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11.波乱の忘年会
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しおりを挟む大和とセックスレスだと悩んでいたさなえが、心配だった。二人は私の憧れだから、いつも幸せでいて欲しくて。
「この前、レスだって泣いてたくせに、なんだよその急展開」と、陸が茶化す。
「はぁ? 泣いてねーし!」と、大和がムキになって答える。
男同士でもそんな話をしていたんだな、と思った。
「けど、またレスか。久し振りに張り切ったらデキちゃったって、高校生じゃあるまいし」
陸の言葉に、大和は苦笑い。
「それは、まぁ、痛いとこだけど、うっかりってわけじゃないからいーんだよ」
「まぁまぁ、めでたいことなんすから」と、龍也が言った。
「いつ頃生まれるんだろ。今時期がつわりなら、夏ごろ?」と、私は少しあきらに顔を寄せて言った。
「だね。今度はどっちかな」
「楽しみ! ね、ね、また三人でお祝い買いに行こうね」
大斗くんが生まれた時も、私とあきらと千尋でお祝いを買いに行った。本当は陸と龍也も一緒だったけれど、店に入って二十分くらいしても全く決まる様子がないとわかり、近くのカフェに異動して行った。
「私たちが一肌脱いだ甲斐があったわけだ」と、千尋が大和に言った。
「ね? あきら、麻衣」
「そうそう! 感謝してよね、大和」と、私は大きく頷いた。
「は? なんで――」
「パーカー」
あきらの一言に、大和が口をポカンと開けた。
「ナニしちゃったんだ?」
「してねーよ!」
「は? パーカー、って何の話だよ?」と、陸が興味津々で身を乗り出す。
「なんでもねーよ!」と、大和がぶっきら棒に言った。
この反応は、本当にナニしちゃったのかもしれない。
「違うよね? 久し振りにお洒落したさなえを見て、ソノ気になっちゃったんだもんね?」と、私は助け舟を出す。
「そう! そうだよ! そういう意味では、きっかけ作ってくれて感謝してるよ」
大和が大袈裟に言った。
「先週からつわり酷くて、実家に帰ってるんだよ。その方がゆっくりできると思って。だいぶ落ち着いたから今日も来たがったんだけど、さっき迎えに行ったら、また寝込んでてさ」
「大斗くんの時も、キツそうだったもんね?」
「ああ」
「大斗くんは? さなえと一緒?」
「大斗が一緒じゃさなえが休めないから残したんだけど、二日が限界だった……」
「大斗くん、さなえにべったりだって言ってたもんね?」
「そうなんだよ。早くも赤ちゃん返りなのか、ますますさなえから離れなくなっちまって」
なんだかんだと言いながらも、大和は幸せそうで、嬉しくなった。
いいなぁ。
フッと、私は自分が赤ちゃんを抱いている姿を想像した。
隣にいるのは――。
「今日はその報告もしたくて、来たんだよ」
「マジかぁ。じゃ、タイミング悪かったかな」と、陸。
「何が?」
「いや。俺からも報告があってさ」
全員が陸に注目する。
陸もいよいよ待望の赤ちゃんが!? と、誰もが思ったはずだ。
デキ婚したのに流産で、それから二年が過ぎた。
言葉にはしなくても、みんな気にかけていたはずだ。
「離婚、した」
り……こん……?
「――――っ!?」
あっけらかんとした陸の告白に、耳を疑った。
「で、イギリスに行く」
「……はぁ!?」
「イギリス!?」
「その前に、離婚て!」
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