【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

深冬 芽以

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11.波乱の忘年会

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「はっ!? マジ? じゃあ、やっぱ千尋のおススメはお肌艶々効果のある、濃厚セックス? 身体から攻略するってか?」

 大和はもはや、エロおやじと化している。

 私は軽蔑の眼差しを大和に向けるが、もちろん、気づかれていない。

 さなえが一緒なら絶対に言わないのだが、今日は完全にハメを外している。

「だってよ、龍也! とりあえず、訴えられない程度に押し倒せ」

「あーーー……、それはナシで。俺としては、なんなら一生レスでもいーから一緒に居てくれって土下座でもしたい気分れす」

「つまり、ヤッちゃってるってことだ」

「セックスはさせんのに、恋人にはならないって? セフレの関係が楽だって奴も多いみたいだけど、そんな感じ?」



 どうして男って、すぐにセックスそっちの話に――。



「違います! 本気の恋愛に臆病なだけです。悪女わるぶってるけど、本当は俺以上に一途で、優しいんです!」

 龍也の言葉にジンときた。

 自分に向けられた言葉でもないのに、目頭が熱くなる。

「龍也にそこまで想われるなんて、幸せだねぇ」と、私は言った。

「素直になって、龍也を受け入れてくれるといいね。龍也なら、絶対大事にしてくれるんだから」

「麻衣ひゃん……」

 感極まって、龍也まで涙目。

 もう、全力で龍也の恋を応援してあげたい。

 龍也が好きなのはあきらかもしれないと勝手に思っていたから、そうではないのは寂しいけれど、本気で、龍也の想いが相手に伝わればいいと思う。

「龍也、地球滅亡の瞬間、誰と一緒に居たい?」

「あきら!」



 え――――?



 立った今、『龍也の好きな相手があきらじゃないのは寂しい』とか勝手に思っていた私は、ついに妄想で幻聴が聞こえたのかと思った。

 けれど、千尋以外、私と同じく目をパチクリしている。



 聞き間違いじゃ……ない?



「え――、龍也が好きなのって――」

「あきら」

 その声は、力強く、迷いもなくて、酔った弾みには聞こえない。



 うそぉ!



「俺、あきらが好きなんです」

「マジで!? お前ら、いつの間にデキてたんだよ! つーか、龍也。まさか大学ん時から好きだったとか言わないよな」と、大和が興奮して言った。

「大学ん時も! 好きだったんです。けど、あきらには恋人がいたから諦めたんですよ。ま、今はもう、諦めるのも諦めましたけど」

「どういう意味だよ?」

「諦めるなんて無理だってわかったんで。もう、死ぬまであきら口説いてようと思って」

 隣のあきらは、龍也の告白に微妙な反応。

 驚いている、とか、恥ずかしがっている、とは違う。



 あれ?

 でも、今、『ヤッちゃってる』って……。



 突然の告白と展開に唖然としている私たちを置き去りにして、龍也はあきらの手を握り、みんなに見えるように持ち上げた。

「あきら、早く諦めて結婚して」



 え、結婚!?



「俺は絶対諦めないから、あきらが諦めろ」

 私から見えたあきらの横顔は、恋する女の顔だった。
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