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8章 初夏の風が吹く
8-6 素直が一番 ※ビスタ視点
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◆ビスタ視点◆
レンがチラリと冒険者ギルドの所長とメイサ嬢を見る。
この二人には聞かせられない話か。
「レン、この二人がいないと冒険者ギルド側の証人がいないから、万が一依頼人が情報料を出し渋ったとき面倒なことになるぞ」
「んー、交渉するのはクッキィ氏になるだろうし、聞いて無理だと思えば終了でもいい。情報を活用しながら出し渋るような人なら、俺が今後この冒険者ギルドに薬草を一切納品しないだけだ」
あ。
クッキィ氏がムンクの叫び状態になってる。
レン、痛いところを突くねぇ。
「で、俺は?」
俺が笑顔で聞くと、レンがにこやかな笑顔で俺を見た。無言の圧力。
ここにいろと?協力しろと?はいはいそうですかー。
「情報が情報のようだから我々は退席しよう。何かあったら呼ぶように」
所長はアッサリ頷いた。
償い草の情報など聞ける機会などない。が、冒険者ギルドが情報を聞いてしまうと、予約の依頼主から優先する。
クッキィ氏の指名依頼としてのレンの情報提供なら介入しない方が良い。
二人が退室して、この部屋にはクッキィ氏とレンと俺の三人になる。
「私には五年も待てるほどの余裕はない。もはや一週間あるかどうかだ」
険しい顔に戻ったクッキィ氏。つまり、一週間で死ぬ運命の者がクッキィ氏の近しい者でいるということだ。魔術等で何とか瀕死の状態の命を延ばしているというところか。
「貴方が相手とどういう交渉をするかで変わる部分までは、俺は責任は持てない」
そう、レンは交渉と言っている。その償い草の持ち主がいるのだ。この薬草は状態保存の収納鞄に入れられる。使わなくとも半永久に保存できる。自分のために、家族のために持っておきたい人間は山のようにいる。すんなりと譲ってくれるわけがない。
「情報料はいくらになる?償い草が本当にあるのならそれ相応の金額を払わねばなるまい」
「それは情報が正しいとわかってからでいい。ただ神聖国グルシアの国内ではない。それでも聞くのか」
「お願いする」
クッキィ氏はレンに真剣な目で頷く。
「今の持ち主はアスア王国の新英雄ロイだ。英雄ザット・ノーレンの収納鞄に二本の償い草が入っているが、アスア王国では収納鞄の中の物を取り出すことができていない。収納鞄の所有権はロイ、管理はアスア王国がしており、遺品として飾られている」
「アスア王国の英雄が亡くなる前に採取したものか」
冒険者ギルドに納品する前の薬草なら、所有者が誰に譲ろうと文句は言えない。
クッキィ氏は考えはじめている。
「本当ならあの鞄に新英雄の所有権はないだろ。奪ったものなら犯罪だ」
俺はレンに言う。新英雄は英雄からすべてを譲られたと説明したようだが、事実は違う。アスア王国も少し考えればわかることだろうが、あの国王は英雄に固執している。
「アスア王国では新英雄が犯罪者として裁かれないのなら仕方ない。時間がないのなら正攻法で交渉した方が早い」
「すまないが聞いてもいいだろうか。英雄の収納鞄は本人にしか使えないものだったから、アスア王国でも中の物を取り出せないのか」
「ああ、あの収納鞄は本人限定だ。あの鞄を神聖国グルシアに持って来れるのなら、俺が中身を取り出そう。ただ、アスア王国にその方法を問われたら冒険者ギルドの機密事項だと伝えておけば良い。中身がすり替えられないように万全を期すと言ってきたなら、作業する部屋に二名いることを許可するが、それを超えるのは作業の邪魔になるとでも言えば良い」
そりゃ、この人、英雄本人ですからね。
ご自分の収納鞄の中身は知っているし、中身も難なく取り出せる。
本人限定の収納鞄は死んだときに厄介である。今は死後に別の者に取り出せるように設定することもできるが、さらに値段が高くなるので設定する者は少ない。
そもそも収納鞄は手にした全員が中身を出し入れできるものが主流である。
持ち主限定するのは、珍しい魔物を常時討伐するような上級以上の冒険者であったり、かなりの額の商取引をする商人だったりする。
盗まれても、本人以外は中身が空のように見える鞄なので、持ち主の元に何とか戻ってくる確率は高い。ボロボロになろうとも、焼け焦げていようとも、形があれば中身は無事なのである。本人限定の収納鞄は位置情報もわかるように魔術がかけられていることが多い。それなりの物が入るからこそリスク管理された高価な収納鞄なのである。
「アスア王国との交渉がうまくいくことを祈っている」
あ、レンがすべての交渉をクッキィ氏にぶん投げた。
「収納鞄を神聖国グルシアに持って来ればということだったが、場所はシアリーの街でなくても大丈夫なのか?例えば聖都とか」
「シアリーの街でないとしたら、聖都の方が良いだろう。ただ、日時はできるだけ詳細に詰めてもらえると助かる。コチラも移動もしなければならないからな」
「ああ、その辺は考慮する。あと、こちらが魔道具を用意するので、作業当日の収納鞄から取り出すときにキミの目の色を変えてもらうことは可能だろうか」
「、、、ああ、なるほど。本人限定の収納鞄なのに、取り出すことができるのは魔族の協力があるからということにするのか。紫の目なら良いが、特に魔道具を用意する必要はない」
レンが承諾した。アスア王国自体は魔族の動向を追いかけていない。魔族に協力をお願いすると恐ろしいほどの金額が飛んでいく。英雄がいるはずの国では必要なかった者たちだ。
んー、ところでレンちゃん、魔道具が必要ないって目の色を自由に変えられるって俺に解釈されますよー?もしかして、その臙脂色も目の色を変えているのかなー?
