復讐溺愛 ~御曹司の罠~

深冬 芽以

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8.甘い夜、甘くない理由

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 起き上がった皇丞が、スカートのウエスト部分を持って、引っ張った。ストッキングも一緒に。

 ビッとストッキングが破けた音というか感触がしたが、彼は気づいていないようだ。

 そして、ストッキングにくっついていくようにショーツも一緒に脱がされた。

 さすがにいきなり皇丞の眼前に恥部を晒すのは恥ずかしくて、咄嗟に足を閉じ、膝を曲げて隠す。

 結果として隠しきれていないのだが、黙って曝け出せるほどの勇気はない。

 優秀なセンサーによって自動点灯した常夜灯が、私たちの影をベッドに落とす。

 皇丞が脱がせたものを放ると、私の膝頭に手を置いた。

 たいした力じゃない。

 だから、足を閉じたままで頑張ろうと思えばできた。

 そうしなかったのは、私もまた皇丞に触れられることを望んでいるから。

 皇丞の手によって、自分の目にも触れない部分が暴かれる。

 膝を割られ、彼の手が内ももをなぞり、しっとり湿った身体の中心を目指す。

「お……すけ……」

 黙ってされるがままでいるのが恥ずかしくて、彼の名を呼んでみる。

 自分で思う以上に緊張しているらしく、声がかすれた。

「ん?」

 皇丞が私の足の間に自身を割り込ませ、圧し掛かってきた。

 身体が密着する。

 彼の唇が私の頬や鼻、瞼に触れる。

 その間も手は腿を撫で、核芯に迫る。

 焦らされている、わけではない。

 気持ちの準備をさせてくれているのだと思う。

 私は、皇丞の頬に触れた。

 睫毛が触れる距離で見つめ合う。

「梓……」

 はぁ、と少し苦しそうに息を吐いた彼に、唇を重ねる。

 腿を撫でる手がぴたりと止まる。

 私から舌を差し出すと、手がまた動き出し、真っ直ぐ茂みに隠れた花肉を目指し、触れた。

「ふ……っ」

 舌を吸われ、感じやすい花肉を指の腹で撫でられては、腰も浮く。声も出る。

 二本の指の腹でクニクニと円を描くように捏ねられると、そこから甘い痺れが昇ってくる。

「は……っん」

 気持ちいい。

 自然と足が浮く。

 待ち受けるさらなる快感を期待して、無意識に下腹部に力が入る。

「あ、んっ。はっ――」

 足のつま先がピンと伸びる。

 攣りそうなほど、力が入る。

 一定の力で一定のリズムを刻むように動き続ける皇丞の指に、全神経が集中する。

「あ……っん。あっ――」

 私は両手を伸ばし、彼の首に絡めた。

「あ、も――だ……めぇ……」

 一層指の動きが早くなり、私は皇丞の首にしがみついたまま、きたる絶頂に身構えた。

「は……あぁんっ!」

 皇丞の指先から放たれた電流が子宮を収縮させる。下腹部がピクピクと痙攣し、息もできない。

「はっ……、は――」

 イッた瞬間、皇丞の指の動きがゆっくりになった。それでも、動きは止めない。

 だから、イキながらも追い立てられ、痙攣が止まらない。

「も……ヤ――」

 息つく間が欲しくてやめてと言いたいのだが、うまく音にならない。

 痺れが続き、少し痛いくらいの快感に、私は思わず口元の皇丞の耳たぶを甘噛みした。

「んっ――」

 声の主は私ではない。

 私を攻め立てていた指の動きが止まる。

 あれっと思いながら、ゆっくりと意識を浮上させていく。

 そして、理解する。

 それを確かめるために、私は唇に挟んだままの彼の耳たぶをチュッと吸った。

「ん……っ」
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