、、叔母上か、お茶でもしているのか?」
「晩餐会の衣装合わせです。王妹殿下がオルレアに衣装を贈るので」
「は?何それ?」
衣装を贈るって、婚約者同士とか親しい間柄ですることじゃないのか?
いや、同性だから気に入ったドレスを贈ったということか?
「聞いてませんかー?今度の晩餐会では王妹殿下がエスコート役をオルレアに頼んだのを」
「、、、聞いてない」
ホントに何それ?
青天の霹靂なんですけど。
やめてほしい、思いつきで変なことやるの。
え、じゃあ、私は誰をエスコートすればいいの?
と思ったところで、首を傾げる。
「、、、ん?叔母上のエスコート役がオルレアなの?女性同士でしょ?」
「まあ、それは察してほしいかと。表向きは下手な男性にエスコートをさせて、隣国の公爵である旦那様を怒らせたくないのだとか」
「表向きは、か」
キュジオ、お前は内緒話には向かないなあ。
話は早いが。
「叔母上の本音は?」
「そりゃ、オルレアに王子様風衣装を着せてみたいという野望の元に突き進んでおります」
あ、だから、キュジオは追い出されたのか。男装していても女性は女性だからな。
オルレアの着替えは絶対に見るなよ。
「別にそれなら晩餐会じゃなくてもいいじゃないか」
「いやいや、王妹殿下にとっては晩餐会や舞踏会であの王子様にエスコートされるのが意味があるそうですよー」
「くっ、相手が叔母上じゃ文句も言えない」
「親族の誰かが声を上げないと、王妹殿下がこの城にいる間、オルレアはずっと男装の令嬢ですよー」
「、、、え?」
ずっと?
私は過去のオルレアのドレス姿って記憶してないんだけど。
記録には王城でのお茶会等参加しているから見ているはずなんだけど、頭の中には残っていない。
ドレス姿なんてどこの令嬢だって同じにしか見えない。
つい最近になって、オルレアの男装の姿も面白いけど、ドレス姿も見てみたいと思うようになったのに。。。
だから、近くで見るためにエスコートしたいと思ったんだけど。
「、、、殿下、さすがに今回、オルレアをエスコートするのは難しいかと」
「、、、仕方ない。今回は叔母上に譲るか」
キュジオの目が譲るも何も、こーんな二日前に来て何を言っているんだか、と物語っている。
どんな理由にしても衣装を贈るということは、それなりの日数がかかることだ。
扉が開いた。
叔母上の護衛が前室から出てきて、叔母上が私を見た。
叔母上がバサッと扇を広げる。
「あらあら、クオ、一足遅かったわねえ。格好良いオルレアの姿は晩餐会までお預けよっ」
いや、男装姿が見たかったわけじゃない。
その後ろには、確かソニア・ガロン伯爵令嬢がいて、私に気づいて礼をしている。
そして、その後ろには見送りに来たオルレアがいた。いつものように男子の制服を着ている。
「オルレア、叔母上が我が儘を言って悪かったね」
「いいえ、美しい女性が喜んでいる姿を見られるのは、私も自分のことのように嬉しいです」
オルレアの返事に、叔母上が非常に嬉しそうだ。。。
「あ、オルレア、もし次の機会に私がドレスを贈ったら、それを着てもらって、私にエスコートさせてもらえないだろうか」
一瞬、ものすごく嫌そうな顔をされた。
オルレアだけでなく、ソニア・ガロンにも。
一応、コレでも勇気を振り絞って言ったのだが。
一応、私も王子なんだが、王位継承には関わらないであろう第三王子だが。
二人の表情はすぐに元に戻ったことは戻った。。。
「、、、クオ様、大変申し上げにくいことなのですが」
オルレアが口を開いたが。
「ダッメよー、クオ。オルレアの隣は私が予約したものー。私がいる間はオルレアは私のエスコートしてくれる約束になっているのー」
「んあっ?叔母上、早く国に帰ってくださいっ」
つい本音が出てしまった。
「クオ殿下ー、王妹殿下にワガママ言っちゃあダメですよー。王妹殿下はオルレアに着せたい衣装が山ほどあるんですから」
「あら、キュジオ隊長はわかってくれるのねー。嬉しいわー」
叔母上は喜んでいるが、キュジオの目は呆れているようにしか見えないんだが。
「私は父に王城にいる貴族令嬢からエスコートする相手を決めろと言われたのですが」
国王である父を出すのは最後の手段だ。
叔母上がその意味を感じ取って、私にその座を譲ってくれればいいのだが。
「では、ここにいるソニアをエスコートすればいいじゃない。オルレアをエスコートしろとは言われてないんでしょ。オルレアにだって選ぶ権利はあるわよー」
