102 / 236
10章 熱い夏が来る前に
10-3 使用説明 ※ククー視点
しおりを挟む
◆ククー視点◆
俺の部屋の隠し部屋にある物置の扉を、レンはダンジョンに造られた家の書斎につなげた。
書斎には机と本棚が並んでいる。
「あ?あの家の書斎にこんな扉あったっけ?」
扉を開けて書斎に入るが、廊下から出入りするはずの扉は別にある。
この家はレンがヴィンセントと王子と住んでいるあの家の複製のはずだが。
レンが扉を閉めると、俺の隠し部屋は見えなくなる。
「いや、ないよ。廊下からの扉の方をつなげてしまうと、この部屋には窓から入るしかなくなるだろう。別にまったく同じ建物じゃなくてもいいんだから、壁に扉を作ってしまった方が早いだろう?」
「それはそうだが」
「間取りや家具に希望があるなら言ってもらえば適当に変えられるぞ。もっと棚が欲しいとか、そういう要望でもいい。あと、台所や風呂も使えるし、この家で寝泊まりしたいのなら、今ならどこか適当な部屋のベッドを使っても大丈夫だ」
「じゃあ、アンタの部屋のベッドでもいいわけか」
「別にいいぞ。今のところ、この隠し部屋につながる扉はククーと俺だけが使える。もし、誰か招待したいのなら言ってもらえれば許可しよう」
「それって扉には俺が認識されているのか?それとも、このミニミニダンジョンがないと扉は使えないのか?」
レンが俺を見た。少し首を捻っている。
「説明し忘れていたか。そのミニミニダンジョンはもう外れないぞ」
「、、、え?」
「ピアスが外れなければ絶対になくさないだろ」
「、、、それはそうだけど」
一度も外そうと思ったことすらないけど。絶対に?
「一生外れないのか」
「そうそう、俺がお前を一生守ってやれる」
それはプロポーズみたいな言葉なのになー。
本人にはその意図はないんだろうなー。
残念だな。
「レン、これ、俺からの誕生日プレゼント」
「ん?」
俺はレンに箱を渡す。
「ピアス?じゃなくて、イヤリングか」
レンは箱を開けて取り出す。
「アンタにはピアス用の穴が開いてないだろ」
「ククー、つけてもらえるか?」
レンが待っている。
自分でつけないのは恐らく。
レンの両耳にイヤリングをつけるが、左耳に青いティアドロップの飾りの方をつける。
「つけたぞ」
レンが手に触れて、左耳に飾りがあるのを確認している。
「ククー、ありがとう。嬉しい」
華やかな笑顔だ。
この笑顔が自分にだけ向けられていないのが不思議なくらいだ。
「やっぱり、ククーだな」
「やっぱりって?」
「ククー、こっちに来てくれ」
レンは家を出て、鉱物エリアの階層に俺を連れて来た。
そこには様々な色の小さな魔石がゴロゴロ転がっている。。。砂利か石ころか、とツッコミを入れたいぐらいだ。
レンに奥へと誘われた。
そこには大きな、レンの身長を超える魔石が三本の石柱となって存在する。
確かに大きさに驚いた。こんなサイズの魔石ができるものなのか、と。
それ以上に驚いたのは色だ。
魔石の色は、青だ。
青と言っても、俺が選んだイヤリングのティアドロップ型の宝石とまったく同じ色だった。
レンは俺をダンジョンに誘ったとき、俺の色の魔石と言った。
レンの色は赤でも白でもなく、今でも青なのだ。
「綺麗な色だな」
「そう思うか?」
嬉しそうにレンが笑う。
そう思わなければ、そもそもそのイヤリングを選んでいない。
俺はレンの手を取っていた。
「ああ、アンタの色だ。レン、俺はずっとアンタと一緒にいたい」
