154 / 291
7章 愚者は踊る
7-16 愚痴を言える相手は少ない ◆学園長視点◆
しおりを挟む
◆学園長視点◆
「はああーー」
もの凄い大きなため息を吐く。
「あー、心臓に悪い」
「叔父さん、リアム・メルクイーンが飛び出していきましたけど、何を話していたんですか」
学園長室に甥のヴァリ・ガーバットが入ってきた。
「ああ、超怖い顔で、講義時間以外の俺の時間を勝手に使うな、という誓約を結ばされた。つまり、どのクラスも時間外の課題等を必要とする場合は私の許可が必要となった。全教職員に通達を頼む」
「おや、教員だけじゃなく?」
「わざと職員経由で学生に連絡させようとする可能性もある。私は国王に睨まれたくないんだよ」
「そうですね。可能性があるなら潰しておかないと危険ですね。あの魔法理論のグルガン・ゲートは伯爵家の出とはいえ、家は継いでいないのですから、すでに男爵であるリアムくんの方が上なんですけどね」
あ、コイツ、すでに放課後に課題をさせているという情報をつかんでやがる。
例年、C級魔導士の下位貴族のクラスにアホなことをやる教師というのはいるのだが。
だからこそ、今年来年は何事もないように、甥を呼んだ。
ヴァリは兄の息子、ガーバット侯爵家の跡継ぎだ。
今回の件は社会勉強というほど生易しいものではない。
自分の息子の王子が入学するときでさえ何も言わなかった国王が、王妃は言いに来たけど、、、リアム・メルクイーンのときだけ私を王城に呼びつけたのだ。
ただ事ではない。
クラスに担任は一人だけだ。担任の補佐等の仕事は複数の職員が行うから、普通なら二人体制にはしない。
「今回、今の時点で、学生で家を継いでいるのはリアムくんだけだからな。教職員で貴族の出は多いが、爵位持ちは数名だ」
クジョー王国では、貴族として生まれれば貴族ではあるのだが、爵位を継がなければ貴族ではなくなる扱いとなる。
だからこそ、跡取りでないのなら貴族として残るためには、跡取りを探している他の家に養子として入るか、婿を探している家の娘と結婚しなければならない。
貴族の数が増えすぎても、国は困るからな。子孫が全員貴族のままだったら国が成り立たないし、爵位を与えられるそこまでの領地も存在しない。
騎士や魔導士、研究員等で一代限りの名誉爵位をもらえることもあるが、魔導士ならS級以上かよほどの功績を出した者でないと難しい。
実家がどんな上位の貴族であろうとも、爵位を継いでない子の身分は平民と同じ。
強い後ろ盾があるに過ぎない。
つまり、本人同士の地位を比べるとリアムくんが男爵なので、爵位を継いでいないグルガン・ゲートは彼に何も言えない。
ここは魔法学園で、教師と学生という立場なので、教師という範囲内の指導なら可能だが。
しかし、一歩外に出れば、上に立つのは男爵のリアムくんなのである。
上位貴族の跡継ぎであっても、まだ継いでない子も立場は同じ、男爵のリアムくんより劣る。
もし実家が口出しするなら、力関係で伯爵家が勝つ。だが、メルクイーン男爵家というのはクジョー王国にとって特殊な貴族だ。横のつながりもなく、社交界にも出ていないが、いないと困る貴族なのである。今回のようにヘタすると国王が出て来る。
そして、メルクイーン男爵領では絶対的な権力を持つ。
「ただの金持ち我がまま坊ちゃんの方がまだ扱いやすい」
「そりゃ、貴方はそうでしょ」
「だって、男爵家なのに場所限定であっても、国王と並ぶ権力を持っている男爵家なんてどこの国にもないよ」
「どこの誰もあの地を平定できないからでしょう。だから、下位の男爵家に押しつけたんでしょう」
クバード・スート辺境伯が最強だからこそ、できた偉業。
魔物が蔓延っていた大地を人間の手に戻した。
魔の大平原を押さえる砦。
今は砦と呼ばれるが、昔は辺境伯城だった。
かなり昔のことなのに、彼の英雄譚は今でもなお語り継がれる。
だが、そんな過酷な地を誰が継げるのか。
