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1章 双子の姉の失踪
1-16 実際のツンデレ令嬢は対処に困る5 ◆マーガレットの侍女視点◆
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◆マーガレットの侍女視点◆
「今日はオルレア様といっぱいお話ししちゃった」
夜、私はマーガレット様の髪を梳かしていた。
入浴後はあのドリルのような縦ロールは緩いウェーブになるが、なぜか、いつも何もしていないのにマーガレット様の髪は翌朝には綺麗に元に戻る。
クセなのか?
そんな、ドリル型クセ毛が世の中にあるのか?
手間がかからないと言えばそうなのだが、オルレア様のような綺麗なストレートにしたいと言われたときにはカツラをおススメするしかなかった。
妹を愛する兄のサイ様でさえ、頑固すぎて元に戻るドリルにお手上げした。
魔法でほんの一瞬だけまっすぐストレートになったのだが、本当に一瞬だった。
オルレアの髪の方を縦ロールにする方が楽だ、とサイ様が言ったら、マーガレット様はものすごく悩んでいた。
お揃いにしたかったのか、オルレア様にはストレートが似合うと思ったのか、オルレア様の縦ロール姿も見てみたいと思ったのか、はてさて。
オルレア様本人に縦ロールにしてみませんか、と言える度胸もなく。。。
マーガレット様の機嫌が良いと、侍女たちも仕事が捗る。
「それは良かったですね」
「ああーっ、あの笑顔が素敵っ、曇らせたくないっ。永遠に笑っていてほしい」
たまに曇らせている原因の一つにマーガレット様が上げられる気がするんですけど、気のせいでしょうか?
マーガレット様が直接オルレア様に声をかけるのは少ないので、たまに、でしかありませんけど。
同級生のはずなんですが。
他の何とかの会長たちよりも話しかける機会は多くあるはずなんですが?
今日なんて特別と言えるほど特別。行動に移せただけでも良し。いつもは遠くから眺めている程度なのだから。
だから、オルレア様を「見守る」会になっていると言われているくらいだ。
公爵家の侍女たちの中でマーガレット様に真実を言える者は誰一人としていませんが。
とめる者がいないこの部屋で。
今晩もオルレア様の褒め言葉で費やされるのだろう。
「今日も煌めく銀髪っ。中庭の緑に囲まれて、透明な水の池の前にいるオルレア様っ、まるで水の女神のようだった」
本人に言えばいいのに。
ここにいる侍女たちすべてが笑顔でそう思っても、マーガレット様には肯定しかできない。
アドバイスなんてできないし、しない。
保身と言われれば、そうだ。
我々は雇われる身だ。我が身可愛さだ。
「けれど、隣にいたのが、なぜ平民の男なのかしら。私の方が身分も姿もオルレア様にふさわしいと思わない?」
「今日のオルレア様の隣には、マーガレット様もおられたじゃあありませんか」
司会進行兼審判していたので嘘ではない。オルレア様の横にマーガレット様もいた。
あの二人から距離は少し離れていたけど。
「そ、そうだったわね。確かにオルレア様の隣にいたわね、私。あ、汗なんてかいてなかったかしら?化粧は崩れてなかった?」
「マーガレット様はいつも完璧です。何かあれば、我々がすぐにサポート致します」
「心強いわっ、貴方たちっ。これからもよろしく頼むわねっ」
貴族令嬢は感情を表に出すことはよろしくないが、マーガレット様の素直な笑顔は見ていて心が温まる。
「もちろんですわ、マーガレット様」
マーガレット様がこうなるのは、今のところオルレア様だけだ。
オルレア様の前に立つとなぜか変な言動になる。
対等に見せたいのか、好きだと思っていることがバレたくないのか、高飛車に見える態度になる。
他の者に接するときには、もう少し公爵家令嬢としてふさわしい態度をとるのだが。
オルレア様に対する態度は、学校入学時には始まっていた。
マーガレット様はサイ様がバーレイ侯爵家に行くのに一緒についていったことがあるので、幼いときにオルレア様とも会っている。
そのときついていった侍女たちは、マーガレット様がオルレア様と何かあったと言えるほどの出来事はなかったと語る。子供たちだけで遊んでいたので、すべてを見ていたわけではないと思うが。
一目惚れか?
我々の前ではオルレア様の褒め言葉ばかりなので、そうかもしれない。
どこかに事情通はいないものか。
ずっとそばにいるモルト公爵家の侍女たちが真実を一人も知らないので、他の者は誰も知らないだろう。
真相は、マーガレット様の心のなかだけにある。
オルレア様の前では、まるで悪口のような、苦言のような言葉ばかり出て来るのに。
オルレア様のいない場では、頬を赤くして一生懸命オルレア様のことを話すマーガレット様は可愛い。
ここにいる侍女たちはマーガレット様をずっと見守っていたい。
ただ、それだけだ。
「今日はオルレア様といっぱいお話ししちゃった」
夜、私はマーガレット様の髪を梳かしていた。
入浴後はあのドリルのような縦ロールは緩いウェーブになるが、なぜか、いつも何もしていないのにマーガレット様の髪は翌朝には綺麗に元に戻る。
クセなのか?
