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19章 儚く散っていく
19-2 聖都の家へ
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神聖国グルシアの建国祭は各都市で騒がしく終了したようだ。
シアリーの街ではルルリ一家も家族で楽しみ、ビスタも仲間たちと多少話し合ったようだ。
聖都の大教会だけは厳かな雰囲気で儀式が進んでいった。
王子の身代わりも教会の最深部に運ばれた。
そして、その数日後にこの家にヴィンセントの迎えが来た。
迎えの神官たちはクレッセの息がかかっている者だったようで、ヴィンセントに逃げられる余地がまったくない。家を清掃後、俺との別れを惜しむヴィンセントを半ば強制的に馬車に乗せた。
俺も一緒の馬車で行きませんかと誘われたが、丁重にお断りした。
シアリーの街から出ている乗合馬車でさえ、挨拶巡りするこの馬車よりも断然速い。彼らはあっさりとヴィンセントだけを連れていった。
ヴィンセントを見送った後、家に状態保存の魔法をかける。
俺はこれからもこの家とは長い付き合いになるだろう。
最初はすぐに聖都の家に王子と一緒に行こうと思っていたが、ヴィンセントが解放されたときに王子と共に行こうと決めた。王子と俺はいまだダンジョンの家にいる。ククーは夜、書斎へとさらに頻繁に来るようになった。
ククーは実家に部屋がある身なので、聖都の俺たちの家が住まいとなるのかは微妙である。完全に実家の方が職場の大教会へも近い。
是非ともククーには自分の住まいとして毎日帰って来てほしいぐらいだが、最近なーんかダンジョンの家の方に住んでない?あの家では客室が俺の部屋になったのだが、ダンジョンの家のその寝室はククーが使っている。俺がベッドに忍び込んでも、ククーがそれに気づいても手は出してこない。さすがだ、ククー。完全なる添い寝である。
このダンジョンの家で寝て、朝に隠し部屋の扉へ帰っていく頻度が多くなった。
うーむ、聖都の家にあるククーの部屋にもダンジョンの書斎への扉を作った方が気兼ねなくこちらに来れるのかもしれない。
さて。
一応、聖都の家にはノエル家とアディ家とノーレンさんちからの紹介で四人の使用人がやって来た。
ノーレンさんちからは料理人だ。ノーレンさんの祖国もアスア王国も神聖国グルシアどころか世界各国の様々な料理ができるスゴ腕の元副料理長だ。何でその技術を持っていてノーレンさんちでは副なんだろうな。
ノエル家からは一人、アディ家からは二人の使用人やって来て、家のことをやってくれる。
つまり、ノエル家のヴィンセントが一人、アディ家は王子とククーで二人、という力関係からの結果らしい。この辺は報酬分の仕事をしてくれるのなら特に俺にはどうでもいい話なのだが。
屋敷の広さと住むのが四人なので、四人の使用人は多いのでは、とは彼らに口が裂けても言えない。
だって、少ないと言うに決まっている。
この辺の価値観は、王子はともかく俺と二人は違う。
ククーは行商人役もできるし、長年アスア王国で俺を追いかけてきた実績もあるので意外と庶民派でもある。それでも、使用人に関しての価値観は絶対に違う。彼らは生まれたときから使用人に囲まれてきた人生なのである。それが当然だと思える人間である。
孤児だった人間とは違うんだよーーーーっ。
というわけで、ヴィンセントとククーに不便を感じさせるわけにもいかないので最低限の使用人は雇いました。
ククーに契約等は丸投げしたけど。
無色透明の魔石の定期的な納品先があるので、彼らの報酬も大丈夫だ。俺が冒険者を続けなくなったとしてもこの家なら何とかなる。
「ヴィンセントーっ」
ある教会のヴィンセントにあてがわれた一室。確かに教会にしては意外と豪華な部屋だ。
「レン、会いに来てくれたのか」
俺はヴィンセントと抱き合う。ヴィンセントがあの家を出発して三日目の夜、我慢しきれなくなった俺はヴィンセントに夜這いをする。
ダンジョン化は近くにミニミニダンジョンがいてこその技だったが、俺も進化した。面倒なことこの上ないが、ヴィンセントと会うためには多少面倒なことでもやっちゃうよ。
ククーは俺のダンジョンにいるからミニミニダンジョンもいるのだが、ククーに頼むのはちと微妙な案件だ。
熱い抱擁に、深い口づけを交わす。そのまま服に手が。
おおっと、ストップストップ。
「街に行こう、ヴィンセント」
「え?」
「収納鞄に私服が入っているだろう。着替えて、着替えて」
神官服でその手のホテルに入るわけにはいかないからな。
ヴィンセントが着替えている隙に、その部屋にある扉の一つを、近くの繁華街の路地につなげる。
さすがにヴィンセントを扉なしで転移させると崩壊してしまう。その辺の能力はまだまだ改善の余地がある。
二人で扉を通った。
明るい方へ歩くと、人の賑わいがある。建国祭も八年ぶりの大祭だったため、まだまだ街に余韻が残っているようだ。
「そういや、ヴィンセントとこうやって街を歩くの初めてだな」
「そうだな。レンとデートできるなんて夢みたいだ」
ヴィンセントに手をつながれる。恋人繋ぎだ。
夜の街は恋人も多いため、多少イチャつきながら歩いても誰もかまいはしない。
ほんの少し夜景を堪能し、屋台で買ったおやつを二人で頬張る。
そして、恋人たちが吸い込まれていくホテルへとヴィンセントを誘う。
ヴィンセントは勝手がわからず困惑気味だが。
「もしかしてレンは使ったことがある?」
「俺だって男、、、想像にお任せします」
そんな返事をしたら、部屋に入った途端ベッドに押し倒された。
そんなに広い部屋でもないが、ベッドだけは広い。
イチャつくためのホテルなので、とことんイチャつける。
どこかの部屋の喘ぎ声やらベッドの軋む音など気にしてはいられない。
自分たちだけの空間となる。
「ヴィンセント、、、」
荒い息のなかで、名を呼ぶ。
朝までにあの教会に送り届ければ問題ない。
ヴィンセントへの夜這いは、隙があればこれから毎日でもやってしまうだろう。
三日目で禁断症状が出てしまった俺はヴィンセントの愛撫をこよなく味わう。
これをいつか失ってしまうのは本当に嫌だ。
俺はヴィンセントの腕輪に手を滑らせる。
今はまだ、ヴィンセントを愛するだけ愛そう。
時間はあるのだから。
「おかえりなさいませ、旦那様」
アディ家の馬車に揺られて、俺と王子とククーで聖都の我が家に行った。馬車の窓を覗き込む王子も可愛かった。
門は魔法での自動開閉式にした。
許可されていない者は一切開かない鬼畜仕様である。これで押し売りも来ない。使用人用の裏口もあるけどね。
この屋敷には多少の庭がある。庭師を雇うほど広くはないが、この庭も角ウサギたちが世話してくれるだろう。彼らは地上の草も好きなのである。
近所のお屋敷に比べると、敷地は同じくらいだが、家自体は少々小さめだ。
だが、王子は純粋に喜んでくれている。
王子は聖教国エルバノーンの国王の息子だが、市井で育ったため俺と同じ庶民の価値観である。大変にありがたい。
玄関に迎えに来てくれたのが三人の使用人。
で、先程の言葉を浴びせられた。
確かにキミらは俺が雇っているけどー。
旦那様って、言われ慣れてないなー。
「何か至らぬ点でもございましたか?」
俺が渋い顔でもしていたようだ。
「いや、レンは旦那様って呼んでほしくないようだ」
ククーがフォローを入れる。
「では、何とお呼びすれば」
「レンと呼んでくれ」
「それでは、レン様と」
様もいらないんだけどなー。
俺は貴族でもないし、この国の上流階級でもない。
今の肩書は冒険者だけだから。ダンジョンマスターってことは公にしてないし。
別段雇用主だからといって、従業員は様をつけて呼ぶ必要はない。せいぜい、さん、で良いんだけど。
「おーう、レン、ようやく来たかー。昼食はアスア王国の料理を用意したぞー」
ノーレンさんちの副料理長、今は俺の家の料理長、、、一人しかいないから長でもないけど、教えを乞いに来る角ウサギもいるだろうからな。
「ううっ、さすが、うちの料理長。俺のことわかってくれてる」
レンと呼び捨てにしてくれたことだ。
アスア王国の料理ももちろん魅力的である。俺のなんちゃってアスア王国料理とは比べものにならん。
三人の使用人はちょっと嫌そうな顔をしているが。この三人は礼儀も身につけた生粋の上流階級の使用人なのである。早くうちに慣れてね。
うちの料理長がノーレンさんちの副料理長に甘んじていたのはそういうわけである。
貴族の料理長は客人に挨拶や料理の説明をするなど、表舞台に立つことも多い。爵位が高い家ほど、愛想と礼儀の求められるレベルは高くなる。美味い料理だけを作っていればそれで終了というわけではないのが、貴族の料理長である。
雇い主を呼び捨てにできる神経の持ち主が、腹の探り合いをする貴族の料理長となれるわけがない。だからこそ、うちにぴったりの料理長なのであるが。
ここの使用人四人は基本的に俺のダンジョンの方へは来ない。が、ダンジョンの角ウサギはこちらに来る。
俺がテイマーでもあることは関係者は知っている。つまり従魔が無理という者は、紹介前に弾かれている。が、この辺りは実際に生活をしてみないと何とも言えないところもある。
彼らにとっては神聖国グルシアの上流階級のノエル家、アディ家の人間もいるのに、雇うのが冒険者の俺。
ククーが必要な範囲内で説明しているはずだが、頭では理解していてもどうしても暮らす中で無理だというのなら元いた家に紹介状でも書いてもらおう。
うちの従魔四匹は小さいサイズで、王子の肩やら頭やらにすでにのっているが。
使用人の一人が目をキラキラさせているので、キミは大丈夫そうだ。後の二人は表情に出ない。感情が出ないように訓練されているんだろうなー。ちなみに全員男性である。
シアリーの街ではルルリ一家も家族で楽しみ、ビスタも仲間たちと多少話し合ったようだ。
聖都の大教会だけは厳かな雰囲気で儀式が進んでいった。
王子の身代わりも教会の最深部に運ばれた。
そして、その数日後にこの家にヴィンセントの迎えが来た。
迎えの神官たちはクレッセの息がかかっている者だったようで、ヴィンセントに逃げられる余地がまったくない。家を清掃後、俺との別れを惜しむヴィンセントを半ば強制的に馬車に乗せた。
俺も一緒の馬車で行きませんかと誘われたが、丁重にお断りした。
シアリーの街から出ている乗合馬車でさえ、挨拶巡りするこの馬車よりも断然速い。彼らはあっさりとヴィンセントだけを連れていった。
ヴィンセントを見送った後、家に状態保存の魔法をかける。
俺はこれからもこの家とは長い付き合いになるだろう。
最初はすぐに聖都の家に王子と一緒に行こうと思っていたが、ヴィンセントが解放されたときに王子と共に行こうと決めた。王子と俺はいまだダンジョンの家にいる。ククーは夜、書斎へとさらに頻繁に来るようになった。
ククーは実家に部屋がある身なので、聖都の俺たちの家が住まいとなるのかは微妙である。完全に実家の方が職場の大教会へも近い。
是非ともククーには自分の住まいとして毎日帰って来てほしいぐらいだが、最近なーんかダンジョンの家の方に住んでない?あの家では客室が俺の部屋になったのだが、ダンジョンの家のその寝室はククーが使っている。俺がベッドに忍び込んでも、ククーがそれに気づいても手は出してこない。さすがだ、ククー。完全なる添い寝である。
このダンジョンの家で寝て、朝に隠し部屋の扉へ帰っていく頻度が多くなった。
うーむ、聖都の家にあるククーの部屋にもダンジョンの書斎への扉を作った方が気兼ねなくこちらに来れるのかもしれない。
さて。
一応、聖都の家にはノエル家とアディ家とノーレンさんちからの紹介で四人の使用人がやって来た。
ノーレンさんちからは料理人だ。ノーレンさんの祖国もアスア王国も神聖国グルシアどころか世界各国の様々な料理ができるスゴ腕の元副料理長だ。何でその技術を持っていてノーレンさんちでは副なんだろうな。
ノエル家からは一人、アディ家からは二人の使用人やって来て、家のことをやってくれる。
つまり、ノエル家のヴィンセントが一人、アディ家は王子とククーで二人、という力関係からの結果らしい。この辺は報酬分の仕事をしてくれるのなら特に俺にはどうでもいい話なのだが。
屋敷の広さと住むのが四人なので、四人の使用人は多いのでは、とは彼らに口が裂けても言えない。
だって、少ないと言うに決まっている。
この辺の価値観は、王子はともかく俺と二人は違う。
ククーは行商人役もできるし、長年アスア王国で俺を追いかけてきた実績もあるので意外と庶民派でもある。それでも、使用人に関しての価値観は絶対に違う。彼らは生まれたときから使用人に囲まれてきた人生なのである。それが当然だと思える人間である。
孤児だった人間とは違うんだよーーーーっ。
というわけで、ヴィンセントとククーに不便を感じさせるわけにもいかないので最低限の使用人は雇いました。
ククーに契約等は丸投げしたけど。
無色透明の魔石の定期的な納品先があるので、彼らの報酬も大丈夫だ。俺が冒険者を続けなくなったとしてもこの家なら何とかなる。
「ヴィンセントーっ」
ある教会のヴィンセントにあてがわれた一室。確かに教会にしては意外と豪華な部屋だ。
「レン、会いに来てくれたのか」
俺はヴィンセントと抱き合う。ヴィンセントがあの家を出発して三日目の夜、我慢しきれなくなった俺はヴィンセントに夜這いをする。
ダンジョン化は近くにミニミニダンジョンがいてこその技だったが、俺も進化した。面倒なことこの上ないが、ヴィンセントと会うためには多少面倒なことでもやっちゃうよ。
ククーは俺のダンジョンにいるからミニミニダンジョンもいるのだが、ククーに頼むのはちと微妙な案件だ。
熱い抱擁に、深い口づけを交わす。そのまま服に手が。
おおっと、ストップストップ。
「街に行こう、ヴィンセント」
「え?」
「収納鞄に私服が入っているだろう。着替えて、着替えて」
神官服でその手のホテルに入るわけにはいかないからな。
ヴィンセントが着替えている隙に、その部屋にある扉の一つを、近くの繁華街の路地につなげる。
さすがにヴィンセントを扉なしで転移させると崩壊してしまう。その辺の能力はまだまだ改善の余地がある。
二人で扉を通った。
明るい方へ歩くと、人の賑わいがある。建国祭も八年ぶりの大祭だったため、まだまだ街に余韻が残っているようだ。
「そういや、ヴィンセントとこうやって街を歩くの初めてだな」
「そうだな。レンとデートできるなんて夢みたいだ」
ヴィンセントに手をつながれる。恋人繋ぎだ。
夜の街は恋人も多いため、多少イチャつきながら歩いても誰もかまいはしない。
ほんの少し夜景を堪能し、屋台で買ったおやつを二人で頬張る。
そして、恋人たちが吸い込まれていくホテルへとヴィンセントを誘う。
ヴィンセントは勝手がわからず困惑気味だが。
「もしかしてレンは使ったことがある?」
「俺だって男、、、想像にお任せします」
そんな返事をしたら、部屋に入った途端ベッドに押し倒された。
そんなに広い部屋でもないが、ベッドだけは広い。
イチャつくためのホテルなので、とことんイチャつける。
どこかの部屋の喘ぎ声やらベッドの軋む音など気にしてはいられない。
自分たちだけの空間となる。
「ヴィンセント、、、」
荒い息のなかで、名を呼ぶ。
朝までにあの教会に送り届ければ問題ない。
ヴィンセントへの夜這いは、隙があればこれから毎日でもやってしまうだろう。
三日目で禁断症状が出てしまった俺はヴィンセントの愛撫をこよなく味わう。
これをいつか失ってしまうのは本当に嫌だ。
俺はヴィンセントの腕輪に手を滑らせる。
今はまだ、ヴィンセントを愛するだけ愛そう。
時間はあるのだから。
「おかえりなさいませ、旦那様」
アディ家の馬車に揺られて、俺と王子とククーで聖都の我が家に行った。馬車の窓を覗き込む王子も可愛かった。
門は魔法での自動開閉式にした。
許可されていない者は一切開かない鬼畜仕様である。これで押し売りも来ない。使用人用の裏口もあるけどね。
この屋敷には多少の庭がある。庭師を雇うほど広くはないが、この庭も角ウサギたちが世話してくれるだろう。彼らは地上の草も好きなのである。
近所のお屋敷に比べると、敷地は同じくらいだが、家自体は少々小さめだ。
だが、王子は純粋に喜んでくれている。
王子は聖教国エルバノーンの国王の息子だが、市井で育ったため俺と同じ庶民の価値観である。大変にありがたい。
玄関に迎えに来てくれたのが三人の使用人。
で、先程の言葉を浴びせられた。
確かにキミらは俺が雇っているけどー。
旦那様って、言われ慣れてないなー。
「何か至らぬ点でもございましたか?」
俺が渋い顔でもしていたようだ。
「いや、レンは旦那様って呼んでほしくないようだ」
ククーがフォローを入れる。
「では、何とお呼びすれば」
「レンと呼んでくれ」
「それでは、レン様と」
様もいらないんだけどなー。
俺は貴族でもないし、この国の上流階級でもない。
今の肩書は冒険者だけだから。ダンジョンマスターってことは公にしてないし。
別段雇用主だからといって、従業員は様をつけて呼ぶ必要はない。せいぜい、さん、で良いんだけど。
「おーう、レン、ようやく来たかー。昼食はアスア王国の料理を用意したぞー」
ノーレンさんちの副料理長、今は俺の家の料理長、、、一人しかいないから長でもないけど、教えを乞いに来る角ウサギもいるだろうからな。
「ううっ、さすが、うちの料理長。俺のことわかってくれてる」
レンと呼び捨てにしてくれたことだ。
アスア王国の料理ももちろん魅力的である。俺のなんちゃってアスア王国料理とは比べものにならん。
三人の使用人はちょっと嫌そうな顔をしているが。この三人は礼儀も身につけた生粋の上流階級の使用人なのである。早くうちに慣れてね。
うちの料理長がノーレンさんちの副料理長に甘んじていたのはそういうわけである。
貴族の料理長は客人に挨拶や料理の説明をするなど、表舞台に立つことも多い。爵位が高い家ほど、愛想と礼儀の求められるレベルは高くなる。美味い料理だけを作っていればそれで終了というわけではないのが、貴族の料理長である。
雇い主を呼び捨てにできる神経の持ち主が、腹の探り合いをする貴族の料理長となれるわけがない。だからこそ、うちにぴったりの料理長なのであるが。
ここの使用人四人は基本的に俺のダンジョンの方へは来ない。が、ダンジョンの角ウサギはこちらに来る。
俺がテイマーでもあることは関係者は知っている。つまり従魔が無理という者は、紹介前に弾かれている。が、この辺りは実際に生活をしてみないと何とも言えないところもある。
彼らにとっては神聖国グルシアの上流階級のノエル家、アディ家の人間もいるのに、雇うのが冒険者の俺。
ククーが必要な範囲内で説明しているはずだが、頭では理解していてもどうしても暮らす中で無理だというのなら元いた家に紹介状でも書いてもらおう。
うちの従魔四匹は小さいサイズで、王子の肩やら頭やらにすでにのっているが。
使用人の一人が目をキラキラさせているので、キミは大丈夫そうだ。後の二人は表情に出ない。感情が出ないように訓練されているんだろうなー。ちなみに全員男性である。
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