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12章 昨年とは違う夏
12-9 考察 ※ビスタ視点
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◆ビスタ視点◆
神聖国グルシアの神官殿が、聖教国エルバノーンの人形遣いの爺さんを通して連絡を取ってきたのは驚いた。
ここは神聖国グルシアのシアリーの街だ。神官ならば、冒険者ギルドを通そうが、教会を通そうが、何らかの手段が取れる。それなのに、他国の人間を経由して連絡してきた。ま、この方が非公式で、早いっちゃ早いんだろうけど。
今の時期なら冒険者ギルド本部がらみのことだろう。レンの能力を使いすぎるな、とか釘を刺しに来たのかもしれない。
神官ククール・アディは英雄担当のストーカー並みの諜報員だった。本当は今でもストーカーな気もするが、レンの『心音』は彼に対して信頼を奏でている。万能のギフトを持っていた英雄が見られていることを気づいていなかったわけがない。
神官殿が聞きに来たのは意外にも英雄のギフトについてだった。
しかも、俺の考えを。
これはギバ共和国での会議が関係しているものと思う。
冒険者ギルドのギルド長にまで慰められた。笑いをこらえながら、通信してきやがった。本人がその場にいないのだから黙っていればいいのに。オチ担当として、場を和ませたと。。。
とはいえ、レンが友人として俺の名をあげたのだ。
ギバ共和国の冒険者ギルド本部のことについて、レンが動いてくれたのは、俺のおかげでもあり、俺のせいでもある。
レンがアスア王国の英雄だったことは公然の秘密と化している気がするが、全員が全員、アスア王国にさえバレなければ良いという認識は同じのようだ。ある程度有能な諜報員がいれば、レンは英雄だったのでは?ぐらいな推測ぐらいは立てられるだろう。証拠がないだけで。
今は、元ストーカー諜報員がくっついているから、やっぱり英雄なんじゃね?という、神官殿が裏付けに使われてしまっている。神官殿が英雄担当の有能な諜報員だったということは各国が納得している事実だ。
各国の諜報員が欺かれているなか、神官殿は本物の英雄を追っていることが少なくなかった。英雄を追うよりも神官殿を追った方が英雄を追えるのではないかと、神官殿の方を追う諜報員もいたぐらいだ。だが、神官殿は神官と言われている通り、神聖国グルシアの役人である。裏稼業の人間と違って、キッチリと休日を取る。しかも、不定期に。神官殿を追いかけるのも至難の業と言われていたが、休日は神官殿も気を抜いていたらしく、今日は追跡できているー、と他の諜報員が喜んだのもつかの間で、アスア王国での優雅な休日を楽しんでいただけだったということもしばしばあったようだ。
この神官殿が諜報員としての任務だからなのか、意地なのか、恋愛感情なのか、どういう気持ちで英雄を追いかけていたのかは謎としたままで良いのだが、諜報員として有能だった神官殿は数年前に諜報員を引退していた。
引退時期が英雄が結婚間近ではないかと言われていた時期だから、身を引いたのでは?と噂され、実はストーカーだったのでは?となり、英雄担当の元ストーカー諜報員と言えばこの人だと伝わるようになってしまった。本当のストーカーなら身を引いたりしないだろ、という冷静なツッコミは誰の耳にも届かなかったようだ。
そんなところで、この神官殿も意外に有名人である。本人にとっては微妙だろうが。
爺さん人形を操る聖教国エルバノーンの人形遣いの爺さんも英雄担当の諜報員としては有能だが、普通の諜報員としての枠には誰も入れたがらない。どの人形が本物の英雄にくっついているかなんてわからないぐらいに、たくさんの人形を操っていたからだ。その上、英雄に不気味な人形を張りつかせているので、諜報員のなかでも不評を買っていた。夜中も見張らなければいけない諜報員の最初の洗礼となった人物である。
こういう爺さんが孫娘を神聖国グルシアのシアリーの街に派遣しているのだから、何かある、と思わない方がおかしいのだが。
アスア王国は自分の国の英雄が調べられていたのに、どこ吹く風で、各国の諜報員の動向など知らない。
とはいえ、アスア王国にもシアリーの街の冒険者レンの情報はしっかり流れているのに、同姓同名の初級冒険者がいるんだね、ぐらいの認識で止まっている。あの国は本当に英雄のギフトがなければ、英雄を認識できない病に侵されているとしか思えない。
けれど、英雄のギフトを持っていないレンは、やはりあの国ではもう英雄ではないのだろう。
英雄ではない彼をあの国が利用しようとすれば、レンを保護している神聖国グルシアが拒む。英雄がいた頃のアスア王国ならば、神聖国グルシアも拒み切れないだろうが、今、英雄のギフトを持っているだけの新英雄を囲っているアスア王国の力は地に落ちている。
反対に、英雄のギフトを持たないレンを保護した神聖国グルシアの株は上昇中だ。
昨年の夏には思いもよらなかったことだ。
秋頃に、神聖国グルシアのシアリーの街の近くに最凶級ダンジョンが発生した。
そして、ちょうどそのときにアスア王国の国王が孫娘の願いをかなえるために結婚式を画策しなければ。
今、全世界はアスア王国の英雄に助けを求めていたはずだ。
最凶級ダンジョンを一、二日で踏破し閉鎖する唯一の冒険者。
英雄のギフトは英雄の肉体にあってこそ扱えるものだ。
新英雄を囲っているアスア王国の国王は気づいている。
だが、それを戻すべき英雄の肉体はもうないと思っている。
もし、あの国王はレンが生きていることを知ったら。
宗教国バルトの強奪の剣の存在を知ったら。
あの国王はレンに英雄のギフトを戻そうとするのではないか。
各国はレンがアスア王国の英雄だったと知り始めている。
英雄がアスア王国の国民を助けるべく奔走した人物だと知っている。
宗教国バルトの強奪の剣の存在を知る者は意外と多い。
アスア王国の国王ではなくても、レンに英雄のギフトを取り戻してほしいと考える国は多いのではないだろうか。
けれど、レンは英雄のギフトがなくなったからこそ、ダンジョンコアを吸収できたと言っていた。
ダンジョンコアを人間の身に吸収できたこと自体が奇跡である。
とすると、強奪の剣を使った場合、元々は自分が授けられたギフトだが、英雄のギフトをレンのカラダは受け入れられるのだろうか。
もし、レンは英雄のギフトを取り戻せるのなら、英雄に戻りたいと思うだろうか。
今のレンには大切に想っている者たちがいる。
その者たちの手を離してまで、アスア王国に戻りたいと思うだろうか。
冒険者ギルドは期限数日前に首都から完全撤退を果たした。最後に近隣の都市へと馬車で移動する者たちの最終点検の後で出発した。神聖国グルシア聖都にあった仮本部は本部に変わり、通常業務を粛々と進めている。
副ギルド長がまだギバ共和国にいるので、混乱はさほどなかったようだ。
ギバ共和国は首都機能移転先を旧王都に最終決定した。
やはり結界が決め手だった。
ギバ共和国の多くの都市は、首都以外でもかなり広大である。どの都市でも結界をはるにはかなりの魔石が必要となり、今からだと到底間に合わないと判断されたからである。
幸いなことに旧王都は観光都市になっていただけに整備されており、かなり綺麗な町並みで残っている。
住めば都というように、多少交易には不便な地となったが、安全な土地というお墨付きがついているため、人々は再出発を果たした。
病気や怪我で動けない者たちは首都の中央病院から、旧王都の治療院であった施設とその周辺の建物に移動した。どちらの建物にも両開きの扉があったため、魔術師がベッドごと移動できたためスムーズに行えたそうだ。世話する人間は一人から二人まで。超える者は優先的に旧王都への避難用馬車に乗せるよう手配された。文句も多く出たようだが、この辺は魔力に制限があると説明され、馬車での移動に同意させられたという方が正しいだろう。
首都にしがみついている住民はやはり出たが、期限までに役人によって強制的に一度外壁の外に出された。
翌日になっても首都の状態を感じた上で入りたいというのならば、通行人用の扉から入るように手配する旨を伝えられて。
翌朝、首都のなかに入ろうとする者は誰もいなかった。
テントで一晩明かした住民は、恐ろしいほどの咆哮と地響きで起きた。彼らはすぐさま首都を離れていった。
本当は残った彼らを転移できるよう、ギバ共和国は最後の最後までレンと交渉していた。
が、結界をはっているから飛行タイプの魔物も首都から出ないため、外壁の外に追い出せば充分だとレンが取り合わなかった。
だからこそ、ギバ共和国も首都の周囲に、自己責任ながら逃げなかった住民とともに冒険者や役人を多少置いておけたのである。
最凶級ダンジョンが発生しながら、ギバ共和国の首都は一人の犠牲者も出さずに避難を完了した。
それは世界的に見て歴史的快挙だった。全世界がギバ共和国の輝かしい栄光を称えた。
アスア王国の国王だけは、我が国では英雄がいた頃はそれが当たり前だったのに、と歯を軋ませていた。
神聖国グルシアの神官殿が、聖教国エルバノーンの人形遣いの爺さんを通して連絡を取ってきたのは驚いた。
ここは神聖国グルシアのシアリーの街だ。神官ならば、冒険者ギルドを通そうが、教会を通そうが、何らかの手段が取れる。それなのに、他国の人間を経由して連絡してきた。ま、この方が非公式で、早いっちゃ早いんだろうけど。
今の時期なら冒険者ギルド本部がらみのことだろう。レンの能力を使いすぎるな、とか釘を刺しに来たのかもしれない。
神官ククール・アディは英雄担当のストーカー並みの諜報員だった。本当は今でもストーカーな気もするが、レンの『心音』は彼に対して信頼を奏でている。万能のギフトを持っていた英雄が見られていることを気づいていなかったわけがない。
神官殿が聞きに来たのは意外にも英雄のギフトについてだった。
しかも、俺の考えを。
これはギバ共和国での会議が関係しているものと思う。
冒険者ギルドのギルド長にまで慰められた。笑いをこらえながら、通信してきやがった。本人がその場にいないのだから黙っていればいいのに。オチ担当として、場を和ませたと。。。
とはいえ、レンが友人として俺の名をあげたのだ。
ギバ共和国の冒険者ギルド本部のことについて、レンが動いてくれたのは、俺のおかげでもあり、俺のせいでもある。
レンがアスア王国の英雄だったことは公然の秘密と化している気がするが、全員が全員、アスア王国にさえバレなければ良いという認識は同じのようだ。ある程度有能な諜報員がいれば、レンは英雄だったのでは?ぐらいな推測ぐらいは立てられるだろう。証拠がないだけで。
今は、元ストーカー諜報員がくっついているから、やっぱり英雄なんじゃね?という、神官殿が裏付けに使われてしまっている。神官殿が英雄担当の有能な諜報員だったということは各国が納得している事実だ。
各国の諜報員が欺かれているなか、神官殿は本物の英雄を追っていることが少なくなかった。英雄を追うよりも神官殿を追った方が英雄を追えるのではないかと、神官殿の方を追う諜報員もいたぐらいだ。だが、神官殿は神官と言われている通り、神聖国グルシアの役人である。裏稼業の人間と違って、キッチリと休日を取る。しかも、不定期に。神官殿を追いかけるのも至難の業と言われていたが、休日は神官殿も気を抜いていたらしく、今日は追跡できているー、と他の諜報員が喜んだのもつかの間で、アスア王国での優雅な休日を楽しんでいただけだったということもしばしばあったようだ。
この神官殿が諜報員としての任務だからなのか、意地なのか、恋愛感情なのか、どういう気持ちで英雄を追いかけていたのかは謎としたままで良いのだが、諜報員として有能だった神官殿は数年前に諜報員を引退していた。
引退時期が英雄が結婚間近ではないかと言われていた時期だから、身を引いたのでは?と噂され、実はストーカーだったのでは?となり、英雄担当の元ストーカー諜報員と言えばこの人だと伝わるようになってしまった。本当のストーカーなら身を引いたりしないだろ、という冷静なツッコミは誰の耳にも届かなかったようだ。
そんなところで、この神官殿も意外に有名人である。本人にとっては微妙だろうが。
爺さん人形を操る聖教国エルバノーンの人形遣いの爺さんも英雄担当の諜報員としては有能だが、普通の諜報員としての枠には誰も入れたがらない。どの人形が本物の英雄にくっついているかなんてわからないぐらいに、たくさんの人形を操っていたからだ。その上、英雄に不気味な人形を張りつかせているので、諜報員のなかでも不評を買っていた。夜中も見張らなければいけない諜報員の最初の洗礼となった人物である。
こういう爺さんが孫娘を神聖国グルシアのシアリーの街に派遣しているのだから、何かある、と思わない方がおかしいのだが。
アスア王国は自分の国の英雄が調べられていたのに、どこ吹く風で、各国の諜報員の動向など知らない。
とはいえ、アスア王国にもシアリーの街の冒険者レンの情報はしっかり流れているのに、同姓同名の初級冒険者がいるんだね、ぐらいの認識で止まっている。あの国は本当に英雄のギフトがなければ、英雄を認識できない病に侵されているとしか思えない。
けれど、英雄のギフトを持っていないレンは、やはりあの国ではもう英雄ではないのだろう。
英雄ではない彼をあの国が利用しようとすれば、レンを保護している神聖国グルシアが拒む。英雄がいた頃のアスア王国ならば、神聖国グルシアも拒み切れないだろうが、今、英雄のギフトを持っているだけの新英雄を囲っているアスア王国の力は地に落ちている。
反対に、英雄のギフトを持たないレンを保護した神聖国グルシアの株は上昇中だ。
昨年の夏には思いもよらなかったことだ。
秋頃に、神聖国グルシアのシアリーの街の近くに最凶級ダンジョンが発生した。
そして、ちょうどそのときにアスア王国の国王が孫娘の願いをかなえるために結婚式を画策しなければ。
今、全世界はアスア王国の英雄に助けを求めていたはずだ。
最凶級ダンジョンを一、二日で踏破し閉鎖する唯一の冒険者。
英雄のギフトは英雄の肉体にあってこそ扱えるものだ。
新英雄を囲っているアスア王国の国王は気づいている。
だが、それを戻すべき英雄の肉体はもうないと思っている。
もし、あの国王はレンが生きていることを知ったら。
宗教国バルトの強奪の剣の存在を知ったら。
あの国王はレンに英雄のギフトを戻そうとするのではないか。
各国はレンがアスア王国の英雄だったと知り始めている。
英雄がアスア王国の国民を助けるべく奔走した人物だと知っている。
宗教国バルトの強奪の剣の存在を知る者は意外と多い。
アスア王国の国王ではなくても、レンに英雄のギフトを取り戻してほしいと考える国は多いのではないだろうか。
けれど、レンは英雄のギフトがなくなったからこそ、ダンジョンコアを吸収できたと言っていた。
ダンジョンコアを人間の身に吸収できたこと自体が奇跡である。
とすると、強奪の剣を使った場合、元々は自分が授けられたギフトだが、英雄のギフトをレンのカラダは受け入れられるのだろうか。
もし、レンは英雄のギフトを取り戻せるのなら、英雄に戻りたいと思うだろうか。
今のレンには大切に想っている者たちがいる。
その者たちの手を離してまで、アスア王国に戻りたいと思うだろうか。
冒険者ギルドは期限数日前に首都から完全撤退を果たした。最後に近隣の都市へと馬車で移動する者たちの最終点検の後で出発した。神聖国グルシア聖都にあった仮本部は本部に変わり、通常業務を粛々と進めている。
副ギルド長がまだギバ共和国にいるので、混乱はさほどなかったようだ。
ギバ共和国は首都機能移転先を旧王都に最終決定した。
やはり結界が決め手だった。
ギバ共和国の多くの都市は、首都以外でもかなり広大である。どの都市でも結界をはるにはかなりの魔石が必要となり、今からだと到底間に合わないと判断されたからである。
幸いなことに旧王都は観光都市になっていただけに整備されており、かなり綺麗な町並みで残っている。
住めば都というように、多少交易には不便な地となったが、安全な土地というお墨付きがついているため、人々は再出発を果たした。
病気や怪我で動けない者たちは首都の中央病院から、旧王都の治療院であった施設とその周辺の建物に移動した。どちらの建物にも両開きの扉があったため、魔術師がベッドごと移動できたためスムーズに行えたそうだ。世話する人間は一人から二人まで。超える者は優先的に旧王都への避難用馬車に乗せるよう手配された。文句も多く出たようだが、この辺は魔力に制限があると説明され、馬車での移動に同意させられたという方が正しいだろう。
首都にしがみついている住民はやはり出たが、期限までに役人によって強制的に一度外壁の外に出された。
翌日になっても首都の状態を感じた上で入りたいというのならば、通行人用の扉から入るように手配する旨を伝えられて。
翌朝、首都のなかに入ろうとする者は誰もいなかった。
テントで一晩明かした住民は、恐ろしいほどの咆哮と地響きで起きた。彼らはすぐさま首都を離れていった。
本当は残った彼らを転移できるよう、ギバ共和国は最後の最後までレンと交渉していた。
が、結界をはっているから飛行タイプの魔物も首都から出ないため、外壁の外に追い出せば充分だとレンが取り合わなかった。
だからこそ、ギバ共和国も首都の周囲に、自己責任ながら逃げなかった住民とともに冒険者や役人を多少置いておけたのである。
最凶級ダンジョンが発生しながら、ギバ共和国の首都は一人の犠牲者も出さずに避難を完了した。
それは世界的に見て歴史的快挙だった。全世界がギバ共和国の輝かしい栄光を称えた。
アスア王国の国王だけは、我が国では英雄がいた頃はそれが当たり前だったのに、と歯を軋ませていた。
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