「魔族というのは匂わす程度にしておきます。本当の魔族にバレても向こうが勘違いしただけだとしておけば、何の問題もありません」
このクッキィ氏、交渉内容をすでに考えついている。
薬師ギルドはこの大陸の各国に蔓延っている。魔法や魔術での普通の治癒が完全ではないと気づいた上流階級の者たちが手厚く迎えるのも道理である。
情報も冒険者ギルドとは種類は違うがかなり入ってくるギルドである。
薬師ギルドは本拠地が神聖国グルシアである。この大陸全体を見るとそこまでは大きくないギルドだが、本拠地を動かす必要がないので、これから状況によってはかなり強いギルドになるだろう。
ギルドは本拠地の国の状況で良くも悪くも状況が変わる。危ないギルドに財産は預けられない。大国は戦争でもなければ多少の災害等ではビクともしないはずなのだが、今回は冒険者ギルド本部も保険をかけることに決定した。
冒険者ギルドは仮の本部を神聖国グルシアの聖都に置くことに決めた。すでに手頃な屋敷を手に入れている。元銀行の建物で、巨大な金庫が目当てのようだ。
聖都にも冒険者ギルドはすでに存在しているのだが、本部の機能を兼ね備えるとすると建物が狭い。しかも、冒険者の出入りがしやすいようにと聖都の中央からは離れている。
冒険者ギルドの動きを察知して、商人ギルドやら何やらも動き出しているところはあるようだ。安全な国というのは時代時代で変わる。大きいギルドほど危険なときは他国に移動できるようにしている。
クッキィ氏は冒険者ギルドの応接室を後にした。
従者に急いで指示をして馬車を走らせていった。
事故らないことを祈る。
「はーーー、事情は聞かないのが冒険者ギルドだが、」
「お、心の声が聞こえたのか?クッキィ氏の事情が」
「普通は上の人間なんてさっさといなくなれば自分が昇進できると思っている奴らばかりだと思っていたからなー」
俺は頭を掻く。
「償い草が必要なのは薬師ギルドのギルド長だ。すでに半身以上が壊死しているようだ。魔術で進行を停止しているようだが時間の問題だろう。たしかにどんなに頑張っても一週間か」
「へ?」
レンが首を傾げてしまった。
「償い草でも間に合わないか?」
「いや、ソレ、今、俺に直接頼めば何とかなるんだが?わざわざ償い草までいるほどのモノか?壊死しているとはいえまだ切り落としてはいないのだろう?半分ぐらいはまだ無事なのだろう?」
沈黙。。。
心のなかでも、俺、考えることを放棄してしまったよ。
レンの顔はまだ疑問符が浮いている。うん、償い草を使う局面って、普通の人ならあまり出会ったことがない。そのぐらいで償い草を使うんだーって顔をするな。このクソ英雄っ。
「クッキィ氏ーーーーっ」
大声でクッキィ氏の馬車をとめようとしたが遅かった。大通りに俺の声だけがこだまする。彼はそのまま馬車でシアリーの街を出発してしまった。
クッキィ氏のアホ。
素直に事情をレンに話しておけば、こんな面倒も、交渉も、レンに払う以上の多額のお金も、そもそも償い草自体必要なかったに違いない。
どうせどんなに隠していても、どこからか話は漏れてしまうのだから。
レンがチラリと冒険者ギルドの所長とメイサ嬢を見る。
この二人には聞かせられない話か。
「レン、この二人がいないと冒険者ギルド側の証人がいないから、万が一依頼人が情報料を出し渋ったとき面倒なことになるぞ」
「んー、交渉するのはクッキィ氏になるだろうし、聞いて無理だと思えば終了でもいい。情報を活用しながら出し渋るような人なら、俺が今後この冒険者ギルドに薬草を一切納品しないだけだ」
あ。
クッキィ氏がムンクの叫び状態になってる。
レン、痛いところを突くねぇ。
「で、俺は?」
俺が笑顔で聞くと、レンがにこやかな笑顔で俺を見た。無言の圧力。
ここにいろと?協力しろと?はいはいそうですかー。
「情報が情報のようだから我々は退席しよう。何かあったら呼ぶように」
所長はアッサリ頷いた。
償い草の情報など聞ける機会などない。が、冒険者ギルドが情報を聞いてしまうと、予約の依頼主から優先する。
クッキィ氏の指名依頼としてのレンの情報提供なら介入しない方が良い。
二人が退室して、この部屋にはクッキィ氏とレンと俺の三人になる。
「私には五年も待てるほどの余裕はない。もはや一週間あるかどうかだ」
