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4 提案
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しおりを挟む「コーヒー、飲むか?」
「いただきます」
彼女は手際よく真心の着替えを手伝い、パジャマを片付けた。
「そういや、朝飯はどうするつもりだった?」
カップを渡しながら、聞いた。
「ラウンジで軽く食べるか、近くのファミレスにでも入るつもりでした」
「じゃ、とりあえずチェックアウトするか」
コーヒーを一杯飲み、身支度を整え、俺たちはホテルを出た。
「真心ちゃん、お腹空いてる?」と、車に乗ると彼女が聞いた。
「……少し」
「課長。課長のお宅までどのくらいですか?」
「ん? この時間だから三十分もかからないと思うけど」
「じゃあ、課長のお宅に向かってください。チャイルドシートがないので、あまりウロウロしない方がいいと思います」
言われて気がついた。
振り返って真心を見ると、尻に彼女のバッグを置いて、シートベルトをしていた。
「悪い。気づかなかった」
「緊急事態でしたから。真心ちゃん、途中で具合が悪くなったり、お腹が空いて我慢が出来なくなったら言ってね」
真心が大きく頷いた。
「真心ちゃんは何が食べたい?」
「おにぎり!」
「何味がいい?」
「シャケ」
「コンビニのでも食べられる?」
「食べれるけど、あんまり好きじゃない」
「どうして?」
「シャケがボロボロしちゃうから」
「じゃあ、どんなのなら食べられる?」
「まぜまぜの!」
まぜまぜ?
俺には全く想像が出来なかったが、彼女はわかったらしい。
「課長のお宅の近くに、この時間から開いてるスーパーはありますか?」
「あるけど」
「寄ってください」
二十分で到着した。
車中での堀藤と真心の会話は親子のようで、自分が結婚して子供が出来たらこんな風なのかなと思った。
「マンションすぐそこだから、車置いてくる」
「わかりました」
俺はマンションに車を入れ、真心の荷物を部屋に置いて、ざっと部屋を見回してからスーパーに向かった。
この流れだと彼女が部屋に入る。
とりあえず、見られてマズいものはない。
今日一日を真心と二人で過ごすのは時間を持て余すから、彼女の時間の許す限り一緒にいてもらいたいと思っていた。だから、俺のマンションに来てもらえるのは助かる。
だが、これ以上彼女に自分の領域への侵入を許して、何事もなかったように解放してやれる自信がない。
俺がスーパーに入ると、二人はお菓子売り場にしゃがみこんでいた。
「何してんだ?」
かごにはご飯とふりかけ、総菜のパックが入っていた。
彼女は立ち上がり、真心に聞こえないように、俺に近づいて言った。
「買うお菓子を選んでるんです」
「全部買えば?」
「ダメですよ。本当に欲しいものがわからなくなっちゃいますから」
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