復讐溺愛 ~御曹司の罠~

深冬 芽以

文字の大きさ
上 下
14 / 208
2.噂

しおりを挟む
 龍王が部屋に閉じこもったという知らせはヨシュアにも届いていた。
 イザークとシオンが警護に当たり、ヨシュアは近付けないようにと言われているのも知っている。
 誰が止めてもヨシュアは龍王の元に行く気だった。
 先に湯殿に行って体を清め、後ろに香油を塗り込めてしっかりと解して仕込んだ後で、服を着直す。

 龍王は黄宮の部屋の中で暴れている様子だった。
 ヨシュアの名前を呼んで咆哮しているのが聞こえる。
 一刻も早く龍王のもとに行ってやらなければいけないという気持ちでいっぱいだった。

 警護の兵士が止めるのも構わず、龍王の部屋までたどり着くと、龍王は幾重にも張られた結界を無理やりに壊して、イザークとシオンに攻撃を仕掛けようとしていた。魔術も封じると言っていたはずだが、それも解いたようだ。
 イザークとシオンには受け止められない魔術が襲ってきそうになったのを、ヨシュアは片手を振って払った。
 ボロボロになっている結界を解いて部屋に入ると、部屋の中は酷い有り様だった。
 龍王が自我を忘れて暴れたのだろう、布団も枕も引き裂かれて真っ白な羽毛が飛び散り、寝台は壊されて、獣のように龍王が飛び掛かってくる。
 細い体を抱き締めると、ふうふうと息を吐いてヨシュアに触れようとするのを口付けで宥める。見開かれた黒い目が僅かに紫色を帯びていて、魅了の力も解放されていることに気付く。
 その目を見せないように手で隠し、ヨシュアは龍王を抱き上げた。

「イザーク、シオン、青陵殿のおれの部屋で警護を引き続き頼む」
「は!」
「心得ました」

 イザークとシオンに命じて下半身を白濁で汚し、長衣も下衣も引き裂いたようになっている龍王と口付けを交わしながら青陵殿のヨシュアの部屋に移る。
 寝台の天幕を閉じて、長衣も下衣も下着も脱ぎ捨てれば、奥から溢れた香油が太ももを伝った。
 普段から細い体の割には凶悪なものを龍王は持っているのだが、さらに凶悪になったそれも、入念に準備していたので何とか飲み込めた。
 ヨシュア主導でことが進むはずもなく、奥の今まで龍王も受け入れたことのない場所を容赦なくえぐられたり、後ろから背中から首周りに噛み跡を付けながら貫かれたり、翻弄はされはしたものの、なんとか意識は保っていられた。

 普段よりもかなり疲労度はあったが、それ以上に披露している様子の龍王を担いで湯殿に連れて行き、体を清めて、自分の体は精を掻き出したところでまた注がれるだけだろうから、そこまではせずに簡単に流して、清潔になった寝台に戻る。
 意識を失っている龍王の伸びて尖った爪を丁寧に切って、やすりがけをして、口移しで水を飲ませていると、龍王の目が開いた。

「ヨシュア……」

 飲ませている水を嚥下して、龍王がヨシュアの舌に舌を絡める。
 できれば何か食べさせてやりたかったが、それは無理そうだった。
 舌を絡めた龍王がヨシュアの胸の飾りを摘まむ。爪が伸びていたときにはしなかったので、それだけヨシュアを傷付けたくないという気持ちが本能にも勝ったのだろう。
 握り締めた手の平には爪の痕があったし、唇も血の味がして切れているようだった。

 理性を失おうとも龍王はどこまでもヨシュアのことを考えてくれている。
 ヨシュアを傷付けまいとしてくれている。

 そもそも発情期ですら自分一人で熱を我慢して過ごそうとしていたのだ。龍王がヨシュアをどれだけ大事に思っているかがよく分かる。

 舌を絡めながら龍王に主導権を許すと、寝間着を脱ぎ捨ててヨシュアに覆い被さってくる。
 先ほどまで意識がなくなるくらいに交わっていたはずなのに、中心はもう兆していて、復活の速さにヨシュアもさすが発情期と思ってしまう。

 膝裏に手を差し込まれて、深く足を折り曲げて広げられて、後孔が露わになってしまう。注ぎ込まれたものをそのままにしているそこからは、とろとろと龍王の放った白濁が香油に交じって溢れていた。
 凶悪なブツの切っ先を押し当てた龍王に、ヨシュアは抵抗せずに力を抜く。
 一気に奥まで貫かれて、ヨシュアは背を反らした。喉に龍王の歯が当てられて、噛み付かれる。

「ぐっ……あぁぁっ!」
「ヨシュア、ヨシュア、ヨシュア」

 もうヨシュアの名前しか知らないようにずっと繰り返して腰を動かす龍王に、ヨシュアは抵抗せずにされるがままになっている。
 奥の深い場所を犯されると、快感に視界が明滅する。