険しい顔に戻ったクッキィ氏。つまり、一週間で死ぬ運命の者がクッキィ氏の近しい者でいるということだ。魔術等で何とか瀕死の状態の命を延ばしているというところか。
「貴方が相手とどういう交渉をするかで変わる部分までは、俺は責任は持てない」
そう、レンは交渉と言っている。その償い草の持ち主がいるのだ。この薬草は状態保存の収納鞄に入れられる。使わなくとも半永久に保存できる。自分のために、家族のために持っておきたい人間は山のようにいる。すんなりと譲ってくれるわけがない。
「情報料はいくらになる?償い草が本当にあるのならそれ相応の金額を払わねばなるまい」
「それは情報が正しいとわかってからでいい。ただ神聖国グルシアの国内ではない。それでも聞くのか」
「お願いする」
クッキィ氏はレンに真剣な目で頷く。
「今の持ち主はアスア王国の新英雄ロイだ。英雄ザット・ノーレンの収納鞄に二本の償い草が入っているが、アスア王国では収納鞄の中の物を取り出すことができていない。収納鞄の所有権はロイ、管理はアスア王国がしており、遺品として飾られている」
「アスア王国の英雄が亡くなる前に採取したものか」
冒険者ギルドに納品する前の薬草なら、所有者が誰に譲ろうと文句は言えない。
クッキィ氏は考えはじめている。
「本当ならあの鞄に新英雄の所有権はないだろ。奪ったものなら犯罪だ」
俺はレンに言う。新英雄は英雄からすべてを譲られたと説明したようだが、事実は違う。アスア王国も少し考えればわかることだろうが、あの国王は英雄に固執している。
「アスア王国では新英雄が犯罪者として裁かれないのなら仕方ない。時間がないのなら正攻法で交渉した方が早い」
「すまないが聞いてもいいだろうか。英雄の収納鞄は本人にしか使えないものだったから、アスア王国でも中の物を取り出せないのか」
「ああ、あの収納鞄は本人限定だ。あの鞄を神聖国グルシアに持って来れるのなら、俺が中身を取り出そう。ただ、アスア王国にその方法を問われたら冒険者ギルドの機密事項だと伝えておけば良い。中身がすり替えられないように万全を期すと言ってきたなら、作業する部屋に二名いることを許可するが、それを超えるのは作業の邪魔になるとでも言えば良い」
そりゃ、この人、英雄本人ですからね。
ご自分の収納鞄の中身は知っているし、中身も難なく取り出せる。
本人限定の収納鞄は死んだときに厄介である。今は死後に別の者に取り出せるように設定することもできるが、さらに値段が高くなるので設定する者は少ない。
そもそも収納鞄は手にした全員が中身を出し入れできるものが主流である。
持ち主限定するのは、珍しい魔物を常時討伐するような上級以上の冒険者であったり、かなりの額の商取引をする商人だったりする。
盗まれても、本人以外は中身が空のように見える鞄なので、持ち主の元に何とか戻ってくる確率は高い。ボロボロになろうとも、焼け焦げていようとも、形があれば中身は無事なのである。本人限定の収納鞄は位置情報もわかるように魔術がかけられていることが多い。それなりの物が入るからこそリスク管理された高価な収納鞄なのである。
「アスア王国との交渉がうまくいくことを祈っている」
あ、レンがすべての交渉をクッキィ氏にぶん投げた。
「収納鞄を神聖国グルシアに持って来ればということだったが、場所はシアリーの街でなくても大丈夫なのか?例えば聖都とか」
「シアリーの街でないとしたら、聖都の方が良いだろう。ただ、日時はできるだけ詳細に詰めてもらえると助かる。コチラも移動もしなければならないからな」
「ああ、その辺は考慮する。あと、こちらが魔道具を用意するので、作業当日の収納鞄から取り出すときにキミの目の色を変えてもらうことは可能だろうか」
「、、、ああ、なるほど。本人限定の収納鞄なのに、取り出すことができるのは魔族の協力があるからということにするのか。紫の目なら良いが、特に魔道具を用意する必要はない」
レンが承諾した。アスア王国自体は魔族の動向を追いかけていない。魔族に協力をお願いすると恐ろしいほどの金額が飛んでいく。英雄がいるはずの国では必要なかった者たちだ。
んー、ところでレンちゃん、魔道具が必要ないって目の色を自由に変えられるって俺に解釈されますよー?もしかして、その臙脂色も目の色を変えているのかなー?
