【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

深冬 芽以

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11.波乱の忘年会

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「なに、上から目線で言ってんの! 私は寂しくなんか――」

「――俺は寂しいよ」と言って、陸がビールを飲み干し、手を伸ばして千尋の前にあるボタンを押す。

「だから、一緒に居よう」

 心臓が、頭のてっぺんくらいまで、跳ねた気がした。

 驚き、喜び、不安が入り混じる。



 そんな、深い意味じゃない――はず。

 

 暴露大会か、告白ゲームか、とにかく、盛り上がったような気まずくなったような、複雑な雰囲気。

 とにかく、お酒の量だけは、三次会まで行ったくらい飲んだ。

 三時間後。

 お開きと言う時に大和が言った。

「あ、ウ○ン忘れた」

 全員、明日の二日酔いは確定だ。

 本当に、こんなに飲んだのはいつ振りかと思うくらい、飲んだ。それでも酔わずにいられたのは、興奮が勝ったから。

 さなえの妊娠、陸の離婚と渡英、龍也の告白。

 みんなも、かなり飲んでいた。で、店を出ようとした時、千尋がフラつき、陸が支えた。

「俺、千尋ん家知らねーぞ?」

「私、送ってくよ」

 千尋の家には、何度か行ったことがある。結構前のことだけれど。

「いや、麻衣じゃタクシーから降ろせないだろ。俺も――」

 ヴーヴー、とスマホのバイブ音が聞こえた。

「あ、スマホ、千尋のじゃない?」

「だな。彼氏か? 言ったら迎えにくんじゃね?」

 陸が、抱きかかえている千尋のバッグを探る。

「彼氏なんて……――」

 千尋が何か呟いたけれど、聞き取れなかった。

 陸が画面で着信の相手を確認し、誰にということなく差し出した。 

「さすがに男が出るのはマズくないか?」

「あ、じゃあ、私が出るね」と、私はスマホを受け取り、〈応答〉をタップした。相手は、『比呂』と表示されていた。

『千尋?』

 ハスキーな男の人の声。

「おい、千尋! ここで寝んなよ。ったく、珍しーな、意識跳ぶほど飲むなんて」

 陸が店の入り口の椅子に千尋を座らせる。

「えっと、初めまして。私、千尋の友達なんですけど、千尋、飲み過ぎちゃって電話に出られないんです」

『まだ、店にいますか?』

「はい」

『迎えに行きます』

「お願いします。場所は――」

 私は店の場所を伝えた。

 近くにいたようで、十分ほどで着くと言われた。

「比呂……」

 バッグにスマホを戻した時、千尋が彼の名前を呟いた。

 それから、私は駿介に『これから帰ります』とメッセージを送った。

 返信まで、五秒。

『すぐ近くにいるから、迎えに行くね』

 なんだかモヤモヤしていた気持ちが、少し軽くなった。
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