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6章 花が咲く頃
6-1 タレタの授業 ※王子視点
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◆王子視点◆
「あ、そうだ」
何かを思いついたようなレンの言葉に、ヴィンセントはビクッと肩を揺らす。
レンはワクワク顔に変わっている。最近、レンは感情を表に出す。出会った当初はもっと穏やかで静かで大人っぽい感じがしていたが、この頃は昔、近所に住んでいた悪ガキがイタズラを思いついたような表情をすることもある。実際に悪ガキのようなイタズラをするわけではなく、ヴィンセントにとってはさらにタチの悪いモノで、恩恵を受ける人にとっては素晴らしい行動だ。
家の食堂で三人と一匹で朝食を食べている。この頃は僕も早起きして作るのを手伝っている。
今日のお庭当番の角ウサギのオレオが、僕特製のサラダをおいしそうにムシャムシャと頬張っている。ちなみにオレオは、耳が折れているのでオレオと僕が名付けた。どの角ウサギも毛並みが柔らかく可愛い。
「王子ー、食べ終わったらダンジョン行かない?」
レンが僕を誘う。
この頃はヴィンセントの前で僕を誘う。
ヴィンセントの表情にはダンジョンに行くのをとめたい気持ちが半分存在している。
そして、あとの半分は心配だ。
「レン、今度は何をやらかそうとしているの?」
「ダンジョンに行って、とりあえず挑戦してみる。できそうになかったら悲しいから、概要はあとで報告する」
「、、、レン、周囲には迷惑をかけないようにね」
ヴィンセントが諦めに近い表情を浮かべている。
レンはとめられようが何をされようが、結局は隠してでも遂行する。
ヴィンセントもレンの特性がわかってきたようで、文句も苦情も注意も忠告もレンに言うが、最終的にとめない。とめると自分にだけ内緒にされることがレンの行動からわかってきたからだ。
レンはとめなければ、何かをすることをヴィンセントに伝えていく。十分な情報とは決して言えないが。
ヴィンセントに小言を言われることを、レンは愛情だと知っている。嬉しそうな顔をして聞いている。レンの表情を見ていて、言ってくれる人間のありがたみを僕はようやく知った。
僕は母親の小言も愛情ゆえにとはわかっていたけど、あまり聞きたくなかった。この地に来て母親の小言がなくなった今、自由を謳歌しているというより寂しく思っている自分がいることに気づいた。
ヴィンセントとレンで、口調が強いのはヴィンセントだ。
レンは基本的には穏やかな話し方で人当たりも良い。
けれど、口で勝つのはいつもレンである。
決定的な勝ち負けはついていないのに、レンの要望が最終的に通っていることが多い。
観察していると、ヴィンセントがレンに勝てる要素が何もないことを知る。
どちらも相手に惚れていて、どちらも相手が大切で、どちらも相手を尊重しているように見える。
にもかかわらず、十歳の年齢の差だろうか、レンは相手を立てながらも要望をしっかり通す。
交渉の仕方は時と場合によりけりで、理路整然と説明するときもあるが、甘えた口調で押し通すこともある。
ほんの少し前までは、僕とレンの秘密だったダンジョンへの散歩も秘密ではなくなった。
レンは一度すべてを失ったのに、今は自分のダンジョンで薬草栽培やら鉱石作りやら僕の身代わり作りやらいろいろなことをしている。
僕には何ができるだろうか。
病気で長くは生きられないと思っていた。治療でここに来ているとはいえ、神頼みだった。
だから、与えられるものだけで満足していた。
多くは望まないと。衣食住が足りて、治療を受けさせてくれるだけありがたいと。
満足していたフリだった。
レンが文字や計算を教えてくれて、基礎知識を知り、角ウサギたちから世界を広げてもらっている。
