【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

深冬 芽以

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12. 湧き上がる不安

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 俺はベッドに突っ伏して、ため息をついた。



 明後日は会えんのか……?



 明後日の土曜日には、一緒にクリスマスプレゼントを買いに行く予定。まだ、サプライズが出来るほどお互いのことをよく知らないから、一緒に買いに行こうと約束していた。



 指輪……は却下されるよな。



 指輪を、贈りたかった。

 来年のクリスマスも一緒に過ごせるように、願いを込めて贈りたかった。

 が、不確定なこの関係のままでは、きっと受け取ってもらえない。

「あーあ……」

 目を閉じると、否応なく麻衣さんを思い浮かべてしまう。

 不確定な関係ではあるが、この四か月は望めば触れられた。抱き締めて、キスをして、挿れる寸前までは許された。彼女の感触を思い出すと、それだけで俺の下半身は反応してしまう。

 自分でも思う。

 どうしてこんなに彼女が好きなんだろう。

 馬場に『人格変わっちまうほど惚れてんだな?』なんて言われたけれど、俺は違うと思っている。実際、そう言った。『こっちが素なんだよ』と。

 とにかく、一緒に居ると心地良い。

 仕事中の真剣な表情も、男にジロジロ見られて怯えている表情も、それを隠そうとムキになっている表情も、俺に迫られて困っている表情も、俺を受け入れてくれる時の恥ずかしそうな表情も、感じて蕩けた表情も、とにかく全てが可愛くて堪らない。



 あの時も、困ったような、恥ずかしそうな、可愛い顔してたな……。



 陸さんに耳打ちされた時。



 何言われてたんだよ――!



 思い出すとイライラする。

 俺はギュッと目を瞑ってから、歯を食いしばり、目を開けた。

 一人で悶々としていても仕方がない。

 俺はカップ麺の汁をシンクに流し、テーブルを拭いた。脱ぎ散らかしたシャツやワイシャツを洗濯機に突っ込み、スイッチを入れる。それから、社労士試験の参考書を開いた。

 試験は十カ月先。



 絶対、受かってやる!



 少しでも麻衣さんに認めてもらいたい。

 麻衣さんに相応しい男になりたい。

 十か月後も彼女の隣にいたいという一心から、俺は参考書を睨みつけた。
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