「あ、私は先に約束したものを反故するのは大変心苦しい所存でございます」
、、、国王がオルレアを指名したわけではないので、叔母上に衣装を贈られてしまったオルレアにこれ以上要求を言うのは難しいのはわかる。
わかるのだが。
なんか悔しい。
「ああ、ちょうど良いかもしれませんねー。第二王子も伯爵家の令嬢をエスコートするんでしょ。ならば、クオ殿下も今回の趣向として、伯爵家の令嬢をエスコートしてはいかがですかー」
この、クソキュジオっ。親衛隊隊長のクセに私を裏切るなっ。
次兄の婚約者はまだ公式発表されていないので、今回の趣向と言われてしまえば言い返せないのが悲しい。。。
エスコートする相手を、王城に保護している令嬢たちのなかから決めろと父から言われた。
ソフィア・カートン伯爵令嬢は兄の第二王子であるネオがエスコートする。
つまり、ソフィア嬢以外は第三王子である私の婚約者候補である。
まだ学校に通う成人前の、社交界デビューもしていない年齢だが、今回は彼女たちを労うといった意味合いを持つ内輪の晩餐会である。
ゆえに令嬢たちは親族同伴、エスコート役は親か兄弟、従兄弟等の親戚関係となる。
王子である私たちは子供の頃から公の場に出された。
王太子である第一王子はもちろんのこと、第二王子も、第三王子の私も幼少の頃から、王城での晩餐会や舞踏会では貴族の大人相手をさせられた。
貴族令嬢たちもそこまでの経歴は持たないだろうが、王子妃にしたい家はそれなりの教育を令嬢にしているだろう。その家の屋敷等で開催される晩餐会や舞踏会、お茶会などは子供を出席させてお披露目させておく意味合いを持つ。社交界に出る前に親がきちんと心構えを準備させておくのである。
と、前置きはともかく、そーんなことはどうでもいい。
オルレア・バーレイをエスコートしたい。
あの令嬢の中から選べと言われているので、バーレイ侯爵家の令嬢であっても問題はないはずだ。
王族とバーレイ侯爵家の距離が縮まると、他の貴族たちがうるさくなる。
けれども、あの中で伴侶を選べと言われたら、今のところオルレア・バーレイ一択だ。
彼女は面白い。
男装の令嬢だからと毛嫌いしていたのか、色物と思っていたのか、それすらも記憶にもないが、最近まで話もしていなかったことが悔やまれる。せっかく同学年にいたのにもったいない。
仕事の調整をして、ようやく時間が取れた。
なぜ学校に通っているときよりも、仕事が忙しくなるのだろう。
不思議だ。
しかも、私は第三王子。
第一、第二王子はすでに学校を卒業していて実務に携わっているのだから、仕事をする時間は私よりもある。
仕事がこんなに回ってくるのはどう考えてもおかしい。
晩餐会の二日前にようやくオルレアに会いに行ける。
オルレアにエスコート役がいたとしても、おそらく双子の弟だ。
最強の剣である兄は王都にはいないから、王子にエスコート役を快く譲ってくれるだろう。出席しない侯爵夫妻がうまい具合に調整してくれるのを期待する。
「あー、殿下、どうしたんですか?」
オルレアの部屋の前に、私の親衛隊隊長のキュジオがいた。
不真面目そうに通路の壁に寄りかかっている護衛がどこの世界にいるんだ。
私の後ろの隊員たちが隊長にどういう視線を投げかけているのかも見ずしてわかる。
「護衛か?部屋にオルレアはいるのか?」
「いますけどー、今は入室不可ですねえ」
「、、、誰か客人か?」
王城で王子より優先される客って誰だ?
先客がいたとしても通されるのが普通なのだが。
せめて部屋の中に連絡くらい入れてもいいはずだが、キュジオは壁に寄りかかったまま動かない。
先触れしていない私が悪いと言えば悪いのかもしれないが、オルレアの場合、ドレスを着替える、化粧直しするといった手間をかけさせる方が面白くなくなる。この辺は王城内だから許してほしい、くらいの軽い感じでやってきた。
それが仇となったのか。
「王妹殿下がお越しです」
「、、、叔母上か、お茶でもしているのか?」
「晩餐会の衣装合わせです。王妹殿下がオルレアに衣装を贈るので」
「は?何それ?」
衣装を贈るって、婚約者同士とか親しい間柄ですることじゃないのか?
いや、同性だから気に入ったドレスを贈ったということか?
「聞いてませんかー?今度の晩餐会では王妹殿下がエスコート役をオルレアに頼んだのを」
「、、、聞いてない」
ホントに何それ?
青天の霹靂なんですけど。
やめてほしい、思いつきで変なことやるの。
え、じゃあ、私は誰をエスコートすればいいの?
