【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

深冬 芽以

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14.揺れる心

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「今も、好きなの?」

「……え……っ!?」

「陸……さんのこと、今も好きなの?」

「そんなんじゃ――」

「――少なくとも、仮とはいえ恋人である俺に隠れて会いたいくらいには好きなんだよね?」

「陸は……友達だから――」

「――麻衣は友達とセックスするの?」

 容赦ない言葉。

 そもそも、駿介はどうして陸と寝たことがあると断言するのだろう。駿介に隠れて会っていたことも、疑っているのではなく確信している。

「俺とも……しようよ」

「えっ!?」

 不意に腕を掴まれ、引き寄せられた。駿介の上に覆い被さるように倒れ込み、抱き留められたかと思ったら、そのまま床に押し倒された。

「セックス、しよう」

「――っ!」

 私を見下ろす彼の表情が、真剣を通り越して無表情で、身体が凍りつく。

 一瞬、戸惑った隙に駿介の顔が近づき、唇が触れた。

 この半年、キスは何度もした。

 互いの身体に触れ、味わった。

 けれど、駿介は決して挿れなかったし、私もそれを望まなかった。

 その時になって、私の身体が濡れていなかったら、駿介を傷つけてしまう。だから、せめてもと思い、手や口で彼に気持ち良くなってもらっていた。

 私は、そうやって、駿介と戯れるのが好きだった。

 なのに、今は、怖い。

 いつも、優しく、甘く私の名前を呼び、反応を楽しむように触れていたのに、今の彼は無言で、乱暴で、私を見もしない。

 ただ、夢中で私の身体を濡らそうとしている。



 どうして……。



 駿介が怒っているのは、わかる。

 陸に嫉妬してくれるのは、私を好きだからだとも。

 わかっているから、拒めない。

 駿介の言った通り、黙って陸と会ったのは事実だから。

 けれど、カチャカチャッとベルトを外す音に我に返った。



 私、今、濡れてない――!



 散々愛撫されたにも拘らず、私の身体は熱くなるどころか冷え切っていて、駿介を受け入れられる状態にないことは、明らかだった。

 駿介だって、わかっている。

 なのに、挿れようとしている。

「待って! 駿介、お願いだから――」

「――好きだよ、麻衣」

 彼の身体で大きく開かれた足の付け根に、大きく硬くなった彼のモノを押し付けられる。

 私の耳元に両手をつき、真っ直ぐ私を見下ろす。

「お願いだから、俺を受け入れて」

 さっきまでの無表情とは違う。

 今にも泣きそうな、いや、多分、既に目には涙の膜が張っている。

「しゅ……んす――」

 ゆっくりと下りてくる彼の唇。

 私は目を閉じ、自ら唇を開いた。

 受け入れたい、と思った。

 優しく、温かく、彼を包み込みたいと思った。

 そう出来たら、私は陸への迷いを断ち切り、本当の意味で駿介のものになれるから。



 お願い……!



 私は縋る想いで彼の首に腕を絡ませた。
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