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6.彼女の過去
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意味がわからない。
確かに、気持ちいいかを言葉にしたことはない。
聞かれたこともないし。
聞かれても、恥ずかしくて言えない。
「ま、いいか」
勝手に納得して、理人は激しく抽送を開始する。
隙間なくぴったりと密着した状態で抜き差しされれば、強く擦れて気持ちいい。
「あ……っん! はっ――!」
「りと……」
耳元で、掠れた声で名前を呼ばれると、熱い身体が更に熱くなる。
愛を囁かないセックスなのに、どうしてこんなに満たされるのか。
「理人っ!」
恥ずかしさなんて、吹っ飛ぶ。
悲鳴のような声を上げ、自らの腰まで揺らし、いつまでもこうしていたいと思ってしまう。
「あ~~~っ! ヤバいっ」
急に低い声で言われて、何事かと目を見開くと、理人もまた腰を止めて私を見下ろしていた。
「ど……し――」
『どうしたの』と聞こうとしたが、声が掠れて痞えてしまった。
「――大丈夫か?」
大丈夫じゃないのは彼の方。
汗だくで、苦しそうに眉をひそめている。
私が頷くと、ゆっくりと声を発した。
「だいじょ……ぶ?」
手を伸ばし、彼の頬に触れる。
理人がふっと笑う。
「カッコ悪りぃな」
「え……?」
「必死になり過ぎで」
「そんな……こ――」
「――なんで、こんな――」
理人が私を見て、でも私に向けたのではない言葉を呟いた。
「――な……に?」
「……」
彼は私をじっと見た。
ただじっと見られていると、さすがに恥ずかしくなって、顔を背ける。
「う……ぅ」
彼が呻き、それからハッと息を吐くと、上体を起こして私の足を脇に抱えた。
「そんなに締め付けて、催促してんの?」
「え!? そんなこと――」
理人が前髪をかき上げ、ふぅと息を吐きながら私を見下ろす。
その、少し目を細めた表情が色っぽくて、改めてどうしてこんなに格好のいい男に抱かれているのかと、不思議になり、興奮もする。
「――無意識?」
「え?」
両手で腰を掴まれる。
「りとの膣内、めちゃくちゃうねって、吸い付いてくんの」
「そんなのっ、知らな――」
「――だろうな。でも、それだけ身体は俺を欲しがってるって、事だよな」
「……知らな――」
恥ずかしすぎる。
身体の中の彼に全ての意識が集中する。
小さく跳ねているように感じて、くすぐったい。
理人は私をじっと見たまま、動かない。
まるで、私の心を見透かすよう。
動いてほしい。
早く、激しく、突き上げてほしい。
私の、淫らな望みを見透かされているようで、恥ずかしい。
「なん――」
「――あんたの膣内は、気持ちいいな……」
目を閉じ、肩を上下させてゆっくりと呼吸する。
毛先から汗が滴り、私の胸に落ちた。
男性の裸や仕草を綺麗だと思ったことなんてなかったけれど、今は思う。
只野姫が好きになるのもわかる……。
確かに、気持ちいいかを言葉にしたことはない。
聞かれたこともないし。
聞かれても、恥ずかしくて言えない。
「ま、いいか」
勝手に納得して、理人は激しく抽送を開始する。
隙間なくぴったりと密着した状態で抜き差しされれば、強く擦れて気持ちいい。
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「りと……」
耳元で、掠れた声で名前を呼ばれると、熱い身体が更に熱くなる。
愛を囁かないセックスなのに、どうしてこんなに満たされるのか。
「理人っ!」
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悲鳴のような声を上げ、自らの腰まで揺らし、いつまでもこうしていたいと思ってしまう。
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「ど……し――」
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「――大丈夫か?」
大丈夫じゃないのは彼の方。
汗だくで、苦しそうに眉をひそめている。
私が頷くと、ゆっくりと声を発した。
「だいじょ……ぶ?」
手を伸ばし、彼の頬に触れる。
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「カッコ悪りぃな」
「え……?」
「必死になり過ぎで」
「そんな……こ――」
「――なんで、こんな――」
理人が私を見て、でも私に向けたのではない言葉を呟いた。
「――な……に?」
「……」
彼は私をじっと見た。
ただじっと見られていると、さすがに恥ずかしくなって、顔を背ける。
「う……ぅ」
彼が呻き、それからハッと息を吐くと、上体を起こして私の足を脇に抱えた。
「そんなに締め付けて、催促してんの?」
「え!? そんなこと――」
理人が前髪をかき上げ、ふぅと息を吐きながら私を見下ろす。
その、少し目を細めた表情が色っぽくて、改めてどうしてこんなに格好のいい男に抱かれているのかと、不思議になり、興奮もする。
「――無意識?」
「え?」
両手で腰を掴まれる。
「りとの膣内、めちゃくちゃうねって、吸い付いてくんの」
「そんなのっ、知らな――」
「――だろうな。でも、それだけ身体は俺を欲しがってるって、事だよな」
「……知らな――」
恥ずかしすぎる。
身体の中の彼に全ての意識が集中する。
小さく跳ねているように感じて、くすぐったい。
理人は私をじっと見たまま、動かない。
まるで、私の心を見透かすよう。
動いてほしい。
早く、激しく、突き上げてほしい。
私の、淫らな望みを見透かされているようで、恥ずかしい。
「なん――」
「――あんたの膣内は、気持ちいいな……」
目を閉じ、肩を上下させてゆっくりと呼吸する。
毛先から汗が滴り、私の胸に落ちた。
男性の裸や仕草を綺麗だと思ったことなんてなかったけれど、今は思う。
只野姫が好きになるのもわかる……。
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