【ルーズに愛して】私の身体を濡らせたら

９．彼女の嫉妬と元カレとの再会

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　真綾とは、大学二年の時に知り合った。

　真綾と同じ教育学部に通う俺の友達の紹介で。

　友達に友達を紹介され、その友達も親しくなって、いつの間にか学部を超えてつるむようになった八人ほどのグループの中に、真綾がいた。

　一年ほどは気の合う友達でいた。

　が、グループの中でくっついたり離れたりする奴がいて、何となく俺と真綾もくっついた感じになった。

　真綾のことは最初からいい女だと思っていたし、真綾も俺を気にしてくれていたと知って、嬉しかった。

　高校の時の彼女とはキス止まりだったから、俺にとって真綾が初セックスの相手。真綾にとって、俺は初めてではなかったけれど。

　真綾の元カレが年上で社会人だったと聞いて、俺は背伸びした。

　デートでは必ず奢れるようにバイトをして、友達に目を丸くされるような額のプレゼントもした。服装も、真綾の見立てで変わっていった。

　別に、無理しているなんて思っていなかった。が、自覚がなかっただけで、無理していたんだと思う。

　就職活動が始まり、バイトの日数が減り、比例するように真綾と会う日数も減っていった。たまに会っても部屋で飯を食ってセックスするだけ。真綾は早々に学校教師から予備校講師に方向転換していたから、すんなり就職が決まった。だから、なかなか内定が取れない俺に苛立っていた。

　楠行政書士事務所の他の行政書士事務所と税理士事務所、会計事務所、一般企業の経理にも応募した。が、ここで働きたい！　と思ったのは、楠行政書士事務所だけだった。

　正直言って、初任給が一番高額だったのは、経理の仕事で、真綾はそこへの就職を望んでいた。そして、楠行政書士事務所一本に絞ろうとする俺と意見が対立し、所長との最終面接の前日に別れた。
　
　正確には、振られた。

「――で、翌日には麻衣さんに一目惚れして、現在に至るってわけ」

　俺は左手で麻衣さんをがっちりホールドしつつ、右手で彼女の尻を揉んでいた。話し始めた時は嫌がっていた麻衣さんも、既に諦めて抵抗しない。呆れられた、の間違いかもしれないが。

　正面切って元カノの話なんてする度胸はなく、抱き締めているうちにそうなった。

「別れた翌日に一目惚れって聞くと、かなり軽いんだけど？」と、麻衣さんが俺の肩に顎を載せて言った。

「それくらい、真綾への気持ちは冷めてたってこと。それに、一目惚れから三年も片思いしてたんだから、全然軽くないから！」

「……うん」

　麻衣さんの手が、俺の脇腹でニットを掴んだ。

　こうして、俺の気持ちを否定しなかったり、抱き締め返してくれるだけで、かなり舞い上がっていた。

「好きだよ、麻衣さん」

「……」

　麻衣さんは首を傾げ、俺の肩にもたれた。

「私、酷いことしてるよね」

「え？」

「鶴本くんに気を持たせるようなことしてるくせに、その……」

「そんなこと考えたら、余計に濡れなくなるから」と言って、両手でしっかりと彼女の腰を抱いた。

「え？」