と思ったところで、首を傾げる。
「、、、ん?叔母上のエスコート役がオルレアなの?女性同士でしょ?」
「まあ、それは察してほしいかと。表向きは下手な男性にエスコートをさせて、隣国の公爵である旦那様を怒らせたくないのだとか」
「表向きは、か」
キュジオ、お前は内緒話には向かないなあ。
話は早いが。
「叔母上の本音は?」
「そりゃ、オルレアに王子様風衣装を着せてみたいという野望の元に突き進んでおります」
あ、だから、キュジオは追い出されたのか。男装していても女性は女性だからな。
オルレアの着替えは絶対に見るなよ。
「別にそれなら晩餐会じゃなくてもいいじゃないか」
「いやいや、王妹殿下にとっては晩餐会や舞踏会であの王子様にエスコートされるのが意味があるそうですよー」
「くっ、相手が叔母上じゃ文句も言えない」
「親族の誰かが声を上げないと、王妹殿下がこの城にいる間、オルレアはずっと男装の令嬢ですよー」
「、、、え?」
ずっと?
私は過去のオルレアのドレス姿って記憶してないんだけど。
記録には王城でのお茶会等参加しているから見ているはずなんだけど、頭の中には残っていない。
ドレス姿なんてどこの令嬢だって同じにしか見えない。
つい最近になって、オルレアの男装の姿も面白いけど、ドレス姿も見てみたいと思うようになったのに。。。
だから、近くで見るためにエスコートしたいと思ったんだけど。
「、、、殿下、さすがに今回、オルレアをエスコートするのは難しいかと」
「、、、仕方ない。今回は叔母上に譲るか」
キュジオの目が譲るも何も、こーんな二日前に来て何を言っているんだか、と物語っている。
どんな理由にしても衣装を贈るということは、それなりの日数がかかることだ。
扉が開いた。
叔母上の護衛が前室から出てきて、叔母上が私を見た。
叔母上がバサッと扇を広げる。
「あらあら、クオ、一足遅かったわねえ。格好良いオルレアの姿は晩餐会までお預けよっ」
いや、男装姿が見たかったわけじゃない。
その後ろには、確かソニア・ガロン伯爵令嬢がいて、私に気づいて礼をしている。
そして、その後ろには見送りに来たオルレアがいた。いつものように男子の制服を着ている。
「オルレア、叔母上が我が儘を言って悪かったね」
「いいえ、美しい女性が喜んでいる姿を見られるのは、私も自分のことのように嬉しいです」
オルレアの返事に、叔母上が非常に嬉しそうだ。。。
「あ、オルレア、もし次の機会に私がドレスを贈ったら、それを着てもらって、私にエスコートさせてもらえないだろうか」
一瞬、ものすごく嫌そうな顔をされた。
オルレアだけでなく、ソニア・ガロンにも。
一応、コレでも勇気を振り絞って言ったのだが。
一応、私も王子なんだが、王位継承には関わらないであろう第三王子だが。
二人の表情はすぐに元に戻ったことは戻った。。。
「、、、クオ様、大変申し上げにくいことなのですが」
オルレアが口を開いたが。
「ダッメよー、クオ。オルレアの隣は私が予約したものー。私がいる間はオルレアは私のエスコートしてくれる約束になっているのー」
「んあっ?叔母上、早く国に帰ってくださいっ」
つい本音が出てしまった。
「クオ殿下ー、王妹殿下にワガママ言っちゃあダメですよー。王妹殿下はオルレアに着せたい衣装が山ほどあるんですから」
「あら、キュジオ隊長はわかってくれるのねー。嬉しいわー」
叔母上は喜んでいるが、キュジオの目は呆れているようにしか見えないんだが。
「私は父に王城にいる貴族令嬢からエスコートする相手を決めろと言われたのですが」
国王である父を出すのは最後の手段だ。
叔母上がその意味を感じ取って、私にその座を譲ってくれればいいのだが。
「では、ここにいるソニアをエスコートすればいいじゃない。オルレアをエスコートしろとは言われてないんでしょ。オルレアにだって選ぶ権利はあるわよー」
「あ、私は先に約束したものを反故するのは大変心苦しい所存でございます」
、、、国王がオルレアを指名したわけではないので、叔母上に衣装を贈られてしまったオルレアにこれ以上要求を言うのは難しいのはわかる。
わかるのだが。
なんか悔しい。
「ああ、ちょうど良いかもしれませんねー。第二王子も伯爵家の令嬢をエスコートするんでしょ。ならば、クオ殿下も今回の趣向として、伯爵家の令嬢をエスコートしてはいかがですかー」
この、クソキュジオっ。親衛隊隊長のクセに私を裏切るなっ。
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※一部に流血を含む戦闘シーン、R-15程度のイチャイチャが含まれます。
※現在、改稿したものを順次投稿中です。
詳しくは最新の近況ボードをご覧ください。
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