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9.彼女の嫉妬と元カレとの再会
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「俺さ、真綾と別れた後、友達から『就活も上手くいってない上に女に振られた』って同情されてさ、ムカついて『好きな女が出来たから、真綾とは別れるつもりでいた』って言っちゃって。そしたら、『強がるな』とか『浮気してたのか』とか言われてさ。今の事務所から内定は貰えたけど、行政書士試験に合格しなきゃ意味ないからバイトも止めて勉強してたら、『真綾に振られて引きこもってる』とか言われるようになっちゃって。なんかもう、いちいち反論するのも面倒になって、連絡も取らなくなっちゃったんだよね」
「けど、ちゃんと試験に合格して就職したんだから、失恋で引きこもってたんじゃないって、友達にもわかったでしょ?」
「特に親しくしてた友達には本当のことを話してたから、そいつとは今も付き合いがあるんだけど、グループでってなると、なんか……」
「――そうしてるうちに、仲間内では『元カノに会わす顔がないから来ないんだ』って言われるようになった、と」
コクン、と頷く。
「グループって、ワイワイしてる分には楽しいんだけどねぇ」
もう一度、頷く。
「好きになった女が七歳も年上で不感症だなんて、言いにくいしねぇ」
流れで頷きかけて、慌てて顔を上げた。
「――それはっ! 関係ない!!」
麻衣さんが、フフッと笑う。
「引っ掛かったら、もっと苛めてあげようと思ったのに、残念」
「はっ!?」
「鶴本くんと付き合い始めて気が付いたんだけど、私、Sかも」
「へっ!?」
麻衣さんが上目遣いで、何か企んでいる風な悪い表情をした。
「さっき、遠藤さんに会った時の鶴本くん、知らない男の顔してた」
「え?」
「今の鶴本くんと、どっちが素?」
「意味が分かんない」
「無自覚って怖いね」と言うと、麻衣さんの顔がスッと浮き上がってきて、唇同士が触れた。
麻衣さんからキスされたのは、これで二度目。
付き合い始めてからの一か月、電話やメールはもちろん、食事に誘うのも、手を繋ぐのも、キスをするのも、俺からだった。
そりゃ、付き合って欲しいって頼み込んだのは俺だし、仕方がないのかもしれないけど、麻衣さんが南事務所に行ってしまって、会おうとしなければ会えない状況に、情けないほど堪えてしまった。
昨夜は、あまりの寂しさに我を忘れかけてしまった。
そして、今、こんな風に麻衣さんの方からキスなんてされたら、理性は真昼の星となるべく飛び立った。
「麻衣さん!」
両腕でがっちりと彼女を抱き締め、唇が触れると同時に舌をねじ込んだ。
「んっ……」
麻衣さんの甘い声に、しょげていた息子が元気を取り戻す。
実はこの一か月、毎日のように麻衣さんの夢を見ていた。
彼女を組み敷いて、全身くまなく撫で回し、舐め回し、全力で彼女を揺さぶる夢。麻衣さんが俺に跨り、腰を振り、何度イっても離してくれない夢。
欲求不満の自覚はある。
付き合い始めがあんなんだったから、妄想ばかりが膨らむ。
「けど、ちゃんと試験に合格して就職したんだから、失恋で引きこもってたんじゃないって、友達にもわかったでしょ?」
「特に親しくしてた友達には本当のことを話してたから、そいつとは今も付き合いがあるんだけど、グループでってなると、なんか……」
「――そうしてるうちに、仲間内では『元カノに会わす顔がないから来ないんだ』って言われるようになった、と」
コクン、と頷く。
「グループって、ワイワイしてる分には楽しいんだけどねぇ」
もう一度、頷く。
「好きになった女が七歳も年上で不感症だなんて、言いにくいしねぇ」
流れで頷きかけて、慌てて顔を上げた。
「――それはっ! 関係ない!!」
麻衣さんが、フフッと笑う。
「引っ掛かったら、もっと苛めてあげようと思ったのに、残念」
「はっ!?」
「鶴本くんと付き合い始めて気が付いたんだけど、私、Sかも」
「へっ!?」
麻衣さんが上目遣いで、何か企んでいる風な悪い表情をした。
「さっき、遠藤さんに会った時の鶴本くん、知らない男の顔してた」
「え?」
「今の鶴本くんと、どっちが素?」
「意味が分かんない」
「無自覚って怖いね」と言うと、麻衣さんの顔がスッと浮き上がってきて、唇同士が触れた。
麻衣さんからキスされたのは、これで二度目。
付き合い始めてからの一か月、電話やメールはもちろん、食事に誘うのも、手を繋ぐのも、キスをするのも、俺からだった。
そりゃ、付き合って欲しいって頼み込んだのは俺だし、仕方がないのかもしれないけど、麻衣さんが南事務所に行ってしまって、会おうとしなければ会えない状況に、情けないほど堪えてしまった。
昨夜は、あまりの寂しさに我を忘れかけてしまった。
そして、今、こんな風に麻衣さんの方からキスなんてされたら、理性は真昼の星となるべく飛び立った。
「麻衣さん!」
両腕でがっちりと彼女を抱き締め、唇が触れると同時に舌をねじ込んだ。
「んっ……」
麻衣さんの甘い声に、しょげていた息子が元気を取り戻す。
実はこの一か月、毎日のように麻衣さんの夢を見ていた。
彼女を組み敷いて、全身くまなく撫で回し、舐め回し、全力で彼女を揺さぶる夢。麻衣さんが俺に跨り、腰を振り、何度イっても離してくれない夢。
欲求不満の自覚はある。
付き合い始めがあんなんだったから、妄想ばかりが膨らむ。
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