魔法や魔術を教えるのはカラダが完全に治ってからと言われて、魔力を高める訓練はずっと続けている。
僕にはギフトはないから本来ならば魔術を習うのが普通なのだそうだ。ヴィンセントのように魔力は高いがギフトを持っていない者はたいてい魔術を使う。
けれど、王子は魔法も使えそうな気がする、とレンが言っているので、ぜひ魔法を教わってみたい。
そうレンに伝えると、自分のことのようにレンは嬉しく笑って頭を撫でてくれた。
レンは隣国アスア王国の英雄だ。今は亡くなっているとされているから元英雄になるのかな?けれど、ククーもまだレンのことをたまに英雄と呼ぶ。クソ英雄やらエセ英雄やら、前に何かつくことも多いけど。
レンは自分だってボロボロだったのに、僕を魔物から救ってくれた僕の英雄でもある。
角ウサギの中で一番穏やかなのは耳が垂れているタレタである。おっとりしていて、博識である。
僕の部屋の壁にはほどほどに大きい黒板がある。レンがシアリーの街に行くことをヴィンセントに隠さなくなって、街で買ってきてくれた。角ウサギたちは口で人の言葉を話さないため、僕に言葉を伝えるときはすべて筆談である。僕の言葉はすべて理解しているようだが、今までは紙に器用に文字を書いていた。日常会話まで紙に書いているとゴミがかさばる。レンは角ウサギ用に書いてすぐ消せる黒板を用意した。外に出たときは地面に書くか、小さなメモ帳である。
僕は、レンが黒板を取り付けたとき、身長は?と思った。黒板の位置は僕が手を伸ばして半分書ける程度のところで、どうやっても角ウサギの手が届くところではない。僕も立って頭に角ウサギをのせて授業をするのかな?と思った。
が、角ウサギたちのそれぞれ黒板の書き方はそれぞれ個性があるが、チョークが浮かんで文字を書く、チョークの粉が黒板について文字を形成する等の芸当をする。
タレタは黒板もチョークも必要なく、光で空中に文字を浮かべる。タレタの場合は、最初は文字をペンで書いていたが、この頃はペンもチョークも枝も持たない。
≪だってー、黒板まで文字を飛ばすの面倒だからー≫
「他の皆はタレタのようにできないの?」
できるならそもそも黒板はいらない気がする。
≪面倒だから、皆はやろうとしないだけー≫
おかしい。どちらも面倒で片付けられている。
もしや、タレタはペンやチョークや枝を持つのが面倒なだけなのか?
どちらが面倒なのか、その角ウサギそれぞれの考え方次第ということなのか?
机の前の壁に黒板が飾られているが、タレタだけはその黒板を利用せずに、机の上のずっと同じ位置にどしっと座ったまま授業をする。うん、動くのも面倒なんだろうな。
角ウサギ五匹は僕の先生である。ツノだけは授業中メガネをかける。形から入りたいのか、近眼なのか、それとも老眼なのかな?
「タレタは何で世界情勢について詳しいの?」
彼らはそれぞれ得意分野がある。なので、家のお庭当番のときに僕に勉強を教えてくれる。
≪主の影響だよー。主はもっと詳しいけど、アレはギフトのせいだからマネしちゃだめだよー≫
「レンのギフトはもう失われているのに?」
レンがアスア王国の英雄ではなくなった理由は、ギフトを失ったから、なので、レンは今、ギフトを持っていない。もし、新英雄がレンのギフトを持っていなければ、アスア王国はレンの生死をもっと必死になって確認しに来ていただろう。つまり、アスア王国にとっては、レンのギフトだけが大切で、レンの生死は重要ではない。ひどい国だ。
≪ギフトがなくなっても、得られた膨大な記憶は残っているからー。といっても、主はできるだけギフトは使わない方向で努力してきた人間だから、ギフトがなくなっても何とかなるから問題ないよー≫
「だって、便利なギフトだったんでしょ?使わなきゃもったいなくなかった?」
僕の質問でタレタの細い目がより細くなった気がする。目を開けるのも面倒なのかな?
≪英雄時代はギフトを使わなければ仕事が回らないから使っていただけで、幼い頃に悪魔って言われてから、他人にわかるようには一切使ってなかったみたい。英雄と呼ばれてからは、アスア王国でも英雄のギフトとしてもてはやされたから良かったんだけどねー≫
僕の知らない、レンの歴史だ。
レンは十歳まで孤児だったと聞いた。
「悪魔って」
≪主の蒼天の館って超強いギフトだけど、そのギフトの名称だけじゃ意味わからないでしょ?そういう強くて難解なギフトって、宗教国家の場合は神が素晴らしいギフトを授けてくれたとして、孤児でも国が保護するんだけど、アスア王国は強いギフトやギフトを操り切れずに暴走させてしまった場合、悪魔憑きやら悪魔やら魔王やら鬼やら何やら恐ろしいものとして葬り去ろうとするの。あの国は教会に神託された英雄のギフトだけが別格なの。あとはわかりやすいギフトだけ優遇する。ある意味、宗教国家より困った国なのよねー≫
「そんな、、、」
たぶんレンは幼い頃も他者を守るためにギフトを使ったのだろう。けれど、その結果が悪魔と罵られたら。
そのギフトを他人のために使おうと思うだろうか。使っても隠すだろう。
≪主も孤児で努力と根性で生き抜いてきた人だから、ギフトが奪われてもちょっと不便だなーってぐらいしか思ってないの。あのギフトがフル活動していたら、今頃、主はダンジョンコアを吸収していても廃人同然、それぐらい人をダメにする万能のギフトだったからね。失ったものが身長やら筋肉やら黒い髪とかだけで済んで良かったぐらいよー≫
「う、うん」
タレタは僕にそんな話までして良いのだろうか。
僕が知らないのも面倒だから話してしまうのだろうけど。意外とタレタはレンの個人情報をベラベラと話す。ツノなんて、それは主に聞いてー、って言って絶対に話さないのに。
≪王子ー、私たちと主はつながっているから、本当にイヤなら主がとめに入るから大丈夫ー≫
タレタの細い目がようやく笑顔に見えた。けど、とめに入られる前に話すのはやめようよ。というか、レンは角ウサギが僕に話す内容をチェックしてないんじゃないかな?そんな気がする。
「あ、そうだ」
何かを思いついたようなレンの言葉に、ヴィンセントはビクッと肩を揺らす。
レンはワクワク顔に変わっている。最近、レンは感情を表に出す。出会った当初はもっと穏やかで静かで大人っぽい感じがしていたが、この頃は昔、近所に住んでいた悪ガキがイタズラを思いついたような表情をすることもある。実際に悪ガキのようなイタズラをするわけではなく、ヴィンセントにとってはさらにタチの悪いモノで、恩恵を受ける人にとっては素晴らしい行動だ。
家の食堂で三人と一匹で朝食を食べている。この頃は僕も早起きして作るのを手伝っている。
今日のお庭当番の角ウサギのオレオが、僕特製のサラダをおいしそうにムシャムシャと頬張っている。ちなみにオレオは、耳が折れているのでオレオと僕が名付けた。どの角ウサギも毛並みが柔らかく可愛い。
「王子ー、食べ終わったらダンジョン行かない?」
レンが僕を誘う。
この頃はヴィンセントの前で僕を誘う。
ヴィンセントの表情にはダンジョンに行くのをとめたい気持ちが半分存在している。
そして、あとの半分は心配だ。
「レン、今度は何をやらかそうとしているの?」
「ダンジョンに行って、とりあえず挑戦してみる。できそうになかったら悲しいから、概要はあとで報告する」
「、、、レン、周囲には迷惑をかけないようにね」
ヴィンセントが諦めに近い表情を浮かべている。
レンはとめられようが何をされようが、結局は隠してでも遂行する。
ヴィンセントもレンの特性がわかってきたようで、文句も苦情も注意も忠告もレンに言うが、最終的にとめない。とめると自分にだけ内緒にされることがレンの行動からわかってきたからだ。
レンはとめなければ、何かをすることをヴィンセントに伝えていく。十分な情報とは決して言えないが。
ヴィンセントに小言を言われることを、レンは愛情だと知っている。嬉しそうな顔をして聞いている。レンの表情を見ていて、言ってくれる人間のありがたみを僕はようやく知った。
僕は母親の小言も愛情ゆえにとはわかっていたけど、あまり聞きたくなかった。この地に来て母親の小言がなくなった今、自由を謳歌しているというより寂しく思っている自分がいることに気づいた。
ヴィンセントとレンで、口調が強いのはヴィンセントだ。
レンは基本的には穏やかな話し方で人当たりも良い。
けれど、口で勝つのはいつもレンである。
決定的な勝ち負けはついていないのに、レンの要望が最終的に通っていることが多い。
観察していると、ヴィンセントがレンに勝てる要素が何もないことを知る。
どちらも相手に惚れていて、どちらも相手が大切で、どちらも相手を尊重しているように見える。
にもかかわらず、十歳の年齢の差だろうか、レンは相手を立てながらも要望をしっかり通す。
交渉の仕方は時と場合によりけりで、理路整然と説明するときもあるが、甘えた口調で押し通すこともある。
ほんの少し前までは、僕とレンの秘密だったダンジョンへの散歩も秘密ではなくなった。
レンは一度すべてを失ったのに、今は自分のダンジョンで薬草栽培やら鉱石作りやら僕の身代わり作りやらいろいろなことをしている。
僕には何ができるだろうか。
病気で長くは生きられないと思っていた。治療でここに来ているとはいえ、神頼みだった。
だから、与えられるものだけで満足していた。
多くは望まないと。衣食住が足りて、治療を受けさせてくれるだけありがたいと。
満足していたフリだった。
レンが文字や計算を教えてくれて、基礎知識を知り、角ウサギたちから世界を広げてもらっている。
魔法や魔術を教えるのはカラダが完全に治ってからと言われて、魔力を高める訓練はずっと続けている。
僕にはギフトはないから本来ならば魔術を習うのが普通なのだそうだ。ヴィンセントのように魔力は高いがギフトを持っていない者はたいてい魔術を使う。
けれど、王子は魔法も使えそうな気がする、とレンが言っているので、ぜひ魔法を教わってみたい。
そうレンに伝えると、自分のことのようにレンは嬉しく笑って頭を撫でてくれた。
レンは隣国アスア王国の英雄だ。今は亡くなっているとされているから元英雄になるのかな?けれど、ククーもまだレンのことをたまに英雄と呼ぶ。クソ英雄やらエセ英雄やら、前に何かつくことも多いけど。
レンは自分だってボロボロだったのに、僕を魔物から救ってくれた僕の英雄でもある。
角ウサギの中で一番穏やかなのは耳が垂れているタレタである。おっとりしていて、博識である。
僕の部屋の壁にはほどほどに大きい黒板がある。レンがシアリーの街に行くことをヴィンセントに隠さなくなって、街で買ってきてくれた。角ウサギたちは口で人の言葉を話さないため、僕に言葉を伝えるときはすべて筆談である。僕の言葉はすべて理解しているようだが、今までは紙に器用に文字を書いていた。日常会話まで紙に書いているとゴミがかさばる。レンは角ウサギ用に書いてすぐ消せる黒板を用意した。外に出たときは地面に書くか、小さなメモ帳である。
僕は、レンが黒板を取り付けたとき、身長は?と思った。黒板の位置は僕が手を伸ばして半分書ける程度のところで、どうやっても角ウサギの手が届くところではない。僕も立って頭に角ウサギをのせて授業をするのかな?と思った。
が、角ウサギたちのそれぞれ黒板の書き方はそれぞれ個性があるが、チョークが浮かんで文字を書く、チョークの粉が黒板について文字を形成する等の芸当をする。
タレタは黒板もチョークも必要なく、光で空中に文字を浮かべる。タレタの場合は、最初は文字をペンで書いていたが、この頃はペンもチョークも枝も持たない。
≪だってー、黒板まで文字を飛ばすの面倒だからー≫
「他の皆はタレタのようにできないの?」
できるならそもそも黒板はいらない気がする。
≪面倒だから、皆はやろうとしないだけー≫
おかしい。どちらも面倒で片付けられている。
もしや、タレタはペンやチョークや枝を持つのが面倒なだけなのか?
どちらが面倒なのか、その角ウサギそれぞれの考え方次第ということなのか?
机の前の壁に黒板が飾られているが、タレタだけはその黒板を利用せずに、机の上のずっと同じ位置にどしっと座ったまま授業をする。うん、動くのも面倒なんだろうな。
角ウサギ五匹は僕の先生である。ツノだけは授業中メガネをかける。形から入りたいのか、近眼なのか、それとも老眼なのかな?
「タレタは何で世界情勢について詳しいの?」
彼らはそれぞれ得意分野がある。なので、家のお庭当番のときに僕に勉強を教えてくれる。
≪主の影響だよー。主はもっと詳しいけど、アレはギフトのせいだからマネしちゃだめだよー≫
「レンのギフトはもう失われているのに?」
レンがアスア王国の英雄ではなくなった理由は、ギフトを失ったから、なので、レンは今、ギフトを持っていない。もし、新英雄がレンのギフトを持っていなければ、アスア王国はレンの生死をもっと必死になって確認しに来ていただろう。つまり、アスア王国にとっては、レンのギフトだけが大切で、レンの生死は重要ではない。ひどい国だ。
≪ギフトがなくなっても、得られた膨大な記憶は残っているからー。といっても、主はできるだけギフトは使わない方向で努力してきた人間だから、ギフトがなくなっても何とかなるから問題ないよー≫
「だって、便利なギフトだったんでしょ?使わなきゃもったいなくなかった?」
僕の質問でタレタの細い目がより細くなった気がする。目を開けるのも面倒なのかな?
≪英雄時代はギフトを使わなければ仕事が回らないから使っていただけで、幼い頃に悪魔って言われてから、他人にわかるようには一切使ってなかったみたい。英雄と呼ばれてからは、アスア王国でも英雄のギフトとしてもてはやされたから良かったんだけどねー≫
僕の知らない、レンの歴史だ。
レンは十歳まで孤児だったと聞いた。
「悪魔って」
≪主の蒼天の館って超強いギフトだけど、そのギフトの名称だけじゃ意味わからないでしょ?そういう強くて難解なギフトって、宗教国家の場合は神が素晴らしいギフトを授けてくれたとして、孤児でも国が保護するんだけど、アスア王国は強いギフトやギフトを操り切れずに暴走させてしまった場合、悪魔憑きやら悪魔やら魔王やら鬼やら何やら恐ろしいものとして葬り去ろうとするの。あの国は教会に神託された英雄のギフトだけが別格なの。あとはわかりやすいギフトだけ優遇する。ある意味、宗教国家より困った国なのよねー≫
「そんな、、、」
たぶんレンは幼い頃も他者を守るためにギフトを使ったのだろう。けれど、その結果が悪魔と罵られたら。
そのギフトを他人のために使おうと思うだろうか。使っても隠すだろう。
≪主も孤児で努力と根性で生き抜いてきた人だから、ギフトが奪われてもちょっと不便だなーってぐらいしか思ってないの。あのギフトがフル活動していたら、今頃、主はダンジョンコアを吸収していても廃人同然、それぐらい人をダメにする万能のギフトだったからね。失ったものが身長やら筋肉やら黒い髪とかだけで済んで良かったぐらいよー≫
「う、うん」
タレタは僕にそんな話までして良いのだろうか。
僕が知らないのも面倒だから話してしまうのだろうけど。意外とタレタはレンの個人情報をベラベラと話す。ツノなんて、それは主に聞いてー、って言って絶対に話さないのに。
≪王子ー、私たちと主はつながっているから、本当にイヤなら主がとめに入るから大丈夫ー≫
タレタの細い目がようやく笑顔に見えた。けど、とめに入られる前に話すのはやめようよ。というか、レンは角ウサギが僕に話す内容をチェックしてないんじゃないかな?そんな気がする。
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