どうやっても赤字覚悟の地。
当時、唯一貴族で冒険者であったメルクイーン男爵に白羽の矢が立った。
辺境伯の特権をそのままメルクイーン男爵も受け継いだ。そうしないと、この地が成り立たないからだ。
そして、メルクイーン男爵は王族が何かしでかす度に条件を付けた。
だからこそ、今のメルクイーン男爵領は存在する。
国王があの地で犯罪を犯したら、国王でさえ罪に問えてしまう土地なのである。
「で、リアムくんには教会に行くように伝えたんですか?」
「、、、伝えたが、必要ないと一蹴された」
「F級魔導士のまま二年間暮らす気ですか、あの子は」
「C級冒険者だから必要ないと」
「確かに」
甥が頷くのもわかる。冒険者が魔導士として認めてもらうにはA級もしくはB級魔導士である必要がある。
じっとノートを見る。
「叔父さん、どうしました?」
「、、、コレ、リアムくんの誓約魔法なんだけど」
「、、、ああ、初日から教室で使ってました」
「、、、誓約魔法を使える者はA級かB級魔導士だよ。冒険者でも優位に働くよ」
「そう説明してはいかがですか?」
「私を蔑んだ目で見る彼を、私が説得できる気がしない」
「この王都にいることが、完全に彼の意に反しているようですからねえ。彼の行動は基本的に夜間、冒険者ギルドと魔の森に行き、後は下町散策とラーメン屋が主な行動範囲となっています」
「、、、あの子、ラーメン好きなの?この国では珍しい料理だよね」
「その商会に砦が魔物肉チャーシューを卸していますね。休日は昼もやってますが、基本は夜営業のお店です」
「人気ありすぎて予約が取れないと聞いたけど?」
「ラーメンの上にのっているとろける魔物肉チャーシューが大人気らしいですよ。チャーシューだけ大量に販売しろと言う馬鹿がいたみたいですけど、ラーメン屋でも砦ということを大強調されたらしいですねえ」
「あの子が魔物販売許可証の書類を国に通した話は有名だからねえ。リアム・メルクイーンという名だけで、学生はどれくらいの子が気づいている?」
「三組は下位貴族なので、まだあまりピンとは来ていないようです。彼は家の爵位も領地の説明も何もしていませんから」
「ラーラ・ハーラット侯爵令嬢と話しているときに教室の扉を閉めちゃったんでしょ」
「最善の手でしょう。彼があのリアム・メルクイーンだと知ったら、ハエがたかりますよ」
「お付きの人々が聞いていたら、家に報告するでしょ」
「それなりの家はそれなりに報告していたようですが、下位貴族の方はガラスの靴の話題で持ち切りですよ」
「、、、それね。あの社交界の女性陣のガラスの靴がすべて偽物だったとは」
「かなり恥さらしになってますからね。金をかけるだけかけて自慢して、真贋も見極められない上位貴族の女性たち、と」
「ラーラくんに聞いたら、やっぱりあのガラスの靴、砦でもそうとう高い代物らしいよ。砦で一般的に売っている物では一番高い商品らしい」
ラーラくんが学園に履いてきているのはガラスの靴だ。
ヒールはかなり高いのに動きやすそうだ。
「叔父さん、貴方は学生と何を話しているんですか?女学生と靴の話なんかして、」
「いや、靴の話だけしているわけじゃない。彼女はメルクイーン男爵領にいたから、話を聞いていたんだよ」
「何か言ってました?」
「褒め言葉しかなかったよ。恩人だと言っていたが」
「恩人?あの二人は初対面ですよ。ガラスの靴を購入していたのはラーラくんだから、リアムくんを恩人というのは逆のような気がしますね」
「あの地だから、いろいろあるんだろ」
彼女はハーラット侯爵家の落ちこぼれと言われていた子だ。
侯爵になったあの兄がいるから今、ハーラット侯爵家の令嬢として生きていられる。
あの地で匿われていた令嬢である。
ただ、噂の令嬢がC級魔導士であることに驚いた。あの家はC級魔導士であっても殺そうとするのか。
「確かにあの地で守られていたのなら、恩人なのでしょうね」