「ひぁっ! 星宇、ふかいっ! あぁっ! おく、だめっ!」
「ヨシュア……」

 普段は届かないような深い場所まで暴かれて、身もだえるヨシュアに、龍王は無心で腰を振り続ける。ヨシュアの中に放たれた白濁は泡立ち、龍王が吐き出すたびにこぷこぷと逆流して来ていた。

 何度吐き出されたか分からない。
 ヨシュアも一瞬意識が飛んでいたが、龍王の方は完全に意識が飛んでいるようだった。
 抱き上げると、まだヨシュアの中に入っていた龍王の中心がずるりと抜けて、ヨシュアの中から白濁がどろりと溢れ出してくる。
 快感よりも苦しさが勝るようになっていたが、ヨシュアは淡々と龍王を湯殿に担ぎ上げて連れて行き、体を流して、自分の体も流して、部屋に戻ってきた。
 今回は爪も伸びていないようなので、水だけは何とか飲ませる。
 口移しで水を飲ませていると、龍王がヨシュアの頬に手を伸ばす。

「もっと……」
「喉が渇いたんだろう。何か食べられそうか?」
「ヨシュア、どうして……」
「星宇一人を苦しい目に遭わせたくなかったんだよ」

 問いかける龍王の目は潤んでいるようだった。
 全部吐き出したからか、少し落ち着いた龍王に、粥を持って来てもらって匙で掬って食べさせる。龍王の発情期も落ち着きそうな様子であった。

「あれからどれくらい時間が経ちましたか?」
「多分、一昼夜は過ぎてると思う。もう少し粥を食べるか?」
「すみません」
「星宇がこれ以上瘦せるとおれが心配だ」

 粥を食べさせて清潔な寝台に休ませると、龍王は目を閉じて眠ってしまった。ヨシュアも休めるときに休んでおこうと一緒に目を閉じる。
 後ろから龍王の白濁が溢れ出た感触がしたが、それは気付かなかったことにして眠りに落ちた。

 その後の二日は普段と変わらないくらいの情交で済んだので、ヨシュアは龍王と発情期を問題なく過ごすことができた。

 龍王の手の平の傷も、唇の傷もそのころにはきれいに治っていた。

「次からはおれを頼ってくれよ」
「ヨシュアを抱き殺すかと思ったのです」
「そこまではなかっただろう。自我がなくなっても、星宇はおれを絶対に傷付けなかったし、酷いこともしなかった」

 普段よりは翻弄されてしまったが、それも悪くはなかったと笑うヨシュアに、龍王はその逞しい胸に顔を埋める。

「ヨシュアがわたしの伴侶でよかったと思っています。愛しています、ヨシュア」
「おれも愛しているよ、星宇」

 抱き締め合って口付けを交わすヨシュアと龍王に、一番安堵していたのはイザークとシオンだろう。

「さすがにわたしたちも全力の龍王陛下を抑えきれるかは自信がありませんでした」
「国のために命を懸ける覚悟はしていましたが、龍王陛下に殺されるのは無念と思っていました」
「次の発情期にはそんなことはない。二人には苦労をかけたな」
「ヨシュアが謝ることではありません。イザーク、シオン、迷惑をかけました」
「我々の力が足りず申し訳ありません」
「これからも龍王陛下と王配陛下をお守りできるように精進していきたいと思います」

 本気になった龍王に勝ち目がないと分かったイザークとシオンは、心を新たに精進するつもりのようだった。

 三日間の発情期が明けて、龍王はその期間に食べられなかった分も食べさせられるように、円卓に並ぶ豪華な料理を前に、ヨシュアと二人で夕餉を取っていた。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました

瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

捨てられた花嫁はエリート御曹司の執愛に囚われる

冬野まゆ
恋愛
憧れの上司への叶わぬ恋心を封印し、お見合い相手との結婚を決意した二十七歳の奈々実。しかし、会社を辞めて新たな未来へ歩き出した途端、相手の裏切りにより婚約を破棄されてしまう。キャリアも住む場所も失い、残ったのは慰謝料の二百万だけ。ヤケになって散財を決めた奈々実の前に、忘れたはずの想い人・篤斗が現れる。溢れる想いのまま彼と甘く蕩けるような一夜を過ごすが、傷付くのを恐れた奈々実は再び想いを封印し篤斗の前から姿を消す。ところが、思いがけない強引さで彼のマンションに囚われた挙句、溺れるほどの愛情を注がれる日々が始まって!? 一夜の夢から花開く、濃密ラブ・ロマンス。

御曹司の極上愛〜偶然と必然の出逢い〜

せいとも
恋愛
国内外に幅広く事業展開する城之内グループ。 取締役社長 城之内 仁 (30) じょうのうち じん 通称 JJ様 容姿端麗、冷静沈着、 JJ様の笑顔は氷の微笑と恐れられる。 × 城之内グループ子会社 城之内不動産 秘書課勤務 月野 真琴 (27) つきの まこと 一年前 父親が病気で急死、若くして社長に就任した仁。 同じ日に事故で両親を亡くした真琴。 一年後__ ふたりの運命の歯車が動き出す。 表紙イラストは、イラストAC様よりお借りしています。

処理中です...