「魔族というのは匂わす程度にしておきます。本当の魔族にバレても向こうが勘違いしただけだとしておけば、何の問題もありません」
このクッキィ氏、交渉内容をすでに考えついている。
薬師ギルドはこの大陸の各国に蔓延っている。魔法や魔術での普通の治癒が完全ではないと気づいた上流階級の者たちが手厚く迎えるのも道理である。
情報も冒険者ギルドとは種類は違うがかなり入ってくるギルドである。
薬師ギルドは本拠地が神聖国グルシアである。この大陸全体を見るとそこまでは大きくないギルドだが、本拠地を動かす必要がないので、これから状況によってはかなり強いギルドになるだろう。
ギルドは本拠地の国の状況で良くも悪くも状況が変わる。危ないギルドに財産は預けられない。大国は戦争でもなければ多少の災害等ではビクともしないはずなのだが、今回は冒険者ギルド本部も保険をかけることに決定した。
冒険者ギルドは仮の本部を神聖国グルシアの聖都に置くことに決めた。すでに手頃な屋敷を手に入れている。元銀行の建物で、巨大な金庫が目当てのようだ。
聖都にも冒険者ギルドはすでに存在しているのだが、本部の機能を兼ね備えるとすると建物が狭い。しかも、冒険者の出入りがしやすいようにと聖都の中央からは離れている。
冒険者ギルドの動きを察知して、商人ギルドやら何やらも動き出しているところはあるようだ。安全な国というのは時代時代で変わる。大きいギルドほど危険なときは他国に移動できるようにしている。
クッキィ氏は冒険者ギルドの応接室を後にした。
従者に急いで指示をして馬車を走らせていった。
事故らないことを祈る。
「はーーー、事情は聞かないのが冒険者ギルドだが、」
「お、心の声が聞こえたのか?クッキィ氏の事情が」
「普通は上の人間なんてさっさといなくなれば自分が昇進できると思っている奴らばかりだと思っていたからなー」
俺は頭を掻く。
「償い草が必要なのは薬師ギルドのギルド長だ。すでに半身以上が壊死しているようだ。魔術で進行を停止しているようだが時間の問題だろう。たしかにどんなに頑張っても一週間か」
「へ?」
レンが首を傾げてしまった。
「償い草でも間に合わないか?」
「いや、ソレ、今、俺に直接頼めば何とかなるんだが?わざわざ償い草までいるほどのモノか?壊死しているとはいえまだ切り落としてはいないのだろう?半分ぐらいはまだ無事なのだろう?」
沈黙。。。
心のなかでも、俺、考えることを放棄してしまったよ。
レンの顔はまだ疑問符が浮いている。うん、償い草を使う局面って、普通の人ならあまり出会ったことがない。そのぐらいで償い草を使うんだーって顔をするな。このクソ英雄っ。
「クッキィ氏ーーーーっ」
大声でクッキィ氏の馬車をとめようとしたが遅かった。大通りに俺の声だけがこだまする。彼はそのまま馬車でシアリーの街を出発してしまった。
クッキィ氏のアホ。
素直に事情をレンに話しておけば、こんな面倒も、交渉も、レンに払う以上の多額のお金も、そもそも償い草自体必要なかったに違いない。
どうせどんなに隠していても、どこからか話は漏れてしまうのだから。
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