「でもさー、高位貴族の跡継ぎはだいたい頭良いのに、それ以外の子って、意外と困ったちゃんが多いよね」
私も侯爵家の次男だけど、次男以下って意外と実家の爵位を鼻にかけることが多い。
後ろ盾という意味では仕方ないが、実際、跡継ぎの長男に男児でもできてしまえば、爵位を継げないのが確定するので身分上貴族ではなくなるのである。それなのに、である。
今でもなおハーラット侯爵家のように山ほどの爵位を持っている家なんて稀なのである。あの侯爵になって、親戚筋から爵位を本家に戻しまくったので子爵位や男爵位はいらんほど持っている。あの家はクリス・ハーラットも伯爵位を持っているが、通常、爵位を継げるのは長男だけである。
「グルガン・ゲートの話に戻しますか?」
「私が許可制にしたら、絶対リアムくんに何かしてくるよねー。あー、胃が痛い」
この部屋に胃薬あったかな?今度、大量に買っておこう。
「彼の講義中まで私が見張っているわけにもいきませんからねえ」
「リアムくんが嬉々として学園から出ていきそうなんだけど」
「ラーメン屋から出前でも取ってみればいかがですか?」
「それぐらいで繋ぎとめることができれば、いくらでも出前してやるわっ」
甥に愚痴を言う。愚痴を言えるのは親類だからこそであるが、跡継ぎ争いがないからでもある。貴族なら兄弟でも腹を割って話せない家族なんて山ほどこの王都にいる。長男よりほんの少しでも優秀な点があるならば、すぐに取って代わろうと考える輩があまりにも多いのだ。
愚痴など、自分の弱みを曝け出しているようなものだ。
私がリアムくんのラーメン大好きを知るのはまだ少し先のことである。
「はああーー」
もの凄い大きなため息を吐く。
「あー、心臓に悪い」
「叔父さん、リアム・メルクイーンが飛び出していきましたけど、何を話していたんですか」
学園長室に甥のヴァリ・ガーバットが入ってきた。
「ああ、超怖い顔で、講義時間以外の俺の時間を勝手に使うな、という誓約を結ばされた。つまり、どのクラスも時間外の課題等を必要とする場合は私の許可が必要となった。全教職員に通達を頼む」
「おや、教員だけじゃなく?」
「わざと職員経由で学生に連絡させようとする可能性もある。私は国王に睨まれたくないんだよ」
「そうですね。可能性があるなら潰しておかないと危険ですね。あの魔法理論のグルガン・ゲートは伯爵家の出とはいえ、家は継いでいないのですから、すでに男爵であるリアムくんの方が上なんですけどね」
あ、コイツ、すでに放課後に課題をさせているという情報をつかんでやがる。
例年、C級魔導士の下位貴族のクラスにアホなことをやる教師というのはいるのだが。
だからこそ、今年来年は何事もないように、甥を呼んだ。
ヴァリは兄の息子、ガーバット侯爵家の跡継ぎだ。
今回の件は社会勉強というほど生易しいものではない。
自分の息子の王子が入学するときでさえ何も言わなかった国王が、王妃は言いに来たけど、、、リアム・メルクイーンのときだけ私を王城に呼びつけたのだ。
ただ事ではない。
クラスに担任は一人だけだ。担任の補佐等の仕事は複数の職員が行うから、普通なら二人体制にはしない。
「今回、今の時点で、学生で家を継いでいるのはリアムくんだけだからな。教職員で貴族の出は多いが、爵位持ちは数名だ」
クジョー王国では、貴族として生まれれば貴族ではあるのだが、爵位を継がなければ貴族ではなくなる扱いとなる。
だからこそ、跡取りでないのなら貴族として残るためには、跡取りを探している他の家に養子として入るか、婿を探している家の娘と結婚しなければならない。
貴族の数が増えすぎても、国は困るからな。子孫が全員貴族のままだったら国が成り立たないし、爵位を与えられるそこまでの領地も存在しない。
騎士や魔導士、研究員等で一代限りの名誉爵位をもらえることもあるが、魔導士ならS級以上かよほどの功績を出した者でないと難しい。
実家がどんな上位の貴族であろうとも、爵位を継いでない子の身分は平民と同じ。
強い後ろ盾があるに過ぎない。
つまり、本人同士の地位を比べるとリアムくんが男爵なので、爵位を継いでいないグルガン・ゲートは彼に何も言えない。
ここは魔法学園で、教師と学生という立場なので、教師という範囲内の指導なら可能だが。
しかし、一歩外に出れば、上に立つのは男爵のリアムくんなのである。
上位貴族の跡継ぎであっても、まだ継いでない子も立場は同じ、男爵のリアムくんより劣る。
もし実家が口出しするなら、力関係で伯爵家が勝つ。だが、メルクイーン男爵家というのはクジョー王国にとって特殊な貴族だ。横のつながりもなく、社交界にも出ていないが、いないと困る貴族なのである。今回のようにヘタすると国王が出て来る。
そして、メルクイーン男爵領では絶対的な権力を持つ。
「ただの金持ち我がまま坊ちゃんの方がまだ扱いやすい」
「そりゃ、貴方はそうでしょ」
「だって、男爵家なのに場所限定であっても、国王と並ぶ権力を持っている男爵家なんてどこの国にもないよ」
「どこの誰もあの地を平定できないからでしょう。だから、下位の男爵家に押しつけたんでしょう」
クバード・スート辺境伯が最強だからこそ、できた偉業。
魔物が蔓延っていた大地を人間の手に戻した。
魔の大平原を押さえる砦。
今は砦と呼ばれるが、昔は辺境伯城だった。
かなり昔のことなのに、彼の英雄譚は今でもなお語り継がれる。
だが、そんな過酷な地を誰が継げるのか。
どうやっても赤字覚悟の地。
当時、唯一貴族で冒険者であったメルクイーン男爵に白羽の矢が立った。
辺境伯の特権をそのままメルクイーン男爵も受け継いだ。そうしないと、この地が成り立たないからだ。
そして、メルクイーン男爵は王族が何かしでかす度に条件を付けた。
だからこそ、今のメルクイーン男爵領は存在する。
国王があの地で犯罪を犯したら、国王でさえ罪に問えてしまう土地なのである。
「で、リアムくんには教会に行くように伝えたんですか?」
「、、、伝えたが、必要ないと一蹴された」
「F級魔導士のまま二年間暮らす気ですか、あの子は」
「C級冒険者だから必要ないと」
「確かに」
甥が頷くのもわかる。冒険者が魔導士として認めてもらうにはA級もしくはB級魔導士である必要がある。
じっとノートを見る。
「叔父さん、どうしました?」
「、、、コレ、リアムくんの誓約魔法なんだけど」
「、、、ああ、初日から教室で使ってました」
「、、、誓約魔法を使える者はA級かB級魔導士だよ。冒険者でも優位に働くよ」
「そう説明してはいかがですか?」
「私を蔑んだ目で見る彼を、私が説得できる気がしない」
「この王都にいることが、完全に彼の意に反しているようですからねえ。彼の行動は基本的に夜間、冒険者ギルドと魔の森に行き、後は下町散策とラーメン屋が主な行動範囲となっています」
「、、、あの子、ラーメン好きなの?この国では珍しい料理だよね」
「その商会に砦が魔物肉チャーシューを卸していますね。休日は昼もやってますが、基本は夜営業のお店です」
「人気ありすぎて予約が取れないと聞いたけど?」
「ラーメンの上にのっているとろける魔物肉チャーシューが大人気らしいですよ。チャーシューだけ大量に販売しろと言う馬鹿がいたみたいですけど、ラーメン屋でも砦ということを大強調されたらしいですねえ」
「あの子が魔物販売許可証の書類を国に通した話は有名だからねえ。リアム・メルクイーンという名だけで、学生はどれくらいの子が気づいている?」
「三組は下位貴族なので、まだあまりピンとは来ていないようです。彼は家の爵位も領地の説明も何もしていませんから」
「ラーラ・ハーラット侯爵令嬢と話しているときに教室の扉を閉めちゃったんでしょ」
「最善の手でしょう。彼があのリアム・メルクイーンだと知ったら、ハエがたかりますよ」
「お付きの人々が聞いていたら、家に報告するでしょ」
「それなりの家はそれなりに報告していたようですが、下位貴族の方はガラスの靴の話題で持ち切りですよ」
「、、、それね。あの社交界の女性陣のガラスの靴がすべて偽物だったとは」
「かなり恥さらしになってますからね。金をかけるだけかけて自慢して、真贋も見極められない上位貴族の女性たち、と」
「ラーラくんに聞いたら、やっぱりあのガラスの靴、砦でもそうとう高い代物らしいよ。砦で一般的に売っている物では一番高い商品らしい」
ラーラくんが学園に履いてきているのはガラスの靴だ。
ヒールはかなり高いのに動きやすそうだ。
「叔父さん、貴方は学生と何を話しているんですか?女学生と靴の話なんかして、」
「いや、靴の話だけしているわけじゃない。彼女はメルクイーン男爵領にいたから、話を聞いていたんだよ」
「何か言ってました?」
「褒め言葉しかなかったよ。恩人だと言っていたが」
「恩人?あの二人は初対面ですよ。ガラスの靴を購入していたのはラーラくんだから、リアムくんを恩人というのは逆のような気がしますね」
「あの地だから、いろいろあるんだろ」
彼女はハーラット侯爵家の落ちこぼれと言われていた子だ。
侯爵になったあの兄がいるから今、ハーラット侯爵家の令嬢として生きていられる。
あの地で匿われていた令嬢である。
ただ、噂の令嬢がC級魔導士であることに驚いた。あの家はC級魔導士であっても殺そうとするのか。
「確かにあの地で守られていたのなら、恩人なのでしょうね」
「でもさー、高位貴族の跡継ぎはだいたい頭良いのに、それ以外の子って、意外と困ったちゃんが多いよね」
私も侯爵家の次男だけど、次男以下って意外と実家の爵位を鼻にかけることが多い。
後ろ盾という意味では仕方ないが、実際、跡継ぎの長男に男児でもできてしまえば、爵位を継げないのが確定するので身分上貴族ではなくなるのである。それなのに、である。
今でもなおハーラット侯爵家のように山ほどの爵位を持っている家なんて稀なのである。あの侯爵になって、親戚筋から爵位を本家に戻しまくったので子爵位や男爵位はいらんほど持っている。あの家はクリス・ハーラットも伯爵位を持っているが、通常、爵位を継げるのは長男だけである。
「グルガン・ゲートの話に戻しますか?」
「私が許可制にしたら、絶対リアムくんに何かしてくるよねー。あー、胃が痛い」
この部屋に胃薬あったかな?今度、大量に買っておこう。
「彼の講義中まで私が見張っているわけにもいきませんからねえ」
「リアムくんが嬉々として学園から出ていきそうなんだけど」
「ラーメン屋から出前でも取ってみればいかがですか?」
「それぐらいで繋ぎとめることができれば、いくらでも出前してやるわっ」
甥に愚痴を言う。愚痴を言えるのは親類だからこそであるが、跡継ぎ争いがないからでもある。貴族なら兄弟でも腹を割って話せない家族なんて山ほどこの王都にいる。長男よりほんの少しでも優秀な点があるならば、すぐに取って代わろうと考える輩があまりにも多いのだ。
愚痴など、自分の弱みを曝け出しているようなものだ。
私がリアムくんのラーメン大好きを知るのはまだ少し先のことである。
2
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
どこかで見たような異世界物語
PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。
飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。
互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。
これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる