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9.彼女の嫉妬と元カレとの再会
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腰を抱いていた手で彼女の胸を持ち上げた時、ピロンッと甲高い機械音が鳴った。
反射的に唇が離れる。
カップの隣に置いた、俺のスマホがメッセージの受信を知らせたのだ。
続けざまに三度。
無視して続ける雰囲気でもなくなって、俺は彼女を逃がさないように片手は腰を抱いたままでもう片方の手を伸ばし、スマホを取った。
メッセージを開く。
大学の友達からだった。
「またか……」と、思わず呟く。
俺は返信せずに、電源を切った。
「どうしたの?」
「ん? 飲み会の誘い。しつこくて」
気を取り直して、麻衣さんの首筋にキスをする。
「行って来たら?」
「え?」
「行かないと、いつまでも元カノを引きずってるみたいじゃない?」
「別に……どう思われてもいい」
「けど、誘ってくれる友達は大事にした方がいいよ?」
諭すような言い方に、イラっとした。
麻衣さんの言いたいことはわかる。彼女も大学時代の仲間と今でも交流があり、近々忘年会をするという。俺が麻衣さんに夢中になり過ぎて、友達もいないのではと心配しているのも知っている。
けど――。
「ちょうど忘年会シーズンだし――」
「――元カノ、来るけど!?」
「……けど、二人きりってわけじゃないんだし――」
「――つーか! 今のメッセも元カノだけど?」
こういう時、年上の余裕と言うか、妬いて行くなとも言ってもらえないことに腹が立つ。そんなくだらないことで腹を立てている自分にも。
で、それを麻衣さんにぶつけてしまった自分に、落ち込む。
「……ごめん」
真綾相手に、こんなことはなかった。真綾は交友関係が広くて、いつも誰かと一緒だった。ランチだの飲み会だのにいちいち妬いているのが馬鹿らしくなるほど、じっとしていられない女。
それが、今はどうだ。
麻衣さんと一緒にいる男なら、顧客や同僚にまで妬いてしまう。
一緒にいればいるほど、欲深になってしまう。
俺だけを見ていて欲しい、と。
「ね、駿介」
「――っ!」
耳元で名前を呼ばれ、鼓動が三倍速で跳ね始める。
「元カノに会いに行くわけじゃないし、友達に駿介が元カノに未練があると思われたままなのは、私も嫌かな?」
「……なんで疑問形?」
「そんなこと――」
「――ちゃんと恋人だったら、行くなって言ってくれた?」
「え?」
言って、失敗したと思う。いつも。
子供っぽい拗ねたことを言って嫌われたくないと思う反面、麻衣さんなら受け止めてくれると思うからつい言ってしまう。そうして、彼女の気持ちを確認する。
「俺は、麻衣さんが元カノと飲みとか、嫌だ」
「つ――駿介……」
俺は麻衣さんの肩に額を押し付け、もたれかかった。
「彼女がいるって、言ってきていい?」
「……っ」
「可愛くて、優しくて、匂いだけで勃っちゃうくらい好きな、年上の彼女がいるって言っていい?」
「――最後のはダメ!」
「年上の?」
「勃っちゃうってとこ!」
「ホントのことだし……」と言って、俺は彼女の腰に、未だ元気なままの息子を押し付けた。
「ね?」
「……もうっ!」
呆れたような、怒ったような、恥ずかしそうな顔で、またも唇を尖らせた麻衣さんが、それでも少し嬉しそうに見えるのは、俺の願望だろうか。
「好きだよ」
麻衣さんの全身に触れ、キスをしても、挿れない。
もっと、もっと、俺を好きになって欲しい。麻衣さんから求めてもらいたい。
麻衣さんが濡れるか濡れないかは、彼女の気持ち次第だから。
愛されてると安心できて、愛していると確信出来たら、きっと身体が求めてくれる。
だから、その時までは挿れない。
一緒にいればいるほど、愛してやまない女性だから。
反射的に唇が離れる。
カップの隣に置いた、俺のスマホがメッセージの受信を知らせたのだ。
続けざまに三度。
無視して続ける雰囲気でもなくなって、俺は彼女を逃がさないように片手は腰を抱いたままでもう片方の手を伸ばし、スマホを取った。
メッセージを開く。
大学の友達からだった。
「またか……」と、思わず呟く。
俺は返信せずに、電源を切った。
「どうしたの?」
「ん? 飲み会の誘い。しつこくて」
気を取り直して、麻衣さんの首筋にキスをする。
「行って来たら?」
「え?」
「行かないと、いつまでも元カノを引きずってるみたいじゃない?」
「別に……どう思われてもいい」
「けど、誘ってくれる友達は大事にした方がいいよ?」
諭すような言い方に、イラっとした。
麻衣さんの言いたいことはわかる。彼女も大学時代の仲間と今でも交流があり、近々忘年会をするという。俺が麻衣さんに夢中になり過ぎて、友達もいないのではと心配しているのも知っている。
けど――。
「ちょうど忘年会シーズンだし――」
「――元カノ、来るけど!?」
「……けど、二人きりってわけじゃないんだし――」
「――つーか! 今のメッセも元カノだけど?」
こういう時、年上の余裕と言うか、妬いて行くなとも言ってもらえないことに腹が立つ。そんなくだらないことで腹を立てている自分にも。
で、それを麻衣さんにぶつけてしまった自分に、落ち込む。
「……ごめん」
真綾相手に、こんなことはなかった。真綾は交友関係が広くて、いつも誰かと一緒だった。ランチだの飲み会だのにいちいち妬いているのが馬鹿らしくなるほど、じっとしていられない女。
それが、今はどうだ。
麻衣さんと一緒にいる男なら、顧客や同僚にまで妬いてしまう。
一緒にいればいるほど、欲深になってしまう。
俺だけを見ていて欲しい、と。
「ね、駿介」
「――っ!」
耳元で名前を呼ばれ、鼓動が三倍速で跳ね始める。
「元カノに会いに行くわけじゃないし、友達に駿介が元カノに未練があると思われたままなのは、私も嫌かな?」
「……なんで疑問形?」
「そんなこと――」
「――ちゃんと恋人だったら、行くなって言ってくれた?」
「え?」
言って、失敗したと思う。いつも。
子供っぽい拗ねたことを言って嫌われたくないと思う反面、麻衣さんなら受け止めてくれると思うからつい言ってしまう。そうして、彼女の気持ちを確認する。
「俺は、麻衣さんが元カノと飲みとか、嫌だ」
「つ――駿介……」
俺は麻衣さんの肩に額を押し付け、もたれかかった。
「彼女がいるって、言ってきていい?」
「……っ」
「可愛くて、優しくて、匂いだけで勃っちゃうくらい好きな、年上の彼女がいるって言っていい?」
「――最後のはダメ!」
「年上の?」
「勃っちゃうってとこ!」
「ホントのことだし……」と言って、俺は彼女の腰に、未だ元気なままの息子を押し付けた。
「ね?」
「……もうっ!」
呆れたような、怒ったような、恥ずかしそうな顔で、またも唇を尖らせた麻衣さんが、それでも少し嬉しそうに見えるのは、俺の願望だろうか。
「好きだよ」
麻衣さんの全身に触れ、キスをしても、挿れない。
もっと、もっと、俺を好きになって欲しい。麻衣さんから求めてもらいたい。
麻衣さんが濡れるか濡れないかは、彼女の気持ち次第だから。
愛されてると安心できて、愛していると確信出来たら、きっと身体が求めてくれる。
だから、その時までは挿れない。
一緒にいればいるほど、愛してやまない女性だから。
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