そんな、ドリル型クセ毛が世の中にあるのか?
手間がかからないと言えばそうなのだが、オルレア様のような綺麗なストレートにしたいと言われたときにはカツラをおススメするしかなかった。
妹を愛する兄のサイ様でさえ、頑固すぎて元に戻るドリルにお手上げした。
魔法でほんの一瞬だけまっすぐストレートになったのだが、本当に一瞬だった。
オルレアの髪の方を縦ロールにする方が楽だ、とサイ様が言ったら、マーガレット様はものすごく悩んでいた。
お揃いにしたかったのか、オルレア様にはストレートが似合うと思ったのか、オルレア様の縦ロール姿も見てみたいと思ったのか、はてさて。
オルレア様本人に縦ロールにしてみませんか、と言える度胸もなく。。。
マーガレット様の機嫌が良いと、侍女たちも仕事が捗る。
「それは良かったですね」
「ああーっ、あの笑顔が素敵っ、曇らせたくないっ。永遠に笑っていてほしい」
たまに曇らせている原因の一つにマーガレット様が上げられる気がするんですけど、気のせいでしょうか?
マーガレット様が直接オルレア様に声をかけるのは少ないので、たまに、でしかありませんけど。
同級生のはずなんですが。
他の何とかの会長たちよりも話しかける機会は多くあるはずなんですが?
今日なんて特別と言えるほど特別。行動に移せただけでも良し。いつもは遠くから眺めている程度なのだから。
だから、オルレア様を「見守る」会になっていると言われているくらいだ。
公爵家の侍女たちの中でマーガレット様に真実を言える者は誰一人としていませんが。
とめる者がいないこの部屋で。
今晩もオルレア様の褒め言葉で費やされるのだろう。
「今日も煌めく銀髪っ。中庭の緑に囲まれて、透明な水の池の前にいるオルレア様っ、まるで水の女神のようだった」
本人に言えばいいのに。
ここにいる侍女たちすべてが笑顔でそう思っても、マーガレット様には肯定しかできない。
アドバイスなんてできないし、しない。
保身と言われれば、そうだ。
我々は雇われる身だ。我が身可愛さだ。
「けれど、隣にいたのが、なぜ平民の男なのかしら。私の方が身分も姿もオルレア様にふさわしいと思わない?」
「今日のオルレア様の隣には、マーガレット様もおられたじゃあありませんか」
司会進行兼審判していたので嘘ではない。オルレア様の横にマーガレット様もいた。
あの二人から距離は少し離れていたけど。
「そ、そうだったわね。確かにオルレア様の隣にいたわね、私。あ、汗なんてかいてなかったかしら?化粧は崩れてなかった?」
「マーガレット様はいつも完璧です。何かあれば、我々がすぐにサポート致します」
「心強いわっ、貴方たちっ。これからもよろしく頼むわねっ」
貴族令嬢は感情を表に出すことはよろしくないが、マーガレット様の素直な笑顔は見ていて心が温まる。
「もちろんですわ、マーガレット様」
マーガレット様がこうなるのは、今のところオルレア様だけだ。
オルレア様の前に立つとなぜか変な言動になる。
対等に見せたいのか、好きだと思っていることがバレたくないのか、高飛車に見える態度になる。
他の者に接するときには、もう少し公爵家令嬢としてふさわしい態度をとるのだが。
オルレア様に対する態度は、学校入学時には始まっていた。
マーガレット様はサイ様がバーレイ侯爵家に行くのに一緒についていったことがあるので、幼いときにオルレア様とも会っている。
そのときついていった侍女たちは、マーガレット様がオルレア様と何かあったと言えるほどの出来事はなかったと語る。子供たちだけで遊んでいたので、すべてを見ていたわけではないと思うが。
一目惚れか?
我々の前ではオルレア様の褒め言葉ばかりなので、そうかもしれない。
どこかに事情通はいないものか。
ずっとそばにいるモルト公爵家の侍女たちが真実を一人も知らないので、他の者は誰も知らないだろう。
真相は、マーガレット様の心のなかだけにある。
オルレア様の前では、まるで悪口のような、苦言のような言葉ばかり出て来るのに。
オルレア様のいない場では、頬を赤くして一生懸命オルレア様のことを話すマーガレット様は可愛い。
ここにいる侍女たちはマーガレット様をずっと見守っていたい。
ただ、それだけだ。
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