【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

13．ずっと好きだった男性《ひと》

４

　結婚相手の条件までよく考えていなかった私は、男性の参加条件が三十五歳から四十九歳であることを深く考えなかった。結果、参加していた男性のほとんどは四十代で、バツイチだったり子持ちだったりした。

　最初に声をかけてくれた男性は四十一歳で、年収八百万で、ローンが二十八年残っている一軒家を持っていて、別れた奥さんが連れて行った息子の養育費を月に六万円支払っているという。因みに、養育費はあと十年払い続けなければならない。学校進学の時には、養育費の他にお祝いと称して数十万を援助することになっているらしい。

　そんなことを聞かされて尻込みしてしまった私は、考えが甘いのか。

　その男性自身は、清潔感があって真面目そうで、印象が良かった。だから、離婚の理由が気になった。

　すごく、気になった。

　で、聞いた。

　男性は言いにくそうに苦笑いをして、すごく言いにくそうに考えて、すごく言いにくそうに言った。

『せいの不一致……ですかね』



　せい？



『性格……の不一致ですか？』

『いえ。夜の方の性、です』

　それ以上は聞くのが怖くて、笑って誤魔化した。

　その次に話した人は、四十五歳の会社社長でバツ二。子供三人の養育費を払っても生活に困らないほどの収入があると自慢気に話された。うんうんと聞いていたら、どうやら彼が三度目の結婚をしたい理由は、親の介護問題らしかった。

　私は己の覚悟の足りなさを痛感し、駅前のスーパーで缶チューハイを五本と、焼き鳥屋さんで八種類の串を三本ずつお持ち帰りして、自棄食い、自棄飲みをした。

　そんな経緯があって、私はＯＬＣの飲み会で婚活の手段として、パーティーではなく、結婚相談所を口にしたというわけだ。

　その直後に高井さんに誘われ、鶴本くんに告白された。



　なにやってんだろ、私……。



　駿介と付き合い始めてもうすぐ半年になる。

　正直、自分でも驚くほど彼との付き合いは順調で、心地良い。

　始まりが始まりだったから、いくら待つと言ってくれても、なんとなくセックスしてしまうんだろうと思っていた。彼は若いし、私だって濡れにくいと言うだけで性欲がないわけじゃない。結婚はさておき、付き合って、セックスして、駿介が飽きたら終わる。そんな気がしなかったわけじゃない。

　ところが、駿介はかなり辛抱強く待ってくれている。

　キスもするし、触れ合いもする。挿入していないという以外は、ほぼヤッちゃってる。

　私の身体は駿介の温かさや感触に慣れ、抱き合って眠ることに安心感すらもてる。

　元カノとの再会や飲み会に、年上の余裕を見せてみたけれど、内心ではモヤモヤしていたし、やっぱり同年代の方がいいと言われないかと心配もした。



　こういうのって、もう好きなんだろうな……。



　そう、思っていた。