「ククー、ミニミニダンジョンを持っているお前がこのダンジョンでそんなこと言ったら誓いと等しくなる」
「構わない。アンタとずっと一緒にいられるのなら」
この想いがレンに伝わらなくても。友人としてでも仲間でも共犯者でも何でも、そばにいられるのなら肩書なんて何だっていい。本当は恋人の方が一番良いけど。
「そうか、」
レンの声がひたすら優しい。
俺はレンのそばにいたい。
レンのダンジョンに居てもいいということは、そばにいることは許されているのだろう。
「俺はいつでもお前を迎えるぞ、ククー」
「それはありがたいな」
俺もレンに笑う。
たとえヴィンセントとのような関係になれなくとも。
初恋と自覚されなかった彼への憧れは、やはり初恋だったのだと。
気づくのがここまで遅くなければ、せめて諜報員時代に気づいていれば、違う出会いもあったのだろう。
けれど、俺が英雄と直接会っていたとしたら、俺が英雄に求めていたものは今のレンに求めるものと違っていた。
どうせ神官は結婚できない。
ヴィンセントはレンと例外規定で結婚する気で、しかも、同性同士というのはかなり異例だ。俺にとっては、それはそれ。
レンがヴィンセントと結婚しても、そばにいることがレンに許されるのなら。
俺が生きている限り、そばにいる。
それが誓いでなければ、何だと言うのだ。
「で、ククー、とりあえずこの一本を書斎に持って行くか?」
「、、、どの一本だ?」
レンがポンポンと巨大な青い魔石を叩いている。レンの身長を超える三本のうち、一番伸びている魔石だ。
「俺の色の魔石は後から後からいくらでも生えて来るから遠慮せずに研究に使ってくれ。さすがに無色透明な魔石はあまり融通することはできないが、他の色も育ちは悪いが多少なら持って行けるぞ」
「この辺の足元に散らばっている魔石も、魔力濃度がかなり高いだろう。足蹴にしているが、これらも聖都で売ればかなりの値がつく。下の魔石で充分だ」
「えー、それらは適当に使っていいよー」
って言って、何で剣を持つ?レンが魔石の根元に剣を振るうと一線が入ったように見えた。
「よいしょっと」
「レン、それをどこに持って行く予定だ?」
恐る恐る聞いてみる。なんとなく予想はつくんだけど。
レンが巨大な魔石を担いでいる。身長が縮んだとはいえ英雄は英雄だ。怪力だ。俺がこんな魔石を持ったら確実に潰れるな。
「書斎。ククーが惜しげもなく使ってもいいし、部屋の飾りにしてもいい。飾りには邪魔だというのなら、さっさと砕いて研究に使え」
ちょっと額を押さえる。
この巨大な魔石をもらって嬉しくないかといえば、ものすごく嬉しい。
だが、俺、こんな巨大な魔石を使う研究をしていないのだが。とりあえず足元に砂利のように存在している魔石を小さい袋に詰めてもらっていこう。コチラの方が使い勝手が良い。
ダンジョン記念として、レンの巨大魔石は書斎にしばらく飾っておくか。
この巨大魔石を見たら軍事国家が一番喜びそうだ。
「そうだな、ククーの誕生日には毎年一本ずつプレゼントする。書斎がいっぱいになるから少しは使おうという気になるだろう」
脅迫か?魔石に押し潰されるのが早いか、研究するのが早いか。
そんなに毎日魔石を大量消費する研究なんて、俺していないぞ。質の良い魔石は高いから。
それでも、割と広い書斎にこのサイズの巨大魔石でもいっぱいになるのは十数年ぐらいでは難しい。これはもう長く居てもいいってことだと解釈する。
レンのこの厚待遇、ヴィンセントが妬かないのか?
「魔脈がこの地下を流れている限り、このダンジョンで魔力切れはないとは思うが、魔脈が他に移動したら魔力消費を控えなければならなくなることもあり得る。だが、数年で枯渇することはないから、安心しろ。省エネモードに移行する必要があるときは必ず言うから」
俺はそういう心配をしているわけじゃないんだけどなー。
省エネモードになろうが、人から見ればレンが規格外なのは変わらないだろう。
「ところで、今日は家から離れているとヴィンセントがうるさくないのか?」
「いや、今日は散歩してきたら、とヴィンセントと王子が勧めてきた。昼には帰ってくるように言われたが」
ああ、家でヴィンセントは王子や角ウサギとともにパーティの準備をしているのか。祝うべき本人が家に居たら、隠しながら準備をするのも大変だ。
本当なら俺は招かざる客なのだが、ギフトで見えるツノやタレタが食事の量はバッチリだから大丈夫と俺に伝えてきている気がする。ついでに、俺が持って来た料理やお菓子もしっかり出してねー、と彼らの目が言っている気がする。うん、レンの角ウサギたちも規格外だよな。
料理は角ウサギたちが頑張ったようだ。
「レン、嬉しそうだな」
「ああ、誕生日を祝ってもらえることがこんなに嬉しいものだとは思ってもみなかった」
俺はレンとともに歩いてあの家に向かった。
俺の部屋の隠し部屋にある物置の扉を、レンはダンジョンに造られた家の書斎につなげた。
書斎には机と本棚が並んでいる。
「あ?あの家の書斎にこんな扉あったっけ?」
扉を開けて書斎に入るが、廊下から出入りするはずの扉は別にある。
この家はレンがヴィンセントと王子と住んでいるあの家の複製のはずだが。
レンが扉を閉めると、俺の隠し部屋は見えなくなる。
「いや、ないよ。廊下からの扉の方をつなげてしまうと、この部屋には窓から入るしかなくなるだろう。別にまったく同じ建物じゃなくてもいいんだから、壁に扉を作ってしまった方が早いだろう?」
「それはそうだが」
「間取りや家具に希望があるなら言ってもらえば適当に変えられるぞ。もっと棚が欲しいとか、そういう要望でもいい。あと、台所や風呂も使えるし、この家で寝泊まりしたいのなら、今ならどこか適当な部屋のベッドを使っても大丈夫だ」
「じゃあ、アンタの部屋のベッドでもいいわけか」
「別にいいぞ。今のところ、この隠し部屋につながる扉はククーと俺だけが使える。もし、誰か招待したいのなら言ってもらえれば許可しよう」
「それって扉には俺が認識されているのか?それとも、このミニミニダンジョンがないと扉は使えないのか?」
レンが俺を見た。少し首を捻っている。
「説明し忘れていたか。そのミニミニダンジョンはもう外れないぞ」
「、、、え?」
「ピアスが外れなければ絶対になくさないだろ」
「、、、それはそうだけど」
一度も外そうと思ったことすらないけど。絶対に?
「一生外れないのか」
「そうそう、俺がお前を一生守ってやれる」
それはプロポーズみたいな言葉なのになー。
本人にはその意図はないんだろうなー。
残念だな。
「レン、これ、俺からの誕生日プレゼント」
「ん?」
俺はレンに箱を渡す。
「ピアス?じゃなくて、イヤリングか」
レンは箱を開けて取り出す。
「アンタにはピアス用の穴が開いてないだろ」
「ククー、つけてもらえるか?」
レンが待っている。
自分でつけないのは恐らく。
レンの両耳にイヤリングをつけるが、左耳に青いティアドロップの飾りの方をつける。
「つけたぞ」
レンが手に触れて、左耳に飾りがあるのを確認している。
「ククー、ありがとう。嬉しい」
華やかな笑顔だ。
この笑顔が自分にだけ向けられていないのが不思議なくらいだ。
「やっぱり、ククーだな」
「やっぱりって?」
「ククー、こっちに来てくれ」
レンは家を出て、鉱物エリアの階層に俺を連れて来た。
そこには様々な色の小さな魔石がゴロゴロ転がっている。。。砂利か石ころか、とツッコミを入れたいぐらいだ。
レンに奥へと誘われた。
そこには大きな、レンの身長を超える魔石が三本の石柱となって存在する。
確かに大きさに驚いた。こんなサイズの魔石ができるものなのか、と。
それ以上に驚いたのは色だ。
魔石の色は、青だ。
青と言っても、俺が選んだイヤリングのティアドロップ型の宝石とまったく同じ色だった。
レンは俺をダンジョンに誘ったとき、俺の色の魔石と言った。
レンの色は赤でも白でもなく、今でも青なのだ。
「綺麗な色だな」
「そう思うか?」
嬉しそうにレンが笑う。
そう思わなければ、そもそもそのイヤリングを選んでいない。
俺はレンの手を取っていた。
「ああ、アンタの色だ。レン、俺はずっとアンタと一緒にいたい」
「ククー、ミニミニダンジョンを持っているお前がこのダンジョンでそんなこと言ったら誓いと等しくなる」
「構わない。アンタとずっと一緒にいられるのなら」
この想いがレンに伝わらなくても。友人としてでも仲間でも共犯者でも何でも、そばにいられるのなら肩書なんて何だっていい。本当は恋人の方が一番良いけど。
「そうか、」
レンの声がひたすら優しい。
俺はレンのそばにいたい。
レンのダンジョンに居てもいいということは、そばにいることは許されているのだろう。
「俺はいつでもお前を迎えるぞ、ククー」
「それはありがたいな」
俺もレンに笑う。
たとえヴィンセントとのような関係になれなくとも。
初恋と自覚されなかった彼への憧れは、やはり初恋だったのだと。
気づくのがここまで遅くなければ、せめて諜報員時代に気づいていれば、違う出会いもあったのだろう。
けれど、俺が英雄と直接会っていたとしたら、俺が英雄に求めていたものは今のレンに求めるものと違っていた。
どうせ神官は結婚できない。
ヴィンセントはレンと例外規定で結婚する気で、しかも、同性同士というのはかなり異例だ。俺にとっては、それはそれ。
レンがヴィンセントと結婚しても、そばにいることがレンに許されるのなら。
俺が生きている限り、そばにいる。
それが誓いでなければ、何だと言うのだ。
「で、ククー、とりあえずこの一本を書斎に持って行くか?」
「、、、どの一本だ?」
レンがポンポンと巨大な青い魔石を叩いている。レンの身長を超える三本のうち、一番伸びている魔石だ。
「俺の色の魔石は後から後からいくらでも生えて来るから遠慮せずに研究に使ってくれ。さすがに無色透明な魔石はあまり融通することはできないが、他の色も育ちは悪いが多少なら持って行けるぞ」
「この辺の足元に散らばっている魔石も、魔力濃度がかなり高いだろう。足蹴にしているが、これらも聖都で売ればかなりの値がつく。下の魔石で充分だ」
「えー、それらは適当に使っていいよー」
って言って、何で剣を持つ?レンが魔石の根元に剣を振るうと一線が入ったように見えた。
「よいしょっと」
「レン、それをどこに持って行く予定だ?」
恐る恐る聞いてみる。なんとなく予想はつくんだけど。
レンが巨大な魔石を担いでいる。身長が縮んだとはいえ英雄は英雄だ。怪力だ。俺がこんな魔石を持ったら確実に潰れるな。
「書斎。ククーが惜しげもなく使ってもいいし、部屋の飾りにしてもいい。飾りには邪魔だというのなら、さっさと砕いて研究に使え」
ちょっと額を押さえる。
この巨大な魔石をもらって嬉しくないかといえば、ものすごく嬉しい。
だが、俺、こんな巨大な魔石を使う研究をしていないのだが。とりあえず足元に砂利のように存在している魔石を小さい袋に詰めてもらっていこう。コチラの方が使い勝手が良い。
ダンジョン記念として、レンの巨大魔石は書斎にしばらく飾っておくか。
この巨大魔石を見たら軍事国家が一番喜びそうだ。
「そうだな、ククーの誕生日には毎年一本ずつプレゼントする。書斎がいっぱいになるから少しは使おうという気になるだろう」
脅迫か?魔石に押し潰されるのが早いか、研究するのが早いか。
そんなに毎日魔石を大量消費する研究なんて、俺していないぞ。質の良い魔石は高いから。
それでも、割と広い書斎にこのサイズの巨大魔石でもいっぱいになるのは十数年ぐらいでは難しい。これはもう長く居てもいいってことだと解釈する。
レンのこの厚待遇、ヴィンセントが妬かないのか?
「魔脈がこの地下を流れている限り、このダンジョンで魔力切れはないとは思うが、魔脈が他に移動したら魔力消費を控えなければならなくなることもあり得る。だが、数年で枯渇することはないから、安心しろ。省エネモードに移行する必要があるときは必ず言うから」
俺はそういう心配をしているわけじゃないんだけどなー。
省エネモードになろうが、人から見ればレンが規格外なのは変わらないだろう。
「ところで、今日は家から離れているとヴィンセントがうるさくないのか?」
「いや、今日は散歩してきたら、とヴィンセントと王子が勧めてきた。昼には帰ってくるように言われたが」
ああ、家でヴィンセントは王子や角ウサギとともにパーティの準備をしているのか。祝うべき本人が家に居たら、隠しながら準備をするのも大変だ。
本当なら俺は招かざる客なのだが、ギフトで見えるツノやタレタが食事の量はバッチリだから大丈夫と俺に伝えてきている気がする。ついでに、俺が持って来た料理やお菓子もしっかり出してねー、と彼らの目が言っている気がする。うん、レンの角ウサギたちも規格外だよな。
料理は角ウサギたちが頑張ったようだ。
「レン、嬉しそうだな」
「ああ、誕生日を祝ってもらえることがこんなに嬉しいものだとは思ってもみなかった」
俺はレンとともに歩いてあの家に向かった。
32
お気に入りに追加
356
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
祝福という名の厄介なモノがあるんですけど
野犬 猫兄
BL
魔導研究員のディルカには悩みがあった。
愛し愛される二人の証しとして、同じ場所に同じアザが発現するという『花祝紋』が独り身のディルカの身体にいつの間にか現れていたのだ。
それは女神の祝福とまでいわれるアザで、そんな大層なもの誰にも見せられるわけがない。
ディルカは、そんなアザがあるものだから、誰とも恋愛できずにいた。
イチャイチャ……イチャイチャしたいんですけど?!
□■
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
完結しました。
応援していただきありがとうございます!
□■
第11回BL大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、またお読みくださった皆様、どうもありがとうございましたm(__)m
嫌われ公式愛妾役ですが夫だけはただの僕のガチ勢でした
ナイトウ
BL
BL小説大賞にご協力ありがとうございました!!
CP:不器用受ガチ勢伯爵夫攻め、女形役者受け
相手役は第11話から出てきます。
ロストリア帝国の首都セレンで女形の売れっ子役者をしていたルネは、皇帝エルドヴァルの為に公式愛妾を装い王宮に出仕し、王妃マリーズの代わりに貴族の反感を一手に受ける役割を引き受けた。
役目は無事終わり追放されたルネ。所属していた劇団に戻りまた役者業を再開しようとするも公式愛妾になるために偽装結婚したリリック伯爵に阻まれる。
そこで仕方なく、顔もろくに知らない夫と離婚し役者に戻るために彼の屋敷に向かうのだった。
婚約破棄され毒杯処分された悪役令嬢は影から王子の愛と後悔を見届ける
堀 和三盆
恋愛
「クアリフィカ・アートルム公爵令嬢! 貴様との婚約は破棄する」
王太子との結婚を半年後に控え、卒業パーティーで婚約を破棄されてしまったクアリフィカ。目の前でクアリフィカの婚約者に寄り添い、歪んだ嗤いを浮かべているのは異母妹のルシクラージュだ。
クアリフィカは既に王妃教育を終えているため、このタイミングでの婚約破棄は未来を奪われるも同然。こうなるとクアリフィカにとれる選択肢は多くない。
せめてこれまで努力してきた王妃教育の成果を見てもらいたくて。
キレイな姿を婚約者の記憶にとどめてほしくて。
クアリフィカは荒れ狂う感情をしっかりと覆い隠し、この場で最後の公務に臨む。
卒業パーティー会場に響き渡る悲鳴。
目にした惨状にバタバタと倒れるパーティー参加者達。
淑女の鑑とまで言われたクアリフィカの最期の姿は、良くも悪くも多くの者の記憶に刻まれることになる。
そうして――王太子とルシクラージュの、後悔と懺悔の日々が始まった。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる