【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

【番外編】最後の夜、最初の夜

最後の夜 －11

「言って。麻衣の望むことをしてあげる。とことん感じさせてあげる。他の男じゃ物足りないって、俺じゃなきゃダメだって思い知らせてあげる」



　そんな必要ないのに。



　セックスに嫌悪感があって、なのに、好きだと求められると弱くて、何となく付き合って、何となく身体を開いてきた私に、セックスの悦びを、本当に好きな人と身体を重ねることの喜びを教えてくれたのは駿介だ。

　相手の気持ちに疑い深くなって、真っ最中に濡れなくなるような私の身体を、これでもかというほど甘く濡らしてくれたのも駿介。

「なら、駿介の好きにして」

　私は言いつけを破って、彼に手を伸ばした。

「だって、私が何を悦ぶか、私より知ってるじゃない」

　彼の頬を両手で挟み、引き寄せる。唇が触れるより先に、突き出した舌で彼の唇を舐めた。駿介もまた舌を差し出す。

　駿介が私の上に圧し掛かり、自分の身体を支えようと、駿介は両手をベッドについた。

「いっぱい……触って」

　彼のニットの裾から手を忍ばせる、今度は止められなかった。ジーンズからインナーを引き出して、素肌に触れた。

　駿介も私のシャツの合わせ目を大きく広げると、ブラのカップを引き下げた。下から持ち上げるように揉みしだき、時々指の腹で硬くなった先端をくすぐる。

　私が主導権を握っていたはずなのに、いつの間にか彼の舌の動きに翻弄されていた。

　足の間、濡れて不快なショーツの上から、ジーンズ越しにもわかる、硬く、大きくなった楔を押し付けられ、腰が揺れる。

　私は必死にキスに応えながら、彼のお腹を撫でていた手を降下させ、ジーンズのベルトを外した。内側から押し上げられているせいで、ボタンが外しにくい。窮屈そうで、早く楽にしてあげたいのに、力の入れ方次第では痛いのではと上手く外せない。

　もたもたしていたら、駿介が自分でボタンを外した。ファスナーも下ろす。

　勢いよく飛び出してきた楔に触れると、彼の腰が僅かに引けた。

「ダメだよ」

　そう言うと、駿介は身を屈めて私の身体にキスを降らせた。

　首筋、鎖骨、胸の膨らみ、先端。


　そうしている間に、ショーツが引き下ろされて、私は腕を通しているだけのシフォンシャツと腰に巻き付いたままのスカートを身に着けた姿になっていた。

「悪いことをしてるみたい」

　駿介が呟き、ニッコリ微笑んだ。

「憶えてる？　俺、最初の頃は『麻衣先輩』って呼んでたんだよね」

「え？」

　急に懐かしい話をされた理由がわからず、私は立てていた膝を伸ばそうとした。

　恥ずかしい所が丸見えの上に、溢れる蜜が空気に触れてヒヤッとする。

　けれど、駿介が膝裏に手を当て、それを阻んだ。

「あの頃、麻衣先輩の名前を呼びながら自分を慰めてたんだよなぁ」

「なに、言って――」

「――先輩は全っ然、俺の気持ちに気づいてくれなくてさ」

　足の間に、駿介の熱を押し付けられる。

「ねぇ、先輩」

　彼の手によって膝を閉じられ、両足をまとめて肩に担がれた。足の間には彼のモノが挟まったまま。

「何するの！？」

「何だと思う？」

　駿介はゆらゆらと腰を揺らし始め、私の太腿の間を抜き差しする。

　ぷっくりと張りつめた柔肉を擦られ、溢れる蜜が彼を濡らす。ぬるぬると擦られて、また蜜が溢れる。

「なん……でぇ……？」

「気持ちいい？　先輩」

『先輩』と呼ばれると、なんだか悪いことをしているようで、恥ずかしい。